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【取材】東京キャンピングカーショーで日本RV協会がシンポジウム開催。タレント・田村淳さんも参加

キャンピングカーを活用して能登半島地震の復興を支援

2024年7月20日と21日に開催された東京キャンピングカーショー2024で、第1回キャンピングカーシンポジウムが行われました。
第1回のテーマは「キャンピングカーと防災」。
今年の元旦に発生した「令和6年能登半島地震」への日本RV協会の対応を始めとして、フリーアナウンサー・辻よしなりさんの司会で、タレント・田村淳さん、日本RV協会会長・荒木賢治さん、アウトドア防災ガイド・あんどうりすさん、NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 事務局長・明城徹也さんがディスカッション。
キャンピングカー=レジャーというだけではない、災害支援にも役立つという一面がよくわかる内容となりました。
能登半島地震への日本RV協会の支援活動

日本RV協会会長・荒木賢治さん/
今年の元旦に発生した令和6年能登半島地震。被災地からの協力要請を受けた日本RV協会は、レンタルキャンピングカーや試乗車などの提供を会員各社へ呼びかけ、計60台のキャンピングカーを現地に送りました。

復興支援のために被災地に派遣された自治体職員の宿泊施設として利用されています。
支援する職員は当初、被災地に残った建物の床に寝ていました。
真冬の能登ですからとても寒い季節。
キャンピングカーにはエンジン停止時に長時間使えるFFヒーター(暖房)が付いています。

暖かい場所で寝られるということで大変好評を得ました。
また、仮設トイレも満足になく、排泄回数を減らすため食事の量を減らしていたのですが、トイレカーを送ることで、随分役に立ったということです。
仮設住宅を作るにも、多少建設期間が必要ですがキャンピングカーなら現地に着いたらすぐに住居として使えます。
キャンピングカーがレジャーだけでなく、災害支援にも有効だということが実証された経験だと思います。
参考記事▷【取材】能登半島地震の復旧支援に60台のキャンピングカーが活躍
次のページ▷▷▷【実際に支援に行った田村淳さんや、防災・災害の専門家から見たキャンピングカーの有能性は!?】
「キャンピングカーと防災」についてパネリストの意見は
キャンピングカーによる災害支援の長所と課題は?

NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 事務局長・明城徹也さん/
私はキャンピングカーを使ったことがないので想像で話しますが、長所としては自走して災害現場に持って来られて、そこですぐに生活ができる。
自己完結できるということだと思います。ただ、課題というか疑問点として、どの程度の快適な生活がどのくらいの期間できるのか。
例えば、被災地でキャンピングカーを使っている途中でトイレの汲み取りや水の補給がどのくらいのペースで必要かということを知りたいし関心があります。

アウトドア防災ガイド・あんどうりすさん/
災害現場で復興支援をしているほとんど全員の女性スタッフが「着替えをするのにキャンピングカーがあって便利。ぜひ欲しい」と言っています。
課題としてはキャンピングカーを必要としている復興支援スタッフにどうやって行き渡らすかということがあると思います。
タレント・田村淳さん/
キャンピングカーは機動性の高さが何よりの長所。
能登地震の後で3回現地に行ったのですが、復旧作業をしている方々と話してみると「道路を直しに行くのに災害現場と自分たちの宿泊場所を行き来する時間がもったいない。工事現場でそのまま寝られたら睡眠時間を削らずにがんばれる」という声がありました。
復旧作業しているそれぞれの現場ですぐ寝られる場所としても、キャンピングカーを使ってほしいです。
荒木賢治会長/
今回の能登半島地震では被災地支援を行うスタッフのために60台のキャンピングカーを用意しました。
被災地ですぐに快適な生活ができるということで、キャンピングカーは役に立ちました。
しかし、災害時に100台キャンピングカー欲しいと言われても日本RV協会としてもなかなか現状ではそろえられません。
日本国内には約120のキャンピングカーメーカー・ディーラーがあると言われていますが、1社につき3台ずつレンタカーとしてキャンピングカーを持っておけば、災害時には360台をいっきに貸し出すことができます。
そういう平時での準備がキャンピングカー業界の課題だと思っています。
災害支援ツールとしてのキャンピングカーの可能性は

あんどうりすさん/
地震に限らず水害にもキャンピングカーが役立つはずです。
水害が予想される地域では宿泊補助制度がある自治体もありますが、水害時には補助制度があってもホテルや旅館が満杯になることも考えられます。
そんなときにキャンピングカーは臨時の宿泊所として利用できます。

明城徹也さん/
支援者支援ということで、災害地支援をする人の現地での住環境を整えることにキャンピングカーの可能性を感じています。
能登半島地震発生から半年経っていますが、今も復旧に当たる工事業者の宿舎が足りないという状況があります。
支援者がしっかり災害地支援できる環境を整えないと、時間が無駄になってしまったりして有効な支援ができません。
そういう環境づくりにおいてキャンピングカーに期待しています。

田村淳さん/
いつ地震が起きても不思議じゃない国に住んでいるわけじゃないですか。
ぼくは家族ができてキャンピングカーを持った理由は、もちろんレジャー用ということもありますが、何か災害があったときに、うちの家族はここで寝泊りできるんだ、電気を確保できる、トイレも使えるということも半分くらいは含まれていました。
荒木賢治会長/
自治体や企業にも積極的にキャンピングカーを所有して活用してもらいたいです。
日本には2,000弱の自治体(1,718市町村、2024年7月25日現在、総務省)があります。
1台ずつ所有したら、どこかで災害が起こったときに2,000台のキャンピングカーで支援できます。
企業には、普段は社員の福利厚生制度としてキャンピングカーを持っていてもらって、やはり災害時には貸し出してもらう。
そうすれば災害支援におけるキャンピングカーの可能性はもっと広がります。
また、電源もあるので酸素吸入などの医療機器も使えます。
人だけでなく、電気がないと生きていけない爬虫類などのペットも救えるのではないでしょうか。
取材を終えて/災害支援にキャンピングカーが有効であることの周知徹底が必要
今回の能登半島地震で、はからずもキャンピングカーが災害地支援に役立つことが実証されました。
ですが、まだまだキャンピングカー=レジャーという認識が強いのではないでしょうか。
もっと災害支援にキャンピングカーが有効であることが周知されれば、どこかで大きな災害があったときに、十分なキャンピングカーがすぐに必要に場所に集められる体制が整うだろうと感じました。
まだ復旧支援をする人を支援するためのキャンピングカーだけも足りない現状。
日本RV協会会長・荒木会長のお話しにもありましたが、何千台規模でキャンピングカーを被災地に送れるようになれば、被災者の住居としても活用できるようになるはずです。