リチウムイオンポータブル電源の導入について考える
私のキャラバンには貰い物の100W程度のソーラーパネルが屋根に載り、ディープサイクルバッテリーが積まれている。
これらを使うようになった経緯は、是が非でもこういったシステムを導入したかったと言うより、どちらかと言えば、このソーラーパネルを使わずに放っておくのももったいないと思い、バッテリーや充電コントラー、インバーターなどの機材を揃えてしまったような流れだ。
しかし、使い始めてみると、あるのが当たり前になってしまい、なければかなり不便だろうといった状態になっているのが現状だ。
目次
電気に頼るか?
基本的に普段の私は何でもかんでも電気に頼るオール電化のような生活はしておらず、どちらかと言えば電気を使う量は少ない方だろう。
だからと言って、そういった物を全否定する狂信的なエコロジストのようなタイプとももちろん違う。
使う時は使うけど、あまりに電気に頼りすぎる生活をしていると、電気の供給が止まった時や故障した時に、大変な思いをするので、普段から依存症のような状態にならないように心掛けているだけだ。
現在日本では、台風が来ると停電や断水が当たり前の島もあると言うのに、都会でほんの一時停電になっただけでもマスコミは大騒ぎする。
普段から頼り過ぎないようにしていれば「そんなに大したことでもないだろ」と思うのだが、パニックになってしまう人達というのは、少々電気に依存しすぎなのではないかとも思う。
そうはなりたくないが、ちょっと違った観点から電気の利用について考えてみたい。
災害に遭った時など、カセットコンロや電池で稼働する機器などは大変役に立つが、ガスボンベや電池が無くなったら使えない。
電気自動車の中には、『停電や災害時には車に貯めてある電気を家庭用の電源として使える』と夢のようなことを謳った宣伝もある。
しかし、ちょっと考えればわかることだが、車に貯めてあった電気を家で全部使ってしまったら車が動かなくなり、食糧やカセットボンベや電池を買いに行けなくなってしまう。
その点、ソーラーパネルは、太陽さえ出ていれば故障しない限り無限に発電ができる。
もちろん他に燃料は要らないし、太陽光は誰でも無料で受け取ることができる。
発電した電気を自分のバッテリーに貯めておけばいつでも使えるし、太陽が出ていればまた充電ができ、ずっと電気を使い続けることができる(基本的な理屈の話なので、細かいところは突かないでいただきたい)。
災害に遭った時に思いついたこと
昨年台風の被災で、停電断水生活を強いられた時に思いついたことがある。
必要十分な量の電気を蓄電できて、電気調理器を使えるパワーのあるバッテリーとソーラー発電のシステムがあれば、有限のガスボンベや灯油やガソリンを使わなくて済む(自分としては薪という手も十分にあるのだが、ここでそれは一旦置いておく)。
調理にまで「電気に頼る」と言うと、普通に考えたら自然思考やサバイバルなどといったことから最もかけ離れたイメージを抱いてしまう。
だが、無限の資源である太陽の光を利用するのだから、実は災害時や車での生活には、ソーラー発電+蓄電に頼るのが案外非常に合理的なのでは?なんてことを考えてしまった。
これは普通のキャンプ生活ではない経験をしたからこそ思い当たったような気がする。
災害時にも役に立つから、住める車をソーラー発電を利用したオール電化に近い状態にして行くのも悪くない(ソーラーの部分は絶対に外せないが)のではなどと考えるようになったのだ。
ディープサイクルバッテリーを買い換えるか、システム刷新か・・・
現在私の使用しているソーラー発電+蓄電システム(何だかちょっと大袈裟な響きだ)の使用目的は色々あるけれど、一番大きな目的は、仕事柄、インフレータブルSUPボードの空気入れだ。
SUPボードには高圧の空気を入れるため、小型のコンプレッサーのようなものを使用し、それなりの電気が要る。
車のエンジンをかけたまま何本も続けてインフレータブルSUPボードにコンプレッサーで空気を入れるのは嫌だし、真夏に人力で何本も入れたらパドリングする前に体力を使い切ってしまう。
次に、カップ麺やコーヒーのための湯沸かし、携帯電話やカメラのバッテリー、たまにラップトップの充電、USBから給電できるライトや扇風機、電動シャワーの使用などだ。
電子レンジやエアコンのように電気を大食いするものに使うわけではないし、電気毛布も苦手だから使わない。そんなに大した使用量ではないから、充電方法はこのソーラーパネル一枚だけで足りている。
しかし、このソーラー頼りというところが先程挙げた災害時云々だけに関わらず、私にとっては要だ。
毎回家で充電して準備する必要があったとしたら段々面倒臭くなり、いつしかあまり使うこともなくなっていたのではないかと思う。
車とは別の電源が何もしなくてもいつも用意されているのは大変ありがたいことなのだ。
現在私が使用しているシステムをもう少しだけ詳しく説明すると、冒頭で書いた通り、車の屋根に取り付けた100W程度のソーラーパネルとディープサイクルバッテリー、そして充電コントローラーとインバーターということになる。
ソーラーパネルとバッテリーだけでは過充電になってしまったり逆流してしまうこともあるため、充電コントローラーは必須だ。
そして、交流100Vの電気機器を使いたければインバーターが必要になる。
インバーターの細かな説明は省くが、価格や性能はピンキリで、「交流100Vの機器で使用できるモノもある」程度のものから、家と変わらないように使えるような物まであって、ハッキリ言ってしまうと安物はあまり役に立たなかったり、酷い場合は機器を壊してしまう原因にもなってしまう。
こうやってバラで集めたソーラーパネルとバッテリーを使用したい場合は、関連知識がなければ少し勉強するか、あまりに苦手だったらお金を出して専門家にシステムの構築を依頼するしかない。
無茶苦茶なことをしても使えないだけでなく、感電したり火事を起こす恐れもあるから大変危険だ。敷居が低いとは言い難い方法である。
注目のリチウムイオンの大容量ポータブルバッテリー
私は今のシステムを酷使しているわけではないからまだ使えているけれど、バッテリーは使い始めてから5年近く経過しているため、そろそろバッテリーを買い替えなければいけないかも知れないと考えていた。
だが、特に大雨や台風による災害が多発してから、リチウムイオンの大容量ポータブルバッテリーが話題に上がる機会が増え、それも気になっていた。
リチウムイオンポータブルバッテリーの大抵は充電コントローラーやインバーターも組み込まれた一体型だ。
普通の交流の100Vのコンセント・ソーラーパネル・車のシガーライターソケットのいずれかに繋げば簡単に充電できるものが多い。
知識のない人も比較的簡単安全に使用することができるから敷居も低い。
そして、コンパクトにまとまった一体型なら移動も楽で、家の中で使うこともできるし、違う車に積み替えて使うことも容易だ。これは大変大きな魅力だろう。
しかし、リチウムイオンバッテリーは価格が高い。
能力的には出力400~500Wh・容量50,000~120,000mAh位のクラスがスタンダードなようで、ざっと調べたところ、そのクラスで価格は50,000~60,000円程といったところのようだ。
現在私が使用しているインバーターは、定格800W(サージは忘れたけど倍くらい?)。
これでも、あっと言う間にお湯の沸くティファールの電気ポットの使用はできないが、これ以下にしてしまうと使える電気ポットがなくなってしまう。
コーヒーやお茶の湯は熱すぎては良くないが、カップ麺の湯は絶対に沸騰していなければならない。昼に海から上がった時に食べるカップラーメンのための沸騰した湯は、非常に重要なのだ。
また直流12Vの電気ポットもあるが、それだとその辺に落ちている木の枝でも燃やして湯を沸かした方が早いくらいで、ハッキリ言ってしまうと、いつになったらカップラーメンが食べられるのやらといった性能だ。
カタログデータが中心の紹介記事だけでは踏み切れず
ディープサイクルバッテリーの買い替えだけなら12,000~13,000円の出費で済む。
そして、お湯はガスで沸かしても良いのだが、さっきの災害時云々のことを考えると、50,000~60,000円のリチウムイオンのポータブルバッテリーに買い替えても、むしろパワーが落ちて中途半端な気がしてしまう。
せっかくリチウムイオンのポータブルバッテリーに電気システムを刷新するなら、中途半端なものではなく、この際電子レンジや電動工具(定格は大したことがなくてもサージが大きい物が多い)も使えるようなクラスにしたいと思うのだが、1,000Whクラスのパワーのポータブルバッテリーは一気に価格が上がり、諭吉が10人以上必要となってしまう。
いくら便利とはいってもこの価格差は大きく、大変魅力的ではあるが、おいそれと購入には踏み切れない。
そして、ディープサイクルバッテリー+インバーターより優れている点は多いのか、本当に換える価値があるものなのか、が今一つ分からない。
ネットで調べたり、紹介記事などを読んでも、カタログデータの書き直しのようなものや、逆に「?」な内容の記事もあって、正直参考になるものが少なかったりする。
などと悩んでいた矢先、DRIMOの編集部が、メーカーさんから何やら凄いリチウムイオンのポータブルバッテリーとソーラーパネルのデモ機をお借りして、試させてもらえる企画を持ちかけてくれた。
私にとっては願ったり叶ったりの企画だ。
世間でお盆休みと呼ばれる酷暑の間、暑さで脳味噌のシワも伸び、汗でシャツは伸び、待ち焦がれて首は伸び、何もかも伸びきったような状態だけど、これはもう家の電気を使わない実験でもしてやるぞ!という意気込みでデモ機の到着を待った。
EFDELTA 1300-JP
届いたのは、Ecoflowの「EFDELTA 1300-JP」。
なんと出力1,600W・容量1,260Wh(mのつかない1,260Wh!)の大パワー大容量! 何やら見るからに凄い。
それとオプションの折りたたみ式の110Wのソーラーパネル「IGUANA」が4枚(上の画像中の広げてあるパネルが1枚で、これ×4。左の画板みたいなのは収納したパネル)だ。
価格はEFDELTA 1300-JPのみで税込¥159,000となっている。
ウヒョー!と思ったが、よく考えてみたら私の販売しているSUPのボードはその位が最低ラインだ。
そう考えるとそんなに高くもない気がするし、ちょっと良い自転車の価格と比べたら安いもの(私はエンジンの付いた立派なモーターサイクルよりバイシクルの方が高いのをどうしても理解することができない)だ。
といったところで、今回はEFDELTA 1300-JPを使ってみたどころか、これ以上の説明もなく、前置きのような状態で終わってしまった。
次回から、カタログデータの書き直しのような内容ではなく、EFDELTA 1300-JPとIGUANAソーラーパネルを実際に色々な場面で使ってみた使い心地などをレポートするので、ご期待いただきたい!