キャンピングカーで療養病床不足を支援
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、レンタルキャンピングカー業界が医療分野への進出を画策しています。その代表的なものが、病室や待合室としてのキャンピングカーの利用です。
先行するアメリカでは、カリフォルニア州のビーチに約100台のキャンピングカーを用意し、6,000人の感染者を収容する構えを見せています。
日本国内でも「動く病室」として、キャンピングカーの貸し出しをする事業者が現れています。
この記事では日米の事例を示しつつ、キャンピングカーの医療分野での活用の可能性を探ります。
目次
新型コロナウイルス対策としてキャンピングカーの貸し出しを開始
キャンピングカーのレンタル事業「ジャパンキャンピングカーレンタルセンター(Japan C.R.C.)」を運営するキャンピングカー株式会社は4月2日、待合室や休憩室として利用できる防災キャンピングカーの医療施設や自治体向けの貸し出しを開始しました。
新型コロナウイルス対策を念頭に置いてのことです。
同社はかねてから、有事の際に速やかにキャンピングカーを派遣できるよう自治体などと防災協定を結び、車両整備を進めてきました。
今般の新型コロナウイルスの蔓延を受け、診察待機を余儀なくされる人が急増している状況を踏まえ、「療養病床」としても利用できるキャンピングカーの貸し出しを始めたのです。
キャンピングカーに搭載しているサブバッテリーで、スマホやパソコンといった電子機器、TV、冷蔵庫などの家電も使用できます。
また、外部充電を装着することで人口呼吸器や酸素マスクといった医療機器も使用可能となっています。
さらに、車載装備のベンチレーター(換気扇)を回せば換気効果も高く、車両に備え付けの目隠しを閉じればプライベート空間が確保されるので、周りの目を気にせずに利用することができます。
これらの利点を活かし、同社が貸し出すキャンピングカーは臨時の待合室や休憩室、診察室としても使用できます。
避難所で使えるエアベッドや移動式簡易トイレなども備える
オプションとして提供される、優れた安定性を持つエアベッドは、起毛加工を施しているので手触りも良く、空気の量によって好みの硬さに調整することが可能。
電動ポンプを内蔵したタイプは約2~3分、フットポンプを内蔵したタイプは約3分で完成し、通常のマットレスに引けを取らない寝心地を得ることができ、避難所の簡易ベッドとして多くの自治体で採用されています。
また、こちらもオプションですが、ラップで包む新発想のトイレを備え、排泄物を密封して衛生的に処理することが可能です。
米国では移動式の病室として利用が進んでいる
こうした事例は海外のほうが進んでおり、特にアメリカのカリフォルニア州では、キャンピングカーを臨時施設としてロサンゼルスのビーチに100台用意するなどの施策を打っています。カリフォルニア州ではこうした施設を42ヶ所に設置し、約6,000人を収容する予定だと言います。
アメリカではかねてから移動式の病室としてキャンピングカーの利用は広く一般的になってきています。特に新型コロナウイルスの感染者数が世界一となっている同国では、「キャンピングカー病室」が重宝されています。
コロナウイルスの感染拡大の最中にあって、これからの日本はどうするべきなのでしょうか。
キャンピングカーを医療分野で使うメリット
キャンピングカーを病床などの医療分野で使うことには多くのメリットがあります。まとめると次のようになります。
- 車高が高く車内での立ち仕事が可能
- フルフラットのベッドで快適な睡眠を確保
- ソファーとテーブルで会議や食事がスムーズ
- コンセントとUSBポートがあるのでスマホやPCの充電もOK
- 冷蔵庫とガスコンロがあるので簡単な調理が可能
- 収納スペースがたっぷりあるので医療器具も置ける
キャンピングカーの特徴を生かし、8つの安心を提供
生活することを目的としたキャンピングカーは、医療分野向けにも多くのメリットを提供します。
①感染者を隔離するための利用
寝心地の良いベッドをご用意し、長期滞在でも疲れることなく快適に過ごせます。また酸素ボンベなどの医療機器を置くスペースやコンセントもあり、より安心して利用できます。
②医療スタッフの休憩室として利用
忙しくて休憩がまともに取れない医療関係者に、安全・安心な仮眠スペースが確保されます。また車内にはソファとテーブルのほか、冷蔵庫やガスコンロなども設置されており、食事をとることも可能です。疲労回復をサポートします。
③災害時に使えるポータブルトイレ
水なしで使え、常に清潔感が保てるポータブルトイレ「ラップポン」を備えています。利用後は専用のフィルム(BOS)の封をするため、ウイルスの感染予防になり、臭いも気になりません。
④バッテリーの心配なく電気が使える外部充電
電気を使う医療器具なども車内で利用できます。また利用者が快適に過ごすために、テレビを見たり電子機器を利用したりできます。
⑤光を遮るプライベート空間
全ての窓に網戸とブラインドがついており、眩しい光や外からの視線をシャットアウト。快適な休憩スペースになります。
⑥空気の入れ替えが簡単な換気扇
気密性が高まった車内にいても、換気扇を活用して新鮮な空気を取り入れることができます。
⑦手洗いが可能で清潔が保たれるシンク
どのキャンピングカーにもシンクが設置されているので、こまめな手洗いうがいができます。また給排水も簡単に行えます。
⑧寒い日も快適に過ごせるFFヒーター
エンジンがストップしている時でも利用でき、温度調節も簡単。低燃費のため長時間つけることができます。車内の空気を汚す事も無く安全に使えます。
キャンピングカー業界に共通する課題
正念場となっている新型コロナウイルス対策としてキャンピングカーを利用しようとする取り組みは注目を集めています。
感染者が急増していき、病床が足りなくなるのは目前だと言われている中、さまざまな用途でスペースを確保できるキャンピングカーは有効に利用できるのではないでしょうか。
レジャー以外での使い道を模索していくことは、まさに業界全体の課題かもしれません。