渡部竜生のビルダー列伝 第三回 レクビィ



今はバンコン・ビルダーとしておなじみのレクビィ社だが、そのルーツは1984年創業の「バンショップ ロータス名古屋」にまでさかのぼる。

日本のキャンピングカーのメインストリーム史の中では、長いキャリアを誇るビルダーといえるだろう。

日本の事情に特化してバンコン専業に

1995five

「バンショップ」の名前の通り、創業時は当時流行した「バニング」と呼ばれるカスタムカーを主業としていた。

バニングとはワンボックスカーにエアロパーツを付けたり、内装を施すなどするカスタムのこと。

だが「流行に乗るだけでは、いずれ立ち行かなくなる」という先見の明で開発したのが、今でも続くバンコン「ファイブスター」だった。

1995年ファイブスター 内装

40年近い間には輸入キャブコンを扱った時期もあるが、現在はバンコン専業になっている。

バンコンに収まった背景には増田浩一社長の「バンコンは汎用性が高く、どんな用途にも使え、それ自体が自己完結した独立したジャンルだ」という思いがある。

道路事情や駐車場所のことで悩む必要がほとんどなく、どこへでも行ける・どこでも停められるという自由度の高さは格別だ。

1995年ファイブスター 内装2

キャンピングカーをセカンドカーにせず、ファーストカーとして普段使いも難なくこなせる1台であること。それでいてキャンピングカーとしての機能はしっかりと備えていること。

日本の道路事情や余暇事情にマッチしたコンセプトである。

実際、日本で一番売れているタイプはバンコン、という数字が、それを証明しているといえよう。

専業ならではのきめの細かさが魅力

isola

バンコン専業というだけあってラインナップは実に多彩だ。

「Exclusive」「Premium」「Standard」「RBL」とブランド分けされたモデルは14車種(20年7月末現在)にのぼる。

ベース車だけ見ても、トヨタ・ハイエースについては「スーパーハイルーフ」「ハイルーフ」「ハイルーフ標準幅」「ミドルルーフ」「標準ルーフ標準幅」と、すべての車種を網羅。さらに日産・NV350をベースとしたモデルもある。

一社でこれだけのボディバリエーションを揃えたビルダーは少ない。

ファミリー向け、二人旅などの人数対応から、「とにかくコンパクトに」など、あらゆるコンセプトで多様な顧客ニーズにも応えられラインナップになっている。

isola

商品の特徴について、どのモデルも、天井・壁・床すべてに二重断熱が施され、内装に使われる木材や接着剤もシックハウス対策基準の材料が使用されている。

快適性と健康面での安全性については、一般住宅並みの対策がとられている。

さらに、各工程はすべて一台ごとに記録され、「トレーサビリティ」を確立。

アフターサービスやパーツの取り付けなどの問い合わせに、詳細な情報提供ができるようにしているのだ。

「車内で過ごす時間を快適に」考えられた室内空間

shangrila 内装

レクビィのキャンピングカーを一言で表現すると、「あまりアウトドアを意識させない車」だと私は思う。

「家」の延長ともいえる住空間のクオリティ。室内の配色やシートファブリックの質感など、インテリアに注力しているのがわかる。

網代仕立てのキャビネットドアなど「和テイスト」を盛り込んだモデルも多く、特にシニア層に評判がよさそうだ。

陶器のシンク

上級モデルの一部に使われる陶器のシンクは、地元(レクビィの本社は愛知県瀬戸市)の陶芸家に特注したというこだわりの逸品。

快適な空間にこだわる、ということは「車内で過ごす時間」のクオリティを重視している、ということ。

アウトドア遊びをメインに考えたら、キャンピングカーは「寝るだけの場所」という人も多い。ましてバンコンは、キャブコンに比べたら居住空間は限られる。

社外にリビングテントなどを張って食事や遊びで過ごし、寝るときは車に戻る、というユーザーもよく見かける。

shangrila 内装2

その点、同社の製品は「居心地のいい住空間」にこだわっている。

大きさの制限があるから「広々」とはいかないが、そこでずっと過ごしてもストレスのない体感(断熱による適度な室温)、ハイクオリティなインテリアもそのためだ。

さらに同社のバンコンの室内に座って感心することがある。

それは実際、座ってみないとわからないことなのだが、「視線の通り方」や「目に入るものの形」まで計算されている、ということ。

ダイネットに座って、人の視線がどこにいくのか。そこに何が見えるのか。あるいは何が「見えないように」なっているのか。それが「狭さを感じさせない」あるいは「狭くても快適」を生み出しているのだ。

ベテランが繰り出した次の一手は「攻めの姿勢」

これまでのレクビィ製品といえば、きっちりとした「真面目」なスタイルが基本だった。

それが安定した人気を支えてきた部分もあるが、2020年のジャパンキャンピングカーショーで登場した新作は「攻めてる一台」だったのは驚いた。

ホビクル・オーバーランダー

その製品は「ホビクル・オーバーランダー」。

外装にデジタル迷彩をまとい、内装もミリタリーカラーで統一。これまでのレクビィ車とは一線を画すルックスである。

ホビクル・オーバーランダー 内装

もちろん、断熱など肝心な機能はレクビィ・クオリティを継承。

ベース車両はハイエース・スーパーロング。2WDも4WDも選べるので、外見通りのタフな遊び方を望むなら4WDをセレクトすればいい。

ホビクル・オーバーランダー リア

ホビクル・オーバーランダーは、見た目がワイルドなだけではなかった。

キッチンユニットが可動式。つまり取り外して車外に置き、アウトドアキッチン(車のすぐそばである必要はあるが)としても活用可能。だが、きちんと接続された装備なので、8ナンバー登録の車両である。

この車の登場が今までキャンピングカーに興味を示さなかった層にヒット、新たな展開ができてきたという。なんと、問合せが多いのは「女性から」だというから面白い。

常に進化していく「老舗」の、次なるステップにも注目したい。

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