フォルクスワーゲンのキャンピングカーを乗り継いできたオーナーさんを取材。



キャブコンからトレーラーに変えた話

キャブコン

私が本業で行なっているSUPやカヤックのお客様には、毎週のように頻繁に海で会う人もいれば、進水式の後は全くお目にかかっていない人、非常に熱心だったのにご無沙汰してしまう人など色々なパターンがある。

しばらく海から遠ざかってしまったり、頻度が落ちてしまう理由は、人それぞれ事情は様々だ。

例えば、都内南西部にお住まいのHさんの場合は、お住まいが都内南西部だから房総の海までは全く遠くはないのだが、ここ数年息子さんの野球で忙しかったため、海に来られる機会が激減していた。

ご存知の方も多いと思うが、昔と違って子どもが野球やサッカーなどのスポーツをするとなると、何かにつけ親が付き合わされるのがほぼ必須なのだ。

ところがそのHさんから、「子どもが成長して、とうとう野球から解放されました!」と先日連絡をいただき、久しぶりに海で会える機会を得た。

実はHさんに会える日を私は密かに心待ちにしていたのだ。もちろん変な意味ではない。右ハンドルのフォルクスワーゲン T4のキャブコン(イギリスのビルダーによる車)という、比較的珍しい車に乗っているから、機会があれば取材させていただきたいと思っていたというのが、その大きな理由だ。

フォルクスワーゲン T4のキャブコン

それで早速、海に来られる際のついでに車の取材をさせていただきたい旨を告げると、なんとT4のキャブコンを手放してしまったとメールに書いてあるではないか。ちょっとショックを受けたのだが、その続きを読むと、ハイエース+トレーラーに買い替えたとのことだった。

あのT4も良かったので少し残念ではあるけど、トレーラーも興味深い。

さらに、T4のキャブコンの前にはポップアップルーフのT4キャンパーに乗っていたともメールに書かれていた。

当初キャブコンの代わりに新しいトレーラーを取材させてもらえれば良いかと考えていたのだが、ポップアップルーフのT4キャンパーから、T4のキャブコンに乗り換えた経緯についての話は興味深いし、読者の皆様の参考になる話ではないかと思いついた。

そこで、トレーラーを取材させてもらう前に、Hさんの車の使い方や、T4のポップアップルーフキャンパーとキャブコンを使ってみた感想、これらを選んだ理由や、交替した理由などについて話を伺うことにした。

本題に入る前に、残念なことにファイルサイズが十分な大きさの画像があまり残っていなかったようなので、ぼやけている画像が多いことをご了承いただきたい。

Hさんがキャンピングカーを持つようになったキッカケ

キャブコンでキャンプ

まず、Hさんにとってキャンピングカーは若い頃からの夢だったとのことだ。そして、ポップアップルーフのT4キャンパーの前にはデリカスターワゴンに乗っていて、スキー場の駐車場で4~5泊することなどもあったそうだ。

昔から車中泊やキャンプはしていたのだが、やがて子どもができてキャンプに連れて行くようになった。

子どもがまだ小さかったこともあって、利便性と安全性の面から、いよいよキャンピングカーの購入を検討することになる。

バン

キャンピングカーの使用目的としてはキャンプ以外にも、カヤック・SUP・スキーなどをしに行くときの前泊もある。仕事が終わってから道の空いている夜間に移動してしまうといった作戦だ。

これを実践している人は多いと思うし、私も散々やってきた。しかし、無理の効いた若い頃はシートを倒して仮眠するだけで一日中スキーをしたり山に登ったりしても全然平気だったのに、歳とともにキツいと感じるようになってきた。

ちゃんと平らで柔らかいマットのあるキャンピングカーや車中泊仕様車は体に優しく、やはり有難い。と言うより、少なくとも私の場合は血行障害を起こす可能性もあって危険でもあるので、もう「シートを倒して仮眠+丸一日アウトドアスポーツを堪能」なんて世界には戻れない。平らで柔らかいマットの寝床のある車が必須だ。

話を戻そう。それでHさんは、当時は駐車場の問題もあり、あまり大きくないバンコンを検討することになるのだが、高校生の頃にモーターショーでフォルクスワーゲンのT4を見かけて、「こんなかっこいいワンボックスもあるんだ!」と感動したことを思い出す。

そして選んだのは、フォルクスワーゲン T4のポップアップルーフを備えたキャンパーだ。

フォルクスワーゲン T4 ポップアップルーフ

その当時の家族構成なら十分な広さがあり、安心して快適に寝られる。また、前述の通り雪中連泊の経験もあることから、FFヒーターにも大きな魅力を感じていたそうだ。

近くの店で走行12万km、価格115万円の車を見つけ、購入。それが2008年のことだ。

私もこの車は検討したことがある。ウェストファリア(ドイツのキャンピングカービルダー)が最も有名でオリジナルと言って良いが、幾つかのビルダーが似たような架装をしていて、レイアウトもほぼ同じものが多い。

下の画像は後継のT5のものだが、基本レイアウトは継承されている。

フォルクスワーゲン T5

後席のシートを前にスライドするとシートバックが倒れて平らになり、その後ろには高さの合ったボードがあってベッドが出来上がる。運転席と助手席は回転して、後席と向かい合いになってダイネットになる。

実はこのレイアウトの基本は、空冷のTypeⅡの時代に既に出来上がっていて、RRだったTypeⅡやT3の頃は後席の後ろはエンジンルームであった。

FFになってからはそこが荷物の収納スペースになっているという違いはあるが、このタイプの車にはこれが究極のレイアウトなのだと思う。

フォルクスワーゲンの呼称について

フォルクス・ワーゲン T3

写真はフォルクスワーゲン T3

ここでついでに呼称について触れておくと、フォルクスワーゲンのT3やT4はヴァナゴン、或いはカラベルとも呼ばれる。ヴァナゴンはアメリカ名でカラベルはヨーロッパ名だ。

顔など違いは色々あっても基本的には同じ車。レジアスエースをハイエースと呼んでしまうのと大差ない。アメリカの影響で日本ではヴァナゴンの方が通りが良いようだけど、正規輸入された車は圧倒的にカラベルの方が多い。

たまに誤解や混同している人がいるので、フォルクスワーゲンのT〇〇についても簡単に説明しておこう。

Tはトランスポーター(Transporter)のTで、ヴァナゴンやカラベルは、T3から付けられた愛称だ。

フォルクス・ワーゲン タイプ2

写真はフォルクスワーゲン Type Ⅱ(T1)

それまでのT1とT2はどちらもTypeⅡ(タイプツー)とかバスなどの愛称で呼ばれている。T1やT2と呼ばれることはあまりなく、スプリットウィンドウとかベイウィンドウと呼ばれて区別されている。

ちなみに空冷のビートルがTypeⅠだ。T1であってもTypeⅡを省略でT2と表記されているのを見かけたこともあるが、これが誤解を招く。

フォルクス・ワーゲン タイプ3

写真はフォルクスワーゲン Type Ⅲ

そのTypeⅡの名称が定着しているから、その後継のT3(ヴァナゴン)をType Ⅲと誤解してしまう人もいるようだ。しかしType Ⅲは、T3やT4とは形も全く違う車だ。

タイプ3ではなくてトランスポーター3が初代ヴァナゴンやカラベルの正式名称だ。念のため。

ポップアップルーフキャンパーからキャブコンへ

そしてHさん一家はそのポップアップルーフのT4キャンパーでしばらく楽しんでいたのだが、4年後には子どもが3人に増えて5人家族となり、また当然だけど子どもは成長するわけで、ポップアップルーフがあれど、就寝定員4名のT4キャンパーでは手狭に感じるようになる。

また、見た目的には問題なさそうに見えるリアシートは、フラットになる代わりに長時間の乗車は意外と疲れると家族から意見も出てくるようになった。

そして、もう少しゆとりのあるバンコンへの入れ替えを検討することになる。

第一希望はやはり今までと同じT4ベースだが、フィアットのデュカトなど欧州の輸入車中心で探したそうだ。

輸入車を選んだ理由は、デフォルトの装備(ヒーター、トイレ、シャワー、キッチン、冷蔵庫)が整っているのと内装のセンスの良さ、ポップアップルーフのT4キャンパーの使用経験から使い勝手の良さが気に入っていたから。

これらは私も大いに同意する点(特に内装のセンス)ばかりだ。トイレは必要性の有無をよく取り沙汰されるが、Hさんは子どもが小さいうちは外せない装備と考えた。

オートスリーパークラブマンGL

色々と見て回って調べたりした結果、車種はオートスリーパークラブマンGLにほぼ決定。シャシーはフォルクスワーゲンだけど、イギリスのビルダーであるため右ハンドルで運転もしやすい。

内装もおしゃれでキッチンにはガスオーブンまであり、さらにイギリスらしくティーセットとワインセラーまで装備するというセンス。FFヒーターはダクトでバスルーム(トイレ・シャワー室)の中まで行き渡るようになっている。

車両サイズは5.3×2.05×2.7mと比較的小ぶりで、日本にも向いていた

しかし、オートスリーパークラブマンGLに決定したのは良いが、タマ数の多い車ではない。

アンテナを張り巡らせて半年位探し回ったところ、四国の高松で走行距離が1.2万km(!!)の好条件の物件がかなり格安で売りに出されているのを発見!すぐ電話し手付金を振り込みその週末に東京から高松まで行って試乗して契約したそうだ。

中古車は即断即決しないと駄目」がHさんからのアドバイス。案の定電話した後すぐ5人位から問い合わせが来たそうだ。

購入したオートスリーパークラブマンGL

オートスリーパークラブマンGL 内装

エントランスは左後部。北米の車でも日本向けに左にエントランスを設けた車はあるが、日本と同じ左側通行のイギリスで架装された車だから、運転席が右なだけでなく、居住部分のエントランスは普通に左側となっていて無理のない設計だ。

特に子どもの乗り降りを考えるとこれは安全性が高い(路上に停めた際に道路側に降りずに済む)。イギリス架装の車を選択した理由の一つが3人の子どものお父さんらしい優しさでもあるようだ。

オートスリーパークラブマンGL 内装2

エントランスを入って右側、車の最後部がキッチン設備で、エントランスの向かいがバスルーム(トイレ・シャワー室)。

これはシャシーがカムロードやボンゴの日本車にも多いレイアウトだ。そしてこのレイアウトの場合、リビングスペースは通路を挟んで片側がダイネット(右側であることが多い)、反対側が横向き長ソファーというパターンが多いが、この車は両側に横向き長ソファーが配置されて向かい合うようになっている。

このレイアウトは前後向かい合いのダイネットより圧倒的に広々としていてゆったりと座れ、大きなテーブルを設置することができる。

そしてシャシーがFFの車だから、キャブオーバーのトラックをベースにする日本車のキャブコンとは違い、前席からリビングスペースへは無理なく行き来ができる

これは、FFやRRの車、あるいはFRでも小さなフードと運転席側に迫り出したエンジンルームの中にエンジンの収まる、今では希少となってしまったアメリカメーカーのVANならではの大きな魅力だ。カムロードやハイエースがどんなに良い車でも、これができないのは残念だ。

以前実際に中を見せていただいたときに、これなら大人が5~6人でもゆったり寛げるスペースで、食事の際も窮屈な感じなどしないだろうと思った記憶がある。

全体をベッドにするのも簡単でベッドの幅は広大だ。この広大なベッドが日中は子どもが広々と遊べるスペースとなって楽しそうな様子も想像できた。

バンクベッドもあるので、大人2人と子ども3人なら就寝の際も余裕。大人3人~4人(4人の場合は組み合わせにもよると思う)でも快適に寝られそうな感じだった。

この車には2012年から19年まで乗り、次のハイエース+トレーラーに交替することになるのだが、その理由などについては先日トレーラーも取材させてもらったので、またの機会にご紹介したいと思う。

私がもしトレーラーを入手するとしたら、と言うより入手できるようなことがあったとしたらの話だが、ダントツ1番の候補に挙げるカシータだ。

参考になる話も聞け、写真も沢山撮らせてもらったのでお楽しみに!

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