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一目で怪しい『ASK』『応談』の中古車価格…それには知られていない理由があった

一目で怪しい『ASK』『応談』の中古車価格…それには知られていない理由があった



中古車の販売価格を掲示しないことがあるのはなぜ?


はてな

©Tierney/stock.adobe.com



車両本体価格が決まっている新車と違い、中古車の場合は同じモデルの同じグレードであっても、一台ずつの価格が異なります。

基本的には年式や走行距離、車両の状態などから、その個体の価値が決まり売買されるわけであり、おおよその価格帯、いわゆる相場と言われるものが存在するのですが、中古車情報サイトを見ていると、たまに『ASK』や『応談』といった価格表示が掲げられているものを見つけます。

車を探している側からすれば、どうして価格を出せないのかや、高い金額を要求されるのではないかなどと、様々な疑問が湧き上がってきます。

ただよくよく考えてみれば、それらASKと書かれている車両にしても、実際のところはお店側が売りたいと考えている金額があったり、正当な理由もあるはずです。ではなぜ販売価格を掲示しないのでしょうか。

「ASK」というよりも「話し合い」?


その理由を、80年代の国産車を中心に取り扱っているDカーズ代表の柴田竜二さんに訊ねてみました。

「Dカーズでも中古車売買サイトや店頭に並べる際、価格欄に“ASK”と掲示することがたまにありますが、それにはいくつかの理由があります。

まず一つ目の理由としては、購入を希望される方と相談し、どの状態まで仕上げるかによって価格が異なってくるケースがあるためです。つまり納車までの間に掛かる車両の製作費の問題です。

我々がメインに取り扱っているのは年式の古い、80年代の車両となっています。今から40年近くも前に製造された車であるため、個々の程度や状態も大きく異なります。入庫した際の状態から車検を取り乗り出すまでにかかる費用も、一台ずつ違います。

例えばあまり状態が良くない車両を仕入れてきたとします。ただ車検を通せば良いだけであれば安価に収めることができますが、後々トラブルになることも避けたいです。

逆に内外装をしっかりと仕上げたりホイールを履き替えたりしていけば、パーツ代や作業工賃が引き上げられていきます

その分車両の価値そのものも上がってゆくのですが、お客様側の立場に立って考えると、購入後自分の手で仕立てるからなるべく安い方が良いと言う方や、多少費用が嵩んでも構わないので、なるべく良い状態に仕上がった個体が欲しいという希望がそれぞれございます。

そういったことによりASKと掲げている車両の場合は、購入を希望される方と相談しながら、どの状態まで車両を仕上げるかによって価格を決めましょうということになるのです。」

修理

©garage38/stock.adobe.com



「二つ目の理由は、委託販売で依頼者の希望による場合です。これは車両の販売をDカーズへ委託される方から価格を伏せておきたいという要望があった場合に対応させていただいております。

我々も委託される方と、次の購入者と上手くつなぎ合わせることができるように、協力させていただきます。

三つ目の理由は、お問い合わせいただいて、お客様とコミュニケーションを取りたいということがあります。車を大切に乗っていただける方の下に嫁いでほしいという親心的な面もありますし、中古車業界の同業者からの探りを避けたいということなどもありますね。

そのような理由から、できればメールではなく、電話でのお問い合わせをお願いしております。

何にせよ、どの車もなるべく良い状態で、販売したいという気持ちがあるからそのようにしているだけで、“ASK”というよりも“話し合い”という方が言葉的には適しているかもしれません」

握手

©Rido/stock.adobe.com



柴田さんのお話をお聞きし、ASKという価格表示は、なにも車両を高く売りたいからと言うわけではないことが分かりました。

中古車の場合はチャンスを逃すと次に巡り合うことが難しいので、むしろASKで販売されている個体で気になった車両があれば、まずはどの程度の価格で購入できるのかを率先して問い合わせる方が良いでしょう。

これ以外にも、買取りで仕入れた車両であるために、通常相場よりも安く出せる場合もASK表示の車両の中には混ざっていることがあるという情報も耳にしました。

もし興味がある車両がASK表示で販売されているのを見つけた際には、実際に問い合わせてみると良さそうですね。

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ライター:小松 男