DIYした車中泊仕様車は簡単に車検が通るのか、注意点をご紹介

DIYした車中泊仕様車は簡単に車検通るの?注意点は?




車中泊仕様にDIYした車は車検に通るのか


車検証 車中泊仕様車

「素人が自分で製作した車中泊仕様車は車検に通らない」という話しを聞いたことがありませんか。

筆者もボンゴブローニイを車中泊用にDIYした当時、SNSなどにそのことを投稿すると「車検通らないよ」とのコメントをいくつももらいました。

しかし筆者はボンゴブローニイを車中泊用にDIYする際に運輸支局に足を運んで相談・確認しながら進めたこともあり、これまで4回の車検で特に問題もなく合格しています。

車検の検査項目に引っかかるような改造をしていなければ、素人が自分で製作した車中泊仕様車でも車検に通ります

車検を引き受けてくれる業者とは、車検用の検査ラインを自社工場に持っている「指定工場」や、整備は自社工場で行い車検は運輸支局の検査場に持ち込んで受けてくれる「認証工場」など。

ただし素人が自分で製作した車中泊仕様車は、民間業者に車検を引き受けてもらえないケースがあることも確か。

では、どうすればいいのか。

自分で運輸支局に持っていって車検を受けるユーザー車検という手もありますが、DIYした車の場合、細かな知識がないと何度車検に持っていっても通らないという可能性があり、ハードルが高いです。

ここは受け入れてくれる「指定工場」や「認証工場」を探すほうが無難。

筆者の場合は知り合いの認証工場にお願いするようにしています。

これから中古車を購入してDIYする予定なら、購入しようとする店舗で「これから車中泊用にDIYをする予定なんだけど、その後の車検もお願いできますか」と最初から相談してみるのもいいでしょう。

それでは次項から車中泊仕様にDIYするときに、気をつけたい車検のポイントを解説したいと思います。

車中泊仕様にDIYするとき、気をつけたい車検のポイント


ベース車両によってはDIY可能な範囲が決まっている


車中泊仕様車 DIY

車中泊仕様のDIYをはじめる際にまず注意したいのが、ベースとなる車両の種類。

車中泊DIYのベース車両として人気のハイエースやキャラバン、筆者がDIYしたボンゴなどの車体が四角い車両。

これらには「ワゴン」と「バン」の2種類が存在します。

キャンピングカーやミキサー車などの特殊な車を除き、国内を走る車は「乗用自動車(5・3ナンバー)」と「貨物自動車(4・1ナンバー)」に分けられ、それぞれ細かな規定があります。
ちなみにワゴンは人を乗せるための乗用自動車で5ナンバー、バンは荷物を乗せるための貨物自動車で4ナンバー。

人を乗せるための乗用自動車には、運転席より後ろのスペースの半分以上を乗車スペース(座席)で占めないといけないという決まりがあります。

このため、筆者のボンゴブローニイは後部座席を取り払い、フラットな板張りの空間を作っていますが、同じように乗車スペースが半分以下になる場合は4ナンバーのバンをベース車両に選ばないといけません。

車検時、DIYした設備は原則取り外します!


車中泊仕様車 DIY

車検を受ける際の車両状態は、「空車状態の自動車に運転者1名が乗車した状態」と定められています。

8ナンバーを取得したキャンピングカーでは、キッチンやベッドといった車内の設備は構造の一部となるので、そのまま車検を受けられます。

しかし4ナンバーや5ナンバーのまま運用する車中泊仕様車では、これらの設備は「荷物」として車内に載せているだけ

車検の際には降さなければなりません。

ただ、 筆者の場合は、車検の際に降ろしているのはベッドのマットレスやカーテン、ベンチチェストやベッド下などの収納の中身のみ。

ベッドやベンチチェストは床や壁の板に固定していて、そのまま車検に合格しています。

車検を受ける際には、これらの固定されているものに関しては「荷物を積むための棚」として説明しています。

小型貨物などの車両では、職人さんが仕事道具を取り出しやすく積み込むために、荷室に棚などを取り付けていることがありますが、これらはそのままで車検を受けることができています。

それらと同じということにしてあるわけです。

ただし、法律的に「荷物を積むための棚」は取り外さなくてOKという記載があるわけではありません。あくまで現場の慣習的なものだと思われます。

いつNGと言われるかわからない、グレーゾーンといえます。

また、車検を受ける際には乗車定員分すべての座席が使える状態にしなければなりません。

後部座席を取り外さずに、折りたたんだ状態でDIYする場合は特に注意が必要。

座席を展開できない状態はもちろんですが、例えば座席に人が座った際に頭部付近に吊り戸棚の角があるなど、安全上問題がある場合も車検に通りません。

このような場合は車検の際に取り外す必要がありますので、設計する際に注意しましょう。

大掛かりなDIYでは構造変更が必要になることも


車中泊仕様車 DIY

DIYだからといって、好き勝手に何をしてもようというわけではありません。

車検証に記載されている内容に変更がある場合には、構造変更の手続きをしないと車検に通らなくなります

筆者のボンゴブローニイは後部座席を取り外してからDIYしました。

この場合、乗車定員が変わるため、構造変更の手続きが必要でした。

DIYをする中で車両の重量やサイズが変更になった場合も、構造変更の対象となります(ルーフラックやサイクルキャリアなどの指定部品を除く)。

ただしこちらは許容範囲が定められていて、4ナンバー・5ナンバーの車であれば、車両重量±50kg、長さ±3cm、幅±2cm、高さ±4cmまでの範囲内であれば構造変更は不要となっています。

特に重量に関しては個人では確認するのが難しいため、特に注意が必要です。

重量が大きく変わるようなDIYをした後の車検は、期限ギリギリではなく余裕を持って車検を受け、指摘された場合は対応できるようにしておきましょう。

車検時に慌てないように、ルールを確認して車中泊DIYを進めましょう!


今回は車中泊仕様車をDIYする際に注意すべき、車検のポイントをご紹介しました。

DIYは自由度が高く、自分の理想に合わせた空間を作れるメリットがあります。

8ナンバーを取得しない車中泊仕様車では、キャンピングカーの構造要件に縛られないため、より自由にDIYを行うことが可能です。

しかし、ベースとなる車両にもナンバーごとに必要要件が決まっているため、最低限のルールを押さえておかなければ、車検の際に慌てることになりかねません。

しっかりとルールを確認してDIYに臨むようにしましょう。