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オービスを光らせたらどうなる?出頭から免許停止まで・免停期間を短くするには?

オービスを光らせたらどうなる?

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オービスを光らせたら以下のような流れで処分・免許停止になります。
- オービスを光らせたら「出頭通知書」が届く
- 警察署で取り調べを受ける
- 「出廷通知書」が届き裁判をする
- 行政処分で免許停止になる
「オービス」は車の速度違反を設置した機械で取り締まるシステムです。
正式名称は「自動速度違反取締装置」と呼ばれています。
一般道や高速道、有料道路などに設置されている電柱や鉄塔の上に、防犯カメラ風の機械が取り付けられているのを見かけた経験があるかもしれません。
その他、近年では道路の路肩に移動式の測定機械が置かれているのも散見されます。
オービス(取り締まり装置)を車両が通過するタイミングで道路の法定速度を大幅に超えてしまうとセンサーが反応して、カメラにて違反した車の撮影が行われます。
オービスが反応したかどうかはカメラ撮影の“ストロボ光”でわかるようになっており、色は赤もしくは白で光る仕組みです。
オービスを光らせると警察との速度違反に関連した取り調べが始まる流れとなりますが、どのような段階を踏んで行政処分・免許停止などの違反を受けることとなるのでしょうか。
オービスを光らせたら「出頭通知書」が届く

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オービスを光らせたのち、最初に迎える段階が「出頭通知書」の受け取りです。
オービスに取り付けられたカメラで撮影した画像をもとに違反した車両の割り出しが行われます。
画像を撮影した場所を管轄している警察署から、車両の持ち主(所有者)宛に出頭通知書が送付される流れです。
出頭の対象となるのは「運転していたドライバー」
ただし、出頭の対象となるのは所有者ではなく「運転していたドライバー」となるのを念頭に置きましょう。
オービスのカメラで違反の瞬間を撮影したタイミングで車を運転していたドライバーが取り調べ、違反処分の対象となるからです。
出頭しなければならない警察署が遠方であれば連絡しよう
また、出頭を求められた警察署が遠方であるなら、該当の警察署へ連絡して出頭先を変更してもらえるケースもあります。
違反に引っかかる要因となったオービスの設置されている場所が、偶然旅行や仕事で通ったなども考えられるからです。
その他にも、違反を犯したタイミングでは居住地の都道府県であったものの、直後に引っ越しがあって他の場所に転居した例もあります。
出頭通知書を発行・送付した警察署に連絡して相談するとよいでしょう。
また、警察署が遠方であるのと同様、提示された日時に警察署へ出頭できないなどの都合もあります。
その際も同様に、出頭通知書の発送元である警察署へ速やかに連絡するのをおすすめします。
通知書が手元に届くのは数日から1ヶ月程度
出頭通知書が車の持ち主に届くのは「数日から1ヶ月程度」とされています。
一定の期間が定められているわけではないからです。
早ければオービスを光らせて数日後には、車の持ち主へ通知書が郵送されてくるケースがあります。
しかし、オービスの形態によっては画像の割り出しや現像などに時間を要したり、あるいはレンタカーや他者から借りた車に乗っていたりなどの要素が絡むと、1ヶ月以上かかってから手元に通知書が届くケースもあるようです。
次のページ▷【警察で取り調べ、裁判でのやりとり免許停止を短縮することができるかなどをご紹介します。】
警察署で取り調べを受ける

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次の段階が「警察署で取り調べを受ける」です。
出頭通知書に記載された日時に従い、指定された警察署へ出向いて取り調べを受けることとなります。
警察署で提出する書類
警察署へ出頭する際、提示を求められる書類は以下の3点です。
- 違反車両を運転していた本人の運転免許証
- 違反車両の自動車検査証
- 印鑑
取り調べで事実確認&調書へサインをする
出頭した警察署で受付をしたのち、取り調べが行われます。
オービスのカメラで撮影された画像を用いて事実確認をし、映っている車両やナンバープレート、ドライバーの顔に誤りがないかをひと通り提示される流れです。
もし、警察官から問われた内容で少しでも嘘の回答を行うと、虚偽罪など別の罪に問われる可能性があるため、質問に応じる際は事実を述べましょう。
画像に誤りがなければ、「調書」と呼ばれる書類にドライバーがサインをして、裁判所への出廷へ進む流れです。
警察署への出頭はひと通り終了となります。
「出廷通知書」が届き裁判をする

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警察での取り調べが終了した数日後から1ヶ月程度で、裁判所より「出廷通知書」が届きます。送付元のほとんどが簡易裁判所です。
裁判所へ出廷すると、「略式裁判」と呼ばれる仕組みで速度違反に関連した罰金の金額が決定する流れです。
出廷通知書の内容は警察の出頭通知書と似ている
警察署への出頭通知書と同様、裁判所へ出廷する日時や詳しい場所の案内などが記載されているため欠かさず確認しましょう。
もし、万が一提示された日時が難しいようであれば、通知書に記載されている連絡先を通じて日時の相談をおすすめします。
出廷する際の所持物
裁判所へ出廷する際の主な所持物は以下の4点です。
- 出廷通知書
- 違反車両を運転していた本人の運転免許証
- 印鑑
- 現金
出廷通知書、運転免許証、印鑑は当日欠かさずに持参しましょう。受付の際や略式裁判の最中に提示・使用する場面があります。
また、可能であれば現金も持参しておくと手短に裁判所での手続きが進むかもしれません。
略式裁判にて速度違反に関連した罰金が決定しますが、その場で支払いを済ませられるケースもあります。
ただし、高額な罰金額となるケースもあり得るため、後日改めて用意した金額を持参して支払いを済ませるのも適切な対応となりそうです。
裁判所へ出廷して略式裁判を行う
所持物を用意して、日時と場所を確認できたら、裁判所へ出向き略式裁判へ臨みます。
裁判所での流れは以下の通りです。
- 裁判所内に警察側の受付があるため、出廷通知書を提示する
- 警察署での調書を使用しつつ、事実確認が行われる
- 事実に相違がなければ、略式裁判へ同意する書類にサインし、捺印をする
- 検察受付へ移動して、事実確認を行い不備がないか確認する
- 罰金額が決定する
- 略式裁判が行われて受け応えを行ったのち、判決結果が記載された用紙、罰金額が記載された赤切符を受け取る
警察と検察、2つの窓口にて受付を行い、それぞれで必要事項に回答して進めていく流れです。
簡易裁判所では、講堂のような場所ではなく個室部屋で裁判官と1対1でやり取りをするため大がかりな裁判とはなりません。
個室部屋で、裁判官と警察署で作られた調書をチェックしつつ事実確認を行う仕組みです。
事実確認が済んだのち判決が下されて、罰金額の決定と赤切符の提示がなされます。この段階で速度違反に関連した処分は終了です。
なお、判決の内容に不服があれば容疑を否認できますが、裁判所へ再度出頭したり、弁護士を用意したりと余分な手間がかかるため、実直に判決を受け入れるのが正解となるでしょう。
罰金額の決定後は赤切符が提示されるため、その場ですぐに罰金の支払いが可能です。
しかし、罰金額自体は高額となるケースが多いため、後日改めて決定した金額分を持参するのがよいでしょう。
行政処分で免許停止になる
裁判所で略式裁判が終了した次のステップが「行政処分が下される」点です。
オービスを光らせるほどの速度違反を行ったケースでは、残念ながら運転免許の累積点数によっては「免許停止」の処分を受ける可能性があります。
免許停止の基準は「点数制度」で決められている
免許停止処分を受ける基準は「点数制度」で定められています。
点数制度はドライバーが過去3年間に自動車を使って起こした事故や違反に対して一定の点数をつけるシステムです。
累積の点数が定められた基準へ達すると、運転免許の取り消しや停止の処分が下される仕組みとなっています。
違反行為は“危険運転致死傷”などが当てはまる「特定違反行為」と、信号無視などの軽微な違反「一般違反行為」の2種類に分けられているのが特徴です。
今回取り上げている「オービスを光らせて交通違反をしてしまった」ケースでは、後者の一般違反行為に当てはまります。
【参考1】免許停止の「処分回数0回で累積違反点数6点」以上
参考までに、「一般違反行為」で免許停止処分を受けた際の基準をピックアップしてみました。
比較対象として免許取り消し処分「欠格期間1年(前歴3年間)」の内容も取り上げています。

「一般違反行為」で免許停止処分を受けた際の基準 一覧表(引用:警視庁「行政処分基準点数」)
「過去3年以内の処分回数が0回で、累積の違反点数が6点以上」となると免許停止処分に当てはまります。
もし過去3年以内に同様の免許停止を受けていれば、累積点数が少なくても処分を受けることとなるため注意すべきでしょう。
【参考2】点数によって「停止期間」が異なってくる!
また、違反点数の多さ、少なさでも免許停止処分の期間に差があります。
以下、免許停止処分の期間を、過去の処分回数とかけ合わせてピックアップしました。

免許停止処分の期間 一覧表(引用:警視庁「行政処分基準点数」)
例えば、以下に提示した条件では、免許停止の日数が異なってきます。
- 「過去3年以内の処分回数が0回で、累積の違反点数が6点」:免許停止30日間
- 「過去3年以内の処分回数が0回で、累積の違反点数が9点」:免許停止60日間
- 「過去3年以内の処分回数が0回で、累積の違反点数が12点」:免許停止90日間
上記のように、同じ過去3年以内で処分を受けていなかったとしても、累積の違反点数の多さ、少なさで受ける免許停止の期間が異なるため気をつけなければなりません。
また、過去3年以内に処分回数が1回、2回と繰り返しているケースではより厳しい基準が設けられています。
軽微な違反であってもあっという間に免許停止となる制度のため、オービスに引っかかることにさえも気を付けるべきだと気づくでしょう。
速度超過での違反点数をチェックしよう
オービスを光らせたケースで、交通違反や点数制度に当てはまるのは「速度超過」の項目です。違反点数の基準を確認してみましょう。
- 時速50km以上:12点
- 時速30km(高速道路では40km)以上から50km未満:6点
- 時速25km以上から30(高速道路では40km)未満:3点
- 時速20km以上から25km未満:2点
- 時速20km未満:1点
(参照:警視庁「交通違反の点数一覧表」)
例えば、法定速度40kmの一般道を時速90km以上で走行していた際にオービスで捉えられれば、一回の違反で12点分の違反点数となります。
このケースでは免許停止の処分を避けられないでしょう。
また、免許の点数制度は項目ごとに違反点数を加算するのではなく、どの違反でも犯しただけで合算されているため、速度超過以外に駐車違反などでも点数を加算されます。
“点数の多さ、少なさ”でも免許停止処分の期間に差が出るため注意しなければなりません。
例えば、速度超過の違反だけでも「時速50km以上」と「時速30km(高速道路では40km)以上から50km未満」では、6点分もの差があります。
初めての免許停止処分でも、30日分もしくは90日分と、およそ2ヶ月も停止期間に違いがあります。
上記の事例を見るだけでもオービスを光らせるほどの速度違反をすれば、自動車を運転する資格すら疑われてしまうほどの処分が待ち受けていると認識すべきかもしれません。
免許停止を短縮する方法

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オービスを光らせてしまい、速度違反で免許停止となってしまったら、処分期間を短くする方法はあるのでしょうか。
各都道府県の警察署では「行政処分の短縮講習」などと銘打って、数日間の交通安全に関連した講習を受けることで免許停止期間を短縮できる制度を設けています。
例えば、30日間の免許停止を受けてから短縮講習を受け一定の基準を満たすと、処分期間が1日分のみへ短縮されるシステムです。
ただし、基準を満たせなければ処分期間が短縮されないなどのケースがあります。
講習を受けるかは免許停止処分を受けたドライバー自身の任意です。
受講料(手数料)もかかるため、急な運転の用事がない人であれば講習を受けず、処分期間をそのまま車を運転しないで過ごすという手もあります。
ただ、仕事などで運転する機会の多い人は、短縮講習を受けている事例が多いようです。
都道府県の警察署ごとに免許停止処分の短縮講習に若干の違いがあります。
処分を受けてしまったら、最寄りの警察署へ問い合わせたり、インターネットサイトでも講習の詳細を載せていたりするため、確認するのがよいかもしれません。
オービスを光らせてしまうとメリットはひとつもない!

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結論から述べると、オービスを光らせてしまったらドライバーには何のメリットも存在しません。
無茶な速度で車を運転してオービスを光らせて、数日後に警察署からの「出頭通知書」が届いたら、違反を犯した以上に「精神面のショック」が大きいでしょう。
オービスを設置している目的は「ドライバーが法定速度で安全運転を心がけるように促す」という側面があります。
法定速度で車を走行させて事故を防ぐのに役立つほか、道路交通で渋滞や通行止めなどの事態を誘発せずに済むでしょう。
そのような目的を無視し、ドライバーの勝手な判断で犯した違反で後悔するよりは安全運転に徹するべきだと考えます。
また、オービスを光らせてしまうと、「奪われる時間の多さ」にもショックを受けるかもしれません。
警察署や裁判所へ出向いたり、免許停止の処分期間を短縮するために指定された場所へ短縮講習を受けにいったりと、社会人であれば働いてお金を稼いでいるはずの時間が無駄になってしまいます。
仕事を休むことを余儀なくされ、自分自身だけでなく他者にも迷惑をかけかねません。
オービスを光らせるのは、メリットではなくデメリットをいくつも引き起こしてしまいます。
車を運転する際は法定速度にも気を配り、常に安全第一で走行するのが大切です。
ぜひ、自身の運転に問題がないかどうか見直して、オービスとは無縁の安全運転を心がけてみてください。
ライター:MOBY編集部
監修者:鈴木 ケンイチ
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