バンライフ
舞鶴~小樽フェリー体験 新日本海フェリー新造船「けやき」をキャンピングカーで利用してみた(実体験レビュー)
フェリーを使った車旅・キャンピングカー旅。
中でも小樽〜舞鶴航路は、日本海を横断する長距離フェリーとして知られています。
「丸一日近く船に乗るけれど、実際どう過ごすの?」
「揺れは大丈夫?眠れる?」
「キャンピングカーでも問題なく乗れる?」
そんな不安や疑問を感じている方に向けて、2025年11月に就航した新日本海フェリーの新造船「けやき」を実際にキャンピングカーで利用した筆者が、乗り心地や船内のリアルをお伝えします。
キャンピングカーで旅する私たち

北海道を拠点に、キャンピングカーで日本各地を旅している夫婦です。
YouTubeチャンネル「ちょぴこ北の暮らしch」では、キャンピングカー旅や車中泊、北海道暮らしの様子を発信しています。
これまでフェリーを使った長距離移動も数多く経験してきました。
その中で常に重視しているのは、
・移動時間そのものをどう過ごすか
・疲れずに目的地へ着けるか
・船内で仕事ができるか
といった点です。
本記事では、キャンピングカー旅の視点で、良かった点だけでなく、事前に知っていれば良かったと感じた点も含めて紹介していきます。
小樽〜舞鶴フェリー新造船「けやき」とは
けやきの就航と航路

「けやき」は、新日本海フェリーが2025年11月14日に就航させた新造船です。
北海道と関西を結ぶ小樽港〜舞鶴港航路に投入され、長距離フェリー移動の新たな選択肢として注目されています。
今回、筆者が利用した便は以下のとおりです。
・舞鶴港 発:23:50
・小樽港 着:翌日20:45
所要時間はおよそ21時間の船旅。
※筆者が乗船した便は、約30分遅れで出航し、到着は翌日21:00頃でした。
船舶スペック(あかしやとの比較)
今回乗船した新造船「けやき」と、同じく小樽港〜舞鶴港を航行する既存船の「あかしや」の船舶スペックを比較してみました。
新造船「けやき」/既存航路船「あかしや」
就航年:2025年(新造)/ 2004年(既存船)
総トン数:約 14,157トン/約 16,897トン
全長:約199.0m/約224.8m
旅客定員:286名/746名
車両積載:トラック 約150台・乗用車 約30台/トラック約158台・乗用車 約65台
航海速力:約 28.3ノット/約 30.5ノット
※公式の公開情報に基づいて作成しました。詳しくは新日本海フェリー公式HPを参照してください。
新造船「けやき」は、既存船「あかしや」と比較するとややコンパクトで航海速力も控えめです。
しかしその分、設計コンセプトは「快適性」「省エネ」「静粛性」重視となっています。
特に印象的だったのは、夜間に客室で横になったときの静かさです。
従来船で感じていた「ゴゴゴーッ」という機械音が気になりにくく、新造船ならではだなと実感。
実際に乗船してみた率直な感想としては、長時間の船内滞在でも疲れにくく、船旅が好きな方やキャンピングカー旅との相性が良い船だなと感じました。
船内の設備と施設を実際に使ってみて
「けやき」の船内には、長距離フェリーに必要な設備が一通りそろっていました。
今回実際に利用・確認できた主な設備は以下のとおりです。

・レストラン、グリル(グリルは今回は利用していません)

・大浴場

・ショップ
・展望デッキ(オープンデッキは、強風のため立ち入り禁止で利用できませんでした。)

・共用ラウンジスペース

・キッズルーム

・給湯室/自動販売機コーナー

・スポーツルーム

・コインロッカー/公衆電話

・スモーキングルーム(筆者は喫煙者ではないため、室内には入っていません)
新造船ということもあり、どの施設も新しく、全体的に清潔感がある印象でした。
通路や共用部も広めなので、移動中に人とすれ違っても歩きにくさを感じることはほとんどありません。
繁忙期や満船時はまた印象が変わるかもしれませんが、今回筆者が乗船した便は、どの設備も比較的空いていて快適に利用できました。
乗船体験記(舞鶴→小樽)
舞鶴フェリーターミナル到着〜乗船直前まで

11月29日の夕方頃、舞鶴フェリーターミナルへ到着しました。
早めに着いたため、ターミナル併設の駐車場で車中飯を済ませ、出航時刻までは仕事をしながら待機します。

当日は事前に、新日本海フェリーから「到着・出航が30分程度遅れる見込み」という案内メールが届いていました。
あらかじめ心構えができていたこともあり、待ち時間に対するストレスはほとんどありません。
結果的に搭乗開始は24:00頃。
定刻23:50発からやや遅れましたが、事前案内どおりだったため、不安や混乱はありませんでした。
キャンピングカー(キャブコン)での乗船

私たち夫婦のキャンピングカー「クレア5.0w」は、全長5m未満のキャブコンです。
正直なところ、乗船前はいつも「車体が大きい分、迷惑にならないだろうか」「乗り込みに時間がかかるのでは」と少し不安になります。
しかし実際には、スタッフの誘導は非常にスムーズで、指示も分かりやすく、迷うことはほとんどありませんでした。

車両甲板内にも比較的余裕があり、キャンピングカーだからといって特別扱いされることもなく、淡々と誘導される印象です。
「大型車だからフェリーは大変そう」と感じている方も、過度に心配する必要はないと感じました。
客室紹介:ステートSを選んだ理由と使い心地

今回利用した客室は「ステートS」です。
個室でしっかり休めることを重視して、この部屋を選びました。
部屋の広さは、1人で過ごすには十分。
また、2次元バーコードによる施錠も可能なので、手荷物を室内に置いたままでも安心です。

室内には、ベッドと机、壁面にテレビが備え付けられているシンプルな構成。
窓もなく派手さはありませんが、落ち着いた雰囲気で、長時間滞在しても疲れにくい空間です。
ベッドのサイズと寝心地も申し分なく、夜は朝までぐっすり。
ちなみに妻のちょぴこさんも「ベッドでヨガができるくらい快適だった」とのこと。

机にはUSB端子があり、スマートフォンの充電は問題なく可能。
また、HDMI端子と思われるポートもありました。
テレビに接続されているものだと思われますが、映像出力の可否は未検証です。
利用を想定する場合は、自己責任でケーブルを持参するとよいでしょう。
一方で、事前に知っておきたい注意点もあります。
・ハンガーなし
・ティッシュなし
・冷蔵庫なし
・コップ、アメニティ類は一切なし
ビジネスホテルのような設備を想像していると、少し戸惑うかもしれません。
筆者は事前に情報を把握していたため問題はありませんでしたが、初めての方は要注意です。
揺れはどの程度?船酔いは?

今回の航海中は天候がやや不安定で、小雨が降る時間帯もありました。
そのため、ある程度の揺れは覚悟していましたが、体感的には非常に穏やかでした。
「けやき」の揺れを抑える性能が高いためなのか、理由ははっきりしませんが、早朝に少し揺れを感じた程度で、船酔いを感じるレベルではありません。
筆者自身は船酔いに比較的強い体質ですが、船酔いしやすい妻も「全く酔わなかった」とのこと。
結果的に、夜はぐっすり眠ることができましたし、朝までしっかり休むことができました。
長距離フェリーで重要な「しっかり眠れるかどうか」という点において、「けやき」は大きな安心材料になると感じました。
食事はどうする?持ち込みとレストランの使い分け

今回の食事は、以下のように分けました。
・2日目の朝食と昼食:持ち込み
・2日目の夕食:船内レストラン
長時間の乗船になるため、すべて船内レストランを利用すると出費がかさみます。
また、栄養バランスを考えたいという理由から、朝食と昼食は自分で調理したものを持ち込みました。
好きな食事を持ち込み、自由に食事が楽しめ、旅の費用を抑えられますね。
船内では熱湯や氷が無料で利用できますが、電子レンジの設備は見当たらなかったため、この点は注意が必要です。

夕食はレストランで、ホッケ定食と刺身定食を注文。
フェリーの食事としては十分満足できる内容で、量・味ともに不満はありませんでした。
混雑もなく、落ち着いた雰囲気でゆっくり食事ができたのも好印象です。
PC作業・通信環境のリアル
仕事柄、乗船中の通信環境は気になるポイントでした。

結論から言うと、通常の携帯電波はほぼ期待できません。
陸地に近い航路を航行する時間帯を除き、出航から翌日まで、ほぼ圏外に近い状態が続きました。
そのため、常時インターネット接続が必要なPC作業は現実的ではありません。
ただし裏技的な話として、共用スペースの陸地側の窓付近では、陸地に近い航路を航行中に、弱いながらも電波が入ることがありました。
また、私たち夫婦が利用した「ステートS」は、陸地側の部屋だったため、ドアを少し開けていると、弱い電波を拾える時間帯もありました。
そのため、客室予約時に陸地側の部屋を選んでおくと、ラッキーで電波を受信できるチャンスがわずかに増えるかもしれません。
なお、船内では有料(1,500円)でStarlinkを利用した船上Wi-Fiサービス「フェリーWi-Fi」も提供されています。
今回は利用しませんでしたが、どうしても安定した高速通信が必要な方は、事前に検討しておく価値はあると思います。
【重要】けやきに乗って感じたNG点・注意点
実際に乗船してみて、「これは事前に知っておいた方がよかった」と感じた点をまとめました。
いずれも致命的な欠点ではありませんが、知らずに乗ると戸惑いやすいポイントでもあります。
事前準備の参考にしてください。
・大浴場のロッカーは100円硬貨が必要
使用後に返却されます。
・紙コップなどは設置されていない
コップ持参がおすすめです。
・客室の鍵は乗船券に印刷された二次元バーコード式
スマートフォンで事前に撮影しておくと、インキー防止になり安心です。
・ステートSの客室にはアメニティが一切ない
タオルや歯ブラシなど、必要なものは事前準備が必要です。
・通信環境は基本的に不安定
スマホやPCの利用は割り切りが必要です。(必要に応じてフェリーWi-Fiを検討)
・電子レンジは見当たらなかった
熱湯は給湯室で利用できます。
次回乗船時にさらに快適にするための工夫
今回の乗船経験を踏まえて、次に私たち夫婦が「けやき」に乗るとしたら、ぜひ準備しておきたいと感じたポイントをまとめました。
・いつものマグカップとお気に入りのコーヒーを持参
・アメニティ類をコンパクトにまとめた専用バッグ
・通信が必要な場合は、スターリンクWi-Fiサービスを利用
・念のため酔い止め薬を用意(お守り代わり)
・好きな映画などをPCやスマホに保存しておいたり、電子書籍を用意しておく(オフラインでも楽しめるような準備)
ほんの少しの事前準備をするだけで、船内での快適さは大きく変わると感じました。
ぜひご自身の旅スタイルに合わせて準備してみてください。
実際にかかった費用
今回の予約内容と、実際に払った金額は以下のとおりです。
・人数:大人2名
・客室:ステートS(2室)
・車両:乗用車(5m未満)1台
・合計金額:63,500円
このほか、船内レストラン利用分やフェリーWi-Fiサービスを利用する場合、ショップでお買い物をする場合は別途費用がかかります。
【今回の乗船体験は、動画でも詳しく紹介しています。船内の設備や過ごし方を出発前にイメージしておくと安心なので、よければこちらも参考にしてください▽】
まとめ:新造船「けやき」はこんな人におすすめ
新日本海フェリーの新造船「けやき」は、
・北海道〜関西を車ごと移動したい人
・キャンピングカー旅で移動時間を休息に充てたい人
・長距離フェリーでも、しっかり眠りたい人
にとって、かなり相性の良い船だと感じました。
一方で、アメニティ面は割り切りが必要ですし、フェリー全般に共通する点として、通信環境が良くないことも、事前に理解しておく必要があります。
ただし、ほんの少しの事前準備で十分カバーできるポイントです。
そこを理解したうえで利用すれば、フェリー移動は「つらいもの」「退屈なもの」ではなく、「楽しい旅の一部」になるはずです。
今回の旅では、筆者にとって「けやき」は旅の締めくくりとしての乗船でしたが、北海道旅のスタートとして利用する場合でも、移動時間を存分に楽しめる、満足度の高い船旅になると感じました。
