キャンプ使用のキャンピングカー

キャンピングカーは買うべき?借りるべき? 購入orレンタルorカーシェア



夏ですね。

本来なら思い切り羽を伸ばしたいところですが、今年に限ってはコロナ禍の影響で例年通りにはゆかない様相です。

元々、夏休みにはキャンプやBBQに出かける方も多いですし、キャンピングカーに乗りたいと思われる方も少なくないと思いますが、今年は「密」を避ける意味でもキャンピングカーの人気が高まっていると聞きます。

実際にキャンピングカーを所有している者として考えると、確かにキャンピングカーでのレジャーや、アウトドアでのキャンプやBBQは「密」を避けやすいと感じます。

そんなキャンピングカー人気の高まりを受けて、購入を検討される方もいらっしゃると思いますが、果たして「購入・所有」するのがいいのか、あるいは、レンタルやカーシェアなど、「借りる・非所有」がよいのか、迷われている方も少なくないと思います。

そこで、今回は、実際にキャンピングカーを所有している私の個人的な意見も含め、「キャンピングカーは買うべき?借りるべき?」について「前編」「後編」に分けて様々な角度から論じてみたいと思います。

キャンピングカーを利用するには購入・レンタル・カーシェアの3通りの方法がある

店頭に停められた中古キャンピングカー

キャンピングカーでアウトドアに出かけたい、キャンプをしたいとなると、キャンピングカーをどう調達するかを考えなければなりません。

キャンピングカーの調達方法には、自身で購入し所有する方法、レンタル事業者から日数・時間単位で借りる方法、さらに最近では、キャンピングカーの共同所有という形式を採った「個人間カーシェア」でキャンピングカーのオーナー(所有者)から借りることもできるようになっています。

キャンピングカーを新車で購入しようとすれば、軽自動車ベースであっても1台最低でも400万円前後、様々なオプション装備を追加すれば価格はハネ上がり、500〜600万円も珍しくなく、1000万円超の超豪華仕様もあって、上限はないに等しいと言えます。

キャンピングカーの形態も様々で、商用バンに就寝可能なベッドに展開できるシートを装着しただけの、いわゆる「車中泊」仕様から、居住空間部分を専用に設計製作した「シェル」を架装したバンコン、キャブコン、トラコン(※)など、外観から居住設備まで千差万別の仕様があり、自分にあったキャンピングカーを見つける事もなかなかに大変です。
※キャンピングカーの種類

キャンピングカーは、外観や車内の装備などによっていくつかの種類に分けられます。

● バンコン(バンコンバージョン)
商用バンをベースに、外観にはあまり変更を加えず車中泊を可能にする装備をもった簡易的なキャンパー。
価格を抑えめで制作できることや、普段遣いも可能なことから、昨今、非常に人気のスタイルです。
● キャブコン(キャブコンバージョン)
キャブオーバー(運転席の上にキャビンがある)型のバンやトラックに、居住部分のシェル(箱)を架装したもので、キャンピングカーというと一般的にイメージされるのはキャブコンと言われるほど一般的なスタイルです。
● トラコン(トラックコンバージョン)
トラックベースでシェルを架装したキャンピングカー。
● バスコン(バスコンバージョン)
バスベースで内部をキャンピングカーに改造したキャンピングカー。
● その他
最近は軽自動車ベースのパーソナルなキャンピングカー、車中泊仕様車が大人気です。

実際にキャンピングカーを購入した筆者ですが、私が購入したのは1500ccの商用バン:タウンエースをベースに、ベッド・シートとサブ電源、換気扇、冷蔵庫を搭載した、非常に装備の簡素な車中泊仕様車「アルトピアーノ」ので、2万キロ走行の中古車でした。

それでも、同じ仕様を新車で購入すれば400万円に迫る価格ですが、ベース車の価格は、最上級グレードでも200万円を切る程度の価格なので、当初は、いくらキャンピングカーとしての装備を乗せているとはいえ、「車格」と「400万円」が釣り合わないと感じていました。

キャンピングカーを所有・レンタルした場合のコストを比較してみよう

河原に停められたキャンパー

キャンピングカーを購入しようとすると、上はキリがなく、1,000万円オーバーも珍しくありませんが、それでは比較になりませんので、比較的リーズナブルな価格帯のキャンピングカーと言う事で、価格を400万円と仮定して比較する事にいたします。

単純に車両価格を購入した場合と、同価格帯のキャンピングカーをレンタルした場合の年間の支払い額は以下の通りです(具体的な車種は想定していません)。

購入

400万円を3%ローンで96回(8年)ボーナス併用なしで購入した場合の月額返済額は以下の通りです。

購入額400万円 返済月額 52,853円(分かりやすく52,000円)×12=年間624,000円

レンタル

キャンピングカーのレンタル料金は一般的に15,000円/24時間程度ですが、実際には、前日朝~翌日夜までの36時間料金で借りる事が多くなると思いますので、1回のレンタル料は20,000円として計算します(ハイシーズンの値上がり分は想定していません。

月間レンタル回数1回2回3回4回
月間レンタル料20,000円40,000円60,000円80,000円
年間レンタル回数12回24回36回48回
年間レンタル料240,000円480,000円720,000円960,000円

(金額は税別表示)

1回当たりのレンタル料を20,000円とすると、月に1回キャンプに出掛ける場合、年間のレンタル料合計は24万円となり、購入した場合の年間返済額624, 000円の半分以下と、レンタルの方が圧倒的に軽微な負担でキャンピングカーを使用する事ができます。

同様に、月2回のキャンプでも購入よりも軽い負担でキャンピングカーをできますが、月3回以上になると、購入した方が支払い額は少なくなります。

以上のように、キャンプに出掛ける回数が月に1~2回程度であれば、キャンピングカーは購入せずレンタルした方が割安という事になります。

個人間カーシェアリングの料金はレンタルよりも割安な傾向

最近、少しずつ認知され始めている「個人間カーシェアリング」ですが、実は、最大手「エニカ」をはじめ多くのサービスで、キャンピングカーの登録・貸し出しができません。

規約内に、登録可能なのは「3/5/7」ナンバー車という条項があり、「8ナンバー」「4ナンバー」の車両は登録できない仕組みなので、多くの個人間カーシェアリングカービスで、キャンピングカーを借りる事ができません(乗用車登録の車中泊機能付きのクルマは少ないながら存在します)。

しかし、「ridenow」などの一部の個人間カーシェアリングサービスではナンバーによる登録規制がないため登録可能ですし、キャンピングカー専門の個人間カーシェアサービスである「carstay」ではカーシェアリングでキャンピングカーや車中泊仕様車を借りる事が可能です。

個人間カーシェアサービスでは、営利目的ではないため、貸出料金がレンタルに比べ割安な設定である場合が多く、さらにキャンピングカーオーナーと顔を合わせての貸し借りになるため、知己ができやすく、気に入れば永続して同じ車両を借りる事が多いなど、一般的なカーレンタルとは異なる特徴も見受けられます。

個人間カーシェアの料金設定は、車格や装備、価格といった要素ではなく、共同所有者として、購入額と年間維持費を分担負担するという考えに基づいており、一概に「○○円程度」とは言い難いのですが、前項で想定した車両と同程度のキャンピングカーを探すと、15,000~20,000円程度の設定が多く見受けられました。

個人間カーシェアリングの料金は、レンタルよりも若干割安な設定となっていますが、それでも、月間に3~4回以上の借りだしとなれば、購入費を上回る可能性は高くなります。

購入の場合の支出はローン返済だけではない、税金や維持費も要負担

自動車税の納付書

しかし、キャンピングカーを購入する場合、家計の負担になるのはローン返済だけではありません。

「税金」や「維持費」と呼ばれる様々な費用を負担する必要があります。

(1) 税金、車検費用
キャンピングカーといえども自動車なので、購入する場合には自動車税・自動車重量税など様々な税金が課せられます。

また、ナンバーによって期間は異なりますが、必ず車検を受けなければならず、車検費用と共に重量税が課せられます。

自動車税は毎年、重量税は車検ごとの課税です。

自動車関連の税額については、以下を参照してください。
・自動車税:https://www.mlit.go.jp/jidosha/topbar/zei/jizei/jizei.htm
・自動車重量税:https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/sikumi/zyuuryouzei.pdf

(2)自動車保険
強制的に加入が義務付けられている「自賠責保険」と、任意で加入する「任意保険」の保険料がかかります。

自賠責保険料:https://www.ms-ins.com/personal/car/jibaiseki/example.html

(3) 駐車場料金
戸建てで自宅敷地内に駐車できる場合を除き、月極駐車場を借りる費用も維持費の1つです。

大型のキャンピングカーの場合、1台分のスペースでは収まりきらず、2台分を借りているケースも目にします。

(4) メンテナンス費用
オイル交換などの消耗品交換、メンテナンスの費用がかかります。

(5) 燃料費
ガソリンや軽油などの燃料が必要です。

(6) 2台所有による経費
例えば大きなキャブコン1台で全てのクルマ利用のシーンを賄っている方もいらっしゃますが、例えば、運転があまり得意でない奥様が雨天時に駅まで旦那さまやお子さんの送迎や、普段の買い物などのために、軽自動やコンパクトカーを所有している場合には、2台分の税金・維持費がかかります。

レンタルの場合には、これらの維持費はキャンピングカーの所有者であるレンタル事業者が負担していますが、購入して所有する場合には、これら全てが自己負担となります。

所有費用以外にも出費がある

ガソリンスタンドのレシート

実際にキャンピングカーを持ってみると、ローン支払いや税金・維持費の他にも別の費用出費がかかるケースもあります。

例えば、椅子・テーブル・ランタン・食器・バーナーやコンロ、調理器具・寝具など、キャンプ用品の購入が結構馬鹿にならない額の出費となりますし、キャンピングカー車内の装飾や便利グッズもついつい購入してしまいます。

筆者の場合には、ずっと昔に使っていた道具がありましたが、その多くは古くて使い物にならず、買い換える事が多かったため毎月のように2万、3万と用品購入費用がかさみました。(キャンプのための道具やグッズ類は、キャンピングカーレンタルの場合でも必要ですので、購入にだけ生じる支出というわけではありません。)

SNS映えするようなオシャレなキャンプにしたいと思えば、人気ブランドの用品をそろえる事となり、さらに家計支出は増加の一途を辿ります。

また、キャンプ用具の購入の他にも、車内にカーテンを取り付けたり、シートカバーを取り付けるなど、キャンピングカーを自分好みに改造・カスタムしてゆく費用も、凝れば凝るほどかさんでゆきます。

ローンや税金、保険料などは大きいので意識が向きますが、道具類やグッズ類はあまり高価でない分、あまり意識することなく出費が繰り返されていて、月にまとめると想像以上にお金を使ってしまっているケースがあります。

家計負担から見た場合の「購入」と「レンタル」の損得勘定まとめ

ここまで見てきたように、キャンピングカーの購入費にばかり目が行きがちですが、実際に購入すると、購入費以外にも税金や保険を含めた維持費・用具の購入費・カスタム費用など、かなりの金額の出費が発生する事になります。

筆者の実感で言えば、「金銭的な損得」だけで考えるならキャンピングカーは買う物ではなく、借りるもの…と感じます。

後編では、キャンピングカーの購入orレンタルについて、金銭面以外の側面を見てみたいと思います。