軽自動車で快適な車中泊を実現するための室内レイアウトとアイデア
目次
これまでのバモス室内は?
バモスも後部座席の足元に畳んだ座席を格納できるようになっていて、前席より後ろに十分足を伸ばして寝られる長さがある。
しかし、後部座席を格納してもその後ろの荷室との間にはマットを敷いたくらいでは解消されない段差ができてしまうため、私は譲り受けてすぐにまずはその段差を解消するための最低限の高さの台を設置した。
右後部も同じようにすれば十分2名寝られるスペースがある。
しかし、右後部座席を格納した状態にすると運転席を後ろに下げられる範囲が減ってしまい、私には窮屈だったこともあり、また元々このクルマの中で2名寝ることは想定していなかったので、右後部座席は出したままの状態を保つことにした。
寝るときはこのOSB合板の上に寝心地の良いスリーピングマットを敷くだけだ。
全長が3.4mにも満たない小さなクルマなのに3名乗車できる状態になっていて、運転に疲れたらすぐに平らなベッドで寝ることができるこのレイアウトは素晴らしいと思う。
1名用車中泊軽ワンボックスでは同じような使い方をしている人は多く、定番レイアウトの一つのようなものだ。
また、右後部座席が使える状態になっていればそこに人が乗れるが、それよりここを玄関のように使えること、ここで靴を脱げることが大きな利点だ。
幅の狭い軽自動車の場合、特に雨の日などはこのスペースがあることを大いにありがたく感じる。
その後簡単に取り外し可能なテーブル兼軽いものを置く棚を設置するなどはしたが、基本のレイアウト(寝床の位置)は変更しなかった。
変更しなかったと言うより、変更のしようもない、私にとってはパーフェクトなレイアウトだと思っていた。
バモスの寝床を助手席利用に変更しようと思いついた理由
現在もバモスは買い物や海岸までの足としては使用しているものの、Boo3(軽トラ用の荷台シェル)のアンバサダーに就任して以降、正直に告白すると車中泊には使用していなかった。
また、人を乗せることも滅多にないので、ここのところずっと助手席のシートバックは倒したままにしてしまい、上の写真のような使い方をしていた。
載せているのは長さが9ft(2.75m弱)のSUPサーフィン用のボードだ。
普通のサーフボードより幅はあるが、それでもこの長さ程度なら無理なく収まってしまう。
この状態でも運転に全く支障はなく、他の道具類も余裕で載せることができ、ボードを屋根に載せるよりずっと手間も省けてずっと使い勝手が良い。
参考までに、ダッシュボードの上にボードの先端を載せるような積み方は絶対にダメだ。
そうやって積んでボードでフロントガラスを突き破った実例を複数知っているので、そうしないと積めないようなら中積みはやめた方が良い。
ついでに先日代車で借りた少し古い型のハイゼットカーゴでも同じことを試してみた(試しに入れてみただけ)が、やはり無理なく収まったので、現行規格になってからの軽ワンボックスなら皆同じように使えるのではないかと思う。
改めて軽ワンボックスの実力に感心してしまう。
そして、こうやって使っているうちに、以前バモスのシートレイアウトを色々試してみた時に、助手席のヘッドレストを外してシートバックを目一杯倒すと、結構凸凹はしてしまうものの、後部座席と繋がるようになっていたことを思い出した。
軽トールワゴン・ハイトワゴンで車中泊をする際のようなシートの使い方だ。
しかし、これまでのレイアウトとも軽トールワゴン・ハイトワゴンとも大きく異なるのは、右後部の荷室スペースがこれまで通りなのはもちろんだが、後部座席側の後ろにも広い荷室スペースが残る点だ。
これまでも就寝スペースに普段は荷物を積んでおくことができたが、そこに荷物を積んでおくと、当然だが寝るときにはそれを助手席や運転席などに移動する必要があった。
しかし、助手席も寝床として活用するこのレイアウトなら、寝ている時の荷室スペースが1.5倍に広がることになり、荷物が多い場合にも荷物の移動なしに寝られるようになる。
これは非常に大きな利点だ。
そして、なんとなくイメージ的には助手席が使えるようになっていることが当たり前のように思っていたが、前述の通りここのところずっと助手席のシートバックは倒したまま使っていたので、助手席を使えない状態がデフォルトになっていたところで私には特に問題などなかったことにも気付いてしまった。
また、EV版N-VANには右側前後2人乗り仕様もあるようだが、それと同じで右後部座席を使って常に2名乗車はできる状態にはなっているわけだし、助手席に人を乗せられるように戻すのも大した手間ではない。
現在はBoo3を載せたハイゼットジャンボがあるが、Boo3のアンバサダーの任期が終了して返却したら、またバモスで車中泊をする機会が増えることになる。
ということで、この助手席も使って寝床を作るレイアウトを真剣に考えてみることにした。
助手席を使ったレイアウトアイデア
座席シートの凸凹を解消する方法
先程の写真を見ればわかるが、助手席と後部座席は平らに繋がってはいるものの、結構凸凹ができてしまい、このままでは全く安眠できるような状態ではない。
まずは、後部座席の座面と倒したシートバックとの大きな段差の解消を解消する必要がある。
たまたま下の写真のクッションを持っていたので、これを活用することにした。
これは背中とシートバックの間に挟んで腰痛防止をするのが本来の使い方のようだが、これが傾斜している座面と平らになったシートバックの面を合わせるのにもちょうど良い。
しかし、これだけでは少し段差が残るので、薄い座布団をプラスして高さを調整することにした。
そして、座布団のカバーの中に先程の断面が三角のクッションも入れてしまったので、これ一組を置くだけで後部座席の凸凹を解消できる状態になった。
後部座席の凸凹は解消したので、次に助手席のシートバックだ。
新しいレイアウトでは、これまでと逆(これまでのレイアウトでは車体前方に頭を向けて寝ていた)に車体後方に頭がくるようにして寝る方が色々と都合が良いので、後部座席のシートバックに肩と頭が乗る寝方になった。
助手席のシートバックと後部座席との間に大きな段差はないのだが、運転席と助手席のシートバックは一応ホールド感が良くなるように左右の脇が張り出したような形状になっている。
寝るときはこの上にスリーピングマットを敷くので大きな問題はないのだが、できればこの左右の張り出しでできてしまう凹みは埋めておきたい。
幅が細めの座布団を一枚敷いてその上に半身用の自動膨張式のスリーピングマット(頭から尻の下辺りまでの長さのマット)を敷いてみたところ、寝心地は全く問題なかったので、この部分もこれで解決。
助手席の座面とシートバックの継ぎ目も平らにはならない。
しかし、寝心地に大きく影響するのは頭から尻の下辺りまでだが、ここはもう膝より下の部分になるので、綺麗に平らになっていなくても寝心地には大きく影響しない。
助手席の座面とシートバックの継ぎ目に置いたパンダさんは、一軍を引退したが非常時にはまだ防寒着としても活躍する化繊の分厚い綿入りジャケットが中に入っている一石二鳥のクッションだ。
この状態で寝てみて全然問題なかったが、状況によってはここにさらに服などを入れたスタッフバッグなどを置いて高さを調整すれば良さそうだ。
その後、パンダクッションは含めず、シートバックの凹みに置いた座布団も一緒に防水シートカバーを被せた。
こうしておけば座布団がずれてしまわず、SUPのボードを積んだ時にシートの汚れ(濡れ)防止にもなる。
こうして段差や凸凹を解消し、半身用マットを敷いたらもう十分快適に寝られる状態になった。
さらにその上に全身用マットも敷いてみたら、かなりフカフカの寝心地になった。
工夫によって広がった荷室スペース
そして、下の写真の通り、ベッドの後ろには十分な荷物置き場が確保されている。
ベッド使用中でも荷室のスペースが1.5倍に広がったことは大きな利点となりそうだ。
また、以前はテーブル権棚の下に潜り込むようにして寝ることができたが、新しいレイアウトでは頭が当たってしまうので、寝るときにこれを外す必要がある。
しかし、着け外しは至って簡単なので、これも引き続き活用できる。
また、大きな荷物が多くても、上の写真の通りベッドのスペースを使うことなく積み込むことができるのは便利だ。
もちろん玄関のようなスペースも変わらず確保されているので、靴の脱ぎ場所にも困らない。
座席下の収納スペース
また、後部座席は足元部分に格納するようになっているが、新しいレイアウトでは後部座席が出ている状態なので、ここにも物を置くスペースが生まれた。
これは意外に便利に使えそうな副産物だ。
半身用マットと全身用マットのダブルは心地良かったが、そんなにクッション性がなくても十分と思い、その後半身用マットをラグで包んでみた。
なんとなくこの方が見た目も良いし、ラグが滑り止めにもなるような感じだ。
そして、先ほど玄関スペースも確保されていると書いたが、運転席を目一杯前にスライドしてシートバックを前に倒すと、このスペースが広々として食事や着替えの際に快適そうなことも発覚した。
また、助手席を助手席として使いたい場合は、シートバックを起こし、防水シートカバーを外して座布団をどけてヘッドレストを付けるだけ(基本的に後部座席はいじる必要がない)なので、至ってシンプルだ。
常識にとらわれないことが大切
以上で全て完成したが、新たに何か買い足すことなく、持っていた物だけで段差と凸凹問題も全て解決してしまった。
全くお金もかけずに済んでしまったわけだが、これまで以上に普段使いと車中泊で使用する際の使いやすさのバランスが取れた良いレイアウトになったと思う。
最初の方で述べた通り、軽ワンボックスは前席から後ろのスペースだけで寝られることが大きな魅力であり、車中泊に使用する人の間ではそれが当たり前の使い方となっている。
また、荷物のスペースを多く確保しておきたい人にとっては良い参考例になるとは思うが、後部座席が異なるためバモスの兄弟車のアクティでも全く同じことはできないので、今回紹介した方法がそのまま全ての軽ワンボックスに参考にできるわけではないと思う。
しかし、一旦当たり前を忘れて視点を変えてみると案外より良い方法を思いつくこともあるといった、発想の転換の参考にはなるのではと思って紹介した。
普段は上のような使い方になるが、このボードを下ろすか屋根の上に載せてしまえば、即快適に寝られるクルマになる。
常識にとらわれたり、実例を参考にしたりするだけではなく、自分の使い方に合わせて再考してみると思わぬ良いこともある。
ぜひ皆様も自分に合った独創的なアイデアにチャレンジしていただきたいと思う。