ワーゲンバスキャンピングカー改造記〜DIY塗装に挑戦!〜
過去2回にわたって、『1978年製のワーゲンバス』のDIY補修を様子をお届けしてきましたが、今回は、塗装に挑戦!
その方法や様子をご紹介します。
自分で車を塗装してみたいと考えている方は是非、今回の記事を参考にしてください。
目次
過去のDIY補修の様子
DIY塗装の様子をご紹介する前に、ワーゲンバスが元々どんな状態だったのか、今まで行ってきた補修も含めて、簡単に振り返ってみたいと思います。

こちらが今回DIY補修を行った、「フォルクスワーゲンType2」通称「ワーゲンバス」です。
1978年製の車で、ウエストファリア社によって内装がキャンピングカー仕様に架装されています。
このレトロでおしゃれな雰囲気から、ボロボロさもまた魅力と目を背けていましたが、じっくり見てみると42年間分の錆のせいで劣化が進み、ボディ全体がひどく傷んでいました。
まず補修の最初に取りかかったバンパーは、塗装の下から錆があふれ出し、所々曲がってしまっています。
ボルトそのものまで錆びて固着し、研磨・錆取りの工程にかかった期間はなんと4日間。磨いても無限に出てくる錆には本当に骨が折れました。

また、リア部分の錆はとりわけひどく、ボディがボロボロと崩れている有様。

前オーナーが補修に貼ったアルミテープを剥がしてみると、ボディだと思い込んでいた部分は完全に崩れ落ち、大きな穴が……。
テールランプ下側で辛うじてつながってはいますが、ブラブラといつ落ちてもおかしくない状態です。
このようにボディのいたる所が、劣化し崩れ始めていましたが、サビを削りFRP補修などすることで、なんとか一通りの補修を終えました。
こちらのDIY補修の工程や様子を詳しく知りたい方は、過去の記事で紹介していますので、ぜひご覧になってください。
▼『バンパー修理編』はこちら
▼『リア部分のFRP補修に挑戦!』の記事はこちら
車の塗装を行う際に用意するもの
DIYで塗装を行うために準備したのは、ハケ(15〜50mm)、シンナー(1L以上)、新聞紙、マスキングテープ、マスカー、手袋、ブルーシート、サンドペーパー(120、240番)、ウエス、4インチローラー、ローラーバケット、調色用プラカップです。
車の塗装の工程を紹介
車の塗装は、大まかに下記の8つの工程に分けることができます。(今回の方法はあくまでも筆者が行った方法です)
①ボディのやすりがけ
②マスキング
③シンナーで脱脂
④サーフェイサーで下地作り
⑤ボディのやすりがけ
⑥色を決めて、調色を行う
⑦ボディの塗装
⑧仕上げ
ボディのやすりがけ(足付け)
まず初めに行ったのが「ボディのやすりがけ(足つけ)」です。
この工程はボディ表面の汚れを落とすと同時に、細かな傷をつけ、塗料が定着しやすい土台を作るために行います。
やり方としては、電動のランダムサンダーを使用して、粗さ120番のやすりで、ボディ表面を満遍なく研磨します。
表面のツルッとした光沢がとれ、ザラザラとした手触りで、全体が曇ったらOKです。
細かい傷がつくと、塗料が接する表面積が増え、塗装が剥がれにくくなります。
この工程をしっかりと行わないと、塗装が剥がれてしまう原因にもなるので、しっかりと行いましょう。
マスキング
塗装の下地を入れる前に、余計な部分に塗料が付着しないよう、新聞紙やテープを使って「マスキング」していきます。
マスキングするのは主に、窓やミラー、ライト、タイヤなど。
また塗装に邪魔なパーツは、できる限り外しておくと後の作業がしやすいですよ。
窓のマスキングは、窓枠(ゴム部分)にマスキングテープを貼り付けて保護してから、新聞紙で窓全体を覆います。
広範囲をマスキングしたい場合は、マスカー(マスキングテープと養生シートが一体化したもの)を使って保護していきましょう。
シンナーで脱脂
続いて、ウエスにシンナーを染み込ませて、ボディ全体をキレイに拭き上げます。
ボディ表面の油や汚れ、ほこりを取り除くことで仕上がりがキレイになります。
サーフェイサーで下地作り
次にサーフェイサーで下地作りを行います。
サーフェイサーとは、塗料の吸着性の向上や塗膜を長持ちさせるために行う「下塗り」のことです。
必ず必要な工程ではありませんが、仕上がりをキレイにし、塗装を長持ちさせたい方はサーフェイサーを塗ることをおすすめいたします。
サーフェイサー原液に、硬化剤を入れ、ローラーやハケを使用して塗り広げます。
厚塗りせず薄く塗り広げ、しっかり乾いたらもう一度全体に薄く塗る、という工程を2〜3度繰り返します。
ボディのやすりがけ
サーフェイサーを行った後は、始めと同様の方法で、ボディのやすりがけを行います。
やすりの粗さは240番で、足付けの時よりも細かいものを使用するのがおすすめです。
せっかく塗ったサーフェイサーが剥げてしまわないよう注意しながら、手で触って、表面がボコボコしない程度まで全体をやすりがけします。
色を決めて、調色を行う
塗装を行う前に、色を決め、調色を行い、塗料の準備をしておく必要があります。
今回は知人の業者に塗料の製作を依頼しましたが、そんなツテがないという方はタカラ塗料さんがおすすめのようです。
刷毛やローラーで誰でも簡単に塗ることができる塗料を販売しており、調色も行ってくれるようです。
お好みの色を指定する際は、カラー番号を伝える方法や、プラモデルなどの塗装に使用する塗料を直接渡すという方法もあります。
筆者はカラー番号が分からなかったため、塗料を直接渡す方法を選択しました。
ボディの塗装を行う
塗料も完成し、下地の仕上げも完了したら、ついに塗装を開始します。
塗装前には細かな汚れを落とすため、キレイなタオルで乾拭きを行いましょう。
車両全体を同じ色で仕上げるには、使用前に塗料をよくかき混ぜるのが重要なポイントです。
プラカップに塗料を入れたら、硬化剤を既定の量加えて、よくかき混ぜます。
まずは、ローラーが届かないような細かな部分をハケで塗っていきます。
細かな部分を最後に塗ってしまうと、ハケの跡が残ってしまうことがあるため、最初に塗ることをおすすめいたします。
細かな部分をハケで塗り終わったら、ローラーで塗り広げていきます。
今回は表面をボコボコに仕上げるために、あえて粗いローラーを使用しました。
ここで注意しなければいけないのが、一度に大量の塗料を塗らないということです。
一度に大量の塗料をつけて塗ると、乾く前に塗料が垂れて、仕上がりが悪くなってしまいます。
乾いた後に、また上から薄く塗る工程を2〜3回ほど繰り返して仕上げるため、一度目はあまり几帳面にならず、薄く塗り広げましょう。
塗料がしっかり乾いたのを確認したら、2回目の塗装です。1回目に塗った塗料の上に優しく重ねていくようなイメージで塗っていきます。
全体が塗り終わったら、再び乾かして仕上がりを確認します。まだ下地が見えている場所が多くあるようであれば、3回目の塗装を行いましょう。
このように、何度も繰り返して少しづつ塗装を行うとキレイに仕上がります。
キレイに塗るポイント
・一度に仕上げようと思わず、薄く均等に塗り、それを何度も繰り返す
・垂れた場合は乾く前にローラーで伸ばす
仕上げ
塗装が終わったら、半乾きの状態でマスキングテープを剥がします。
完全に乾いてからマスキングテープを剥がすと、剥がれにくくなったり、塗装まで剥がれてしまうため注意しましょう。
マスキングテープを剥がした後は、塗り漏れがないかを確認し、ハケを使って細かな修正を行います。
塗料が完全に乾いた後は、外していた部品を取り付けて完成です。
塗装後の様子
塗装後の仕上がりはこちらです。
目の粗いローラーを使用することで、表面にボコボコを作り、あえて手塗り感を出しました。
初めてのDIY塗装でしたが、個人的には満足できる仕上がりとなりました。
自分の好きな色に染めることができた喜びや達成感は、実際にやってみないと味わう事はできません。車への愛着もより一層深まりました。
塗装を実際に行った感想やメリット、デメリット
塗装を実際に行った感想としては、「大変ではあるが、初心者でも塗ることはできる」ということ。
車の塗装は初めての経験でしたが、やり方に沿って行えば、満足できるクオリティで仕上げることができました。
自分で塗装を行うメリットとしては、塗装費用を抑えられることや、自分の好きなように塗装することができるという点です。
実際に挑戦してみるまでは、車の塗装を自分で行うのは無理で、何十万円もかかるのだと思っていましたが、自分で塗装を行えば、数万円程度でできることが分かりました。
また、カラーや表面の仕上がりなどを自分の好みに仕上げることができます。
安価で、自由度が高いのがDIY塗装のメリットだと感じました。
デメリットとしては、プロの塗装屋さんのように、表面をツルツルに完璧に仕上げることはできないという点です。
ハケやローラーでは、どうしても表面はマットな質感になり、塗りムラもできてしまいます。細かな点を気にする方は手塗りでの塗装はおすすめいたしません。
また、塗装作業は思っているよりも時間と労力を要します。
車種や塗り方にもよりますが、筆者の場合はやすりがけから完成までに1週間程を要しました。
体力と根気を要する作業となります。
車のDIY塗装に挑戦してみよう!
以上、今回は愛車をDIY塗装した様子と方法を紹介いたしました。
初めての挑戦でしたが、非常に満足するクオリティで仕上げることができました。
体力と根気さえあれば、どなたでも挑戦することができるので、今回の記事を参考に、是非DIY塗装に挑戦してみてはいかがでしょうか?