キャンピングカーだからこそ考えたい タイヤとの正しい付き合い方

キャンピングカーだからこそ考えたい タイヤとの正しい付き合い方



タイヤは命をのせて走るもの。

どこかのタイヤメーカーのキャッチコピーのようだが、それは紛れもない事実だ。

そして、普段何の気なしに車に乗っている人ほど、タイヤのことを考えることも少ない。これもまた事実。

しかし、キャンピングカーだからこそ、タイヤについては慎重に考えるべきなのだ。

タイヤにとって過酷なキャンピングカー


タイヤ

車が唯一接地している場所、それがタイヤである。

具体的には、タイヤ1本あたりハガキ1枚ほどの面積で、「走る・曲がる・止まる」を支えている。

そう考えると、実に頼もしく、また、重要な存在だ。

よく「キャンピングカーはバーストしやすい」という話が出る。

キャンピングカーとベース車両との比較データがないので、それが本当なのか・ウソなのか、この場で断じるだけの論拠はない。

あくまで「噂でしかない」のが現状だ。とはいえ、理屈で考えてみると「当たらずとも遠からず」なのではないか、と思えてくる。

ご存知のように、一部のバンコンを別にすれば、たいていのキャンピングカーのベース車両はトラックなどの商用車である。

商用車は荷物や人を目的地まで運ぶのが常だが、大抵の場合、荷物の積み下ろしや旅客の乗降がある。つまり、「積んだり」「おろしたり」があるということだ。

一方、キャンピングカーはどうだろう。

確かに人の乗り降りはあるだろうが、荷物は?着替えぐらいは積み下ろしするだろうが、遊び道具や生活用品は、ほぼ積みっぱなしではないだろうか?

つまりキャンピングカーは、トラックに例えるなら

「空荷になることがほとんどなくて」
「常にフル積載状態で」
「たまにしか動かない」

という条件下にある。キャンピングカーは、タイヤにとってとても過酷な条件を突きつける乗り物なのである。

キャンピングカーオーナーが知っておくべきこと


キャンピングカー 夜空

履いたことがないのでわからないが、ハイヒールという靴は、おそらく走るのには適していないだろう。無理をすれば転びやすいだろうし、転べばケガをする。

タイヤは人間でいうなら靴に相当する。サイズが合わないのは論外としても、適したものを履かないと、事故の元である。

説明したとおり、ほぼ「フル積載」のキャンピングカー。合わないタイヤを無理して履けば、バーストや、最悪「横転」なんていう大事故につながりかねない。

とはいえ、ただ怖がっていても何も解決しない。キャンピングカーオーナーとして最低限、理解しておきたいこととは何だろう。

タイヤの身上を知ろう


キャンピングカーに限った話ではないが、自分の使っているタイヤがどんなものか、知っておこうという話である。

まず、ディーラーやビルダーから出荷時に初期設定として装着されているタイヤ。それが適正なタイヤなはずである。

注意したいのは中古車を購入したとき。前オーナーが履き替えたものなのか、純正装備なのか。溝だけ見て「まだ大丈夫」という判断は実に危険である。

では、どこをどう見て判断するか。実はタイヤには「身上」が表示されている。

タイヤの側面にはいろいろな情報が記載されているが、大切なのは次の2つ。

タイヤサイズ製造年月だ。

タイヤサイズ


カムロードの純正タイヤは「195/70R15 106/104L」である。

この見方は以下のようになる

195=タイヤの断面幅、単位は㎜。
70=扁平率、単位は%。タイヤの断面高÷断面幅
R=ラジアルタイヤ
15=ホイール径、単位はインチ
106=シングルタイヤ時の最大負荷能力、106は950kg
104=ダブルタイヤ時の最大負荷能力、104は900kg
L=速度記号、走行可能な最高速度を示す記号、Lは120km/h

交換用タイヤやスタッドレスタイヤを探す場合には、元のタイヤと同じスペックのものを使用するのが基本である。

特に負荷能力値は絶対に標準タイヤを下回ってはいけない

製造年月日


タイヤ 製造年月日

タイヤの製造年月は写真のように4桁(例:0720)の数字が刻印されている。

最初の2桁の数字07は週(7週)を、最後の2桁の数字20は西暦年の下2桁(2020年)。

つまりこのタイヤ(=0720)は2020年の7週目、2月製造ということになる。

仮に走行距離が少なく、摩耗が少なくても、4年程度で交換をするべき、と覚えておこう。

空気圧管理はしっかりと


タイヤのケアに関してユーザーができることは「空気圧管理」だけといってもいい。

指定空気圧を守ることが基本だが、注意点としては、冷間時に測る・同じ空気圧計を使う、という二点である。

冷間時というのは「走行していない日影の状態」のこと。

長距離を走った後や、日当たりのいい場所で測った数値では判断できないということだ。
ということはどういうことか。

さんざん走った旅先で、立ち寄ったガソリンスタンドで計測しても、あまり意味はないということだ。
となると、自前の空気圧計が必要になってくる。Amazonなどで数千円で購入できるので、是非備えておこう。

実は、空気圧計には結構な個体差がある。マイ空気圧系を購入しておけば「同じ空気圧計を使う」という条件もクリアできるので一石二鳥だ。

また、空気圧管理には「センサー」を使うという手もある。

各タイヤに取り付けて常時空気圧が監視できるTPMS=Tire Pressure Monitor Systemというものがある。

これを導入すればかなり効果的だが、キャンピングカーの指定空気圧は乗用車より高いので、自分の車に適した空気圧が計れる製品を選ばないと意味がない。

目視点検も忘れずに


異物が刺さっていないか、タイヤの変形はないか。側面などにひび割れはないかなど、目視点検も大切だ。

キャンプ場など未舗装路を走る機会が多いキャンピングカーは、小砂利が刺さっていたりすることもある。放置しておくとキズの原因になったりするので、気が付いたら取り除いておきたい。

長期放置はNG


「夏しか乗らない」「冬は運転しない」そういうキャンピングカーオーナーもいるだろう。

遊び方のスタイルは人それぞれだが、タイヤにとってはそうはいかない。長期動かさないままだと、タイヤの変形を招く場合があるのだ。

ほんの数キロで構わないので、1か月に1回は動かすことを心掛けたい。

これはトレーラーでも同様だが、トレーラーの場合は保管中はジャッキアップして、タイヤを浮かせてしまうという手法もある。

久しぶりに出動する場合は、事前に必ず空気圧チェックを。本格的に走り出す前に、試走してみて、変な振動が出たりしていないか確認しよう。

高速道路を利用する場合は、最初のSA・PAに入って目視点検と触ってみて温度チェックするのがおすすめだ。

いかがだったろうか。実は奥深いタイヤの話。次回は、より耐荷重の高いタイヤの選び方などについてお伝えしよう。