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「“冬は脱輪事故が起きやすい”ってホント?」スタッドレスタイヤ交換『自分でやる派』が絶対に気をつけるべきこととは

横

トラックから外れたタイヤによる死亡事故が発生


トラック

2023年12月1日、八戸自動車道(青森県)において走行中のトラックからタイヤが外れ、付近で道路作業を行っていた男性に当たる事故が発生。

タイヤが当たった男性は死亡、現場で共に作業していた父親も軽症を負いました。

この事故で脱落したのは左後輪のダブルタイヤで、車軸片側に2本並列されたタイヤのうち、1本は事故現場の約2.5キロ手前に落ちていたとのこと。

また、トラックは事故現場から2キロほど走り、警告ランプが点灯して自動停止したのですが、その時点で運転手はタイヤが外れたことや事故に気付いていなかったようです。

走行中の車輪脱落事故が増えている


交差点

……と、青森県の死亡事故を取り上げましたが、走行中にタイヤが外れるトラブルは11月後半あたりから頻繁に起きているようで、次のような事故も発生しています。

  • 大型トラックから外れたタイヤが付近にいた高齢者に衝突(島根県・11月30日)

  • 大型トラックから外れたタイヤが前方の軽トラックに直撃(宮城県・12月4日)

  • 大型トラックから外れたタイヤ2本が別のトラックに激突(北海道・12月5日)


大型トラックのタイヤは直径が約1メートルあり、ホイールを含めた重量は100kgほどになります。

そんな巨大なタイヤが走行中に外れて、歩行者や車を襲う凶器になる……。

かなり怖い話ですが、なぜこうした事故が増えているのでしょうか?

トラックドライバーに話を聞いたところ……


トラックの車輪脱落(脱輪)はなぜ起こるのか。筆者の友人で長距離ドライバーのN氏に話を聞いてみたところ、次のように語ってくれました。

「トラックのタイヤが外れる原因はほぼ間違いなく点検不備。知り合いのドライバーも運行前のタイヤ点検をサボってて、走行中に助手席側の前輪が外れた。大事故にはならなかったみたいだけど」

N氏によると「タイヤ点検をサボるトラック運転手は知ってるだけでも何人かいる」とのこと。

冒頭の青森県の死亡事故においても、家宅捜索を受けたトラック会社の社長が「点検の不備を認めざるを得ない」と語っています。

一般ドライバーにとっても他人事ではない
車のタイヤが走行中に外れる事故は一般車でも起きています。

今年の11月14日に発生した、ジムニーから外れたタイヤが園児に直撃した事故は、多くの方が記憶していることでしょう。

このジムニーは改造車だったわけですが、無改造の車でも走行中にタイヤが外れてしまう可能性はあります。特にスタッドレスタイヤへの履き替え後は要注意で、取り付け不備が事故を招きかねません。

実際のところ、昨年度(令和4年度)も大型車の脱輪事故は140件起きており、そのうちの79件がタイヤ交換時期にあたる冬季(12〜2月)に発生しています。

マイカーのタイヤ履き替えを自分で行う方にとって、この数字は無視できないものではないでしょうか。

次のページ▷▷▷【タイヤ交換で注意すべきことは?脱輪事故につながることも



スタッドレスタイヤへの交換で注意すべきことはある?


タイヤ

タイヤ交換に不備があると、走行中の車輪脱落が起きかねない……。では、スタッドレスタイヤへの履き替え作業では、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?

ドライバーの知恵を集めてみた


知恵袋サイトで「自力でのタイヤ交換でどのようなことに気を付けていますか?」と質問したところ、多数の回答をいただきました。その中からピックアップした、DIYでタイヤ交換に挑む方の参考になりそうな“知恵”を見ていきましょう。

・十字レンチは必須
「タイヤ交換には十字レンチがおすすめ。車載のレンチはナットがねじれるから、緊急用と思ったほうがいい。それとエアーインパクトレンチは締め過ぎになる。プロにはインパクトで締めすぎてる業者が多いと思う(Tさん)」

十字レンチ(クロスレンチ)は2千〜3千円程度で購入できます。自力でタイヤを交換するなら用意しておいたほうがよいでしょう。

・トルクレンチはあったほうがいい
「ホイールナットの締めすぎに注意しています。レンチを踏んで締めている人がいますが、あれでは締めすぎですし、下手するとナットが破損してしまいます。自分でタイヤ交換するならトルクレンチ必須ですね(Nさん)」

「ナットを締めるときは、十字レンチを手で回して緩められる範囲で強めに締め付けています。で、数キロ走ってから締め付けを再チェックして、緩んでいたら締めすぎなので締め直し。本当はトルクレンチを使ったほうがいいんですけどね。(Hさん)」

トルクレンチとは、規定のトルク値(ねじる力)でボルトやナットを締め付けるための工具です。十字レンチで仮締めしたナットをトルクレンチで本締めする、というのが基本的な使い方。こちらもできれば用意しておきたいところです。

・その他の回答
「ウチは車が数台あるので、タイヤ履き替えの際はナットを間違えないように注意しています。ホイールナットにはさまざまな仕様がありますからね。誤って適合しないナットを使うと、走行中に緩む可能性があるので要注意です(Aさん)」

「取り付け後しばらく走ってからの増し締めは必須。『ウチはトルクレンチ使ってます!』って宣伝してるプロに頼んでも緩んでいるときがあります。まあ、緩んでくると音やガタつきが出るので、そのときに締めておけば大丈夫かと(Mさん)」

Mさんの回答に対しては、「プロに頼んで緩むならホイールかハブボルトに不具合があるのでは?」とのコメントが付いていました。

……と、さまざまな回答を見てきましたが、参考になる“知恵”はあったでしょうか?

新たな脱輪事故も…札幌で乗用車が立ち往生


空

@xiaosan/stock.adobe.com



このコラムを書いている最中にスマホを見ると、新たな脱輪事故のニュースが入っていました。

事故を起こしたのはごく普通のミニバンで、札幌の市街地でタイヤが外れて立ち往生していたとのこと(12月13日発生)。

やはり走行中の車輪脱落は、一般ドライバーにとっても他人事ではないようです。ちなみに、日本の道路では車体左側に負荷がかかりやすいようで、タイヤ脱落の多くは左車輪(特に左後輪)で起きています。

スタッドレスタイヤへの履き替えを行った後は、左タイヤのナットの締め付けを定期的にチェックしたほうがよいかもしれません。手間はかかりますが、その手間で脱輪事故を予防できるなら、給油や洗車のついでにでもやっておく価値はあるといえるでしょう。

ライター:加藤 貴之
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