車旅で使うコンロについて考えるvol.3
初回2回目と本筋から少し脱線しながら散々ウンチクを語り、前回は「余程特別な事情や趣味で選ぶのでなければ、日本の車旅に最適で基本となるストーブは、CB缶を使うストーブだ。」と断言したところで終わった。
車旅で使うコンロについて考えるシリーズ。今回は国内車旅をする際に最適なコンロのタイプを考えていく。筆者が過去に使った懐かしのコンロや、OD缶・CB缶の違い、車旅でのストーブの使い分けなど、アウトドア経験豊富な筆者が解説。これから車...
コンロについての最終回は、実際に私が愛用多用しているCB缶ストーブを紹介しようと思う。
目次
私の愛用するCB缶ストーブ
上の写真に並べられているのが、車旅や人力旅で実際に私が使っているストーブだ。
山で使っていたOB缶ストーブも持ってはいるけど、最近は滅多に使うこともないので除外し、ここで紹介するのはCB缶ストーブに限定している。
また、他にも普通に家の中で使うカセットコンロも持っていて、車旅で使ったこともあった。
家庭用のものでも、風防などで工夫すれば外で使えるものもあるので、初心者の人はいきなり道具を買い揃えなくても、家にある物でまずは試してみても良いと思う。
しかし、私が一般的なカセットコンロの一番の弱点だと思うのは、火力や防風のことではない。
ずばりデザインの悪さだ。
デザインは個人の好みだから、私が正しくて世の中が悪だと主張するつもりはないのだが、それにしても絶望的に酷いデザインが氾濫していると思う。
悲しくなるほど変なスッテカーが貼ってあると、お店の展示品からも剥がしてしまいたくなることがある。
性能が良ければ関係ないだろうという意見もあるだろうが、どんなに性能が良かろうと燃費が良かろうと、お金を貰っても乗りたくない車ってないだろうか?
それとほぼ同じような感情だ。道具の見た目が残念過ぎると、今一つ楽しく使うことができなくなってしまう。
最近は、デザイン面でもかなり良くなりつつある日本の家電製品(特に新しいメーカーの製品など)だが、これまでずっと、どうして日本の家電製品ってこんなに壊滅的に残念過ぎるデザインが多いのだろうかと思ってきた。
カセットコンロがカッコ悪過ぎるのは、ある意味その流れを正しく継承してきた結果なのかもしれない。
そんな中、全然風に強いわけではなく、火力もあまり強くなくて、特に外での使用に適しているわけでもないけど、デザインがシンプルなのが気に入って買ってしまったのがステンレス製のやつだ。
しかしこれは通販で買った外国製で、正規に日本のガス検を通っているのかも不明。
使用中なんとなくガス臭い気がするので車内では使わないことにした。そのため、最近はあまり使っていない。
デザインがシンプルで、コンパクトで便利な分残念だ。そんなことをしたら違法改造となってしまうが、中身をイワタニの製品に入れ替えたい。
濃いグレーのは、自分で買ったわけではなく最近譲り受けたもので、一流メーカーイワタニの「風に強い」ことを売りにしている製品だ。
専用の収納ケースも付いていて外にも持ち出しやすい。
今後人数の多い時には外にも持ち出すかもしれないが、外出自粛の続く中、今のところもっぱら家の庭やテラスで使っている。
これまでの一般的な家庭用よりはマシなデザインかもしれないが、高いお金を出してまで買うのはちょっと躊躇してしまうデザインなのが残念。
まずは火力調整の目印辺りからなんかしたいと思う。
下段の脚の長いやつは、脚を外すことはできるがそんなに小さくはならない。
しかし四角いカセットコンロよりは無駄な部分がないから、普通のカセットコンロよりはコンパクトになる。
頑丈な作りでデカイ鍋が乗せられるから、人数が多い時はカヌーに積んでいくこともある。
そしてスツールとかに腰掛けて調理するのにちょうど良い高さも◎。
無骨でシンプルなデザインと言うより、悪あがきのような余計なデザインが一切排除されているところも気に入っている。
私が最も多用するストーブ3機種
先に挙げたものも現役だけど、現在特に使う機会が多いストーブが次の3つだ。
イワタニ「マーベラス2」
車旅でも日常的な海岸近くでの昼食の時にも、現在これを最も多用している。
イワタニの「マーベラス2」という製品だ。
風防があって風に強く、鍋を囲みたいときは風防を外すこともできる。
また、風防はそのまま蓋になるので別にケースを用意する必要がない。
作りがしっかりしていて、それは使用中にも大変良いことなのだが、蓋を閉めるだけでそのまま気を使わずに車内に積める頑丈な作りが大変便利。車に積んだときの収まりも良い。
火力調整つまみの部分だけプラスチッキーで、なぜか妙に普通な、もう少しなんとかならないのといったデザインなのが少し残念ではある。
パーフェクトとは言えないまでも、機能・デザイン総合して今のところこれ以上車旅(当然人力旅には使うような物ではないが)に最適なストーブは見当たらないと思っている。
ちょっと褒めすぎだけど、ともかく車旅用として一番気に入っている。
イワタニ「ジュニアバーナー」
次も同じくイワタニの製品の「ジュニアバーナー」。
現在はSOTOなどにもCB缶を使うアウトドア用のコンンパクトで高性能なストーブが多々あるが、これはCB缶を使うスパルタンなストーブの先駆けとなったような存在だと思う。
火力は十分で、とてもシンプルで小さくなり、一見華奢にも見えるけど、10インチのアルミダッジオーブンを乗せても全く問題ない。
そして、このタイプはゴトク部分と脚が一体となったものが多いが、これはゴトクの部分と脚が別体となっている。
ゴトク部分と脚が一体となっていると無駄がなく頑丈そうにも見えるが、脚に熱が伝わってしまうため、そのままテーブルの上に置くことができなかったり、迂闊に脚を掴んで持ち上げたりすると火傷を負うことになる。
解決策としては脚にシリコンのチューブを被せたりすることになるのだが、ゴトクと脚が別体のジュニアバーナーはそうした心配もない。
意外と見落とされがちな部分だけど、これも使いやすさを高めている大きなポイントの一つだ。
CB缶の2バーナーストーブというものもあるが、車中泊や昼食時に火が欲しい時は通常火口は1つあれば十分で、キャンプらしいキャンプだったら私は焚火や炭火も使うから、あまり火口が2つある必要性を感じない。
もし2口必要であればマーベラスとこれがあれば十分だと思っている。
そして、車旅の話からは少し逸れてしまうが、昔は飛行機で出かける時もスベア123やCB缶のストーブを持って行くことができた。
しかし、飛行機で燃料を一切運ぶことができなくなってからは、SUPやフォールディングカヤックを持って離島へ旅に出る時は、焚火以外だったら、どこでも入手できるCB缶を使うのが一番だ。
そんなこともあって、これは車旅でも使うけど、人力旅でも最も多用しているから、ここ20年来で最も多用しているストーブがこのジュニアバーナーだ。
海で使うからか、初代は酷使された挙句錆びてとうとう頭がもげてしまい、これは2代目。
たまにSOTOのとかも良いなあと思って浮気しそうになることもあるが、2代目が天寿を全うしても、多分またジュニアバーナーを選ぶことになると思う。
ちなみに、燃料となるガス缶の保管・運搬についてだが、暑い日には車内が高温になるため注意が必要だ。
私は気温の低い時期以外は一応ガス缶は車に積んだままにはせず、熱が伝わりにくいようにこんな風に保冷バッグを二重にした中に入れ、出かける都度車内のなるべく暑くならないような場所に積むようにしている。
トランギア「アルコールバーナーのクッカーセット」
最後にガスではないストーブと言うか、トランギアのアルコールバーナーのクッカーのセット。
火力はガスには及ばないが、アルコールは安全性が高い。
収納した状態を見ると、そこそこの人数に対応するコッヘルのセットにも見えるが、実は大部分がバーナーを置く台と風防の部分で占められていて、肝心な火元の真鍮製(しんちゅうせい)のバーナー部分は拍子抜けするほど小さく、クッカーは小さなポット(鍋)が2つとフライパンが1つに小さなヤカン1つだけだ。
この小さなバーナーは決して火力は強くないが、故障とはおそらく全く無縁のシンプルな作りだ。
寒さにも強く、大袈裟過ぎるとも思える風防部分がポットもヤカンもスッポリ包み込むように覆ってしまうため熱効率が良く、一人や二人で使うには不満を感じるようなこともない。
と言うことで、これは一人静かにコーヒーを飲んだり、料理と呼べないような簡単な調理には便利なため、最近はバモスに積みっぱなしにしている。
まとめ
以上が車旅で使う薪や炭以外を燃料とするコンロについて私が考えたり、実際に使用している機器についての話であった。
3回に渡って長くなってしまったが、語ろうと思えばまだまだ語れる。
自分では道具マニアともコレクターとも思っていないけど、鍋やフライパンもだが、この企画でストーブもかなり好きなことを自覚することになってしまった。