いいとこ取りのキャンピングカー用トイレ。排泄物を見ないで後始末。落ち着いて座れる!【取材】

トイファクトリーが日本正規販売店としてウォーターレストイレ「clesana」販売開始
キャンピングカーのトイレ。
すでに使っている人にも、付けたいけど後始末が大変だからいらないと考えている人にも朗報です。
国内バンコンビルダー最大手のトイファクトリーが、今年(2024年)2月に日本正規販売店として販売開始したウォーターレストイレ「clesana(クレサナ)」は汚水を処理する必要がなく、自宅のトイレと同じようにゆったり落ち着いて使えるというスグレモノ。
これまでのキャンピングカー用トイレの欠点を解消しています。
くわしい特長をトイファクトリー広報企画推進室の丹羽綾さんに聞きました。
ウォーターレストイレ「clesana」とは

【ウォーターレストイレ clesana(クレサナ)の特長】
●汚水処理しなくていい
●自宅用トイレと同様の大きさと形状
●180度方向を変えられる
●便器内の掃除不要
●可燃ごみとして処理できる
●丈夫で透けない、防臭効果のあるフィルム密封式
●溶剤不使用
●今持っているキャンピングカーに後付け可
「clesana」はスイス製の密封式(圧着式)ウォーターレストイレ。
昨年からトイファクトリー製のキャンピングカーには設置が始まっていましたが、今年2月からは単品でも販売を開始。
バンコン、キャブコン、トレーラーなど様々な車両に取り付け可能で、すでに他社のキャンピングカーに乗っている人も、車内に設置場所があればトイファクトリーの店舗で後付けができます。
これまで国内で売られていたキャンピングカーに載せられるトイレは、タンク式のタイプとラップポンに代表される圧着式の簡易トイレが主流でした。
「タンク式には大型の自宅用に近い大きさと形状のものもあって使うときは快適なのですが、汚水をダンプステーションや自宅のトイレに流すという手間があって、抵抗があるという人が多かったと思います。
一方で簡易トイレはどうしても非常用というか臨時のときのための“おまる”という感が否めません。
そんな中で、キャンピングカー=動く家という視点で、より快適で便利な設備はないものかとリサーチしていて、ヨーロッパのキャンピングカーショーで見つけたのがクレサナでした」(トイファクトリー・丹羽さん)
タンク式と簡易型のデメリットを解消できる“いいとこ取り”の製品と言えそうです。
ウォーターレストイレ「clesana」の使い方

クレサナはキャンピングカーのマルチルーム(フリールーム)に設置することを想定。
用を足すときは、
1.ロール状のフィルムライナー(密閉式パック)のカートリッジをセット。凝固剤のタブレットを入れて使います。フィルムライナーは用途に応じて使用する長さを4段階変えることができ、平均36~最大50回まで使用可能です。
2.使用後はフタを締めて、コントロールパネルのボタンを押すだけで、自動的に密閉(圧着)されます。
3.完全に密閉されるので無臭で清潔に簡単処理が可能。水洗トイレとは異なり、おむつや生理用品、食べ残しなども処理できます。使用した密閉パックは本体内に8個までためられます。
4.処理後のパックは、家庭ゴミとして処分できるため、清潔に簡単に処分が可能です。 ※各自治体の分別ルール従って処分してください。
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落ち着いてできる!大きさと形状

キャンピングカーでよく使われる小型の簡易トイレとクレサナの違いはその大きさと形。
↑写真を見てもわかるように自宅用トイレと同じような形状です。
寸法はclesana (丸型ベース=土台)の場合、高さ515×幅363×奥行461mm。
一例ですが、住宅で使われるTOTOのタンクなしウォシュレット・ネオレストAHは高さ528×幅386×奥行701mm。
クレサナは見た目も大きさも違和感なく、自宅でいるときのように落ち着いて用が足せるのではないでしょうか。
高さのない簡易トイレだとひざを折って座る必要がありますが、クレサナなら自宅のトイレに座っているのと同じ。
脚力の弱いお年寄りなどでも立ち上がるときにラク。使いやすいはずです。

また、キャンピングカーのマルチルームに置いて大丈夫なのか、という疑問もあると思います。
ちなみにトイファクトリーのバンコンGTのマルチルームのサイズは高さ1,350×幅620×奥行き760mm。
広々とは言えませんが、十分置けます。
しかも、「クレサナは便座に座ったまま180度まで回転させて向きを変えられるのでマルチルームの限られたスペースを有効に使えます」(トイファクトリー・丹羽さん)。
余程体格のいい人でない限り、ひざが当たることなく扉を閉めてできるでしょう。
トイファクトリーのGTにクレサナを設置。実際に座ってみた動画はこちら
汚水処理なし。後始末が簡単!

タンク式のキャンピングカー用トイレには、使った後の汚物・汚水(排泄物)処理がつきもの。
これに抵抗があって、キャンピングカーにトイレを付けないという人も多いと思います。
前述したようにクレサナは、1回毎に赤ちゃん用などのオムツと同じポリマー剤で固めて、ロール状のフィルムライナーにして圧着して密封。
水は使わず、フィルム内に排泄物をためるので便器内側が汚れません。
使用後は8回分までクレサナの本体内にためておいて、まとめて家庭用ゴミとして出せます。
「フィルムは医療現場にて排出される感染性廃棄物(感染性疾患の患者の排泄物、使用済みおむつ等)にも対応しています。とても丈夫で臭いの心配もないので、使用後の処理という“苦行”がなくなります」(トイファクトリー・丹羽さん)
他社のキャンピングカーにも後付けできる

ここまで読んで、クレサナなら自分のキャンピングカーのマルチルームに付けたいかも、または、今使っているタンク式トイレと交換したいと思った人。
安心してください。
前述のとおりクレサナは「トイファクトリーのキャンピングカーはもちろんですが、他のキャンピングビルダーさんから購入したキャンピングカーにも(マルチルームの寸法などの条件が合えば)弊社で取り付けられます。ご相談ください」(トイファクトリー・丹羽さん)とのこと。
DIYで設置したいという場合は単品での販売も可。
「電気配線の知識や技術があってDIY工作が得意な方なら、個人での取り付けもできると思います。インストールマニュアルも用意しています」(トイファクトリー・丹羽さん)ということなのでトイファクトリーに問い合わせてみるといいでしょう。
お問い合わせはこちら▷トイファクトリーHP
クレサナ専用の防水カバーをかぶせれば、シャワー兼用のマルチルームでも使えるそうです。
災害時に備えた自宅用としての兼用は?
クレサナは今年2月のジャパンキャンピングカーショー2024で展示されました。
その際に「クレサナを普段はキャンピングカーで使って、万が一の災害時には取り外して自宅用トイレとして活用したいという声が多くて驚きました」(トイファクトリー・丹羽さん)
1月の能登半島地震もあり、防災意識が高まっている中、水がいらないクレサナのようなトイレの需要が潜在的に高まっているのでしょう。
「現在は取り外してのご使用は難しいですが、ポータブル化やAC100Vコンセントで使用できる配線オプションキットを現実開発中です」(トイファクトリー・丹羽さん)

災害時の自宅用トイレとしてはまだ進化途中のようですが、すでにクレサナは能登半島地震の支援のためのトイレカーで活躍中。
災害時の実績はすでにあるので、『自宅兼用ならもっといいのに』と思った人は今後のバージョンアップに期待しましょう。
※被災地でのクレサナ搭載のトイレカーに関する記事はこちら▷【取材】能登半島地震の復旧支援に60台のキャンピングカーが活躍
●Clesana 主な仕様と価格
clesanaにはL型ベース/丸型ベースの2タイプがあり、設置する場所やスペースなどで選択が可能です。
公称電圧:DC12V
最大消費電流:22A
待機消費電力(スタンバイモード):0.28 Wフィルムライナー
密閉時の消費電力(熱圧着):0.28 W
サイズ:(clesana L型ベース)H:515mm/W:363mm/D:516mm
サイズ:(clesana 丸型ベース)H:515mm/W:363mm/D:461mm
座面高さ:478mm
重量:(L型/丸型)13.8kg / 13.1kg
価格:本体価格 264,000円(税込)※clesanaL型/丸型 共通
トイファクトリー販売ページ
※clesana社は環境に配慮したウォーターレストイレを販売するスイスのメーカーで、トイファクトリーはその日本正規販売店。クレサナはドイツ、スイス、オーストリアを中心に販売されており、環境保護意識の高い欧州では、水不要なだけでなく排泄物を分解するための薬剤も一切使用しないことから、環境に優しいトイレとして幅広く普及しています。
あとがき
日本国内はコンビニもどこにでもあってトイレを借りられるし、道の駅やオートキャンプ場、RVパークにもトイレが備わっています。
しかし、夜や雨の日に車外に出てトイレまで行くのは不安だったり億劫(おっくう)だったり。
そんなときに、キャンピングカーの室内にクレサナがあれば、安心して不潔な感じもしないで落ち着いて心ゆくまでできます。
しかもイヤな思いをしながら後始末することもありません。
マルチルームはあるけれど後始末のことを考えてトイレは設置していなかった人、タンク式のトイレを使っている人。
クレサナを検討してみてもいいかもしれません。