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ダイハツ&トヨタ問題を語る。キャンピングカーは買っても平気?今乗っている車は大丈夫?

ダイハツ&トヨタ問題を語る

ダイハツ&トヨタの不正問題


昨年12月にはダイハツが、今年1月にはトヨタが、それぞれの製品(車)で国の認証取得にまつわる不正問題が発覚しました。

ニュースでも取り上げられ、ご存知の人も多いでしょう。

多くの車種が関係しているだけに波及する影響先も多く、単に「企業の不祥事」で片づけられない大問題です。

当然ですが、キャンピングカーのベース車にも関係しています。

不安を感じているユーザーや、購入を検討中の人もいるでしょう。

そこで今回はこの問題について、キャンピングカージャーナリストの視点からお話しします

車の形式認証とは


今回のニュースでたびたび登場する『形式認証』という言葉があります。

すでにご存知の方はここは読み飛ばしてください。

国土交通省 ダイハツトヨタ不正問題

自動車メーカーが新しい車を開発、製造、販売しようとするとき、国(国土交通省)に対して「こういう車を作ります」と申請をします。

出来上がった製品がすべて基準をクリアしているかどうか。

それを誰が・どうジャッジするのか。

まさか作った車すべてを国に検査してもらうわけにもいきません。

そこで、サンプルを提出して基準をクリアできていることを確認してもらい、それをもって「生産する車はサンプルと同等であり、基準をクリアしています」ということにするのが車の形式認証制度です。

では今回の問題で何がいけなかったか。

会社ごと・モデルごとに「何をやったか」は違いますが、乱暴にまとめていうなら「サンプルが間に合わないから、あれやこれや、実際の製品とはちがうものを組み込んで、審査を通した」。

つまり、サンプルの審査をごまかしたのです。

次のページ▷▷▷【納品予定だった車はどうなるのか?今乗っている車は大丈夫なのか?などご紹介します。



ダイハツ&トヨタ不正問題対象車種だけどうちの車、大丈夫なの? という疑問について


対象車種を持っている人は、当然不安になりますよね。

しかし、ここでお伝えしておきたいのは

「現オーナーにとって不利益になるようなことは、基本的に発生しない」

ということです。

機能的な問題がある場合はリコールで対応されます。

そして、今のところ対象車両にリコールは出ていません。

ダイハツ/トヨタ共に、既に出荷された車両に関しては「使用に問題はない」と発表しています。

「ごまかして審査を通したような車が、本当に安全とは思えない!」

そう思うのも当然でしょう。

ダイハツトヨタ不正問題 生産工場

ただ、ごまかしたのはあくまで『サンプル車両だけ』でした。

書類上の条件がクリアできるように、テストの日のサンプルだけ、ズルをしたのです。

では、そうやって不正に合格をもらって、基準以下の粗悪品を量産したのか、といえば、そうではなかった。

量産された車両はすべて、基準を満たすものでした。

問題発覚後にも改めてテストが実施され、製品は本来の機能・性能を満たしており、使用に問題ないことも確認されています。

だから「そのまま乗っていても大丈夫」なのです。

とはいえ、2社それぞれ、キャンピングカーのベース車両として採用されているモデルもたくさんあります。

キャンピングカー業界と今回の件がどう関係し、ユーザーや購入を検討している人にどう影響するのかを考えてみましょう。

キャンピングカーに関係する不正問題の車種


ダイハツトヨタ不正問題 記者会見

ダイハツ


ダイハツでは、過去の製品も含めて非常に多くの車種で不正が行われていたことが明らかになりました。

キャンピングカーのベース車として使われている主な車種は以下の通りです。(以下、現時点とはすべて2024年2月20日現在)

・既に生産を再開しているもの
ダイハツ・ハイゼット・トラック
ダイハツ・ハイゼット・カーゴ
ダイハツ・アトレー
トヨタ・ピクシス・トラック(OEM)
トヨタ・ピクシス・バン(OEM)


・現時点で生産停止中のもの
トヨタ・タウンエース・バン(OEM)
ダイハツ・グランマックス・バン
マツダ・ボンゴ・バン(OEM)


・今回の不正を受けて生産終了となったもの※1
※1 形式認証が取り消されたもの
トヨタ・タウンエース・トラック(OEM)
ダイハツ・グランマックス・トラック
マツダ・ボンゴ・トラック(OEM)



トヨタ


トヨタ車の問題ではありますが、実際はディーゼルエンジンの開発を委託していた豊田自動織機による不正でした。

該当エンジンが搭載された車両について出荷が停止されていますが、このうちキャンピングカーのベース車として使われている主な車種は次の通りです。

・現時点で生産停止中のもの
トヨタ・ハイエース※2
トヨタ・ハイラックス
トヨタ・カムロード


※2 問題になっているのはディーゼルエンジンのみですが、生産ラインそのものを停めているため、ガソリン車も生産が止まっています

さて、ここまで見て来てお気づきでしょうか。

これだけの車種が対象になっていながら、

・生産再開
・生産停止中
・生産終了(形式認証取り消し)


と対応は3種類に分かれています。

それはどういうことなのか。

何を・どの程度ごまかしていたのか、不正にもいろいろあります。

前述のとおり、テストのサンプルではズルをしましたが、基本的に、販売した車はすべて基準を満たしており、問題発覚後にも改めてテストが実施されて、使用に問題なし、とされています。

それなのに生産が停止したままだったり、形式認証が取り消されて生産終了になっているのはなぜか。

それは、不正の内容によって、国交省からの処分に重軽があるからです。

簡単に言えば、軽微な不正とされたものは再生産が認められ、悪質な物には形式認証取消しという重い処分が科された訳です。

昨年、不正が発覚したダイハツについては、ほぼ処分が確定しています。

一方、年が明けて発覚したトヨタについては今後どのような処分が下されるか、生産再開はいつになるのかなど、詳細はまだわかっていません。

ダイハツ&トヨタ不正問題のキャンピングカー愛好家への影響は?


長くなりましたが、最後にキャンピングカー愛好家それぞれにどんな影響があるのかを考えてみましょう。

現在乗っている車は?


既に登録された車両の、使用・車検取得などにはまったく問題はありません(現在生産されている車で検査確認済です)。

つまり、現オーナーには何の影響もありません。

今回、最も重い処分=型式認証の取消しが科されたタウンエース・トラックについても、「取消しの日までに製作された自動車については、型式指定の取消しの効力は及ばないものとする」と明記されています。

オーダーして納車待ちの車は?


どのビルダーもベース車両については計画的にメーカーに発注、在庫していますので、既に契約している人への影響は少ないと考えられます。

前述のとおり、タウンエース・トラックについても、すでにメーカーから出荷されている車両への架装や登録は問題ありません。

これから購入しようとしている人は?


生産停止中の車両については、それぞれどんな処分が下されるのかによって変わります。

現在生産停止中の場合は、いつ再開されるのかもわかっていませんが、ベテランビルダーや業界に詳しい人たちに所感を取材した結果からすると、数か月程度で生産再開できると考えてよさそうです。

最も影響があるのは、製造終了になってしまったタウンエース・トラックです。

形式認証が取り消されても、改めて国に申請し、書類・実車ともに試験をパスできれば、形式認証を取り直すことはできます。

クラス唯一の車種であり、代替が効かないことはダイハツもわかっています。

おそらくは型式認証を再取得して再販を目指すものと思われます。

とはいえ、再取得には最低でも数か月かかると思われますが、いつになるかはハッキリしていません。

相変わらずキャンピングカー人気は継続中。

人気モデルでは納期は2年といった話もあります。

今回はこの納期の長さが幸いするかも。

待っている間に生産が再開されれば、影響は少ないのでは、と考えるのは、楽観的すぎるでしょうか。

渡部 竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。 専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。 著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 愛車は2000年式ドリーバーデン19ft