知識
見たことあるけど行ったことない…「ドライブイン」は何するところ?近年は若者の利用増…なぜ

地方の街道沿いで“昭和感”を放つ施設「ドライブイン」

地方の都市部から少し離れた街道沿いには、「ドライブイン」と書かれた建物が点在していることがあります。
レストランやホテルのように見えるその建物は、ほとんどが少し古びていて、文字や色使いにも昭和を感じることがほとんど。
ドライブインの多くはまだ高速道路やバイパスの発達が進んでない頃に登場した施設なので、その多くは実際に昭和の時代から存在する歴史を持った施設です。
ドライブインのほとんどは広い駐車スペースが併設されていて、ラーメンやカレーなど食事のメニュー名なども提示されています。
そのため、ドライブインは「見たことはあるけど行ったことはない」という人が増えていますが、その見た目から「ドライブインは、ドライブの途中で立ち寄る飲食店なんだろう」と考えている人は少なくないでしょう。
その予想は間違ってはいないものの、100点満点の答えとは言えません。
トラックドライバー向けの「食事」「買い物」「休憩」施設

ドライブインは「drive in」、つまり「車で入る店」だと思われがちですが、実際の語源は「drive inn」であり、手軽な宿泊施設を指す「inn」が使われています。
ビジネスホテルの名前でもこの「INN」はおなじみです。
休憩の中には食事も含まれるため、「ドライブの途中で立ち寄る飲食店」もあながち間違いではないのですが、ゲームセンターになっているドライブインや自販機だけが並べられているドライブインなどその形態は多様。
スマートフォンや携帯電話といった携帯端末が普及する前には、交通情報を提供するドライブインもありました。
ただし、いずれも広い駐車スペースがあることや良識の範囲内で長時間の駐車も許されているため、ドライブインは「ドライブの途中で立ち寄る休憩施設」となります。
そしてその利用客はトラックドライバーなど長時間を車の中で過ごす人たちでした。
今では数が少なくなってしまったドライブインですが、似たような施設は連日多くの利用者が訪れます。
高速道路の「サービスエリア」や、さまざまな場所に存在する「道の駅」は、その特徴はほとんどドライブインと同じ。
しかしなぜこれらは今なお人気があり、ドライブインは廃れてしまったのでしょうか?
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バイパスや高速道路網の発達とともに減少

©Ryusuke Komori/stock.adobe.com
ドライブインは地方の都市部から少し離れた街道沿いなどに存在しています。
場所によっては、山間部にぽつりと建っていることも。
これは、ドライブインが登場した時期は高速道路やバイパスが今ほど発達していなかったためです。
高速道路やバイパスが今ほど発達していなかった頃の休憩場所として、今のサービスエリアや道の駅のような使われ方をしていました。
しかし、高速道路網が広がったことやバイパスの整備が進んだことで、ドライブインの主な利用客だったトラックドライバーはサービスエリアを、バスツアーなど団体客は道の駅を利用するようになり、ドライブインの利用客は激減。
その後は廃業してしまったり、廃業とまではいかなくとも宿泊場所の提供はやめ飲食店やコンビニ等へ転換したりとさまざまです。
サービスエリアや道の駅では、そこでしか食べられない名物などもテレビで特集されるようになり連日多くの人が訪れているのに対し、同じような施設でありながら廃れてしまったドライブイン。
昭和の遺物として、令和の時代のうちに消えてしまうのでしょうか。
近年は一般ドライバーの利用が増えている?

サービスエリアや道の駅にトラックドライバーや団体客など本来の利用客を奪われてしまい減少の一途を辿っていたドライブインですが、希少になると途端にありがたがる国民性か、近年はSNSなどでコアな人気を博しつつあるようです。
トラックドライバーや団体客ではなく、一般の若い利用客が増えているとされ、移動手段も車だけでなくバイクや自転車、中にはタクシーでわざわざ乗り付けるという人も。
ドライブインによってその個性は異なりますが、共通して人々の関心を集めているのは昭和の頃の雰囲気を残したレトロ感。
現代ではなかなか見ることがない建物や掲示物などが「映える」と評判を集めています。
かつてはプロドライバーのオアシスだったドライブインが道路網の変化とともに廃れ、昭和の遺物としてまったく違う価値を持って再び注目を集めるとは、当時のドライブインを利用していたドライバーたちも思ってもいなかったかもしれません。
ライター:MOBY編集部
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