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夢のマイホームに意外な落とし穴!不動産のプロが見た「車庫・駐車場のありがちな失敗」…後悔しないために

住宅街

車のサイズが年々大きくなるなか、「欲しい車種が家の駐車場に入らない」といった声がしばしば聞かれるようになりました。

マンションの立体駐車場だけではなく、戸建て住宅であっても「こんなメジャーな車種が入らないのか」というケースは珍しくないようです。

今回は不動産会社の営業スタッフから、「家選びでありがちな駐車場での失敗」について話を聞きました。

「普通の車」でも意外と入らない?


住宅の駐車場

まず気になるのは、「ハウスメーカーなどが家を建てる際、どの程度の車両サイズを想定して駐車スペースを設けているのか」という点です。

「敷地の条件によって異なりますが、建売住宅の設計においては基本的に幅2.5m×長さ6mのサイズを想定しています。このサイズ感は以前から変わっているわけではなく、基本的に5ナンバーサイズを想定したものですので、車が大型化している今の実情には合っていないですよね。

ドアを開けるのには60cm程度の余裕が必要ですから、幅2.5mだと、『車幅1.8mの車をギリギリまで寄せて、どうにか運転席側だけ乗り降りできる』といった感じになります。

実際にアルファードやハリアーなど1.8mを超える車のオーナーさんが物件を見に来て、駐車場の狭さを理由に諦めるといった例もありました」(不動産営業スタッフ)

消費者側としては、「ディーラーで普通に売っているような車種であれば、戸建ての駐車場に入るだろう」と考えてしまいますが、必ずしもそうではないようです。

ちなみに現行モデルのカローラの車幅は1,745mmであり、プリウスは1,780 mm。

どちらも「普通のサイズの車」と見なされていますが、幅2.5mの駐車場で両側に障害物があると、「かなり寄せても運転席の乗り降りはやや窮屈」といった感覚になりそうです。

「バックドアが開くか」も要チェック


建築中の家

©Sally B/stock.adobe.com



さらに、気をつけるべきは駐車場の「幅」だけではありません。

長さも要注意ですね。建物の前に駐車場を備える物件では、6mも確保されていないことがあります。それでも大抵の車であれば、敷地内には収まるのですが……。問題はバックドアです。とくにミニバンのバックドアは、後ろに1mほど余裕がないと全開にできないんですよね。

たとえばお子さんの出産前に建売の物件を購入し、出産後にノアを買おうとしたら、バックドアが全開にできなくてシエンタにした、といった話も聞いたことがあります」(不動産営業スタッフ)

トヨタの公式ページを見ると、ノア・ヴォクシーのバックドア開閉時の軌道上、最大の長さは約5,740mmとされており、「車体+1m以上」の余裕が必要になります。

そのため駐車場後方の状況によっては、「車は入っても、荷物を出し入れする際に車を前に出さなければいけない」という事態に陥ることもあるでしょう。

そこ、ウチの敷地なんですけど…


住宅街

©naka/stock.adobe.com



分譲住宅地においては、駐車場がお隣と並列した配置になっているケースをよく見かけます。

この際、フェンスなどがあれば境界がわかりやすいですが、仕切りが設けられていない状況では、近隣トラブルにつながることもあるようです。

「仕切りがないぶん、駐車の作業は若干楽にはなるものの、お互いが『どちら側にどれだけ寄せるか悩む』という事例は珍しくありません。

建物の配置次第では、運転席を開ける際に建物とぶつからないよう、なるべく隣の敷地側に寄せることになるかもしれません。このとき、どちらの車も大きいと、お隣さんが運転席を開けるのに苦労する、といったことも考えられますよね。

あとは車から降りるときに毎回隣の敷地に入ってしまう、というのがトラブルの種になるケースも聞きますね」(不動産営業スタッフ)

たしかに仕切りがない場合には、「隣の駐車の仕方」によってこちら側の配置や乗降性が大きく左右されることもあるでしょう。

「もう少し向こうに寄せてくれれば楽なのに」といったストレスが、少しずつ蓄積されていくことは想像に難くありません。

前の道路が狭すぎて


狭い住宅街

©Rainbow puma /stock.adobe.com



さらに家選びにおいては、敷地内の駐車スペース以外の面もしっかりと確認しておく必要があるといいます。

「意外と見過ごされやすいのが、前面道路の幅ですね。駐車場のサイズが問題なくても、前の道路の幅が狭ければ駐車時の動きが制限され、出し入れがかなり面倒になります。

コンパクトな車に乗っているときは、何も気にしなくても一発で駐車できていたのに、大きなミニバンに乗り替えてからは毎回3回ほど切り替える、みたいな話はしょっちゅうありますよ。

前面道路は6mもあれば、大きな車でも余裕をもって駐車できますが、住宅密集地では4m道路も一般的ですし……。それで駐車場の間口が2.5mほどしかなければ、カローラくらいのサイズでも一発駐車は難しいでしょう。

アルファードなどの全長が5m近い車であればなおさら、前面道路4mでは相当切り返しに苦労するでしょうね」(不動産営業スタッフ)

幅の狭い道路で駐車した経験がないと、「前面道路の幅がどれだけ重要か」はなかなか気づけないかもしれません。車を日常的に使う家庭であればなおのこと、毎回の駐車の手間はなるべく小さい方がいいですよね。

このように、車選びにおいて「家の駐車環境」は必ず確認しておきたいポイントです。また家選びにおいても、「どのくらいのサイズまでなら駐車場に収まるか」を確認し、今後乗り替える可能性のある車種のサイズ感と比較検討しておく必要があるでしょう。

ライター:鹿間羊市
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