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【体験記】世界6番目に小さな国でキャンピングカー旅!絶景&車中泊スポットを紹介

キャンピングカーに暮らしながらヨーロッパ各国を巡っている私たち夫婦。
そんな旅の中で立ち寄ったのが、「世界で6番目に小さな国」として知られる「リヒテンシュタイン」です。
車で30〜40分もあれば国を横断できてしまうほどの小さな国ですが、そこには豊かな自然と雄大な山々に囲まれたのどかで美しい国で、どこかのんびりとした空気が流れています。
今回は、そんなリヒテンシュタインをキャンピングカーで旅した体験をもとに、車中泊事情や実際に訪れてよかったおすすめスポットをご紹介します。
キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを旅して2年8カ月

私たち夫婦は、「キャンピングカーでヨーロッパを周遊する!」という夢を叶えるため、2023年に旅をスタートしました。
イタリアで中古のキャンピングカーを購入し、これまでに訪れた国の数は19カ国。
車内でリモートワークをしながら、「まるで暮らすように旅する」スタイルで、時間やルートに縛られず、自由気ままに旅を続けています。
温暖な気候のポルトガルから、北極圏にあるノルウェー、フィンランドまで、南北に広がるヨーロッパ各地を巡る中で、普通の観光旅行では味わえない、濃い体験ができるのが、車中泊旅ならではの魅力です。
気に入りすぎて何度もリピートした国もいくつかあります。
「リヒテンシュタイン」もそんな国の一つ。
実は訪れるまでは、「名前も聞いたことがない」ほどの知名度でしたが、実際に足を運んでみると、その小さな国には思いがけないほどの魅力が詰まっていました。
世界で6番目に小さい!リヒテンシュタインってどんな国?

Liechtenstein(リヒテンシュタイン公国)は、スイスとオーストリアに挟まれたヨーロッパの小さな内陸国。
その面積はわずか約160 km²と、東京23区の約4分の1、山手線の内側より少し広い程度です。
とはいえ、その小さな国土にアルプスの大自然、中世のお城や歴史ある街並み、美術館などの文化施設がギュッと詰まっていて、見どころたっぷり。
しかも、南北約25km、東西最大約12kmとコンパクトなので、滞在は、1〜2日あれば十分に楽しめるのも魅力です。
車で入国も簡単!

リヒテンシュタインには空港がないため、入国はスイスまたはオーストリアからの陸路のみ。
しかし、入国ゲートも審査なく、車やバスなどでまるで隣町に入るような感覚で、スッと入国できてしまいます。
ただし、リヒテンシュタインはシェンゲン協定加盟国のため、日本パスポートでも90日以内までと決まっていますのでご注意を。
言語・通過・治安など
公用語はドイツ語ですが、観光地では英語も広く通じるので、観光客でも安心して旅ができます。
通貨はスイス・フラン(CHF)が使われており、ほとんどの場所でキャッシュレス決済が可能でした。
旅先でもスムーズに支払いができて、とても便利です。
そして何よりの魅力は、ヨーロッパの中ではダントツの治安の良さ。
実際に歩いてみても安心感があり、女性のひとり旅にもおすすめできる国です。
「リヒテンシュタインはキャンピングカーで入れるの?」【車中泊事情】

リヒテンシュタインは小さな国ですが、キャンピングカーにとても寛大な国!
私たちもこれまでに2年連続で訪れるほど、滞在しやすく居心地のいい場所です。
キャンピングカーでも問題なく入国でき、いくつかの専用施設も整備されています。
原則として、公道や公共スペースでの自由な車中泊(ワイルドキャンプ)は禁止されていますが、指定のオートキャンプ場やRVパークを利用すればOK。
数は少ないものの、観光にも便利な立地にあり、料金もお手頃価格で使いやすさ抜群でした。
ただし、リヒテンシュタインはヨーロッパでもトップクラスの富裕国であるため、物価は全体的に高め。
私たちのように低コストで旅をしたい場合は、隣国のオーストリアで事前に食材の買い出しや、給油をしておくのがおすすめです。
実際に利用したおすすめ車中泊スポット①首都ファドゥーツ近郊の無料大型駐車場

中心部から徒歩約10分ほどの場所にある、バスも利用する無料の広々とした駐車場。
キャンピングカーでの車中泊もOKで、私たちが滞在したときも複数台が停まっていました。
周囲の景色も抜群で、片側にはおとぎ話に出てきそうなファドゥーツ城、反対側にはスイスとの国境川を流れるライン川が見える絶景スポットです。
また、無料で給水・トイレ排水・トイレの設備も利用可能で、市内観光の拠点としても、とても便利でした。
実際に利用したおすすめ車中泊スポット②山岳の町・マルブンのRVパーク

山岳エリアにある小さな町、マルブン(Malbun)に位置するRVパーク。
ハイキングや自然を楽しみたい方にぴったりの静かな場所です。
設備も充実していて、給水・トイレ排水・グレータンク排水・外部電源といった基本設備が揃っています。
朝晩はとても静かで、のんびりと過ごせます。
・料金:1泊 15CHF(約2,700円)
・観光税 1人1.5CHF(約270円)
私たちは1回目に7日間、2回目は4日間とじっくり滞在しました。
小さな国ながらに、リヒテンシュタインの素晴らしさを存分に堪能できた拠点です。
実際に訪れたおすすめスポット4選
首都ファドゥーツ中心街でのんびり街歩き

首都のファドゥーツは、のんびりと散策するのにぴったりな、小さくて可愛らしい街です。
中心街は徒歩で十分まわれるコンパクトさで、1〜2時間もあれば主要な見どころをぐるっと楽しめます。
おとぎ話のような「ファドゥーツ城」
中でも目を引くのが、丘の上にそびえるファドゥーツ城。
まるでおとぎ話に出てきそうな姿で、ファドゥーツのシンボル的存在です。

現在もリヒテンシュタイン公爵家の公式の居城として使用されており、城内の見学はできませんが、ふもとから見上げたり、遠くから眺めるその佇まいは、写真映えも抜群です!
歩きやすい街並みと博物館めぐり
中心部には歩行者専用のショッピングストリートがあり、カフェやレストラン、お土産ショップが並んでいます。
ゆったりとした時間が流れる中、散策を楽しめます。
とくにおすすめなのが、「リヒテンシュタイン郵便博物館」。
この国の切手は、芸術性が高く世界中の収集家から評価されており、まるでアートのような美しさ。

1912年以降にリヒテンシュタインで発行されたすべての切手が展示されており、なんと入館は無料!
小さな博物館ですが、コレクターでなくても楽しめる内容でした。
街全体が整っていて、街歩きがしやすく、半日でも充実した時間を過ごせるのがファドゥーツ中心街の魅力。
リヒテンシュタインに訪れたら、絶対に立ち寄りたい中心街です。
歩いて国境越え?!木造の「アルテ・ラインブリュッケ橋 」

キャンピングカー用の駐車場のすぐ隣にあるのが、アルテ・ラインブリュッケ橋(Alte Rheinbrücke)。
リヒテンシュタインとスイスの国境をまたぐ、歴史ある木造の屋根付き橋で、なんと歩いて国境を越えることができる珍しいスポットなのです!
橋の下を流れるのは、リヒテンシュタインとスイスを分けるライン川。
のどかな牧草地が両岸に広がり、整備された散策路やサイクリングコースもあります。
屋根付きの木造橋は、まるで映画のワンシーンのような美しさ。

ただし、橋の床板を年季が入っていて、歩くたびに「ギシ…ギシ…」という音が鳴り、それがまた味わい深いところです。
「大丈夫かな…?」とちょっとヒヤヒヤする場面もありますが、それも含めて楽しい思い出になること間違いなし。

橋の途中には、国境を示すラインが引かれていて、思わず記念写真を撮りたくなります。
首都ファドゥーツ中心街とセットで楽しむのがおすすめです。
リヒテンシュタイン唯一の山岳リゾート「マルブン」

リヒテンシュタインの東部、標高およそ1,600mに位置する小さな山あいの村「マルブン(Malbun)」。
ここは、国内で唯一の本格的な山岳リゾート地で、冬はスキー、夏はハイキングや避暑を目的に多くの人が訪れる、知る人ぞ知る癒しのスポットです。
私たちが訪れたのは6月。
ちょうど高山植物が咲き誇り、可愛らしい家々がいくつも並び、絵本のような景色が広がっていました。
周辺には整備されたハイキングコースがたくさんあり、気軽な高原散策を楽しめます。

村自体はこぢんまりとしてますが、必要なものはすべて揃っています。
ホテルやレストラン、カフェなどがコンパクトにまとまっており、のんびりと落ち着いた雰囲気が魅力。
村内にはキャンピングカー専用のRVパークもあり、必要な設備が整っていて快適に過ごせました。
喧騒から離れて、自然に囲まれた静かな時間を過ごしたり、アウトドアを楽しみたい人にはぴったりの山のリゾートです。
登山好きにはたまらない!標高2,222mの山「ラッペンシュタイン(Rappenstein)」

マルブン滞在中に私たちが挑戦したハイキングルートは、標高は2,222mのラッペンシュタイン(Rappenstein)。
中級レベルとされる登山道は、ある程度の体力と装備が必要ですが、そのぶん達成感も大きく、頂上からの絶景はまさにご褒美!
ルート情報
往復距離:約20km
標高差:約1,000m
所要時間:6〜7時間
序盤は穏やかな牧草地を進み、牛やヤギがのんびり過ごすのどかな風景に癒されます。
中盤に差しかかると登りも徐々にきつくなりますが、そのぶん景色はどんどん壮大に。
私たちが訪れた日は雲が多く、視界は少し残念でしたが、晴れた日には遠くのスイスやオーストリアのアルプス連峰まで見渡すことができます。
360度の大パノラマビューを前に、「小さな国に、こんなに壮大な自然があるなんて!」と驚かされ、ここでしか味わえない景色に出会えます。

自然の静けさと圧倒的な景観に包まれるラッペンシュタイン登山は、リヒテンシュタイン旅のハイライトになること間違いなし。
登山好きの方には、ぜひチャレンジしてみてほしい山です。
まとめ:小さな国でも大きな魅力が詰まっていた
リヒテンシュタインは、日本ではあまり知られていない国ですが、実際に訪れてみると、静かで穏やかな空気感や、手つかずの自然の美しさに、私たちはすっかり心を奪われてしまいました。
有名観光地のような人混もなく、観光客も多すぎず、自分たちのペースでのんびり旅を楽しめるというのが最大の魅力!
1日あれば主要なスポットを巡れてしまうほど小さな国なのに、なぜか「もっと散策したい」と思わせてくれる居心地の良さがあって、気づけば2年連続で訪れてしまったほどです。
知る人ぞ知る“隠れたヨーロッパの宝石”のようなリヒテンシュタイン。
次の旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか?