NTB『STRIKER』がキャンピングカー業界初の“フェーズフリー認証”を取得!

2024年11月発表の新型キャンピングカー『EXPEDITION STRIKER(エクスペディション ストライカー)』が、キャンピングカー業界として初めて「フェーズフリー認証」を取得しました。
開発を手がけた日本特種ボディー株式会社(NTB)は、災害時にも機動力と居住性を両立できるオフロードキャンピングカーの設計に取り組んできました。
今回の認証は、同社の設計思想が単なる“レジャー車”にとどまらず、「もしも」の場面でも頼れる“走るライフライン”であることを示す証でもあります。
「フェーズフリー認証」とは?
「フェーズフリー」とは、日常時(平時)と非常時(災害時)というフェーズ(局面)を分けず、どちらの局面でも役立つ価値を備えた製品やサービスに与えられる第三者認証です。
運営する一般社団法人フェーズフリー協会は、災害対策が「特別なもの」ではなく「日常の中に自然に組み込まれている」ことを目指しています。
NTBの『STRIKER』は、これまでのキャンピングカーが持つ独立性やレジャー性能に加え、日常生活と災害時の双方で使える“関係性”のある設計思想が高く評価され、キャンピングカー業界で初めて認証を受けました。
『STRIKER』がフェーズフリーと評価された理由

フェーズフリー認証において『STRIKER』が高く評価されたのは、単なる非常時対応の性能ではなく、「日常でも自然に使える価値」と「いざという時に役立つ備え」が、無理なく両立されている点にあります。
ここでは、認証取得の決め手となった3つの特徴を紹介します。
1. 悪路対応力と高い居住性を両立するボディ構造
ボディには、NTB独自の設計思想に基づいて開発された「EXPEDITIONボディー」が採用されています。
キャブ(運転席)と居住空間をあえて分離する構造にすることで、シャシのねじれを積極的に活用し、タイヤの接地性を高めています。
これにより、高低差のある荒れた路面でも対応力を発揮できる走破性を実現しました。
さらに、業界で初めてオールアルミ製シェルを採用することで、高強度と軽量化を両立。安定した走行性能と燃費の向上といった機能性も確保しています。
災害で道が寸断され、悪路しか使えない場面でも、安全に支援物資を届けられます。
2. AT限定でもOK。小回りが利くコンパクト設計で誰でも運転しやすい
ベース車両はいすゞのキャンピングカー専用シャシ「Travio」を採用。
全長5m未満・全幅1.8mのコンパクトサイズで、最小回転半径はなんと4.4mと、キャブコンでありながら軽自動車並みの取り回しを実現。
狭い路地や都市部の駐車場でも扱いやすく、女性やシニア層にも配慮された“ユニバーサル設計”です。
AT限定普通免許に対応しており、運転のハードルが低く、災害時の運転支援体制にも貢献が期待されます。
3. オフグリッド性能と電力のシェア機能
オフグリッドとは、公共インフラに頼らず電気や水などを自給する状態を指します。
『STRIKER』には、大容量ソーラーパネルと家庭用エアコンや電子レンジも稼働可能な発電システムを搭載。
さらに市販の大型ポータブル電源との併用も可能で、家庭や別の場所へ電力を供給する「電力シェアリング」も可能です。
災害で地域全体が停電しても、自ら電気を生み出し、分け合える。
そんな“持ち出せるライフライン”として機能します。
室内空間も“使いやすさ”と“備え”を両立
フェーズフリー認証を支えるもう一つの大きな要素が、車内のユニバーサル・デザイン。
『STRIKER』の内装は、単なる居住性の追求にとどまらず、「多様なユーザーにとって扱いやすい設計」=ユニバーサル・デザインとして構築されており、日常の利便性と、非常時に求められる柔軟性を両立する空間構成が随所に盛り込まれています。
1. 使う人に合わせて変えられる室内レイアウト

出典:日本特種ボディー
脱着式のベッドマットや対面式のダイネット、そして広い荷室を備え、休憩・作業・積載・仮眠など、シーンに応じて使い分けが可能です。
家族での旅行はもちろん、災害時の拠点や移動オフィスとしても活用できる汎用性の高さが特徴です。
2. 乗り降りしやすいリアエントランス

出典:日本特種ボディー
『STRIKER』はリアエントランス方式を採用。
後方からのアクセスで狭い駐車場でも乗り降りしやすく、高齢者や小さなお子様でも安心です。
さらに電動格納式のドアステップを標準装備し、段差も最小限に抑えられています。
入り口からダイネット部分までがフラットで広い床面となっており、長尺物の積載にも対応するなど、機能性も十分です。
3. 運転席と居住スペース、キッチンと客席の一体感

出典:日本特種ボディー
前方の「キャブアクセス」開口部を拡大したことで、運転席からダイネット(居住部)への行き来がスムーズに。
さらにリアキッチン側にも開口部を設け、調理スペースと居住空間との“つながり”を強化しています。
これにより、乗員同士のコミュニケーションが取りやすく、空間としての一体感を感じられるレイアウトに仕上がっています。
“備えない防災”という新しい価値観
設計思想「関連性」と『STRIKER』が担う社会的役割

『STRIKER』のフェーズフリー認証取得において、評価の大きな決め手となったのが、NTBの設計思想に根付いた「関連性(リレーション)」という概念です。
この「関連性」とは、単に個々の性能を高めるのではなく、運転席に座るドライバーとダイネットにいる家族の快適性、悪路に対する適応力、そしてオフグリッドでの電力シェアといった要素を、互いに関連づけながら設計に落とし込むという考え方です。
単なる機能の集合体ではなく、車内外の円滑なコミュニケーションや共助を促す構造そのものが評価され、QOL(生活の質)の向上と、その延長線上での有事対応力が高く評価されました。
災害時にもそのまま使える“意識しない備え”
『STRIKER』の大きな特徴は、日常の延長線上に自然と「備え」が存在していることです。
特別な防災装備や対応をしなくても、普段通りに使っているだけで、もしもの際にはそのまま被災地支援や生活の拠点となり得る、まさに“備えない防災”の実現です。
都市インフラの老朽化や気候変動に伴う猛暑・自然災害の多発など、社会課題が複雑化する中、『STRIKER』の持つオフグリッド性能や走破性、空間の柔軟性といった特性は、社会課題の解決に資するモビリティとしても注目されています。
さらに、それらの機能性は、企業や自治体におけるBCP(事業継続計画)の観点からも、公共性の高い移動型ライフラインとしての活用が期待されています。
SDGsにも貢献する“持続可能なレジリエンス提案”
『STRIKER』の設計思想と機能性は、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも評価されています。
特に以下の目標に関連する社会的意義が期待されています。
• 目標3:すべての人に健康と福祉を
• 目標11:住み続けられるまちづくりを
• 目標12:つくる責任、つかう責任
レジャー車としての魅力を保ちながら、非常時にも備えとなる『STRIKER』は、“持続可能なレジリエンス(回復力)の提案”として、次世代キャンピングカーの方向性を指し示す存在となっています。
『STRIKER』に寄せられた専門家からの評価と期待
フェーズフリー認証審査員【総評】
一般的なキャンピングカーは日常での使い勝手や非常時の機動力に課題があったが、「EXPEDITION STRIKER」は、軽量化による燃費性能の向上と、都市部でも取り回しやすいコンパクトな車体により、日常利用のハードルを大きく下げている点が特長である。
さらに、悪路でも全輪が地形に追従できる設計や、車体下部の地上高を高めた構造によって、災害時の移動・避難にも高い適応力を発揮する。
車内の視認性や動線も工夫されており、車内外の円滑なコミュニケーションや共助を促す空間設計も評価が高い。
独立性と関係性を兼ね備えたこの車両は、日常と非常時の両面で高い価値を提供するフェーズフリーなモビリティの先進事例であり、今後のライフスタイルや防災意識に新たな提案をもたらす可能性を秘めている。
⼀般社団法⼈フェーズフリー協会 代表理事 佐藤 唯⾏ ⽒

元々、キャンピングカーは独立性が高くオフグリッドで生活できるため、「どのキャンピングカーでもフェーズフリーでは」という意見もあります。
しかし『STRIKER』は、日常の価値を高めた設計が大きな特徴です。
室内空間の関係性が取りやすく、路面との関係性が優れているといった日常を豊かにする工夫が、結果として非常時にも役立ち、この“新たな付加価値”がフェーズフリー認証の決め手となりました。
『STRIKER』はキャンピングカー業界の中でも先陣を切り、初めてフェーズフリーの領域に踏み込んだ、まさに歴史に残る車両です。
多くのキャンピングカービルダーがフェーズフリーを目指す中、NTBは丁寧に「新しいキャンピングカーの在り方」や「未来のキャンピングカー像」を一つ一つ積み上げ、この形を実現しました。
日常の豊かな暮らしの延長線上に、安心・安全な社会を描く。今後、『STRIKER』をベンチマークとして、より多くのキャンピングカーがフェーズフリーになっていくことを期待しています。
有識者も高く評価(要約紹介)

日本福祉大学 山本教授:被災地における「先遣車両」としての可能性に注目。被災地でのプライバシー確保や電源の持続性に加え、『STRIKER』が「移動・宿泊・情報発信」の3機能を兼ね備える“移動事務局車両”として、外部支援の要になり得る存在であると高く評価しました。

アウトドア事業者CAMMOC 三沢氏:実際の利用体験を通じて、運転のしやすさや安心感、電源の信頼性に触れつつ、「楽しみながら普段の暮らしを外へ持ち出せる」ことが、自然と防災にもつながるという『STRIKER』の在り方に未来の可能性を感じたと語りました。
『STRIKER』イメージ動画・関連リンク
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車両概要

EXPEDITION STRIKER(エクスペディション ストライカー)
ベース車両:いすゞ Travio(キャンピングカー専用シャシ)
駆動方式:2WD(AT限定普通免許対応)
全長:4,955mm ※スペアタイヤ装着時の全長は5,065mm
全幅:1,800mm ※左右ドアウインカー部含む
全高:3,000mm
車両総重量:
<シンプル電装モデル>
車両重量(オプション無し):2,565kg
車両総重量(定員乗車時):2,950kg
定員乗車時の積載可能重量:540kg
※ただし前輪負荷1900kgを超えないこと。
<スタンダード電装モデル>
車両重量(オプション無し):2,635kg
車両総重量(定員乗車時):3,020kg
定員乗車時の積載可能重量:470kg
※ただし前輪負荷1900kgを超えないこと。
乗車定員:7名
就寝定員:6名
ボディー構造:オールアルミ製ボディー(バンク・スカート・リアバンパー含む)
特徴的装備:高地設計のスカート・バンパー/高いオフグリッド性能/電力等の外部シェア機能
詳細な仕様や装備、価格については、NTB「EXPEDITION STRIKER」公式サイトをご参照ください。
編集部まとめ|“走るライフライン”としての可能性に注目
『STRIKER』は、これまでキャンピングカーが担ってきた“レジャー車”としての役割を超え、災害対応や地域支援の観点からも期待されるモビリティへと進化しています。
今後、企業や自治体によるBCP車両導入や、災害支援ネットワークへの活用が進めば、“キャンピングカーがインフラの一端として社会を支える”時代も遠くないかもしれません。
DRIMO編集部では、今後もこのような「日常と有事をつなぐモビリティ」の最新動向に注目していきます。
※本記事は、2025年7月31日に配信されたNTB(日本特種ボディー株式会社)のプレスリリース内容をもとに、編集部で再構成・加筆したものです。