アルポットは車内での湯沸かし・調理におすすめ!様々な熱源と比較実験してみた!



みなさん、車内での湯沸かしアイテムは何を使用していますか?

屋外や火を起こすことが許可されているキャンプ場等であれば、炭火でもコンロでも好きな道具を使ってお湯を沸かすことができます。

ですが、火起こしだけでなく、椅子やテーブルも展開することが許可されていない場所での休憩や車中泊の際には、車内でお湯を沸かしたり炊飯をすることになると思います。

コンロが備え付けられているキャンピングカーであれば、そちらを利用すればいいですが、車中泊仕様車の場合、何を使って車内で湯沸かしをするかは、人それぞれ好みが別れることでしょう。

アウトドア用の調理器具も、今では本当に様々な種類が手に入ります。

そんな中、筆者が使用しているのは「アルポット」という燃料用アルコールを燃やす調理器具。これが、車内用の湯沸かし器&炊飯にとてもおすすめなのです。

今回は、そんなアルポットの紹介を、車内で使える様々な熱源との比較や、それぞれの熱源で湯沸かし対決をした結果を交えてお話したいと思います。

アルポットの構造と使い方について


アルポット

アルポットは、株式会社大木製作所が製造販売する、アウトドア向けの湯沸かしや調理が簡単にできるアイテム。

底部にあるアルコールコンロに点火し、アルミ製の内鍋を加熱するアルコール燃焼タイプの調理器具です。

アルポットの説明の図

株式会社 大木製作所



底部のアルコールコンロ部と、内鍋を含む本体部分が分離できる構造で、調理する際にはコンロ部と本体を連結して使用します。

燃焼部分を本体内に格納してしまうことで、風などの外部の影響を受けにくくなると同時に、アルコールコンロの熱が分散させることなく効率よく内鍋に伝わり、アルコールを燃料としている割には早くお湯が沸くといった仕組みになっています。

アルポットは、内鍋に入れたものを加熱する…というシンプルな構造ですが、お湯を沸かすだけでなく、炊飯(米を炊く)も推奨されており、最大2合までのご飯を20~30分程度で炊き上げることができます。

また、みそ汁やスープ等の温めや、煮込み料理などにも活用できる便利アイテムなんです。

キャンピングカー車内で使える様々な熱源と比較


車内で湯沸かしや簡単な調理を行おうとした場合に利用可能な熱源はいくつか考えられます。

以下に表でまとめてみました。一つ一つ解説していきます。




















































ガスバーナー



アルコールバーナー



アルポット



電気ケトル



OD



CB



燃料



ガス缶



燃料用アルコール



燃料用アルコール



電気



入手













取扱い



普通



普通



普通





火力











携帯性









×



高火力で火力調節が容易な「ガスバーナー」


ガスバーナー

ガス燃焼式のバーナーやコンロはキャンプにおける調理熱源として広く浸透しているアイテムです。

各社から多種多様なモデルが発売されており、予算に合わせて自分に合った製品を見つけることができますが、使用可能なガス缶の種類によって「OD缶」「CB缶」(※)が異なるため、ガス缶の補充の際には注意が必要です。

ガス缶とバーナーを繋いで点火すれば誰でも簡単に使用できることから、初心者も使いやすく、火力が強いので使い勝手の良い熱源です。また火力の調節も容易です。

ガスバーナーを車内で利用している方も少なくありませんが、直接火を燃やすので敬遠するキャンパーもいます。筆者も車内で炎が露出することに怖さを感じます。

携帯性に関しては、バーナー自体はコンパクトな製品も少なくありませんが、本体以外にガス缶や鍋・やかん等の調理器具が必要であることを考えると、必要な道具がコンパクトにまとまるとは言えません。

※OD缶・CB缶
ガスカートリッジにはOD缶・CB缶の2種類があります。

OD缶は「Out Door」の略で、多少気温が低い屋外で利用しても安定した燃焼が可能なように考慮されているガス缶です。アウトドア用品・スポーツ用品店、アウトドアコーナーのあるディスカウント店等で販売されています。

CB缶は「Cassette Gas」の略で、本来はカセットコンロ用のガス缶として屋内ユース向けに作られているため、手軽な反面、外気温が低い場合などは正常に燃焼しないケースもあります。

CB缶の入手は容易で、スーパー、コンビニ、100均などでカセットコンロ用として広く販売されており、入手の容易さは抜群です。

燃料用アルコールで手軽に使える「アルコールバーナー」


アルコールバーナー

燃料用アルコールを燃やすタイプのバーナーです。

燃料用アルコールは、ドラッグストア等でも入手可能なため、OD缶のガスバーナーに比べると燃料切れの際の補充がしやすい点がメリットと言えます。

しかし、熱源としてはあまり火力が強くないため、同じ量のお湯を沸かす際にはガスバーナーよりも時間がかかります。

車内での利用を考えた場合、直接火を燃やすタイプである事に加え火力の調節ができないことや、日中は炎がほとんど見えないこと、底面が非常に熱くなることなど、車内利用には向いているとは言い難いものがあります。

本体内に燃料用アルコールを注ぎ、蓋をして携帯することができるので、本体に関しては非常にコンパクトにすることができ携帯性は抜群ですが、本体以外に鍋・やかん等の調理器具が必要になります。

アルコールバーナーでも炎が露出しない「アルポット」


アルポット使用時

さて、「アルポット」も燃料用アルコールを燃やすという点では、アルコールバーナーと同じ燃焼の仕組みを持っています。

ですが、燃焼部が本体に格納されているので、風や外気温などの影響を受けにくい構造になっています。

そのため、裸火のアルコールバーナーよりも、同量の水を多少早く沸騰させることができます。

また、車内での利用を考えると、アルポットはアルコールコンロに点火しますが、炎が直接露出していないという点で、内装に燃え移る危険性が低いという安心感があります(ただし転倒させた際の危険性は通常のアルコールバーナーと大差ありませんので注意が必要です)。

携帯性については、燃焼部と内鍋や蓋が一体になっているため決して小さくはありませんが、アルポット以外にボンベや調理器具を必要としないため、意外にコンパクトな部類になるのかもしれません。

サブ電源を使用する「電気ケトル」


電気ケトル

サブバッテリーやポータブル電源の電力もキャンピングカー車内で使える熱源の1つですね。

IHヒーターなら調理器具との組み合わせで炊飯や調理も行うことができます。

そんな中、湯沸かしに特化したアイテムが電気ケトル。

消費電力にもよりますが、電力による湯沸かしは火力が強く手早くお湯を沸かすことができます。

炎を燃やさないという点で安全性が最も高いと言えますが、サブバッテリーやポータブル電源など、電力を利用するための投資が大きい点はデメリットと言えます。

持って歩くようなものではないので携帯性についてはなんとも言えません。

入手の容易さという面では、サブバッテリーシステムを組んだりポータブル電源を用意するなど、比較的大きなコストを伴うことからお手軽とはいいにくいでしょう。

ホワイトガソリンバーナー


もう1つキャンプの熱源として忘れてはならないのが、ホワイトガソリンを使ったバーナーやコンロです。

コールマンを中心に、トラディショナルなバーナーやストーブが人気ですが、ガスバーナーと比べると、操作や保管が容易ではない部分があって、どちらかと言うとベテランキャンパー向けかもしれません。

今回は、車内での湯沸かしがテーマと言うことで、こちらは比較には含めません。

200mLの湯沸かし対決!車内利用におすすめなのは?


ということで、今回紹介した熱源の中でどれが車内利用に最適なのかを決めるべく、ホワイトガソリンを除く4つの熱源で湯沸かし対決を行ってみました。

対決のルールは以下の通りです。

  • 200mlの水が沸騰するまでの時間を計測(沸騰は泡の状態を目視して判断)

  • アルポット以外は、アルミ製のやかんに水を入れて加熱。アルポットは内鍋で加熱(唯一、火力調節が可能なガスバーナーは、中火で加熱)

  • 着火後にやかんをセットした時点を計測開始、沸騰を目視した時点を計測終了とします

  • お勧め度は、1〜5段階で表示し、最もお勧めを「5」とする



ガスバーナー


ガスバーナーは、コンパクトガスバーナーのベストセラー、イワタニの「ジュニアコンパクトバーナー」を使用。同じくイワタニのCB缶からガスを供給しました。

結果としては、ジュニアコンパクトバーナーが200mlのお湯を沸騰させたタイムは、『2分15秒』ほどでした。

ジュニアコンパクトバーナーでお湯を沸かした時間

中火とは言え、今回の中では2番目に早く沸騰させることができました。

ですが、バーナー自体が熱くなるので使用後はしばらく冷却時間が必要で、撤収まで時間がかなりかかるのがマイナスポイント。

また、炎がむき出しであることは、車内の使用に少し不安を覚える方もいるかもしれませんね。

沸騰までの時間は早いので、急いでいる場合には選択肢の一つになるかもしれませんが、総合的におすすめ度は「3」としました。

アルコールバーナー


アルコールバーナーは、単に容器に入れたアルコールを燃焼させるだけの構造ですので、火力調節はできません。

こちらも結果から言うと、今回のテストの中では最も時間がかかり、沸騰までに『6分43秒』を要しました。

アルコールバーナーでお湯を沸かした時間

さらに、本体や付属の五徳も熱くなるので、テーブル等への直置きは避けた方が良さそうですし、撤収にも時間がかかりました。

また、炎が見えづらいため、日中は燃焼しているのか消火しているのかが分かりづらい点も、車内では使いにくそうに感じました。

ということで、おすすめ度は「1」とします。

アルポット


今回おすすめしている「アルポット」も結果から。

燃料はアルコールバーナーと同じですが、アルポットは本体内で燃焼しエネルギーが分散しないため、アルコールバーナーより35秒程早い『6分8秒』で沸騰。

アルポットでお湯を沸かした時間

本体内にコンロを内蔵してしまうため、加熱中に手をかざしても熱くないのは車内での利用を考えると大きなメリットですね。

また、燃焼直後にコンロ部を持っても熱くないため、使用後すぐに撤収することが可能で、片付けまで含めた所要時間を考えるとかなり短いと言えます。

また、本体の安定性も高く、脚が滑りにくいカバーが付けられている点なども、車内利用に向いていると言えそうです。

沸騰までに若干時間がかかりますが、安定性・安全性・撤収までの早さ等を勘案し、おすすめ度は「5」としました。

電気ケトル


今回の湯沸かし対決で最速タイムを叩き出したのは電気ケトルでした。記録は『1分29秒』。

電気ケトルでお湯を沸かした時間

今回使用したケトルは、1200Wと消費電力が車内利用としては比較的大きい方なので余計に早く湧いたのかもしれませんが、唯一1分30秒を切ったタイムは立派で、急いで湯沸かししたい場合には重宝しそうです。

しかし、サブバッテリーの限りある電力を消費していることを考えると、いつでも電気ケトルがベストチョイスという訳ではないように思います。

外部電源が供給されるような、サブバッテリーの容量を気にせずに使えるような環境であれば、最も早く沸く電気ケトルがベストチョイスですが、電源供給のない場合には電力を温存するためにも、こちらはあまりおすすめできないかもしれません。

また、バッテリー、ケトル、調理器具と、かなりの大きさ・重量のものが必要になりますので携帯性に関しては論外と言えそうです。

以上から、利用環境限定という意味でおすすめ度は「3」とします。

なお、湯沸かしだけではなく調理にも使いたい場合には、IHヒーターでの加熱に置き替えてください。








































種別



製品



熱源・燃料



沸騰までの時間



おすすめ度



ガスバーナー



イワタニ ジュニアバーナー



ガス(CB缶)



215



3



アルコールバーナー



ノーネーム(中国製)



燃料用アルコール



643



1



アルポット



大木製作所 アルポット



燃料用アルコール



608



5



電気ケトル



山善 DK-100



電気(AC100V



129



4




やはりアルポットは車内調理に向いている


アルポットとガスバーナー

車中でのおすすめ熱源を考える場合、多くはお湯を沸騰させるまでのタイムで判断することが多いと思いますが、今回は、使用して熱くなったアイテムを撤収できるまでの時間も含めて考えてみました。

携帯性についても、熱源そのものの大きさだけでなく燃料(電源)や調理器具まで含めて勘案しています。

また、内装への引火を考えると炎が露出することもデメリット要素ですし、サブバッテリーの電気を使い切ってしまうことはキャンピングカーにとってはもはや致命傷。

外部電源のない場所での電気ケトルやIHヒーターの使用はベストチョイスとは言えないですね。

そうした様々な視点からアルポットを見ると、火力こそあまり強いとは言えませんが、

  • 炎が露出しない

  • 燃焼中に熱気が外部に漏れにくい

  • コンロ部も本体も熱くならない

  • 安定感が高く滑りにくい

  • 展開も撤収も簡単で手軽

  • 燃料がドラッグストア等でも入手できる・・・



等々、車内で利用するのにおすすめポイントが数多くあることが分かりました。

火力があまり強くない、内鍋のサイズが比較的小さいなど、多少の難点はありますが、車内での湯沸かしや調理のための熱源を探しているのなら、一度アルポットを検討してみてはいかがでしょうか。