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増加する事故・・・ポータブル電源を安全に使うためのポイントと選び方

ポータブル電源を安全に使うためのポイントと選び方

キャンピングカーの電力事情


停泊時にも稼働できるエアコンや電子レンジなど、キャンピングカーの装備はますます充実する傾向にあります。

それにともなって、十分な電力の供給も必要になります。

キャンピングカーでエアコンや電子レンジなどの電気製品を動かすには、もちろん電気が必要です。

その電気を手に入れる手段は大きく3つ。

・外部電源につなぐ
・サブバッテリー
・発電機


そんな電源系パーツの中でも、今特に注目されているものと言えば「ポータブル電源」でしょう。

キャンピングカーユーザー以外にも、一般車両での車中泊や、テントキャンプの際に利用する人も増えています。

ポータブル電源とは


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ではポータブル電源とはどういうものなのか。

簡単に言えば、リチウムイオンバッテリーと、そのバッテリーからAC100Vを取り出すDC-ACインバーター、さらにバッテリー充電器が一体になったものです。

ポータブル電源が普及する以前から、キャンピングカーにはサブバッテリーが搭載されてきましたが、こちらはバッテリー/インバーター/充電器を個別に搭載するものでした。

ポータブル電源の優れた点


従来型のサブバッテリーと比べてポータブル電源のほうが優れている点は

・はるかにコンパクトである
・さまざまな電気製品との相性がいい


などがあげられます。

近ごろはサブバッテリーなしでポータブル電源のみを搭載するキャンピングカーも登場していますし、既設のサブバッテリーの増量アイテムとしても人気です。

その背景には、バッテリーの高性能化があります。

家庭用エアコンを数時間稼働させられるような、大容量のリチウムイオンバッテリーが登場するようになったのです。

発電機と比較してもメリットはたくさんあります。

まず、発電機は騒音と排気ガスは避けられません。また、発電機用のガソリンを携行する必要もありません。

加速度的に普及しているのもうなづけますね。

ポータブル電源の注意点


このように、とても便利なポータブル電源ですが、いくつか注意点はあります。

まず電気は姿が見えません。ガソリンのように、使った分だけ重量が減るわけでもありません。

運転音がするわけでもないので、外から見て、今どんな状態にあるのかがかわかりにくいという特徴があります。

小さく見えても、数時間エアコンを運転できるほどの電力を蓄えていますから、使い方を誤れば危険なことだってあります。

特に気を付けたいのが発火・火災です。

ポータブル電源に使われるリチウムイオンバッテリーは「衝撃による損傷」や「過充電などによるバッテリーの劣化」、「保護機能の不作動または非搭載」などの原因で発火してしまうことがあります。

リチウムイオンバッテリーの火災は、消火しづらく(※酸素を自己供給してしまうため)、大変に厄介なのです。

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ポータブル電源を安全に使うためのポイント


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では、安心して、安全にポータブル電源を使うにはどうしたらよいでしょうか。

バッテリーの種類を知っておく


ポータブル電源に搭載されているリチウムイオンバッテリーには

・三元系
・リン酸鉄系


どちらかのタイプが使われている場合がほとんどです。

三元系

エネルギー密度が高く、安価といったメリットがあります。

その一方、トラブルが発生した際により高温になり有毒ガスの発生する場合もあります。

リン酸鉄系

エネルギー密度は三元系に比べて低いことから大きさはどうしても大きくなりますが、安定性が高く、トラブル時にも有毒ガスの発生がありません。

製造・販売元がはっきりしている製品を使うこと


メーカーのカタログやWebサイトをチェックして、説明の内容、会社の所在地や連絡先がハッキリしている会社の製品を選びましょう。

消費者庁のリコール情報サイトで過去のリコール情報が閲覧できるので参考にするといいでしょう。

このとき気を付けたいのは、リコール=ダメな製品、ではないということ。

むしろ、欠点が見つかったとき、隠さずにきちんと届け出て、リコールををしている「しっかりした会社」であるとも言えます。

消費者庁リコール情報サイトはこちら

正規販売店から購入すること


リチウムイオンバッテリーは保管状態が悪いと、新品未開封でも劣化することがあります。

また、個人売買だとメーカー保証が受けられなかったり、リコール情報が届かないという問題が起きがちです。

このような理由から、中古品を買うのもお勧めしません。

取扱いに配慮が必要なものだからこそ、正規販売店から購入しましょう。

最近ではメーカーが、下取りした製品を整備して安価で「認定整備済製品」として販売しているものもあります。

保管・取り扱いに注意する


・衝撃を与えないこと
・高温下に放置しないこと
・濡らさないこと


この三点は特に気をつけたいポイントです。

車への積み下ろしで落としてしまった、など、心配がある場合は外見に傷がなくても使用しないこと。

電気製品を接続したりスイッチをいれたりせず、まずはメーカーに相談することをお勧めします。

そのほか、保管する際の充電状況、保管に適した気温など、説明書をよく読んで定められた条件を守って使うようにしましょう。

消火器を用意すること


前にも書いた通り、一度火が出るとやっかいなのがリチウムイオンバッテリー(ポータブル電源)です。

車内で電気や火気を使うことがあるキャンピングカーは、車両火災を起こす要因には事欠きません。

そこで装備しておきたいのが消火器です。とくに電気火災にも対応できるABC消火器を備えておけば安心です。

使用しても車内を汚さない、気体を使ったタイプの消火器も出てきていますので、チェックしてみてください。

(参考商品・ファイヤーショーカスティック

ファイヤースティックに関する記事はこちら▷【取材】車中泊での万が一の火災に!コンパクトで強力、後始末なしの消火器具!

渡部 竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。 専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。 著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 愛車は2000年式ドリーバーデン19ft