知識
スタッドレスタイヤも準備万端! いざ雪道ドライブへ

雪道を運転するのは、いつも以上に注意が必要である。
キャンピングカーで快適に雪中を旅するための運転の仕方や、注意事項についてお話ししよう。
ゆっくり!確実に!

「雪道では“急”のつく操作は御法度」と言われる。もちろんこれはキャンピングカーに限った話ではない。
急加速、急ブレーキ、急ハンドル。
どれも乾燥路面であっても避けるべき操作だが、滑りやすい積雪路・凍結路では特に気を付けなければならないことは、想像に難くないだろう。
しかも、重量のあるキャンピングカーである。
スリップしだしたら、止めるのはたやすいことではない。
積雪路・凍結路では「速度を抑えて」「慎重に走る」。
ただひたすら、これに尽きる。
4WDを過信するのも禁物である。
駆動力の面でアドバンテージはあっても、制動力は2WDも4WDも変わらないのだ。
四駆だからメリットがあるとすれば、スタックした状態から抜け出すのに、少々有利かも……程度に考えておいた方が良い。
何しろ雪道走行で危険を招くのは、駆動力不足よりも制動力不足なのである。
そういう視点であらためてキャンピングカーを見てみると、雪道にはとことん適していない車と言えるだろう。
重量があり、エンジンパワーも限られる。
残念ながらスタックもしやすい。
スキー場などへ行く際には、必ず山に入る手前でチェーンを装備しよう。
たとえスタッドレスタイヤを履いていても、である。
着雪に注意!

雪道走行で予想以上に危険なのが『着雪』だ。
スリップやスタックを心配しがちだが、ヘッドライトやタイヤハウス、ボディにはりついた雪は、なかなかに難敵である。
特に気をつけたいのが、ヘッドライトがHIDやLEDの場合。
ご存知の通り、HIDやLEDは効率が良く輝度も高い。
そして熱を持ちにくいという性質がある。
そのため、レンズ面に着いた雪が溶けないのだ。
走っているうちにどんどん着雪してしまい、次第にライトが暗くなる。
その原理はまさに「雪だるま」だ。
薄暗い状態で夜の山道(ワインディング)に進入するなんて、考えただけでも恐ろしい。
ではどう対策するか。
時々停めて、レンズ面に着いた雪を掃除する。
これしかないのである。
自車が撒き上げた雪がタイヤハウスやボディにつくのにも注意が必要だ。
特にキャブコンはボディ下に空間が多く、着いた雪塊が落ちてボディを損傷することがある。
タイヤハウスの内側に分厚く雪が着雪すると、ステアリング操作に影響する恐れもある。
対策はヘッドライトの場合と同じ。
時々チェックして、はりついているようなら、こそげ落とす必要がある。
ただし、むやみにハンマーなどで叩くのはNG。
かえって損傷につながることがあるので、慎重に。
次のページ⇨ 軽油と洗車についての注意点を解説。
軽油は「凍る」と覚えておこう

北国以外ではあまり知られていないが、ディーゼル車の燃料である軽油は「凍る」。
正確には凍結するのではなく、軽油に含まれているワックス成分が、低温になると固形化してしまうのだ。
そうなると、固形化した成分で燃料系が詰まり、流れが悪くなる。
それを防ぐため、寒冷地では「寒冷地用軽油」が販売されている。
軽油には特1号、1号、2号、3号、特3号までの5種類があるが、その中でも特3号が最も固まりにくい。
石油会社は必要な時期になれば3号や特3号軽油を供給する。
自宅付近のスタンドで3号軽油が販売されていれば問題ないが、そうでない場合は満タンで出発せず、寒冷地に近づいてから給油するのが肝心だ。
洗車はいつもより入念に!

積雪地域では、高速道路などを中心に凍結防止剤が撒かれている場所がある。
この凍結防止剤、簡単に言えば「塩」なので、車についたのを放置しておくと錆びやすくなるのだ。
雪道や積雪地域での走行から帰ってきたら、ボディの汚れを落とすのはもちろんのこと、高圧洗浄機などを使って下廻りを入念に洗おう。
洗車というと、つい見える範囲のことばかり気にしてしまうが、車の「腹」は相当に汚れている。
まして塩分は、きっちり落としておかないと腐食のもとになってしまう。
ちょっとだけ気を使う。ひと手間かける。
多少の面倒はあるが、安全安心には代えられない。
それでも、冬旅にはそれだけの価値がある。
雪山の景色を肴に一杯やるもよし。
温泉でふやけるもよし。
面倒がらずに、ぜひトライしてほしい。