バンライフ
【実体験】モンテネグロの湖で車中泊中、深夜に“謎の男”が現れた…
ヨーロッパをキャンピングカーで旅して、3年以上の私たち夫婦。
これまで32カ国を巡ってきました。
そんな私たちが、ずっと楽しみにしていた国のひとつが「モンテネグロ」です。
観光地化されすぎていないワイルドな自然、切り立つ山々、そして透明度の高い湖。
「ここなら、静かに自然の中で車中泊ができそうだ」そんな期待を胸に、現地へと向かいました。
しかし、実際に訪れてみると、その美しさの裏には、これまで旅してきた西ヨーロッパとは違う空気が流れていました。
まさか、人里離れた美しい湖で、「忘れられない怖い体験」をすることになるとは…。
今回は、実際にモンテネグロを旅した体験談をもとに、訪れた場所やリアルな車中泊事情、そして治安や旅の安全性についてお伝えします。
「旅の安全とは何か?」改めて考えさせられる経験にもなったので、ぜひ参考にしてください。
3年で32カ国!キャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅する夫婦

私たち夫婦は、「キャンピングカーで暮らしながら旅をしたい」という夢を実現するため、2023年からヨーロッパでの旅をスタートしました。
キャンピングカーには、ベッドにキッチンはもちろん、トイレやシャワーまで完備。
生活に必要な設備がひと通り揃っているので、車内でリモートワークをしながら、時間やルートに縛られず、まるでその土地で”暮らすように旅する”のが私たちのスタイルです。

気づけば3年目に突入。
これまでに巡った国は、32カ国にのぼります。
車中泊暮らしにも旅にも慣れてきた3年目。
「もう一歩踏み込んだ旅をしてみたい」と思うようになりました。
そこで私たちは、キャンピングカー文化が比較的浸透している西ヨーロッパを離れ、バルカン半島や東欧など、まだ情報の少ないエリアへ足を延ばすことにしました。
ギリシャ、北マケドニア、アルバニアと南東ヨーロッパを巡り、次に訪れたのがモンテネグロです。
EUには加盟しておらず、シェンゲン協定の対象外でもあるこの国。
そのため、入国時にはこれまでとは少し違う、どこか緊張感のある空気を感じました。
モンテネグロってどんな国?
モンテネグロは、ヨーロッパ南東部・バルカン半島に位置する小さな国。
クロアチア、セルビア、ボスニア、アルバニア、コソボなどの国と隣接しています。

国名の「Montenegro(モンテネグロ)」は「黒い山」という意味。
その名の通り、険しい山岳地帯が広がり、手つかずの自然が多く残されているのが特徴です。
さらにアドリア海にも面しており、山と海、両方の絶景を楽しめる国として知られています。
観光地化が進みすぎていないため、どこかワイルドで素朴な雰囲気が味わえるのも、大きな魅力のひとつです。

言語は主にモンテネグロ語。
通貨はEU非加盟でありながら、ユーロが使われています。
また、モンテネグロは複雑な歴史を持つ比較的新しい独立国でもあります。
かつてはユーゴスラビアの一部でしたが、その解体後もセルビアとの連合を続け、2006年の国民投票によって独立。
現在のモンテネグロ共和国となりました。
日本ではまだあまり馴染みがなく、観光情報も多くはありません。
しかしその分、“ヨーロッパの秘境”ともいえる独特の魅力を感じられる国です。
圧倒されたモンテネグロの自然

モンテネグロで、私たちが最も楽しみにしていたのは雄大な自然でした。
実際に訪れてみると、そのスケールは想像以上。
これまでヨーロッパ各地で数々の絶景を見てきましたが、ここで出会った自然はどこか“野生的”で、圧倒されるような迫力がありました。
まず向かったのは、国内最高峰であるズラ・コラタ(Zla Kolata)。
アルバニアとの国境付近に位置する山で、標高は約2,534mです。
切り立った岩肌とダイナミックな稜線が広がり、まさに“黒い山”という国名を体現しているかのようでした。

周辺は小さな集落が点在する静かな場所で、山々に囲まれながら、ゆったりと車中泊を楽しむことができました。

夜になると、辺りはしんと静まり返り、人工的な明かりはほとんどありません。
満天の星空の下で過ごす時間は、まさに“自然の中に溶け込む”ような感覚でした。
実際の車中泊のリアルと感じた違和感
モンテネグロで実際にキャンピングカー旅をしてみて、まず感じたのは、西ヨーロッパとの環境の違いでした。
これまで旅してきたフランスやドイツ、イタリアでは、無料で利用できるRVパークやダンプステーション(給水・排水設備)が各地に整備されており、気軽に車中泊ができる環境が整っています。
一方でモンテネグロでは、そうした設備はほとんど見かけませんでした。
そのため、水の補給や排水は、有料のキャンプ場を利用して行う必要があります。
しかし、オフシーズン中は閉まっている場所もあり、これまで以上に場所選びに気を使う場面が増えました。

有料のキャンプ場の料金は、1泊およそ20〜40ユーロほど。
また、車中泊できそうな場所自体は点在しているものの、「ここで本当に泊まっても安全だろうか?」と迷う場面も少なくありませんでした。
さらに、キャンピングカー自体がまだ珍しいのか、通りがかりの人にじっと見られたり、視線を感じることもありました。
西ヨーロッパで感じていたような、“安心して溶け込める感覚”とは少し違う空気です。
もちろん、すべてが危険というわけではありません。
ただ、「どこでも自由に泊まれる」という感覚ではなく、場所をしっかり選ぶ必要があるというのが正直な印象です。
絶景の湖で現れた“不審な訪問者”

その日は、モンテネグロに入ってから4日目。
旅の途中で偶然見つけた、人里離れた美しい湖のほとりで車中泊(ワイルドキャンプ)をすることにしました。
いつも使っている車中泊アプリ「Park4night」にも掲載されている場所で、日中は地元の人が釣りを楽しむ、静かで穏やかなスポットに見えました。
しかし、夜になると周囲の雰囲気は一変。
街灯は一切なく、あたりは完全な暗闇。
他に車中泊している人もおらず、どこか不気味な雰囲気が漂っていました。
それでも、これまで何度も同じような環境で車中泊をしてきた私たちは、「いつも通りだろう」と、そのまま夜を過ごしていました。
異変が起きたのは、夜11時ごろ。
ベッドで横になっていると、静寂の中から一台の車が近づいてくる音が聞こえてきました。
かなり広い場所で、他にもいくらでも停められる場所があるはずなのに、その車はなぜか、私たちのすぐ隣に停車します。
中から降りてきたのは、1人の男性。
不審に感じた私たちは、寝ているふりをしながら物音を立てず、車内の暗がりから、そっと外の様子をうかがいました。
するとその男性は、ゆっくりと歩きながら、まるで何かを探すように、キャンピングカーの周りをうろつき始めたのです。
「これは明らかにおかしい」
そう感じた瞬間、夫がロールカーテンを勢いよく開け、外に姿を見せました。
突然の動きに驚いたのか、男性は一歩後ずさりし、そのまま自分の車へ戻っていきます。
「ここで寝るのは絶対に危ない!」
そう判断し、私たちはすぐにその場を離れる準備を始めました。
すると、こちらの動きに気づいたのか、その男性は先に車を発進させ、湖への出入り口付近で停車します。
湖畔へ続く道は、細い一本の砂利道のみ。
「もしかして、私たちが通れないように塞がれている…?」

その瞬間、心臓はバクバクで、手が震えました。
頭の中には、最悪の展開がよぎります。
とっさに護身用の催涙スプレーを手に取り、エンジンをかけたまま、車内で息を潜めました。
周囲に民家はなく、助けを求めることもできません。
言葉も通じない異国で、「警察はどこに連絡すればいいのか」「どう説明すればいいのか」と、軽いパニック状態に。
しばらくの沈黙のあと、その車が進み出しました。
その瞬間を逃さず、私たちはすぐに車を発進させ、その場から離脱。
幸い被害はありませんでしたが、あの時感じた恐怖は今でもはっきりと覚えています。
「もし気づかず眠っていたら…」、「もし相手が武器を持っていたら…」
そう考えると、何も起きなかったことが、本当に幸運だったと感じています。
安全第一!旅を切り上げるという選択も大事

湖から離れた私たちは、そのまま最寄りの街にある有料キャンプ場へ向かい、その夜は安全な環境で過ごすことにしました。
翌日、キャンプ場のオーナーに前夜の出来事を話すと、「あのエリアは夜になると危ないから、車中泊はしないほうがいい」とはっきり忠告を受けました。
やはり、地元の人の中では注意が必要な場所だったようです。
さらに、「この国では、設備の整った有料キャンプ場を利用するほうが安全だ」というアドバイスももらいました。
この出来事をきっかけに、私たちは少しずつ不安を感じるようになりました。
本来であれば、まだ行ってみたい場所もいくつかありましたが、「無理をして続けるよりも、安全を優先しよう」と考え、予定を変更。
モンテネグロでの旅を切り上げ、馴染みのあるイタリアへ戻ることにしました。
その後は、少し不安を感じるエリアや国を通る際は、ワイルドキャンプは行わず、すべて有料のキャンプ場を利用するスタイルに変更。
費用はかかりますが、「安心して眠れる場所を選ぶ」の大切さを、改めて実感しました。
今回の経験を通して感じたのは、どんなに魅力的な場所であっても、無理をしないこと。
そして、必要であれば引き返す——その選択もまた、旅の大切な一部だと強く感じました。
まとめ/それでも感じたモンテネグロの魅力
今回の旅では、少し怖い体験もありました。
それでも、モンテネグロの自然の美しさは、強く心に残っています。
険しい山々、静かな湖、そして人の手があまり入っていないダイナミックな風景。
それらは、これまで訪れてきたヨーロッパとはまた違った魅力がありました。
一方で、キャンピングカー旅という視点で見ると、西ヨーロッパのように設備が整っているわけではなく、同じ感覚で車中泊をするのは難しいと感じたのも事実です。
今回の経験を通して強く感じたのは、「場所選び」や「その土地の状況を見極めること」の大切さでした。
ただし、モンテネグロは決して「危険な国」というわけではありません。
事前の情報収集や、安心できる場所を選ぶ意識があれば、旅の印象は大きく変わるはずです。
そして今回のような出来事は、この国に限らず、どこでも起こり得るもの。
だからこそ、防犯意識を持ち、安全を最優先に行動することが何より大切だと実感しました。
これからモンテネグロを訪れる方は、車中泊の場所や環境にしっかり気を配りながら、安全第一で旅を楽しんでみてください。
きっとその先には、他では味わえない、素晴らしい景色と体験が待っているはずです。