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「故障車が止まっているためのため渋滞」どんな壊れ方してるの?高速道路上での車両トラブルでいちばん多いのは何か

パンク

渋滞情報でよく聞く「車両故障のため渋滞」


高速道路の渋滞

©HAL/stock.adobe.com



高速道路で渋滞が発生した際、ラジオから渋滞原因を耳にすることがあります。

そんななか「この先、車両故障のため…」という言葉を耳にすることも多いでしょう。

事故渋滞は想像がつきやすいですが、走行が困難になって止まってしまうほどの車両故障とは、一体どのようなものなのでしょうか?

国土交通省では、JAF協力のもと、路上故障の実態調査を行っています。

令和3年9月〜11月までの間に発生した自動車の路上故障について、装置別・部位別の故障発生状況が分析されました。

一般道では電気装置が最も高く40%を占め、次いで走行装置が32.4%の割合で続きます。

対して高速道路では、走行装置が49.4%と突出して高く、次いで燃料装置(13.5%)、電気装置(10.8%)、エンジン本体(10.6%)と2位以下はほぼ横並びです。

高速道路上の車両故障は“タイヤ”のトラブルが半数


タイヤのパンク

©琢也 栂 /stock.adobe.com



さらに細かく部位別でみていくと、最も多いのがタイヤで発生率は全体の49%を占めることがわかります。

主な故障原因はパンクやバースト、さらには空気圧不足です。

「故障」という言葉はパンクやバーストと結びつきにくいかもしれませんが、高速道路での車両故障渋滞は、ほとんどがタイヤトラブルが原因であると言ってよいでしょう。

次いでオルタネーターが4.3%、冷却水が4.0%と続きます。

オルタネーターではブラシ不良やレギュレーター不良、ダイオード不良とコイル断線が主な原因となり、冷却水においては不足や水漏れ、汚れや凍結が故障原因です。

以下、潤滑油が3.7%、トランスミッションが2.4%、バッテリーが1.1%となり、ごく少数ですがラジエーターファン、クラッチ、ファンベルト、IGコイルイグナイタの故障も発生していました。

一般道でもタイヤの故障は多いですが、全体に占める割合は32.1%。

この結果から、高速道路では、電気系統のトラブルよりも走行装置(特にタイヤ)のトラブルが圧倒的多数を占めていることが分かります。

実は高速道路のパンクは未然に防げるものがほとんど


タイヤの空気圧チェック

©Soonthorn/stock.adobe.com



過去の統計を見ても、一般道・高速道路ともにタイヤのトラブルは発生件数が高いです。

しかし、一般道では釘や鋭利な金属片をタイヤが拾ってしまうというパンクが起こりやすいのに対し、高速道路でのタイヤトラブルの多くは、出発前の点検で防げるものが多いというのが実態です。

トラブル予防には、走行前にタイヤの摩耗量や外観の傷を確認するという基本的な日常点検を行うこと、さらには空気圧の点検をするといった基本的なドライバー気づきを増やすことが重要となるのです。

例えば、高速道路は一般道よりも高い速度で走行します。

タイヤの回転数が多くなり、タイヤが熱を帯びる時間も長くなることから、タイヤへの負荷が大きくなり、摩耗の著しいタイヤや傷の入ったタイヤではバーストやパンクが発生する確率が跳ね上がるというわけです。

また、空気圧不足のタイヤを高速回転させることで、スタンディングウェーブ現象が発生します。

これは、遠心力でタイヤの設計限界を超えた変形が起こり、タイヤの接地面やショルダーと側面が、回転によってたわんでいく現象です。

この状態が続くと、タイヤの内部で通常触れ合わない部分が摩擦してタイヤが過度な熱を持ち、熱による損傷でタイヤ全体がバーストしてしまいます。

スタンディングウェーブ現象によるバーストは、高速道路で頻繁に発生する故障原因の一つです。

適正空気圧を保つことができていれば避けられるトラブルなので、高速道路を走行する前には、必ず空気圧チェックを行っておくのがドライバーの務めとも言えます。

高速道路走行前はタイヤの点検を!


停止表示機材(三角表示板)

日常点検は道路運送車両法第47条の2に定められた、自動車使用者の義務でもあります。

専門的な知識や技術は不要で、油脂類の液量や車の周りの点検、タイヤの損傷や空気圧の点検、ペダルの踏みしろやエンジンのかかり具合を確認するなどの基本的なものです。

日常点検で少しでも愛車の様子が変だなと、専門家に相談することが重要であり、これが事故やトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

高速道路上でトラブルに見舞われた場合には、まずハザードランプを付け周囲のクルマに異常が起きたことを伝えます。

続いて、路肩へクルマを寄せ、車両に乗っている乗員を降ろし、ガードレールの外へ非難させましょう。

ドライバーは、発煙筒と停止表示機材(三角表示板)を、車から50m以上後方に設置します。

燃料漏れ等がある場合には、発煙筒は使用しません。

ドライバーを含めた乗員全員が、ガードレールの外側に避難したら、高速道路に設置してある非常電話か携帯電話で救援依頼を行います。

JAFを呼ぶ場合には#8139へ電話し、高速道路上にあるキロポストの数字を伝えると故障場所の特定がスムーズに行えます。

救援が来るまではガードレールの外で待ち、絶対に故障車両には近づかないようにしましょう。

高速道路でのタイヤトラブルは、ドライバーの気づきで大きく減らすことができるものです。

日常点検をおろそかにせず、安全な高速道路での車両運行を行いましょう。

ライター:MOBY編集部
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