道端

正しい車中泊の仕方と寝る場所の探し方



車中泊をするには、大きく分ければ有料のキャンプ場やRVパークなどのような専用の場所を利用する方法と、「そうではない場所に駐車して寝る」の二通りがある。

後者の場所としては、無料の駐車場、有料の駐車場、空き地、無料のキャンプ場などが考えられるが、中でもポピュラーなのが道の駅の駐車場と高速のSAやPAだ。

私もたまに「宴会が目的」のようなキャンプをすることがあって、そういった場合は他人の迷惑にならないサイトを選び、節度をわきまえてキャンプ場を利用するが、基本、旅で車中泊をする場所は、後者の「そうではない場所」を利用することが殆どだ。

キャンプ場

その理由はこの後で述べるが、「そうではない場所」で車中泊をするのは何か本当は正しくないことをしているような何かグレーなイメージが漂ったり、法令違反(法律・条例含め)となってしまう場合もある。

法令違反となってしまうような場所での車中泊は論外として、果たして道の駅の駐車場や高速のSA・PAで寝るのはグレーであったり後ろめたいことなのだろうか?

そこで、その「そうではない場所」の正しい利用の仕方や、適した場所の選び方、探しかたなどについてまとめてみた。

専用の場所でないところで車中泊して旅をしたい理由


富士山バック

まずは、RVパークやキャンプ場を利用するアドバンテージを挙げてみよう。

•決められたルール通りに利用していれば全く法令違反になることなどない。
•安全性が高い。
•施設によって内容は異なるが、電源・シャワー・風呂・トイレ・炊事場・ゴミ処理・ダンプステーションなどの設備やサービスが、無料または有料ポプションで利用できる。


キャンプ場2

逆に不利な点を挙げると、以下のようなものがある。

•予約が必要な場合が多い。その手間がかかるだけではなく、満車で利用できないケースもある。
•チェックイン・チェックアウトなどの時間的制約がある。
•宿泊したい地域にこうした施設があるとは限らない。と言うより、まだまだ日本では数が少ない。
•施設によって料金は異なるが、当然ながら利用料金が必要。特に一人旅の場合は割高になってしまうケースが多く、場合によってはビジネスホテルなどに泊まった方が割安になってしまうようなことも起こり得る。
•良い環境の場合もあるが、逆に全く風情のない場所であったり、スペースが狭い施設もある。


ディスアドバンテージほうが数が多いけど、数の問題ではなくて強力なアドバンテージはあると思う。

それは何かモヤモヤした気分になることなどなく、正々堂々と、そして何より安全に車中泊ができることだ。

特に家族連れや女性の場合は、安全性のことなどを考えたら費用節約のためにこうした施設を利用しないなんてことは考えないほうが良いと思う

私もケチって利用しないわけではない。

特別理由がなければ、極力こうした施設を利用すべきだと思う。

道端PA

しかし、私がどうしても譲れない条件が、不利な点として挙げた上の三つだ。

特に予約や時間的な制約が私にとっては大きな問題となってしまう。

私が車中泊旅に最大の魅力を感じるのは費用の節約などではなく、時間を自由に使えて、予定をきっちり組まなくて良い点だ

自然条件は人の決めた時間割に合わせてくれない。

海の状況等に応じて動きたいからだ。

時間の制約を受けないのは魅力と言うより、私が車中泊で旅をする理由そのものだ。

海岸2

入退場時間が決められていて、前もって予約しておかなければならない旅をするのなら、むしろ車はスポーツカーに替えてホテルに泊まって旅をしたい(そんなお金がないのも事実だけど)と思うくらいだ。

もしRVパークがコインパーキングのような使い方ができて、コインパーキングほどとまでは行かなくとも、あちこちにあったとしたら、ちゃんとそれを利用すると思うのだが、現状はそうではないから、道の駅やSAで休息をとって旅をしているのだ。

仮眠・休憩・宿泊


では「グレー」がどういった意味なのか、それについて整理してみたい。

バネット

高速のSA・PAや道の駅などにはお店やレストランなどがあるが、一般のお店やレストランの駐車場のように、買い物や食事をするため専用の駐車場というわけではない。

安全に車を運転するために必要な休憩場の役割を担っている。

例えば、国土交通省の「道の駅登録要件」には休憩機能が含まれていて、24時間無料で駐車場を利用できることが明示されている。

知っている限りでは、特に駐車時間の制限が設けられていることもないようだ。

道の駅1

安全に車を運転するために、こうした場所で休憩し、必要であれば睡眠をとってもルール違反ではないはずだが、何となく「仮眠程度なら」のようなイメージもある。

それで、「仮眠」を辞書(スマホアプリの大辞林。以下同じく辞書=大辞林。)で引くと「短時間の浅い眠り。」となっているのだが、「短時間」についての定義はない。

また、そう言われると短時間の深い眠りは何と呼ぶのかも訊きたくなってしまう。

「仮眠」の定義も曖昧だけど、浅い睡眠をとっただけで車を運転するのは危険なのでは?といった屁理屈のような疑問も湧いてくる。

何が「仮眠」で、どこから「宿泊」となるのかは不明瞭だ。

「車中泊」という言葉も辞書にちゃんと載っていて、「自動車や列車の中で寝泊まりすること。」と書かれていた。

そして、「寝泊まり」とは「そこに寝て、夜を過ごすこと。」だそうだ。

なんだかややこしいけど、要するに、ぐっすり寝ていようと仮眠であろうと、そこに車を停めて夜を過ごしたら車中泊したことになると解釈できる

言い換えれば「仮眠ならOK、車中泊は不可」のような表現も間違っているとも言える。

ステップワゴン

また、例えば寝ないで車内で過ごしたら、夜8時間駐車しても車中泊したことにはならないの?なんてことにもなってしまうし、中で寝ているか起きているかなんてこともわからない。

仮に最初から泊まるつもりで駐車場に入ったら宿泊で、疲れて寝てしまった場合は仮眠とみなすと言われたとしても、それがどっちだったのかなんて証明することなどできない。

カローラ

シートバッグを倒して寝る程度が仮眠で、寝台のある車の寝台で寝たら宿泊になってしまうなんていうのも無理がある。

車中泊は禁止だけど昼寝はOKも詭弁だ。

「車中泊禁止」や「車中泊お断り」の道の駅もあるようだが、それはモラルやマナーを欠いた利用者が招いた結果であり、禁止した側が悪いなどとは決して思わない。

しかし、「車中泊」が休息をとるためと解釈すると、それを禁止することは道の駅の登録要件に抵触するのではないかとも考えられてしまう(難癖をつけようと言うのではない)。

「グレー」の意味とは以上のようなことだ。

グレーに思われたり禁止になる理由


無法者

先日「バーベキュー禁止」の河原の話題をテレビで取り上げているのを観た。

かなりのグループが炭火で料理をしていて、自治体の関係者が注意して回っていたのだが、あるグループに「ここは看板に書いてある通りバーベキューは禁止です。すぐにやめてください。」と声をかけたところ、注意を受けた側は、「私たちはガスで調理しているだけだから良いと思った。」のような返答をしていた。

屁理屈のようにも聞こえるが、一理ある。

ガスでお湯を沸かしてカップラーメンを食べることをバーベキューと言う人はいないだろうが、もっと言えば炭火で鉄板焼きをしていてもバーベキューではないと言い張ることができてしまう。

何故なら、それも本来のバーベキューの意味とは違うからだ。

日本でバーベキューと呼ばれている殆どは焼肉やグリルなどのことを指しているが本来の意味はそうではない。

言うなれば「野外調理禁止」が正しいと思うのだが…。

禁止の「車中泊」もこれと同様で、言葉の間違えや意味の履き違えではないかと思う。

具体的に言えば、テーブルを広げたり、タープやテントを張ったり、屋外で調理をしたりといった、駐車場でキャンプのような行為をすることを指して車中泊、それを禁止と言っているのではないだろうか。

言葉は正しく使っていただきたいとか、もっと明確に表現して欲しい言いたいところだが、そんなことを言っていても仕方がない。

湯の湖

問題は停めた車の中で何をしているかではなくて、駐車場のスペースを他の用途に使うことだと思う。

駐車場は車を停めるところであって、それ以外のことに使ったらルール違反だ。

また、他の用途でなくても連泊は休憩とは言えなくなるか当然ダメだ

こうしたルール違反でも「空いていたら良いじゃない。」と開き直る人もいるかもしれないが、不快に感じる人もいる。

本来の使い方ではないのだから、空いていようと、不快に感じるような人がいたとしたら、それだけでもアウトだ。

車のエンジンのかけっぱなし・エンジン発電機の使用・大騒ぎ・大音量の音楽・花火など騒音を立てることも代表的な迷惑行為で、これらは以ての外だが、騒音はこういったことだけではない。

道の駅3

道の駅などは近くに民家があるケースも多いが、夜中に車のドアの開け閉めの音が何度も響いたら近隣住民に迷惑だ。

自分のペットではなく、人の気配や物音で近隣の家の犬が吠えることもある。

自分にとっては「ちょっと」でも、毎晩別の人がやってきて、同じようなことを繰り返されたら、その地域の住民にとっては「毎度の迷惑」となってしまう。

こういったことに気を遣うのも利用者のマナーやモラルが問われるところだ。

ゴミは散らかしたり、放置することだけが問題なのではない。

ゴミ処理には普通の大人なら誰でも知っているはずだが費用がかかる。

例えば全く別の地域の安いスーパーとかで買ってきた食材から出たゴミの処理費用を、全く関係のない地域の人が負担しなければならない理由などない

逆にこういったルールやマナー違反、モラルの欠如、迷惑行為などがなければ堂々と休息をとる意味での車中泊をすることができ、何も咎められるようなことではないはずで、「グレー」なことでもないと思う。

そうではなく、車の中で寝ているだけ(休憩)のことを指して禁止と言うのであれば、そこが道の駅だったら、先に書いた通り道の駅の登録要件に違反していることになってしまう。

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