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欧州キャンピングカーで話題!LPGガス導入のメリットと費用を徹底解説

LPGガスって何?導入の理由やかかった費用を徹底解説
大型キャンピングカーで調理や暖房、シャワーのお湯を温める際に、欠かせないのが「ガス」です。
ヨーロッパのほとんどのキャンピングカーにはプロパンのガスボンベが備えられていますが、不便な点も多く、近年では「LPGガス」へ切り替える旅人が増えています。
ヨーロッパで2年間バンライフをしている私たち夫婦も、ついに、この新しいガスシステムに切り替えることにしました。
日本ではまだほとんど知られていない「LPGガス」とは何なのか。
切り替えた理由、費用や使用方法、メリットについて解説していきます。
これまでの主流・プロパンガスはキャンピングカーにとってデメリットも

ガスボンベは、キャンピングカーにとって不可欠な装備のひとつです。
私たちのキャンピングカーも、主流となっているプロパンのガスボンベを搭載しており、2年間の長期車中泊の燃料としていろいろな場面で使っています。
キャンピングカーでガスが使われている装備

① ガスコンロ
キャンピングカー内で調理する際、ガスコンロを使用しています。
このコンロは効率的で、短時間で高温になるため、とても便利です。
私たちは毎日自炊をしているため、ガスコンロは最も使用頻度が高い装備です。
② ガスオーブン
私たちのキャンピングカーには、購入時からオーブンが搭載されており、料理のレパートリーが増えてとても便利です。
しかし、ガスの消費量が非常に多いため、頻繁には使用することはありません。
③ 冷蔵庫
ヨーロッパのほとんどのキャンピングカーではガス冷蔵庫が使用されており、外部AC電源がない場所でもガスで冷蔵庫を稼働させることができます。
そのため長期間の旅行に便利です。
④ 温水器(ボイラー)
シャワーの水を温めるために、ガスボイラーを使用しています。
ボイラーを起動してから温水が出るまでに約20分かかりますが、車内で暖かいシャワーを浴びられるのはとても最高です。
⑤ 暖房(ヒーター)
寒い冬の時期でも車内を暖かく快適に保つために、ガスヒーターが搭載されています。
車内全体を暖めるだけでなく、給水タンクやウォーターポンプの凍結も防げるため、冬場には欠かせない装備です。
このように、ガスはさまざまな装備で使用されており、10kgのガスボンベだと、季節にもよりますが、3週間〜1カ月ほど使用可能です。
そのため月に1回のペースでボンベの交換や補充が必要になります。

国ごとにプロパンガスボンベの規格が異なる
キャンピングカーにおいて非常に重要な役割を果たしているプロパンのガスボンベですが、実はデメリットもあります。
それが「ボンベの交換・補充」が大きな課題なのです!
ヨーロッパでは国ごとにプロパンガスボンベの規格が異なるため、ガスボンベの形状や接続口が国ごとに違います。
例えば、私たちはイタリアのガスボンベを使用しており、イタリア国内では比較的簡単に交換や補充が可能です。
しかし、他の国でガスがなくなると交換ができなくなり、その国の新しいタイプのガスボンベと接続口アダプターを購入する必要があります。
そのため、新しい国に入るたびに1万円近くの出費が発生し、多くの国を巡る周遊旅では大きな負担となります。
私たちも、1年間のキャンピングカー旅で10カ国以上を訪問しましたが、毎回プロパンガスの補充に大苦戦しました。
そんな中、プロパンより利便性が高いとされ、多くの欧州キャンピングカーで導入が進んでいる「LPGガス」の存在を知り、私たちも「LPGガス」に切り替えることに決めました。
次のページ▷▷▷【LPGガスとは?補給は簡単?使ってみてどうだった?】
ガソリンスタンドで簡単に補給ができる「LPGガス」とは?

LPGガス(液化石油ガス)は、プロパンとブタンを混合させたガスです。
国によっては「GPLガス」と表記されることもあり、日本では「LPガス」の名称で知られています。
使用用途としては、家庭やキャンピングカーでのガスコンロや給湯器のほか、自動車の燃料(LPG車)としても使われています。
LPG車はガソリン車に比べて環境に優しく、クリーンなエネルギーとして扱われることもあります。
プロパンガスと同様に、LPGガスもさまざまなガス装備で使用できますが、キャンピングカーで利用するには、LPG専用のガスボンベへの切り替えが必要です。
ガスを扱う専門的な作業が伴うため、専門業者に依頼して取り付け工事をしてもらうことをおすすめします。
補給が簡単
LPGガスの一番のメリットは「ガソリンスタンドで簡単に補給できる」点です!
プロパンガスボンベの場合、ガス会社の営業所やガス専門の販売店で交換する必要があり、どこでも交換できるわけではないため、毎回場所を探すのに苦労していました。
しかし、LPGガスはガソリンスタンドで補給することができ、ヨーロッパのほとんどの国で比較的簡単に見つけることができます。
多くのキャンピングカーでこのシステムを導入し始めています。
さらに国ごとにボンベを交換をする必要がなく、ガスがなくなったらガソリンスタンドへ行き補給するだけなので、とても効率的です。
LPGガスを新しく導入してみた!気になる費用は?

ガスの取り扱いは、ガス漏れや火災などが危険性があるため、専門の資格を持ったプロフェッショナルに依頼することが非常に重要です。
工事の流れや予約は事前にメールでやり取りし、当日は整備士の方が英語で丁寧にLPGガスの取り付け手順や注意点を説明してくれたため、安心して任せることができました。
小ガス専用の収納庫の構造

キャンピングカーのガスボンベは車外の専用コンパートメントに設置されており、安全性を確保するため車内とは完全に隔離されています。
ガス収納スペースは外気との換気が十分に確保されており、万が一ガス漏れが発生した場合でも、車内にガスが充満しない構造です。
LPGガスボンベは26Lの容量ですが、安全上、約80%までしかガスを補充できない仕組みになっているため、実際に補充できるガス量は約22Lとなります。
ガスボンベには通常、10年の保証が付与されており、10年ごとに定期検査と再認証を受ける必要があります。
それ以外にも年に1回程度、ホースやバルブなどの点検をするのがおすすめです。
LPGガスの交換作業

作業自体は約1時間半で完了しました。
作業はすべて外側から行われたため、その間は、キャンピングカーの中でパソコン作業をしながら待つことができ、とてもスムーズに進みました。
以前は、ガス収納スペースに10kgのプロパンガスボンベを2つ収納していましたが、今回は新しいLPGガスボンベとプロパンガスボンベそれぞれ1つずつ残すことにしました。
その理由は、LPGが手に入らない国もあるため、その場合にはプロパンガスを使用するためです。
交換費用
利便性の高いLPGガスシステムですが、工事費用が1000ユーロ〜(約16万円〜)となかなか高額なため、これまで導入をためらっていました。
しかし、バンライフ仲間の紹介で、ベルギーにて600ユーロ(約9万5千円)で取り付けてくれる整備工場があると聞き、そちらにお願いすることにしました。
今回の取り付け費用は工賃込みで、9万5千円でした。
高額な出費ではありましたが、ガス交換に関する悩みが解消されるため、結果的には非常に有益な投資だったと感じています。
また、他の整備工場より割安でできたので、大満足です!
セルフでLPGガスの補給に初挑戦!

ヨーロッパの多くの国では、ガソリンスタンドにLPG用の専用ポンプが設置されており、セルフ式で補給を行うのが一般的です。
そのため、初めての補給の際は少しドキドキしました!
LPGガスは全てのガソリンスタンドに設置されているわけではないので、事前にGoogleマップのアプリで「LPG」もしくは「GPL」と検索して探し出します。
LPGガス補給方法

1. 車両のLPG給油口を開け、専用の接続口アダプターを取り付けます。

ここで注意点したいポイントですが、国によってLPGポンプノズルの接続口の形状が異なるため、正しいアダプターを使用する必要があります。

アダプターは全部で4種類あり、ガスボンベとセットで付いてきました。
アダプターがないと補給ができないため、各国の規格に合った正しいアダプターを選んで使用するようにしましょう。
2. ポンプノズルをLPG給油口に挿入し、手元のレバーを引いてロックをかけます。
その後、給油ボタンを押したら補給が開始されます。

3. ほとんどのLPGポンプには、タンクが満杯になると自動で停止する機能が備わっています。
補充が完了したらノズルを外し、給油口を閉じます。

4. 支払いはガソリンスタンド内の支払いカウンターもしくは、クレジットカード対応の機械で支払いをして完了です。
補給料金
私たちは初めての補給で戸惑いましたが、店内のスタッフが親切に助けに来てくださり、補給の手順を教えてくれたおかげで、安心して作業を進めることができました。
慣れてしまえば、自動車の給油とほぼ同じで、5分以内で完了します。
今回の料金は22Lで18ユーロ(約2,800円)でした。
これまで使用していたプロパンガスは地域によって料金が異なり、10kgのボンベで20ユーロ〜38ユーロ(約3,000円〜6,000円)と高めでした。
そのため、LPGへの切り替えでガス料金を大幅に節約できた点も、交換を決めた理由の一つです。
LPGガスに変えて旅の自由度が大幅に変化

その後、プロパンガスからLPGガスに切り替えた後も、キャンピングカー内の装備はこれまで通り問題なく起動し、大満足です。
LPGは価格が比較的安価で、各国のガソリンスタンドや専用施設で簡単に補給できるため、以前はガス消費の高いガスヒーターの使用を控えていましたが、今では気にせず使用できるようになり、冬場でも暖かく快適に過ごせています。
さらに、キャンピングカー旅の自由度が大幅に向上し、これまで行くのをためらっていた国にも安心して安心して足を運べるようになりました。
ヨーロッパ周遊の旅がさらに楽しみになり、LPGに取り替えて本当に良かったと思います。