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小さくてもパワフルで個性の光るポータブル電源 DJI Power 1000 Mini

DJI Power 1000 Miniのレビュー

ドローンやアクションカメラで有名なDJIから「DJI Power 1000 Mini」というポータブル電源が発売された。
ドローンにとって飛行性能やカメラ性能が重要なことは当然だが、高性能なバッテリーなくしては成り立たない。

世界No.1のドローンメーカーとして知られるDJIだけに、バッテリーに関する技術やノウハウも世界最高水準であることがうかがえる。
そんなDJIが作るポータブル電源となれば、気になる人も多いだろう。

実際、「DJI Power 1000 Mini」は個性の光る製品だ。

今回、この「DJI Power 1000 Mini」を実際に使って検証する機会を得たので、使用感をさっそくレポートしたいと思う。

性能について


基本スペックは以下のようになっている。
・容量:1008Wh
・最大出力:1000W
・定格出力:800W
・充電サイクル:4000サイクル(標準充電のサイクル回数)

定格出力は800Wとなっているが、一部の1200Wクラスの家電にも給電できる仕組みが備わっているとのことだ。
特殊な回路で適合させる仕組みであるため、消費電力1200Wの機器をフルパワーで使えるわけではないものの、電子レンジなど使用できる機器が大幅に広がる(小型モデルでも電子レンジは消費電力1000W超えが多い)。

容量はいわゆる1000Whクラスだ。

どの機器をどのくらい使えるか、スマホを何回充電できるかといった目安は、DJIのWebサイトにも記載があるが、各所で詳しく紹介されているため、ここでは割愛する。
シンプルに言えば、この出力性能とバッテリー容量は一般的な車中泊用途には十分。

初めてのポータブル電源を購入する人からアドバイスを求められたら、現時点で私が一番おすすめするクラスだ。

DJI Power 1000 Mini

価格に関しては、ポータブル電源は各ブランドもセールが多いようで単純に比較が難しい。
DJIの公式サイトでは、現在56,210円となっていて、最長5年間の保証が付く。

ポータブル電源の寿命は経年劣化だけでなく、充電サイクル(充電回数)にも大きく左右される。
DJI Power 1000 Miniには高性能で高耐久性なリン酸鉄リチウムイオン電池が採用されているが、この「リン酸鉄リチウムイオン電池搭載」は、製品選びの際の大きなチェックポイントの一つにもなる。

「充電サイクル4000回後に〇〇%の性能を維持」という表現の詳細は明示されていないので正確なところは不明だが、おそらく4000回充電しても大きな性能低下なく使えるという意味だと思う。
仮に365日毎日充電を繰り返したとしても単純計算で10年は使えるということになる。

しかし、この10年でポータブル電源が進化してきたことを考えると、今後さらに性能が向上する可能性も十分にある。
そう考えれば、保証期間の5年をしっかり有効に使って、その後に壊れてしまったとしても、年間コストは1万円以下。

十分に納得できる選択ではないだろうか。

大きさ・重量・形状などについて


外寸は、横幅が212mm、奥行きが314mm(後ろに突き出たハンドル部分を含む)、高さが216mmとなっている。

DJI Power 1000 Mini大きさ比較

数字だけではサイズ感がわかりにくいので、今年から愛用しているJackery 1500 newと、約6年経つEcoFlow River 600 Pro(現在は廃盤だが現役で活躍中)を並べて比較してみた。
左がJackery 1500 new、写真中央がDJI Power 1000 Mini、右がEcoFlow River 600 Proだ。

バッテリー容量はJackery 1500 newが1536Wh、EcoFlow River 600 Proが720Wh。

1008WhのDJI Power 1000 Miniは、ちょうど中間的なポジションに位置している。

River 600 Proは6年前の製品で、その間にどんどん技術が進歩し、小型化もされているので、同じ土俵で比較したらEcoFlowにとって不公平ではある。
それでも正面から見比べるとDJI Power 1000 Miniのコンパクトさが良くわかる。

メーカーとしても、この手頃感を感じさせるサイズや形状は強くアピールしているようだ。

ただし、正面写真だけではDJI Power 1000 Miniが突出して小さく見えるが、実際には見え方のカラクリがある。

DJI Power 1000 Mini大きさ比較

上から見るとわかるのだが、Jackery 1500 newとEcoFlow River 600 Proは横に広いデザインなのに対し、DJI Power 1000 Miniは横幅より奥行きの方が長いデザインなのだ。

横幅はJackery 1500 newより118mm短く、高さは26mm低くい一方で、DJI Power 1000 Miniはグラブハンドルが後ろに突き出ていることもあって、奥行きはJackery 1500 newより12cm長い。
それでも全体としては十分コンパクトで、体感的にも視覚的にも小さく感じた。

重量は、約11.5kg(カタログ値)。
リン酸鉄リチウムイオン電池は高性能ではあるが、やや重くなる傾向があるそうだ。

EcoFlow River 600 Proと比べるとずっしり感じたが、容量が1.5倍であると考えれば、特別重いとは言えない。
ちなみにJackery 1500 newは14.5kg(カタログ値)。

こちらは、容量がDJI Power 1000 Miniの1.5倍以上あるので、重量が1.2倍以上になってしまうのは仕方がなく、重量と容量を対比すると互角といったところではないかと思う。

要するに、ポータブル電源の重さは、バッテリーの容量に大きく依存する。
今のところ「高性能でありながら突出して軽い」製品などないと考えて良いと思う。

実際の使い勝手に関して


次に実際の使用感についての報告をしよう。

横幅と高さを抑えたデザイン


DJI Power 1000 Miniの全体

このクラスのポータブル電源は、奥行きや高さよりも横幅が広いデザインが多い。

しかし前述の通りDJI Power 1000 Miniは奥行きを少し長くして、横幅と高さを抑えたデザインとなっている。

では、このデザインは実際の使い勝手にどう影響するのだろうか。
まずはその点を検証してみた。

下の写真は、キャラバンの運転席と助手席の間に置いてみた様子だ。
ここは安定性に欠けるので、実際に使う想定ではないが、「この幅なら問題なく収まる」というサイズ感の参考にはなる。

DJI Power 1000 Miniを車内に置いた様子

この程度の横幅があれば、ウォークスルーのあるミニバンの前席間に置くなどした際に、走行中でも運転席や助手席前から使いやすく、向きを変えればセカンドシート側からも使いやすそうだ。

さらに、運転席と助手席の間隔が狭いハイゼットジャンボのキャビン内でも試してみた。

DJI Power 1000 Miniを車内に置いた様子

ハイゼットジャンボは、普通の軽トラとは違って、シート後方にちょっとした荷物を置けるスペースがある。

実際、少し大きめのJackery 1500 newでもこのスペースに積むことができるが、この場合はどちらか座席のシートバッグを倒す必要がある。
一方、DJI Power 1000 Miniは横幅が狭いため、シートバッグを倒さずに、この決して広くない運転席と助手席の間に差し込むことができてしまった。

DJI Power 1000 Miniを車内に置いた様子

奥行きがあるため完全にシートバックの後ろに収まるわけではないのだが、シートに程よく挟まれることで安定し、まるで固定されたような状態となった。
肘が当たることもなく、パネル面がちょうど顔を出す位置に収まり、妙なしっくり感があった。
まるでこの幅を考慮に入れて作ったかのような馴染み方をしている。

さらに注目したのが、シート後方のオーバーハング下のスペースだ。
ここは、荷台とつながっており、長尺物を積む際や就寝時の足元スペースとして活用される部分でもある。

DJI Power 1000 Miniは横幅だけでなく高さも低いため、ちょうどそこにも収まってしまうのではないかと思ったのだ。

実際に測ってみると、ハイゼットジャンボの荷台に敷いている厚さ4cmのウレタンのマット込みで高さは約19cm。
そのままでは残念ながら収まらなかった。

DJI Power 1000 Miniを車内に置いた様子

しかし、マットを外せば約23cmあるので、DJI Power 1000 Mini(高さ216mm)はちょうど収まる計算になる。
結果的に、キャビン内でも荷台側でも、まるでハイゼットジャンボに合わせて作られたのではないかと思うような寸法だった。

それはさておき、「小さいこと」のメリットをもう少し具体的に考えてみた。

車内スペースの問題で、なるべくポータブル電源のサイズを抑えたいと人は多いと思うが、電子レンジやIHクッキングヒーターを使えるポータブル電源はサイズが大きくなりがちだ。
そのため大きさに不満がある人や、そういった機器の使用を諦めていた人も少なからずいたと多いと思う。

その点、この製品は定格出力が800Wながら、消費電力1200Wの家電を使用できる仕組みが備わっている。
この小ささで電子レンジやIHクッキングヒーターを使用できることは、そういった人達にとって朗報となるのではないだろうか。

横幅と高さを抑えたデザインは、広い車内空間でももちろん重宝するが、特に軽自動車・SUV・ステーションワゴンのような限られたスペースの車両でこそ、本領を発揮するのではないかと感じた。

特徴的なグラブハンドル


DJI Power 1000 Miniの取手

前述の通り、DJI Power 1000 Miniのグラブハンドルは上に付いているのではなく、背面に突き出したように付いているため、側面を斜め上から見ると上の写真のような感じになっている。

上面にハンドルなどがなくフラットだと、スマホやタブレットなどを充電する際に上に置くことができて便利だ(ポットなど水を扱うものや、重い物・高温になる物を置くのは避けた方がよい)。

DJI Power 1000 Miniの上にiPad

実際、私の使っているJackery 1500 newも折りたたみ式ハンドルで上面がフラットになるが、このちょっとしたスペースは狭い車内では想像以上に重宝することを実感している。

一方で、この後ろに突き出たグラブハンドルを握って持ち上げると、下の写真のように傾いた状態で持ち上がることになる。

DJI Power 1000 Miniを持った様子

身長174cmの私が持つと自然と斜めに持ち上がる形になるが、個人的には特に違和感を感じることはなかった。
むしろ、なぜか振り子のように前に振り出したくなる衝動に駆られてしまった(もちろん実際にはやっていない)。

10kgを超える重量というのは、人によっては重いと感じる人もいる。
下の写真は女性に持ってもらったところなのだが、「あまり重くは感じなかった(割と力持ちな方ではあるが)」と言っていた。

DJI Power 1000 Miniを持った様子

私が放り投げてみたくなったこととも合わせて考えると、斜めに持ち上がる構造が軽く感じさせるのかもしれない。
しかし、このグラブハンドルは賛否両論分かれそうな点でもある。

単純に「斜めになることが嫌だ」という人もいるだろうし、上げ下ろしがしにくいと感じる人もいそうだ。
実際、数人に試してみてもらったところ、「垂直に持ち上げられる方が良い」という意見もあった。

また、後ろにハンドルが突き出ていることで、置き場所のスペースを無駄にしていると感じる人もいそうだ。

ただ、これは欠点にはならないと私は思った。
壁に寄せて置いた際、ハンドルの分だけ背面に隙間ができ、放熱を妨げにくくなるためだ。

案外それも考慮に入れてこの形になっている可能性もある。
また、賛否両論分かれそうではあるが、このグラブハンドルがこの製品のアイコンの一つとなりそうでもある。

多彩なポートと画期的なUSB-Cケーブル


電源ポートは、出力も入力も全て前面に集約されている。
前面・側面・背面など多方向にポートが分散していると、狭い車内などでは置く場所や置く向きの自由度が低くなり使い勝手が悪くなるため、一面に集約されていることには大変好感が持てる。

これは色々なタイプを実際に試した経験からの意見なので、参考にしていただきたい点の一つだ。
ポートの内訳は下の図の通りだ。

ポートの場所と種類

DJI



常々思うことがある。
この製品に限らず、AC出力が多数付いているポータブル電源が多い。
しかし、小型のポータブル電源に4口も必要かということだ。

ポータブル電源でAC100Vの機器を4つ同時に使うことなど、少なくとも私にはあり得ない。
あくまで私見だが、USBポートが複数あるのなら、個人的にはAC出力は2つか多くても3つあれば十分だと思う。

シガーライターソケットが残念ながら省かれているので、AC出力を一つ減らしてシガーライターソケットを一つ付けておいた方が良かったのではないかだろうかというのが正直な私の見解だ。

ポートの場所

USBポートはAポートが2つ、Cポートが1つあり、それに加えて巻き取り式で本体内に収納できるUSB-Cケーブルも付いているので、Cポートも2つあることになる。
この巻き取り式USB-Cケーブルは非常に画期的だ。

ケーブルを引き出した様子が下の写真で、自動巻き取り式にもなっている。

DJI Power 1000 Miniの上にiPad

USB-Cを使用する機器がどんどん増え、Apple製品も含めてほぼ標準規格となっている。

そうした状況を考えると、この「ケーブル一体型」は、ケーブル類が増えてごちゃごちゃするのを軽減し、スッキリして良いし、ケーブルを持ち忘れても大丈夫だ。
ちょっとしたことだが、これは本当に便利だと思った。

実用性の高そうなLEDライト


大抵のポータブル電源にはLEDライトが付いているが、500円玉くらいかそれより少し大きい程度の円形のライトが横向きに付いていることが多い。
ただ、それではランタンのような役割を果たさないので、正直なところ実用性はあまり高いとは言えない。

私自身も、ほとんど使ったことがない。

DJI Power 1000 MiniのLEDライト

しかし、この製品は円形ではなく横長のLEDライトが付いている。

この形であれば照射範囲が広く、実際に使ってみた感触でもずっと実用性が高いと感じた。

ドローンのバッテリーとの親和性


なんと言ってもDJIはドローンのトップメーカーであるだけに、DJI Power 1000 Miniには対応するDJIドローンのバッテリーを急速充電できる機能が備わっているそうだ。
ドローンは軽さが非常に重要であるため、バッテリーはあまり長時間使えるものでもない。

すべての機種に対応しているわけではないため、事前に適合の確認は必要だが、適合するバッテリーのDJIのドローンユーザーには非常に有効な機能であることは確かだ。

走行充電器内蔵


色々ユニークな点の多いDJI Power 1000 Miniだが、もう一つの非常に大きな特徴がある。
なんと、400Wの走行充電器が内蔵されていることだ。

他にもあったとしたら不勉強で申し訳ないのだが、走行充電器が内蔵されたポータブル電源にこれまで私はお目にかかったことがない。

走行充電器とは、自動車が走行中に発電している余剰な電力を利用してサブバッテリーやポータブル電源のバッテリーの充電をしてしまう装置のことだ。
一般的にシガーライターソケットからの充電は100W程度であるのに対し、本機は最大で400Wに対応している。

単純計算で約4倍早く充電できることになる。

走行充電器

走行充電器は、以前はキャンピングカーなど本格的なサブバッテリーのシステムが組み込まれた車両用の装置だった。
しかし近年は、ポータブル電源向けの製品も登場し、比較的手軽に導入しやすくなっている。

実際、私も最近Jackeryの走行充電器を愛車のキャラバンに取り付け、そのレビュー記事も書いた。

ポータブル電源は車で使用するためだけに作られているわけではないで、逆な見方をすれば車で使用することを想定していない人にとっては無用の長物が内蔵されていることになってしまうが、この製品が車での使用を非常に重視して作られていることになるため、車中泊をする側の者としては嬉しい気持ちにもなる。

しかし、いくつか注意点もあるので、それらも挙げておこう。

従来の走行充電器と比較すれば手軽に導入できるようになったとは言え、Jackeryの走行充電器取り付けに関する記事でも書いたのだが、車両のバッテリーと走行充電器とを繋ぐケーブルの設置は「誰にでも手軽にできる」などとは言えないことなのだ。

車のバッテリー

自動車整備士や電気工事士ではないながらも自分で走行充電器を取り付けた私が言うのもなんだが、このケーブルの取り付けにはそれなりの知識・技術・工夫などが必要で、リスクも伴うことを覚悟しておく必要がある。
ポータブル電源に走行充電器が内蔵されていれば簡単に走行充電を始められるということではないので、その点については購入前に十分留意しておいていただきたい。

また、手軽ではない工事を伴うことなので、短期間の検証実験のために取り付けをして試せることではない。
今回そのケーブルも試供品に付属していたのだが、そんなわけで残念ながらこの製品に内蔵された走行充電器の能力を実際に試すことはできなかった。

それともう一点この内蔵の走行充電器について注意が必要な点がある。

私が導入したJackeryの製品やEcoFlowの製品(どちらもポータブル電源とは別体の走行充電器)には充電用ケーブルとは別に車両のACC電源と連動させるためのケーブルも接続するようになっていて、エンジンが回っていていない時(キーがONになっていないとき)は車両のバッテリーと遮断する仕組みが備わっている。

しかし、DJI Power 1000 Miniに内蔵の走行充電器にはそれがない。

メーカーに確認したところ、車両のバッテリーよりポータブル電源の残量の方が少ない時に車両のバッテリーからポータブル電源へ電気が流れてしまうようなことがない機能は備わっているとのことではあったが、ACC電源との連動ケーブルを備えている製品があることから察すると、それだけでは一抹の不安感が残る。

短時間なら問題ないとは思うが、長時間エンジンを停止する場合は、念のため充電ケーブルを抜いておいた方が間違いなさそうではある。
この辺りも実際に試してみることができなかった(場合によっては車両のバッテリーを傷めてしまうリスクも伴う実験になってしまうが)ため、何とも言えないのは残念なことだった。

走行充電ができると大変便利だが、これを利用しようと思うのなら、ちゃんとした知識のあるプロに相談してからにした方が良いのではないかというのが私の見解だ。

こんな人や使い方に最もおすすめ


DJI Power 1000 Miniは、総じて使いやすいと感じる点が多く、特徴的なグラブハンドルで意見が分かれそうな点以外(個人的にはこれもクリアできているが)は、誰にもおすすめできるポータブル電源であると感じた。

しかし、より具体的に言えば、軽バンの愛用者にとても相性が良さそうだと感じた。

また、VANほど車内空間が広くはないが走破性の高いSUVなどで車中泊してドローンの撮影旅行をするような人にも大変向いていそうだという印象も抱いた。

適合機種の確認が必要だが、DJIのドローン愛用者や、これからドローンを購入しようと思っている人には、他にポータブル電源を持っていてもこれを導入する価値が大いにありそうだ。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。