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知らなきゃ損!冬こそ楽しむべき車中泊の魅力と特別な理由

冬の車中泊が特別な理由と魅力

冬こそ車中泊向きな季節?


冬は、車中泊やキャンプの初心者にとって敬遠する人も多い季節で、経験豊富でも億劫になる人が少なくないが、しっかりと防寒対策をしていれば快適で、大きな魅力が多々あるのが冬の車中泊旅だ。

これまでを振り返ってみると、数えたことなどないが、私は夏より冬の方が圧倒的に車中泊をしてきた回数が多かったように思う。

本稿では、そうなった経緯や理由、冬の車中泊の魅力などを紹介したいと思う。

寒さがもたらすメリット


冬 車中泊 魅力

季節や気温によって、景色やできることも多種多様で、「この時期でなければ楽しめない」というようなことも多々あるが、まずは気温が低いことが実質的に良い方向に作用することについて考えてみよう。

暑さをしのぐより寒さをしのぐ方が容易


寒さの利点として最初に挙げられるのは、冷やすより暖める方が簡単ということだ。

ひ弱なヒトという動物の体にとって、寒いことは全く良いことではないが、暑すぎてもダメで、近年、夏の暑さがより厳しくなっているのは周知の通りだ。

車中泊旅での暑さ対策には、冷感寝具など電力を使わずに暑さを緩和する方法も色々あるが、効果には限度がある。

暑さから逃れる場合


冬 車中泊 魅力

扇風機なども役立つが、車内のような狭く閉ざされた空間では、効果に限度があり、比較的消費電力が少ないとは言え、電力が途絶えてしまったらお終いだ。

結局のところ、猛暑や酷暑のような暑さから完全に逃れるには、涼しい場所に移動するか、大きな電力の必要なエアコンに頼るしかないことになる。

「夏は涼しいところへ行けば良い」とアドバイスする人もいるが、旅をする目的が「何処かへ行く」ことではなく、行きたい場所が決まっている場合には何の解決策にもならない。

そんなわけで、暑さが厳しくなり、歳をとって体も暑さに対して弱くなるにつれ、夏に車中泊をする機会が昔よりずいぶん減ってしまった。

寒さから逃れる場合


冬 車中泊 魅力

それに対し、寒さは暖かい服を重ね着したり、暖かい寝袋に潜り込んだりするだけで、かなりの低温でも対処することができる。

そして、その場合の熱源は基本的に自分の体温だけだ。

極地で暮らしてきたイヌイットの人々のことなどを考えると、日本のしかもクルマで行けるような場所であれば、この方法だけで対処できる。

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極論を言えばそうなるが、自分の体温と衣類だけでは足りないと感じる場合も、使い捨てカイロを併用するなど、電気や火に頼らず比較的簡単に補うことができる。

もちろん暖房器具などがあれば快適に過ごせるが、クルマを宿にして旅する場合は、暑いより寒い方が好条件であることは確かだ。

寒くなると虫が減る


虫を嫌う人は多く、それがアウトドアで嫌なことの上位に入るようだ。

また、虫全般が嫌いでなくても刺す(噛む)虫は誰にとっても嫌なものだ。

冬 車中泊 魅力

虫の多い季節の車中泊は、それなりの対策も必要になる。

基本的に気温が低い方が虫の数は全般的に少なくなるが、例えば、蚊が最も活動が活発になる気温は20℃~30℃で、それはヒトが快適と感じる気温と重なってしまう。

気温が30℃以上になると、先述の通り、暑くて車中泊には悪条件となってしまうが、蚊の活動は抑えられる。

つまり、暑さ問題も蚊などの問題も解決される気温である20℃以下の季節は、車中泊旅には大変好条件ということだ。

寒くなると人が減る


寒くなって減るのは虫だけではない。人出が減る場所も多い。

人も車も少ない方が何かと良いことは多い。

冬 車中泊 魅力

例えばこの湖畔の駐車場は、約30台分のスペースがあり、枠外に余裕もあるので40台ほど停められるそこそこ大きな駐車場だ。

ゴールデンウィークや11月下旬から12月上旬の土日祝日は、新緑や紅葉を湖面から楽しむためにカヌー・カヤック・SUPなどを積んだ車が集まり、この駐車場とその進入路は100台近くかそれ以上の車で埋め尽くされ、駐車場所に困ることもある。

しかし、その数日以外は混雑することなどなく、夏も程々で、冬はバス釣りをする人も減り、12月半ばから3月にかけては、ほぼいつもガラガラの状態になる。

冬 車中泊 魅力

ところが、これは12月24日に撮った写真なのだが、驚くことにクリスマスになっても綺麗な紅葉が所々残っている年もある(紅葉の最盛期は年によって大きく変わる)。

空気が澄んだ冬の湖上の景色はなかなかに素晴らしく、綺麗なカワセミなどに出会えるチャンスも多いのに、他に人も車も全くいなくて、2・3週間前の混雑がウソのように思える日だった。

冬 車中泊 魅力

この湖畔は家から車で20分ほどの近所なので、私がここで車中泊をすることはないが、このように本当は冬も良いところなのにガラガラになってしまう駐車場は、全国各地に案外少なくないと思う。

当然ながら、夏はお祭りのように賑わう海岸も、冬は全く人出が減る。

しかし、次の項目で述べるが、冬の海は実は一日中魅力が多く、車中泊をして楽しむのにも大変良い季節なのだ。

次のページ▷▷▷【冬しか見られない絶景!車中泊旅をしたらぜひみてほしい!



冬の海は魅力が多い


冬 車中泊 魅力

冬景色というと、雪を思い浮かべる人が多いのではないかと思う。

もちろんそれも良いのだが、語るまでもないことなので、年がら年中海岸近くで過ごしている者が、案外見落としがちな冬の海の魅力を紹介しようと思う。

晴天率の高い冬の太平洋側の海


冬の海というと、あまり海に馴染みのない人は荒々しい冬の日本海のような海を思い浮かべてしまう人も多そうだが、実は冬の日本海は穏やかな日が多く、車中泊旅向きだ。

そして、肝心なことだが、冬の海はどこでも寒々しく荒れているわけではなく、基本的な気象条件として、冬の日本列島太平洋側は晴天率が高い

もちろん海の様子は日々異なり、ちょっとした海岸の向きや風向きの関係で荒々しく見えることもあるが、関東以西の冬の太平洋沿岸の多くは晴天が多いだけでなく、海上が穏やかな日も案外多い。

そして、海水の透明度が高く、空気が澄んで遠くの物がよく見えることも多く、人出も少ない。

冬 車中泊 魅力

上の写真は冬の房総半島西岸から見た光景だが、手前に三浦半島、その奥の伊豆半島、さらに奥の富士山と、全てが大きくくっきりと見える。

また、日の当たる晴天の海岸で壁などを背にして座っていると、太陽が低い位置にある冬ならではの、壁が「陽だまり」になり、暑いくらいに感じることさえあり、目をつむり波の音を聴いていると、遠い南の島を旅した時の記憶が蘇ってくるほどだ。

晴天率が低く、北西からの風が吹きつけて海が荒れ、南国らしくなくなってしまう日の多い冬の沖縄本島や奄美大島の東シナ海側より、むしろ関東以西の本州太平洋沿岸や四国の方が景観が美しく、暖かく感じられる日が多いくらいなのだ。

このように、海水浴でもしようというのでなければ、関東以西の冬の太平洋沿岸は車中泊旅に好条件が揃っている。

空気が澄んでいる冬の海の景色を楽しむ


冬は日が沈む時刻が早いことが残念だが、先述の通り冬の太平洋側は晴天率が高く空気が澄んでいる日が多い。

海に沈む夕日


晴れていても、水平線に沈む夕日を拝める機会は意外に多くはないのだが、雲が少なく空気が澄んでいる冬はそのチャンスが多い。

夕日が水平線に沈むのを見られるのは、基本的に西向きの海岸ということになるが、夏は日が沈む方角が北寄りになり、海面に沈まなくなる場所が増えてしまう。

一方、冬は日が沈む方向が夏より南寄りに移動するため、夏より海に沈む夕日を見られる場所が多くなる。

地形によって条件が反対になる場合もあるが、太平洋側の西向きの海岸ではこのような傾向が高い。

冬 車中泊 魅力

例えば上の写真は、房総半島西岸の7月下旬の17時頃の光景で、日の位置はまだ十分に高い。

夏は日が長くて遊べる時間が長いのは良いことなのだが、この後、太陽は水平線上には沈まず右手の山に隠れてしまう。

これはこれで綺麗だが、日没後は下の写真のように薄ぼやけたような光景になってしまう。

冬 車中泊 魅力

それに対し、下の写真は同じ場所の今年の元日16時頃の光景だ。

冬 車中泊 魅力

夏の17時頃はまだ日差しがあり、波乗りも楽しめる時間帯だったが、冬の16時はすでに日没寸前だ。

しかし、日の沈む方角もまるで違い、太陽は伊豆半島先端と伊豆大島のちょうど中間辺りの水平線に綺麗に沈む

そして、色もシルエットもくっきりしている。

冬 車中泊 魅力

日没が早く、遊べる時間は短くなってしまうが、こんな素晴らしく見事な光景を拝むことができるのは冬ならではなのだ。

日没後の夜空


空気が澄んでいるから見事な日没を拝むことができるが、日没後の光景も素晴らしい。

冬 車中泊 魅力

12月後半撮影



上の写真に写っているのは、月入前の上弦の月だが、日没後の西の空に「宵の明星」(金星)が現れるのも10月頃から3月頃までの期間だ。

金星も月と同じで、太陽に照らされて光っているが、宵の明星はまるで恒星のように光り輝き、「飛行機?」と見間違うことさえあるほどだ。

冬 車中泊 魅力

そして、ちょっとしたズームレンズ付きのコンデジやスマホで撮った写真でも、アップにすると上弦の月のような形に光っていることがわかる。

こんな楽しみや発見があるのも冬ならではだ。

魅力的なのは自然の風景だけではない


冬は遠くの物がよく見えて、大きく見える傾向があるが、見ていて楽しいのは自然の風景だけではない。

例に挙げた房総半島西岸や、紀伊半島西岸などは大型船の行き交う数の多い海域だ。

冬 車中泊 魅力

そんな船を「あの船は何ヶ月航海してきたのだろうか?」「あの巨大な船は何を積んでいるのだろうか?」「乗組員たちは今頃もうすぐ陸だと浮き足立っているのだろうか?」とか、「あの船はこれから何処へ向かい、何日間の航海に出るのだろう?」などと勝手に想像しながら眺めるのも楽しいものだ。

夜空もまた良い


私は夜空を見て柄杓はそう見えることも理解できるが、たくさんある星の点を繋いで蠍や熊にはどうしても見えないようなタイプなので、全く星には詳しくない。

しかし、星を眺めることは好きで、無人島などに行くと、夜は浜に仰向けに寝転んで、ただ星を眺めて過ごすようなことも多い。

冬の太平洋側は空気が澄んで星もよく見えるので、夜空もまた良い。

ホットワインやアルコールがダメな人ならホットチョコレートや甘酒でも飲みながら、ただボーッと星を眺めているだけでも楽しい。

そんな風にして長時間星を快適に眺めようと思ったら、万全な防寒対策も必要だが、リクライニングできるチェアがあると便利だが、首を支える高さのシートバックがある物を選ぶことが重要だ。

私はコールマンのレイチェアという製品を愛用しているが、胴の長い私でもしっかり頭が支えられる高さがあるので、安全で快適(首が支えられていないと疲れるだけでなく、うたた寝してしまった際に首がカクッとなって危険)に空を見上げられていられる。


冬は温泉巡りにも最適な季節


世の中には「風呂好き」の人と「あまり好きではない、または嫌い」な人がいる。

私は、「暖かい季節はシャワーで十分」、「暑い季節なら水でも浴びておけば良い」、「大勢の人が入っている浴槽はどちらかといえば苦手」、海水で濡れるとベトベトして嫌だという大半の意見に反して、「海水で汗を流したからシャワーも必須ではない」と考えるタイプなので、完全に後者に属する。

しかし、そんな私でさえ風呂の魅力に惹きつけられてしまったのだから「冬と温泉の組み合わせ」は凄いと思う。

その経緯は以下の通りだ。

冬 車中泊 魅力

私が車中泊をするようになった頃の主な目的は、雪のある山までの移動と、クルマを雪山へ入る際のベースにすることだった。

同じような人は多いと思うが、そんな風にして各地の山を回り、バックカントリースキー・スノーボードを楽しんできた。

そして、元々あまり風呂が好きでなかった私でさえ、雪山から降りてきて入る温泉は格別であることを知ってしまったのだが、雪が降る秘湯の露天風呂に入る楽しみなども覚えてしまった。

また、バックカントリースキーを楽しみに行くような山の付近には温泉が多いということもあり、そうこうしているうちに趣味でもないのに、いつの間にか全国各地の結構な数の雪国の温泉を巡っていた。

そして、秘湯と呼ばれるような温泉は交通機関が発達していないところが多いこともあり、冬はさらに訪れる人も少なくなって良いのだが、宿も少ないようなところも多いため、車中泊と冬の秘湯巡りは相性が良いことも知ることになった。

湯治場の利用も良い


秘湯と呼ばれるようなところには、湯治で長い期間滞在する人のために、安い宿泊費で自炊もできる湯治場のある宿もある。

冬の温泉の魅力を覚えてしまった私は、八甲田の酸ケ湯温泉や八幡平の後生掛温泉などの湯治場に数泊してバックカントリースキーを楽しんだことなどもあった。

宿泊費も安く、体に良さそうな温泉に浸かった後に、暖かい室内からしんしんと降る雪を眺めながら暖かい食事にありつけるのも最高だ。

安上がりで快適な旅ができるので、クルマの中に寝ることばかりに拘らず、湯治場の利用もぜひオススメしたい。

時間のある人なら、車中泊と湯治場を組み合わせて温泉巡りの長旅をするなども良いと思う。

防寒装備のお金のかけどころ


人によって価値観の違いがあるので、自分の価値観を押し付けようなどとは思わないのだが、私は寒いからと言って車内に籠ってばかりでは旅に出る意味がないと思うタイプなので、暖かい服が非常に重要だと思っている。

また、冬の車中泊の防寒対策についての話題は、ヒーターや寝具などについてが中心になりがちだが、暖かい服は外だけでなく、車内でも使うことができて、燃料やバッテリー切れの心配もなく、一酸化炭素中毒などの心配もない。

具体的にどんな衣料を揃えたら良いかなどについてはここでは割愛するが、冬の車中泊旅にとって防寒衣料は大切だ。

冬 車中泊 魅力

また、私も大変便利なポータブル電源が登場してからポータブル電源を大いに活用してはいるが、電気に完全に頼るのは無防備すぎると思う。

火も電気もなくても、エンジンをかけっぱなしにしておかなくても対処できる装備(衣服や寝具)を備えておくことは基本中の基本だ。

経験したことのない人も敬遠していた人も是非冬の車中泊旅を


冬 車中泊 魅力

他にも冬は暖かい食べ物がより美味しく感じるとか、冬にしか見られない動植物を見に行く、寒さから守ってくれる愛車がより愛おしく頼もしく感じるなど、冬の車中泊の魅力は他にもまだまだあり、挙げたらキリがない。

具体的な防寒対策に関しては、DRIMOの他の記事にも多々あるのでそれらを参考にしていただくとして、これまで冬は敬遠していた人も初心者の皆さんも魅力の多い冬の車中泊旅を是非体験していただきたいと思う。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。