モバイルハウスを自作した生活冒険家・赤井成彰さん
今回インタビューさせていただいた「生活冒険家の赤井成彰さん」は、トラックの荷台にモバイルハウスと呼ばれる家を自作し、そこに住みながら全国を巡っています。
今回は、モバイルハウスとは何か、その内装や生活の様子、またどのようにして製作したのかについて詳しく教えていただきました!
モバイルハウスとは?
モバイルハウスとは一言で言うと『移動する家』のことです。
キャンピングカーもモバイルハウスの一部ではありますが、現在ではモバイルハウスと言うと、トラックの荷台に自作した小屋を載せたものを指すことが多いです。
考え方の起源は小さな小屋に住むタイニーハウスムーブメントから来ており、モバイルハウスを自作することで居住場所や住宅ローンといった縛りから解放され、ミニマムで自由な生活の実現を目指しています。
手作りだからこそできた外装と内装のこだわり
こんにちは。今回は赤井成彰さんのモバイルハウスをDRIMO読者の皆さんに徹底的にご紹介できればと思います。
こんにちは、生活冒険家の赤井成彰です!僕は自作したモバイルハウスに住みながら全国を移動して生活を送っています。今回はそんなモバイルハウスの魅力をお伝えできればと思います、よろしくお願いいたします。
それではまずはじめに、モバイルハウスの外観についての質問です。おしゃれで可愛らしい鱗のような感じになっていますが、なぜこのような外観にしたのでしょうか?
ズバリかわいいからです(笑)いろんな建築物を参考にしていく中で、最初はただの板を鱗状に貼ろうと思っていました。色々な鱗状のデザインを見ていたら「丸い方が可愛い」と思い、丸い鱗のデザインにしました。
鱗のパーツ製作と貼り付けには1ヵ月半もかかり、完成までの半分の期間をこの外装に費やしてしまいました。作業の大変さが全く分かっていないDIYど素人だからこそ実現したデザインだと思います。もう一度「同じデザインで作って」と言われても断るかもしれません。(笑)
ものすごい数の鱗をカット、加工して一枚ずつ貼り付けて、、考えるだけでも心が折れます。でもそれだけ手を掛けたからこそオンリーワンの魅力がありますね!声をかけられることも多いんじゃないですか?
宿泊先や駐車場ではよく声をかけられます。みなさん最初は物珍しがって見て行きますが、内装を紹介すると「意外と住み心地良さそうだね」なんて言ってくれる方が多いです。
確かに、実際に見ると思ったよりも空間が広いですね!中の広さはどのくらいなんでしょうか?
横が135cm、奥行きが310cmで約2.3畳です。直立することもできますし、寝るときも広々と寝ることができますよ。
それだけの空間があれば一人の人間が寝泊りするには十分の広さですね。杉の木の香りと温もりが感じられて、新築の家にいるようです。
内装でこだわったところはどこでしょうか?
いくつかこだわった点がありますが、一つ目は縁側を作ったことです。
自分の理想の家に縁側は必要不可欠でした。モバイルハウスの計画を立てる上で「どんな家に住みたいか」を考えたときに、絶対に外せない3つのポイントがありました。
それは『天窓があって朝日で目覚めること』、『横長の窓があって景色を切り取れること』、そして『縁側があり、停まった場所すべてを庭にすること』でした。うちの縁側はまさに『どこでも縁側』。縁側を開いた場所がすべて自分の庭になるデザインはとても気に入っています。
過去に小学校3年生の子供が6人乗ったことがあるので一人30キロとすると180キロくらい耐えられるのではないかと思います。ただ、縁側の固定方法は試行錯誤しながら自作したものなので具体的な耐重量は分からず、大人が乗る場合は2人までに留めています。
縁側を開いた場所がすべて自分の庭になるという発想は、とても素敵ですね!他に内装でこだわった点はありますか?
跳ね上げ式になっているので普段はたたんでおいて、料理や作業で使用する時のみ上の写真のように展開します。
廃材の床板と、内装に使った板の端材を使って作りました。なので費用はAmazonで買った金具代の約1300円のみで済みました。
なるほど。限られたスペースを有効活用するアイデアが盛り込まれているんですね。使い勝手も良さそう!
衣類は下の写真のように、運転席の上に作ったスペースに収納しています。
モバイルハウス生活のリアル
料理は基本的にカセットコンロを使用しています。飲料水などは旅先の湧水をポリタンクに汲んで使用しています。地元の食材や湧水を使用した料理を毎日楽しむことができるので、食に関してもとても充実しています!
また、料理の時はなるべくエコにも気をつけています。水は土に還すようにしているので、油や洗剤を使わないように配慮していたり、ゴミも出ないように包装されているものはなるべく買わないようにしています。
各地の地元食材を味わうことができるのは、モバイルハウスらしい魅力ですね!環境のことを考えながら、洗い物やゴミを減らす工夫をする姿勢も素晴らしいです。
次に、寝具はどのようにしているのでしょうか?
ベッドは折りたたみ式のものを使用しています。普段はソファーとして、寝るときは広げるとシングルベッドと同様の広さになるので快適に寝ることができます。
モバイルハウスの利点を生かして基本的には夏は涼しい地域へ、冬は暖かい地域に移動するようにしています。
また、壁には家庭用の断熱材を使用しているので、ある程度の温度変化にも対応できています。あとは暑ければ窓を開けて、寒ければ服を着込みます。
どこでも移動できるモバイルハウスらしい対策方法ですね。断熱性が高いことには驚きました。
モバイルハウス製作の費用と期間について
次は製作の過程や、製作にかかった費用などを質問したいと思います。まず、製作の過程と、完成までにかかった期間を教えてください。
工法としてはパネル工法を用いています。床、壁、屋根のパネルを作り箱状にしました。
箱ができたら、透湿防水シートを巻いて、外装、内装を貼れば完成です。製作期間はDIY素人の僕がゆっくり作って3ヵ月でした。
この後に軽トラサイズでもう一つ製作したのですがそちらは1週間で完成させました。
完成した姿を見ると、3ヵ月でも驚きです!製作中の赤井さんの表情も本当に楽しそうですね!
では一番気になる製作の費用についてです。製作にはいくら掛かったのたのでしょうか?
費用はトラックが約50万円、モバイルハウスに約29万で総額80万円ほど掛かりました。ただ、この資金はクラウドファンディングで集めることに成功しました。
家を買ったり、家賃を払い続けることを考えるとかなり安く感じますね。さらにその資金をクラウドファンディングで集めるとは、さすがです!それだけモバイウルハウスへの注目が高まっているんですね。
本当に多くの方に支えられてモバイルハウスを作成することができました。あとは僕の活動を通じてモバイルハウスの製作方法や魅力を伝えていけたらと思っています。
モバイルハウスのメリットとデメリットについて
モバイルハウスで生活して感じるメリットはどこでしょうか?
家賃がなくなったことによって、時間やお金に追われることが減ったことが一番大きなメリットです。このような生活をすることで、改めて家を持つことでかかる費用やそれによって縛られることの多さを実感しました。
他には全国各地の色々な人に会いに行きやすくなったり、お酒を飲んでもすぐに帰れるなんてこともメリットですね。
モバイルハウスで生活することによって、今まで当たり前だった家賃という存在を見つめ直すことができたんですね。
では、逆にデメリットや苦労した点はありますか?
んん~…これと言って苦労した事はあまりないですね…
強いて言えば、モバイルハウスで生活する事が『暮らす』ではなく『旅』になっていることに悩んでいます。
日常が『旅』になるのはモバイルハウスの良い点とも言えるのですが、僕は『暮らす』ということをもっと深めていきたいと思っているので、今は長期間定住してもっと地域の人と深く関わっていけたらと考えています。
なるほど。『暮らすとは』というところが、赤井さんのモバイルハウスでの生活の1つのテーマなんですね。
『旅をしながら暮らす』と『暮らしながら旅をする』でも大きく生き方が変わってきますし、これからのモバイルハウスでの生活で、また別の『より豊かに暮らす』方法が見つかるかもしれないですね!
それでは最後にモバイルハウスを通して感じたことと、今後の展望を教えてください!
モバイルハウスでの生活はまだ途中段階ですが、その中で僕が感じたことは「モバイルハウスには暮らせる、けど何か足りない」です。その足りない何かを埋めるのは『人と土地との繋がり』だと思っています。
そこで、今年は空き地にリビングと風呂、キッチンを作り、モバイルハウスという個室がドッキングできるようなシェアハウスを作ろうと計画しています。そこで生活することで自分がどう感じるのか実際に体験し、生活冒険家として新しい暮らし方を開拓していきます!
以上、今回はモバイルハウスとは何か?そしてその内装や生活の様子をお伝えしました。ぜひ皆さんも新しい生活スタイルである「モバイルハウス」に注目してみてください。