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電気冷蔵庫を通して電気の使い方を考えてみた

アイキャッチ

もう25年程前の話になるが、交流100V・直流12Vの電気に加えてカセットコンロ用のガスを使って冷やすこともできる冷蔵庫を実際に使用していた経験がある。

リチウムイオン電池のポータブル電源や安価で高性能なソーラーパネルなどなかった時代だから、ガスで冷やせることへの期待感は大きかった。

しかし実際に夏の長旅で使ってみると、それは期待していたほどの能力を発揮してくれることはなく、故障も多かった。

仕事の取引先から譲り受けたB品だったせいもあるかもしれないが、このタイプの冷蔵庫の冷却装置は繊細で結構故障が多いとも聞く。

最も残念だったのは、凄く暑い日に冷たいものが飲めると期待して缶を開けたら、生ぬるかったことだ。

ポータブル電源を使うようになってから、やはり電気冷蔵庫を使えたら便利であろうと気になってはいたものの、こんな経験もあって冷蔵庫には懐疑的になり、迷うと言うより、躊躇しているような状態だった。

しかし、ひょんなことから一番の懸念材料だったこの「冷えない問題」と、その他諸々の疑問も解決し、仕事半分遊び半分の一週間くらいの車中泊旅に出るのを機会に、冷凍庫としても使えるポータブル冷蔵庫を入手してしまった。

暑い盛りは過ぎたというのに何故今この話題と思われるかもしれないが、今回の旅でこれが思いの外の大活躍をし、やはり季節を問わず冷蔵庫が便利なことを再確認してしまったからだ。

旅中1

しかし、冷蔵庫は調理器具や扇風機などとは違って常時電気を使用する機器だ。

上手く使わないとポータブル電源が空になってしまったり、肝心なところで冷やせなくなってしまうことも考えられ、電力利用のマネジメントが必要になる。

そこで、この記事では冷蔵庫の使用を軸に、電気の上手な使い方や管理の仕方などのヒントになる話をしてみようと思う。

小型冷蔵庫を選ぶ上での注意点


冷蔵庫1

車載できる小型の電気冷蔵庫には、冷却方式の違いで大きく分けて2つの異なるタイプがある。

この違いで性質がかなり大きく異なり、それを理解せずに価格や見た目などでなんとなく選んでしまったりすると、大変残念な結果を招いてしてしまうなんてことにもなりかねない。

私も決して電気に関して詳しいわけではないが、電気に関連するものを選ぶ際は、面倒くさがったり苦手意識を持って敬遠したりせず、ある程度基礎知識を身につけてから選ぶことをお勧めする。

以前書いたことがあるが、これはポータブル電源を選ぶ際などにも言えることで、失敗しないためには多少なりとも自分で勉強することが必要だ。

では、その異なる2つのタイプが何かと言えば、コンプレッサー式とペルチェ式だ。

この違いについての説明も書き始めてみたのだが、簡単に説明したつもりでもかなり長くなってしまう。しかし、それが目的の記事ではないので、潔くほぼ全て割愛することにした。

では具体的にどちらを選んだら良いのか?

ここで誤解を覚悟で先に結論を先に言ってしまうと、「私のような使い方=『標準のままではないけどキャンピングカー未満のようなVANでの車中泊の旅』には、コンプレッサー式。」が私の出した結論だ。

ペルチェ式にも利点は多々あり、使用目的や使うシチュエーションによっては大変有利に働く。

パーソナルクーラー

扇風機で顔に風を送り、ペルチェ素子で首筋を冷やすパーソナルクーラー



しかし、ペルチェ式には外気温に応じて冷却できる能力が大きく左右されてしまう性質があり、冷蔵庫として十分に機能する外気温(庫外の温度)は25℃程度までが限界のようだ。

涼しい季節やエアコンで室内(車内)の温度が管理されたような環境なら冷蔵庫としてしっかり機能するが、例えば夏場長時間駐車した車の中に置いてあったら冷蔵庫としての十分な機能は期待できなくなってしまう。

これは車中泊旅用の車載冷蔵庫としては致命的な弱点とも言える。

冒頭で書いた昔私が残念な思いをした冷蔵庫もペルチェ式だったのだ。

コンプレッサー式は一般的な家庭用の冷蔵庫と基本的に同じ仕組みだ。

家にある冷蔵庫を持ち運べるサイズにまでコンパクトにして、直流12Vでも使用できるようにしたようなものと考えても間違いではない。

何より大きな特徴は、限界がないわけではないが外気温とは関係なく冷やすことができることだ。

これがコンプレッサー式を推す決定的な理由なのだが、加えてコンプレッサー式ならキンキンに冷やすどころか、ペルチェ式では無理な冷凍庫にするのも難しいことではない。

冷食

冷凍まで必要?と思われるかもしれないが、冷凍食品やアイスクリームを保管できることだけが冷凍庫の魅力ではない。

理由は後述するが実は冷凍庫としての機能が車載器として大変有益なことを今回の旅で実感している。

しかし、コンプレッサー式の冷蔵庫は常時ではないが音が出ることは確かで、この音がどの程度なのかわからない。

これも躊躇わせる二番目の要因となっていたのだが、数値で何dBとか言われても今ひとつピンとこない。

私の事務所部屋には1人暮らしの学生の部屋とかにありそうな2ドアの冷蔵庫が置いてあるのだが、もしそれみたいな音が狭いVANの中で鳴り響くようなら、かなりの安眠妨害になってしまう。

これでは熱帯の密林などから取り寄せるには不安が残る。

また、費用対効果が望める金額で入手できる製品で、果たして本当に冷凍庫になるほどの性能を備えているのか半信半疑だったことも否めない。

実際に入手した冷蔵・冷凍庫について


ところが、たまたま訪れたロシナンテに跨り旅をするスペインの男と同じの名の店は、少し通常の他の店舗と雰囲気が異なり、境目はないけどショップインショップ的に中にアウトドア用品や電気の専門店が入っていた。

そして今回購入した冷蔵庫が電源を入れた状態で展示されていたのだ。

因みにこの手の店やホームセンターなどでは、夏になるとペルチェ式の廉価版ぽい車載用冷蔵庫はよく見かけるが、コンプレッサー式の本格派を見かけた覚えがない。

おかげで気になっていた音を実際に自分の耳で確認することができた。

騒々しい店内ではあるが、反対の耳は手で塞いでしばらく躯体に耳を近づけて音を聴いてみた。

庫内に手を入れてみたりする人が多いことは想像がつくが、この姿はさぞかし怪しげに見えたことであろう。

しかし、ともかく問題になる程の音ではないことが確認できた。めでたし!

霜

そして、蓋を開け閉めする人が多いからか、内側の壁面(冷却パネル)はびっしり生えた霜で白くなっていた。

しかし、霜ができるのは直冷式の冷蔵庫の特徴で、しっかり冷えている証でもある。

こういったことを確認できるのは実店舗ならではだ。

夕方注文した物を翌日に届けてくれる通販サイトでもこれだけは敵わない。

そして最後の躊躇いを取り除いてくれたのが価格。

同じ店内には〇〇映えとやらでビジュアル的にも人気のある諭吉5人以上のクーラーボックスも並んでいたりするのだが、これの価格は諭吉2人未満。

自転車vs.オートバイでも感じることだが、貧乏性なのか、動力のないものの方が動力のあるものより高価なことに少し抵抗感を抱き、安くて動力のあるものにお得感を感じることがある。

てなわけで、何も躊躇う理由がなくなってしまった。

ずっと気にかかっていた物だから衝動買いではないのだが、冷蔵庫を買う目的で入った店ではなかったのに、突如冷蔵・冷凍庫を購入することになってしまったわけだ。

そしてこれが今回私が入手して旅に持ち出したコンプレッサー式の冷蔵・冷凍庫だ。

冷蔵庫2

隣は愛用のポータブル電源:EcoFlow River Proで、奥は愛用者の多い容量50Lの人気のコンテナボックス。

大きさの目安になると思う。因みに車内は現在大改装中(その記事もお楽しみに)。

庫内の容量は15L。350ml缶6本と2Lと1Lのペットボトルを入れるとこんな感じ。

1人2人での使用ならまだまだ全然余裕がある。

庫内

数字で見ると15Lは小さいような気もするが、クーラーボックスはどんなに保冷能力が高くても必ず氷や保冷剤が必要だ。

しかし、電気冷蔵庫は庫内を丸々使用できるわけで、氷や保冷剤が占めるスペース分を差し引くと15Lは決して小さくはない。

コールマン比較

大きくも小さくもない45L(48qt.)程度のサイズの普及品クラスのクーラーボックスと比較するとこんな感じだ。

45Lのクーラーボックスがかなり大きく見える。

こういった普及品クラスのクーラーボックスの場合、夏に庫内をしっかり長時間冷やした状態をキープしたければ、かなり大量の氷や保冷剤が必要になり、実質的に使用できる庫内の有効体積は、15Lの3倍どころか2倍もなくなってしまうことを実感として知っている。

電気冷蔵庫は、冷却装置の分クーラーボックスより全体のサイズは同じ容量のクーラーボックスより当然大きくなってしまうのは当然だが、この比較から、外寸が同程度のクーラーボックスと比較した場合、氷や保冷剤の占めるスペースを考慮に入れると、実質的に使用できる庫内の体積は同程度か、むしろそれより大きい程ではないかと想像できる。

具体的なスペックについてだが、庫内の温度は-20℃~+20℃の範囲で設定でき、温度設定後には液晶の表示が自動的に庫内温度の数値に切り替わるようになっている。

液晶

容量が15Lなのは先述の通り。

そして消費電力は45W。

常に45W使い続けるわけではないので、この数字は決して大きくない。

外寸は57cm X 320cm X 高さ26cmとなっている。

実は、熱帯の密林を始め、いくつかの通販サイトなどで調べていると、名前や色は違っていても並んでいる数字が全く同じで、価格も大同小異のものがいくつか見つかる。

作っているところは同じでOEMだったりしそうだ。

次のページ⇨ 電気の使い方のマネジメント方法を詳しく解説!

電気の使い方をマネジメントする


冷蔵庫についての説明の話が長くなってしまったが、ここからが本題と言えば本題。

「冷凍庫としての機能が車載器として大変有益なことを今回の旅で実感」と先に書いたが、その理由を述べよう。

冷凍庫というのは、スカスカしているより凍ったものがみっちり詰まっている方が保冷効果が高く、電力の消費が抑えられることはご存知の方も多いことかと思う。

この性質に着眼し、私は今回この冷蔵・冷凍庫を冷凍庫として使うことを考えた。

庫内2

どんな高性能なクーラボックスでもいきなり保冷剤や氷と一緒に冷えていない飲み物や食材を入れても十分な能力を発揮することはできない。

飲み物や食材は予め冷やしておき、庫内も出かける前にプレヒートならぬプレクールしておくことが効果的だ。

これは電気を使う冷蔵庫でも同様だ。

出かける前に交流100Vで十分冷やしておけば、ポータブル電源の電力消費をセーブでき、車から電源をとるなら、車のバッテリーの負担を減らすことになる。

実際の使い方は、まず家で冷蔵・冷凍庫を交流100Vに繋いで-20℃に設定し、庫内を最大限に冷やしておく。

十分温度が下がったら、設定温度を-10℃に変更する。

-10℃まで冷えていれば冷凍庫として十分で、電力も節約できるからだ。

ここで音について補足説明を加えておくと、最初のうちはコンプレッサーがフル稼働し、それなりにうるさい

しかし、一旦庫内が冷えてしまうと冷却装置がそんなに一生懸命働かなくて良くなり、少なくとも私が気なるレベルではなくなる。

そして、冷凍ピザなど電子レンジ不要で熱量も少なく簡単に調理できる冷凍食品を少々と、凍らせた保冷剤や氷をみっちり詰め込み、車のシガーライターソケットに接続して出発する。

そして、十分に冷やした飲み物や食材は、凍らせた保冷剤を詰めた別の普通のクーラーボックスに入れて出かけるのだ。

出発してから8時間くらい経って宿泊地に到着したら、冷凍庫はポータブル電源に繋ぎ変える。

晩飯には例えば今回だったら庫内に入れてあった冷凍ピザを食べるのだが、これがまた最近非常に使用頻度の高くなっている電気のホットサンドメーカーと相性が良い。

25cmのピザだったら、半分に切ってそれを半分に折れば(1/4サイズにする)、電気のホットサンドメーカーに丁度良い感じでフィットするのだ。

食1

こうすると見た目はピザと少々趣の異なるものになってしまうが、狭い車内でも食べやすく、間にハムなどの具材を挟むこともできて、逆になかなかに良かったりもする。

ぜひお試しあれ。

クーラーボックスの中のビールもまだキンキンに冷えたまま。至福のひと時だ。

寝る前にはクーラーボックスの中に入っていた溶けかかった保冷剤と、冷凍庫の中にあったカチンカチンに凍ったままの保冷剤を交換する。

これが今回の技の要だ。

ここで気になるのがポータブル電源のバッテリーのもちだ。

実際に全く問題なかったのだが、その後数値的に検証してみようと思い家で実験してみたところ、私の愛用する容量が720WhのEcoFlow River Proでこの冷蔵庫を使用(設定温度は-10℃)した場合の電力消費量は、1時間当たり2%程度だった。

12時間使っても24%、調理や扇風機などにも使っても、一晩の消費量は多くてせいぜい50%程度の計算になる。

リバープロ

2日目以降に旅先でとった方法は、夜の間は冷蔵・冷凍庫はポータブル電源に繋いでおき、朝出発する時点で冷蔵・冷凍庫の電源は切り、ポータブル電源をシガーライターソケットに繋いで2~3時間程度走行する。

この2~3時間という数字は、「River Proがシガーライターソケットからの給電で、0~100%まで充電されるのに要する時間が6.5時間」に基づいている。

概ね2~3時間程度走行すれば一晩で消費したRiver Proの電力を回復できるということだ。

氷2時間

また、その後の家での実験で、試しに保冷剤と氷を入れた冷蔵・冷凍庫の電源を切ってみたところ、2時間経過後が上の画像。

水滴一粒だけで氷はほぼ溶けていない。

4時間後(下の画像)も氷はほんの僅かに溶けている程度だった。

氷4時間

しっかり庫内が冷えていれば、2~3時間程度電源を切ってもほぼ問題ないことをこの実験で確認できた。

2~3時間の走行では充電が足りなかったとしても、天気さえ良ければ足りない分は屋根のソーラーパネルからの充電で補える。

因みに、充電中は使用できないポータブル電源もあるので、ソーラーパネルからの充電中でも電気を使えることはRiver Proの強みの一つでもある。

ポータブルパネル

また、ソーラーパネルは日光に対するちょっとした向きや角度の違いで充電効率は大きく異なる。

日中移動しないのであれば、もっと効率の良いソーラーパネルを使って、車の屋根の上より効率の良い方法で充電することも可能だ。

もっと走行する場合は、River Proの充電が終わったら、シガーライターソケットには冷凍庫を接続する。

その後はクーラーボックスの中の保冷剤が溶けかかってきた頃合いを見計らって、冷凍庫の中の保冷剤と交換する。

この繰り返し。

食2

実際にこんな使い方で、車のシガーライターソケットからの給電と最も良いときでせいぜい60W程度(平均したら良くても40~50W程度)しか発電しない車の屋根のソーラパネルとの併用で、電気が足りなくなってしまうことはなかった。

地のものを食べるのも旅の楽しみでもあるし、家にいたって毎食熱源の必要な食事をしているわけでもない。

毎食自炊したわけでもないが、電気のホットサンドメーカーと電気のクッキングケトルだけでガスなどの火を使用することもなく1週間乗り切れてしまい、と言うより決して侘しい食生活を送っていたわけでもなく、至って普通に過ごせてしまった。

ホットサンド ケトル

そして、常に冷たい飲み物を飲むことができ、生野菜や卵などのナマモノも安心して運ぶことができるだけでなく、冷凍食品も利用できる。

おまけにお土産にナマモノを買うこともでき、1週間後に家に着いた時に冷凍庫の中の氷と保冷剤は凍ったままで、クーラーボックスの中に残っていた飲み物はキンキンに冷えたままだった。

こんな風に冷蔵・冷凍庫とクーラーボックスを併用し、電気の使い方をコントロールすれば、外部電源などに頼らなくても十分快適に1週間旅することが可能なことが実証できたわけだ。

今回は実証が先で家での実験が後になったが、予め使い方をシミュレーションしておくのも良いと思う。

扇風機

ついでに付け加えておくと、そこそこ暑い夜、窓など開けていられない大雨の晩もあったが、この首振り機能付きの扇風機があれば寝苦しいことなどなく、十分だった。

魅力は尽きない。

その後の家での実験で、試しに保冷剤3枚を入れたまま36時間以上電源を切って置いてみたところ、3枚の保冷剤の一番上は半分以上溶けていたが、一番下はなんと7割以上凍ったままだった。

案外この躯体自体の保冷能力もかなり高いようだ。それも電力諸費の少なさに大いに貢献していると思う。

旅中2

これは大変嬉しい結果でもあるが、益々動力なしの無茶苦茶高価なクーラーボックスの存在意義に疑問を感じてしまい、映えとかに興味のない私としては、なんだか凄く得をしたような気分になってしまった。

これからもこの冷蔵・冷凍庫が大活躍してくれて、手放せない存在になることは間違いなさそうだ。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。