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雨の日は晴れの日の何倍事故が起きやすい?雨天時の運転には「アレ」活用で安全性が高まる?

雨の日は事故の危険性が高まる?

2024年7月11日、雨の日の交通事故に関するプレスリリースを株式会社アシロが発表しました。
これによると、雨天時の歩行についてのアンケート調査で次の結果が出たそうです。
調査回答者3,000人のうち、61.8%が「雨天時の歩行中に危険を感じることがある」と回答。
また、雨天時の歩行中に自身や家族が交通事故に巻き込まれた経験のある人は、回答者の14.7%を占めています。
これらの回答をした人が雨の日にどのような危険を感じ、どういった事故に巻き込まれたのかは不明です。
ただ、周囲の車に危険を感じる人や、車が絡む事故に遭っている人は多そうですよね。
そう考えると、この調査結果はドライバーにも関係のあるものだといえます。
ところで、雨が降っているときと降っていないときでは、やはり後者のほうが交通事故の確率って上がるものなのでしょうか?
雨と事故発生率の関連を示すデータ
交通事故総合分析センターが2001年9月に発行した資料によると、ある時期の1時間あたりの死亡事故件数を降水時と非降水時で比較したところ、次の分析結果が出たそうです。
・非降水時と比べて降水時は、自動車乗車中の死者数が1.67倍に増加していた
・非降水時と比べて降水時は、歩行中の死者数が1.09倍に増加していた
・非降水時と比べて降水時は、横断歩道での人対車両事故の死者数が1.30倍に増加していた
・非降水時と比べて降水時は、車両同士の正面衝突による死者数が1.53倍に増加していた
以上のデータを見るかぎりだと、自動車と歩行者ともに、雨の日は交通事故が増加する傾向にあるといえそうです。
なお、この分析結果は、1998年(平成10年)における死亡事故件数とアメダス気象データを突き合わせたものです。
最新の情報とはいえませんが、雨天時の事故の傾向を知るための参考にはなるでしょう。
雨の日に安全に運転するには?

どうやら雨の日は交通事故が起こりやすいらしい。
実際、雨の日は視界が悪くなりますし、スリップもしやすくなりますから、事故の発生率が上がるのも当然かもしれません。
とはいえ、天候がどうあれ交通事故は避けたいところ。ここからは、雨の日の運転方法について見ていくことにしましょう。
雨の日の運転で気を付けていることは何ですか?
一般的なドライバーが雨天時に注意していることを知るために、知恵袋サイトで「雨の日の運転で気を付けていることはありますか?」と質問してみました。
お寄せいただいた回答を見てみましょう。
質問へのご回答
「雨の日は前をよく見ずに走る自転車が増えるため注意しています。それと、夜間は路面で乱反射したライトの光で視界が悪くなるので、特に気を付けて運転しますね(Tさん)」
「普段よりスピードを落とすのが鉄則ですね。雨の日はカーブでスリップしやすくなりますし、マンホールの上もよく滑りますから、なるべくゆっくり走るようにしています(Wさん)」
「冠水している道路はなるべく避けるようにしています。水の深さがわからないし、歩道との境目が見えなくなっている場合もあって危険ですから(Mさん)」
ライトの乱反射やタイヤのスリップ、周囲の自転車など、どれも雨の日に特に注意すべきものといえそうですね。
冠水した道路も要注意で、事故の危険があるだけでなく、マフラーや吸気口からの浸水でエンジンが故障する場合もあるようです。
Mさんがいうように、雨水に浸かっている道路はなるべく迂回したほうがよいでしょう。
雨の日の運転で意識したいポイント

知恵袋サイトにいただいた回答やネットの情報などを参考に、雨の日の運転で意識したいポイントをまとめました。
・雨の日はスピードを抑える
・エアコンを活用する
・昼間でもライトを点灯させる
以上3つのポイントを順番に見ていきましょう。
雨の日はスピードを抑える
知恵袋サイトへの回答にもあったように、雨の日はスピードを抑えて走る必要があります。
というのも、雨の日は視界が悪くなるうえに、タイヤが滑りやすくなりますし、ブレーキ時の制動距離も延びてしまうからです。
ちなみに、交通事故総合分析センターのデータによると、雨の日は建物や設備などに接触する単独事故が発生しやすいようです。
これは普段どおりのスピードで走り、スリップして事故を起こすドライバーが多いためと考えられます。
ということで、雨の日は可能な範囲でスピードを抑えて走るべし。また、車間距離も大きめにとったほうがよいでしょう。
エアコンを活用する
雨の日は車の窓ガラスが曇りやすくなります。フロントガラスが曇ると運転に支障をきたすので、乗車の際はエアコンを次のように設定しましょう。
・「内気循環モード」にする
・「A/C」をONにする(冬場でもA/Cを使います)
上記の設定をすることで、湿度の高い外気が車内に侵入しなくなり、かつエアコンで空気が除湿されて、窓ガラスが曇りにくくなります。
すでにガラスが曇っている場合は、この設定に加えて「デフロスター」を使うとよいでしょう。
昼間でもヘッドライトを点灯させる
雨の日は昼間でもヘッドライトを点灯させておいたほうが安全です。
特に、激しい雨で視界が悪くなっているときは、周囲の車や歩行者にこちらの存在を知らせるために、ヘッドライトを点けたほうがよいでしょう。
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予防安全機能があれば雨の日も安心?

ここまでに見てきたように、雨の日は交通事故が起きやすくなるため、車の運転にはより一層の注意を要します。
ところで、近年の車には「衝突被害軽減ブレーキ」をはじめとする予防安全機能が搭載されていますよね?
こうした先進安全装備があれば、雨の日も安心して運転できそうな気がします。……が、実際のところどうなのでしょうか。
先進装備があっても油断は禁物!
衝突被害軽減ブレーキの中でも、ミリ波レーダーを使用するものは、雨の影響を受けにくいようです。
ただ、ミリ波レーダーは近距離にある障害物や、電波の反射率が低いもの(歩行者など)を検知しにくいという欠点があります。
また、車の予防安全機能は、雨量の多い日に機能停止する場合があります。
人間の目と同様に、カメラやレーダーの機能も雨によって妨げられてしまうのです。
これらの点から、愛車に先進の予防安全機能が備わっていても油断は禁物。
特に豪雨の中の運転では、ドライバーの感覚と判断で安全を守るように意識したほうが賢明といえます。
雨の日は無事に到着することを最優先しよう

雨の日は視界が悪くなるだけでなく、雨音によって周囲の音が聞こえにくくなります。
いかに優れたドライバーでも、雨天下では100%の運転能力を発揮できなくなると思ったほうがよいでしょう。
これは車も同じで、降雨時にはブレーキ性能やグリップ性能などが低下して、本来の能力を発揮できなくなります。
雨の日に事故が起きやすいのはこのためといえますが、雨の日だからこそ車が必要になることも多いですよね。
そんな雨降りの日に安全に運転するには、降らない日の倍以上に周囲の状況に気を配り、慎重な操作を心がけることが肝要です。
目的地に無事に到着することを最優先して、焦らず落ち着いて運転したいところですね。
ライター:加藤 貴之
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