キャンピングカーが欲しい!~購入する際に検討すべき事とは



前回記事↑「キャンピングカーは買うべき?借りるべき? 購入orレンタルorカーシェア(前後編)」では、キャンピングカーを利用する際に、購入・所有するか、借りるべきかを考えてみました。
購入額や、税金・維持費などの出費だけに焦点を当てれば、キャンピングカーをよほど頻繁に使用しない限り、購入・所有するより借りて利用する方が「得」である反面、金銭的な面だけでは語れないキャンピングカーの良さ・楽しさを考え合わせると、購入・所有も 十分「あり」と思われました。
さらに、万が一の大規模災害時には、災害発生直後から数日間を生存するために重要な役割を期待できることからも、キャンピングカー購入・所有は大きな意味があると考えました。
今回は、一歩進んで、キャンピングカーを購入しよう…と決断した場合、購入するための条件や車種選びについて考えてみようと思います。
どのようなキャンピングカーを購入するのか、選択基準はさまざま

一口にキャンピングカーを買うといっても、どのようなタイプのキャンピングカーなのか、大きさや定員などさまざまな選択基準があります。
(1) 利用人数
キャンピングカーには「乗車定員」と「就寝定員」があり、特に、法令で定められた「乗車定員」を超える人数が乗車して公道を走行する事はできません。家族構成など、何人が乗って移動するのかによって、選ぶキャンピングカーが異なります。
また、「就寝定員」は特に法令で定められたものではありませんが、就寝できる人数は車内の広さやベッドの数で決まってしまうので、何人が車内で就寝するのかによっても選ぶキャンピングカーが異なってきます。
(2) 用途・スタイル
自分や家族がどのようなスタイルで利用するかによっても適したキャンピングカーは異なります。
1~2人で車中泊を楽しむといったスタイルと、家族4~5人でオートキャンプを楽しむスタイルとでは、選ぶべきキャンピングカーが異なってきますので、どのようなアウトドアスタイルで使用したいのかは、キャンピングカー選びの重要な基準です。
(3) 普段遣い兼用or 2台持ち
購入するキャンピングカーによっては、自分や家族が運転しづらく普段の買い物などに利用しにくいケースもあります。
買い物・送迎などの普段利用の際に、キャンピングカーで全てを賄うのか、普段の足としての車両を別途用意(2台所有)するのかによっても購入するキャンピングカーが異なりますし、2台持ちの場合には、当然2台分の経費がかかるので、十分な検討が必要です。
(4) 駐車場の確保
キャンピングカーとはいえ自家用車なので、車庫の確保は必須です。
戸建ての自宅内に駐車スペースがあれば問題ありませんが、月極駐車場を借りる場合や、マンションなどの敷地内の駐車場の場合には、
・キャンピングカーを止められる広さと高さが十分な駐車場があるか
・月極駐車場に借りられる「空き」はあるか
・月極駐車場の料金は負担可能な額か
などを検討する必要があります。
いくらキャンピングカーが欲しくても、駐車場が確実に用意できるまでは、購入に踏み切るべきではありません。
(5) 予算
キャンピングカーを購入するに当たって、最終的には家計から支出できる金額~予算を検討する必要があります。
「乗車人数」「就寝人数」によっては、比較的安価な300~400万円の価格帯に属する「車中泊仕様」「車中泊メイン」のキャンピングカーでは「定員」が不足することがあります。
乗車可能な人数、就寝可能な人数が多ければ多いほど、それだけシートやベッドの数や広さの確保が必要となり、必然的に車両価格も高くなります。
何人でキャンピングカーを使うのか~「乗車定員」「就寝定員」から探す
キャンピングカーは、必ず「乗車定員」が決まっていて、この「乗車定員」を超える人数が乗車しての行動走行は法律で禁じられています。これを無視して定員を超える乗車での公道走行は法律により処罰されます。
また、「就寝定員」はそれを超えたからといって法的な処罰は受けませんが、車両の大きさ・高さ・ベッドの広さなどによって物理的に就寝可能な人数には限界があります。
例えば「バンコン」という種類のキャンピングカーでは、車体・車内の寸法には改造を加えず元の車両サイズのままである場合がほとんど。
日常使いもしやすいデザインでコンパクトな分、就寝可能な人数は最大で大人2名+子供1名くらいが限界です(ポップアップの装備があれば就寝定員は増やせます)。
キャブオーバートラック(※1)に居住スペース用のシェル(箱)を架装した「キャブコン」は、居住スペースがゆったりとし、運転席上部にある「バンク」と言われるスペースにもベッドを設ける事で、4~6名が就寝できる車種が多いです。
キャンピングカーを購入するに当たっては、何人が乗車して公道走行し、何人が車内で就寝する(※2)のかを想定する事が先決です。
※1 ボンネットがなく、エンジンの上に運転席がある箱型の一般的なトラック。
※2 乗車定員と就寝定員は必ずしも一致しません。車外や車上にテントを張る事で車内での就寝人数を抑える事も可能になります。
■筆者はこう考えました
我が家は夫婦2人の世帯なので、乗車人数も就寝人数も通常は2名です。
場合によっては、帰省した際などに両親や甥、姪を乗せるケースもあるため、乗車定員は5人を条件にしたので、キャブコンのような大きなキャンピングカーである必要はないと考え、コンパクトなバンコンに絞って車種を検討しました。
キャンピングカーで何がしたいのか、目指すアウトドアスタイルから探す

次に検討すべきは、キャンピングカーをどのような使い方で楽しみたいか、ということです。
分かりやすい具体例を挙げれば、「車中泊」をしたいのか、「キャンプ」をしたいのかといったようなことです。
「車中泊」とは、多くの場合、単に車中で就寝する事だけにとどまらず調理・食事や、DVD視聴など、車中での生活を楽しむ事を目的とする意味合いが含まれており、「秘密基地」のような自分だけの車内空間で過ごす事を目的としていると言えます。
キャンプのように車外に椅子やテーブル、バーベキューコンロを展開する事なく、全てが車中で完結するため、宿泊場所はキャンプ場に限らず車中泊が許可されている道の駅や駐車場、RVパークなど車中泊専用の宿泊施設を利用する事ができます。
こうした車中泊に向くのは、車中泊するために使用する道具類・食材類を車中に収納できる事はもちろんですが、作り付けの戸棚やシート下の収納庫など、車中での生活のしやすさも重要なポイントとなります。
一方「キャンプ」を嗜好(しこう)する場合には、遊びや調理・食事などを車外に出て行う、タープを張り、椅子・テーブルを出し、コンロ・グリルやバーナーなどで料理をして食べるといったいわゆる屋外キャンプが目的です。
RVパークや道の駅のような施設ではキャンプする事はできないため、キャンプ用品の展開が可能なオートキャンプ場などを利用する事となります。キャンプ目的の場合には、キャンプ道具の積み降ろしがしやすいことが何より。戸棚や収納庫で区切られているよりも荷台が広めのほうが便利です。
また、車内にビルトインされ配線が隠されているような冷蔵庫やIHヒーターなどは屋外に持ち出せないためキャンプ向きとは言えません。
こうしたキャンピングカーを「どのように楽しむのか」といった用途やスタイルの違いによって、選択するキャンピングカーのキャラクターも違ってくるのは当然のことと言えます。
■筆者はこう考えました
筆者のキャンピングカーの使用目的は屋外キャンプで、道の駅などでの車中泊には興味がなかったため、車内の収納や作り付けの戸棚やキッチン設備などは不要と判断しました。
一方、どうしても必要と考えたのは「大人2名分のベッド」と、「電子レンジクラスの家電が使える大出力サブバッテリー」でした。
テントキャンプで感じていた就寝時の不安要素の解消、つまり天候に左右されにくくセキュリティ面でも安心感の高い車内での就寝を可能にする大人2名分のベッドは最優先装備と位置付けていました。さらに、キャンプをイージーにしてくれる電子レンジなどの1000~1200W程度の家電が使用できる大出力サブバッテリーを必須と考えました。
その結果、夫婦で就寝できる2名分のベッドと、外部電源への接続機能を追加した1500Wサブバッテリーを搭載する事となりました。
全てをキャンピングカーで賄うのか、普段の足としてのセカンドカーを持つのか

キャンピングカーで、普段の買い物、家族の送迎、子供の父母会にも出かける事が可能なのかを考える必要があります。
キャンピングカーの全長・全幅・全高によっては、商業施設の駐車場に入れない、駅前の混雑した道路では取り回しが悪いなど不便を感じることもありますし、運転が得意でない家族が運転する機会があれば、キャンピングカーの大きさ・長さも検討すべきです。
そういう意味では、外観や車体寸法がベース車と違わないバンコンであれば、全ての用途を1台で賄っても特別違和感はありませんし、使い勝手や取り回しの悪さを感じずに使用できますが、反面、車内スペースや就寝定員などに限界があります。
大人数で使用するとすれば、どうしてもキャブコンやトラコンといったシェルを搭載した大型キャンピングカーが想定されますが、全ての用途を1台で賄えるかどうかは微妙なところです。
実際にはキャブコン1台で全てを賄っている方もいらっしゃるので絶対に無理とは言えませんが、ごく一般的に考えると、日常の買い物や送迎にキャンピングカーを使うのは厳しいかもしれません。状況によっては、普段の足としてのセカンドカーを持つ必要がありそうです。
2台所有となれば、2台分の経費・ランニングコストが必要となりますので、家計の負担が増加する事は避けられません。
■筆者はこう考えました
実は、キャンピングカー購入時点で、我が家ではすでにSUVを所有していたため、購入当時は2台所有の状態でスタートしました。
事前の想定では、キャンプや宿泊を伴う旅行にはキャンピングカーを使用、それ以外の従来の用途には燃費の観点からSUVを使うつもりでしたが、実際に納車されてみると、徐々にSUVの利用頻度が少なくなり、4か月後にはSUVを売却してキャンピングカー1台所有というカタチに落ち着きました。
購入したキャンピングカーが、外観・外寸はベース車であるタウンエースのままで普段遣いにも全く支障がなかったため、日々の買い物や送迎などにも気軽に使えたことが大きいと思います。
駐車場を確保することは可能なのか、月極の場合は空き状況も事前確認を

自宅敷地内に、キャンピングカーを駐車可能なスペースがあれば問題ありませんが、月極駐車場を借りる場合や、マンションなどで敷地内に駐車場がある場合には、駐車場所を確保できるかどうかを事前に確認する必要があります。
商談を重ねていざ契約となり、車庫証明を取る段になって駐車場が確保できないのではせっかくの商談が無駄になってしまいますので、商談開始前に、周辺(2km以内)地域にキャンピングカーを駐車可能な駐車場を探し、確保しておく事が必要です。
また、駐車場がマンション敷地内の場合で、入り口にゲートがある場合などでは、キャンピングカーの全幅や全高が、ゲートを通過できるのかも含めて、事前確認が重要です。
車両購入時の駐車場の確保は法律で義務付けられており、駐車場を確保できていない状況では購入契約ができない仕組みになっています。
購入するキャンピングカーの大きさ・長さ・高さによっても、駐車に必要なスペースは異なりますので、必ず事前に駐車場を確認・確保しておかなければなりません。
■筆者はこう考えました
筆者はマンション住まいですが、1階住戸で専用の駐車場が付帯しているため、マンション敷地内に駐車していますが、マンション敷地内への入り口頭上に渡り廊下があり、2.3mの高さ制限があります。
さらにゲート前が坂道になっているためハイルーフ車でも危ないという事で、それをクリアできる通常ルーフのキャンピングカーのみが購入対象でした。
筆者の場合は、たまたまマンションの敷地内に2台分の駐車スペースを借りられました。ですがマンション敷地外に月極駐車場を借りたとしても、外寸はタウンエースのままなので、駐車料金も広さも通常のままで済んだと思います。
全ての要素を網羅して選んだキャンピングカーは予算に見合うのか最終検討
≪利用人数≫ ≪用途・スタイル≫ ≪2台所有の有無≫ ≪駐車場の確保≫
これら4つの条件を吟味の上でキャンピングカーを絞り込む事ができたら、最終的に、そのキャンピングカーを購入する事ができるのかを検討します。
いくら、他の全ての条件をクリアしていたとしても、例えば車両価格が1000万円超だった場合には、「購入断念」という結果も十分あり得るでしょう。
無理をして毎月高額なローン返済をする事が、果たして今後の生活に必要な事なのかを冷静に判断すべきです。気持ちの高揚やノリだけで高価なキャンピングカーの購入を急ぐべきではありません。
もし、車両価格が予算を大幅に上回る場合には、再度、各項目の吟味し直しに加え、中古車の選択も含め購入の再検討が必要です。
■筆者はこう考えました
キャンピングカーを購入したいとは思っていましたが、初めての事なので、何年も継続して興味を持ち続け所有し続けられるのかが自分自身でも疑問でしたし、不安でしたので、最初からあまり高価なキャンピングカーは避けたいという気持ちがありました。
もし、何年か乗っても興味を失わず使い続けたいと思うようなら、その時点での買い替えを検討すればいい…、そんな考えで、予算を300万円と定めました。
当然、新車ではその価格で希望の車種は見つからず、中古車も対象に入れて探す事となりましたが、幸い、ほぼ自分の希望する装備をもった中古車に早い段階で巡り合う事ができ、非常にラッキーだったと思っています。
新車と中古車の違い、各々のメリット・デメリットとは

キャンピングカーの購入においては必ずしも新車だけが対象ではありません。装備によってはとても高額になってしまうので、条件次第では中古車も十分購入対象となります。
キャンピングカーは特殊な車両で、本来の車両としての部分と、架装・改造された居住部分を分けて考えなければなりません。
通常の車両として、年式や走行距離、整備記録などをチェックしておく必要はありますが、さらに、架装部分の劣化や搭載された機器類の劣化・故障・不具合などもチェックする必要があります。
内装の傷や変色なども軽視すべきではありません。
内装は走行や宿泊に直接影響するものではないとしても、前オーナーの取扱い方を推し量る材料となります。やはり雑に扱われていれば、内装が痛みますし、それと比例して装備機器類のメンテナンスも疎かになっている可能性があるためです。
注文通りの性能・装備ではないケースが多い
中古車は、新車購入時のオーナーのオーダーで制作されているため、必ずしも中古車オーナーの希望通りの性能・装備ではないのは致し方のないところですが、それでも「これだけは」と考える性能・装備が乗っている場合には購入を検討してもよいのではないかと思います。
逆に言えば、ただ単に安いと言うだけで性能・装備を検討せずに購入するのはお勧めできません。
例え中古車であっても、前項の5項目を吟味してできる限り希望に近いキャンピングカーを購入すべきです。
装備は多ければ良いというものではない、必要な装備の有無をチェック
筆者のアルトピアーノを事例でお話ししたように、筆者のような外遊びメインで使用する場合には、車内の作り付けの戸棚などは不必要な装備と言えます。
また、備え付けの冷蔵庫なども車外に持ち出せないのでキャンプ時にはあまり役に立ちませんが、用途が車中泊であれば備え付けの冷蔵庫は非常に役立つ装備と言えます。
サブバッテリーに関しては、昨今は大出力・大容量のポータブル電源が発売されており、使い勝手の上では必ずしも必需品と言えなくなりつつあります。サブバッテリーを搭載せずにポータブル電源を活用する方法で、高額なシステムを条件から外す事も可能です。
こうした、自分のキャンピングカーの使い方によって必要な装備は異なりますし、同じ装備でも、用途によっては無用であったり、必需品であったりさまざまです。
中古キャンピングカーは、装備品の多い少ないではなく、自らの用途に合った装備を持っているかで判断すべきです。
しかも不要な装備満載で価格が割高では、お金を捨てているようなものですので、十分に吟味する必要があります。
装備品や内装の可動部分はすべて動作させてチェック
エアコン・FFヒーター・給排水・IHヒーター・換気扇などの電装品・装備品はもちろん、窓やシート、テーブルや戸棚など、動く部分はすべて実際に動かして異常がない事を確認する事が重要です。
不具合のある部分は修理・補修が可能か、可能な場合の費用は誰が負担するのか、修理・補修による納期遅れの有無と期間など、契約前に慎重にチェックした上で、修理・補修や費用負担などを明確にしておく事が重要です。
できれば、書面化や録音しておくと安心です。
製造したビルダーが販売する中古車を購入が安心
キャンピングカーは、ベース車を製造する通常の自動車メーカーの他に、「ビルダー」というキャンピングカーメーカーが居住部分を製作している事が多いため、一般の自動車販売店・修理店、あるいは、他のビルダーでは居住部分の点検や修理が完全に実施できない可能性があります。
例えば、後からシェルを架装しているキャブコンなどの場合、シェル自体の劣化などによる雨漏りが発生する事もあるため、製造ビルダーでの修理・補修が必要となりますが、自社で製造したキャンピングカーであれば、不具合が発生した場合でも適切な修理を期待できるため、直接製造に携わったビルダーが直接販売する中古キャンピングカーの購入をお勧めします。
キャンピングカー購入 まとめ

キャンピングカーは、通常のクルマと比べ特殊な車両ですし、値段も高いです。
キャンピングカーの購入に踏み切るのは少々勇気のいる決断ですが、キャンピングカーでなければ見る事ができない景色や、訪れる事ができない世界がありますし、災害発生時には、発生直後の生存のために大きな役割を期待する事ができます。
筆者の個人的な事を言えば、キャンパーアルトピアーノに出会えてよかったと思っていますし、筆者のキャンプスタイルにピッタリです。普段遣いにも何ら支障がなく、使い勝手がよいと感じていますし、もちろん、アルトピアーノでのキャンプを夫婦で楽しめている上、災害への備えにもなっています。
人それぞれに理由や目的はさまざまですが、自分に合ったキャンピングカーと出会える事は人生において幸せなことではないかと思います。
キャンピングカーで何をしたいのか、キャンピングカーを受け入れる体制・準備は整っているかなど、よく吟味して素敵なキャンピングカーに出会ってください。