キャンピングカーは購入とレンタルどっちがお得?購入のメリットを考えてみる
前回は、キャンピングカーの「購入」と「レンタル」、「個人間カーシェア」の各々のコストについて考えてみました。
前編では、家計からの支出という側面だけで勘案するなら、「キャンピングカーは買うべきではない、借りるべきだ」と述べましたが、後編の今回は、「いや、キャンピングカーはコストだけで判断はできないよ」というお話しをしたいと思います。
目次
コスト面だけで勘案すれば「損」、それでもキャンピングカーを買おうと思うのはなぜか
金銭面だけ勘案するならキャンピングカーは買うべきではない・・・そういいながら、私はキャンピングカーを購入しました。
ここからは、筆者が購入に傾いていった理由について触れてゆきたいと思います。
いつでも好きな時に使えることが、キャンピングカー購入の生命線と言える
キャンピングカーの良さを論じる際に、必ずと言って良いほど登場するのが「自由」というワードです。
これは、キャンピングカーであれば好きな時に、好きな場所で、好きな人と楽しく大切な時間を過ごす事ができる…というニュアンスで、宿の事前予約もいらないし、気が変われば場所を移動できるし、急に休みが取れても対応可能といった事がメリットとして挙げられます。
ここでいう「自由」は、キャンピングカーを利用する上での「自由度の高さ」を言っていますが、別の意味でキャンピングカーをレンタル利用する事は、キャンピングカーの良さである「自由さ」を損ねてしまう可能性があります。
レンタルは、所有しない事による少コスト・少出費という点で、圧倒的にコスパの高いキャンピングカーの利用方法ですが、自己所有していないが故のデメリット、つまり、いつでも好きな時に利用する事ができないという側面を併せ持っています。
レンタルは、事前に予約をしなければなりません。事前予約が必要だと、「急に明日・明後日が連休になった」というシチュエーションで、希望の車種をレンタルできる可能性はかなり限定的です。
それが、週末や連休など、多くの人が使いたいタイミングであったり、夏休みなどのハイシーズンであれば、希望車種の急なレンタルは絶望的でしょう。
さらに、借りられたとしても、週末やハイシーズンはレンタル料が割り増しになっている事が多く、同じ1~2泊キャンプでも、通常に比べて費用負担が大きくなる事は覚悟しなければなりません。
「雨の予報だったのであきらめていたが、急に天候が回復したので急遽明日出かけたい」 、「シフトを代わってほしいと頼まれたので、急に明日から連休になったのでキャンプにでも出かけようか」、そんな急な予定でも、自分で所有しているなら問題なく対応する事ができます。
キャンピングカーの大きな特徴である「自由さ」を損なう事なく活かせるという点では、どうしても「購入・所有」に分があります。
急に「出かけよう」、そうなった場合でも、最低限のキャンプ用品を常備している自己所有のキャンピングカーなら、食料と着替え、洗面道具を持って、あとはエンジンをかければ出発できます。
このことこそが、経費面の負担を押してでもキャンピングカーを自己所有する最大のメリットだと思います。
大事なのは、「いつでも好きなタイミングで出かけられる事」なのです。
自分の好みのアウトドアスタイルを演出することができる
もう1つ、「購入・所有」に分があるとすれば、改造やカスタムといった面でしょう。
不思議なもので、クルマというのはなぜか手を入れたくなるものですが、手を入れれば入れるほど愛着が沸き、さらに手を入れたくなる…それはキャンピングカーでも同じです。
まして、他の乗用車などに比べて車内で過ごす時間が長いキャンピングカーは、居住空間を居心地の良い空間にしたいと思うのは至極当然のこと。
例えば、今流行りの「車中泊」が好きな方は、眠るだけではなく、調理や食事などの「生活」の全てを車内で楽しもうとするため、まるで子どもの頃の「秘密基地」のような、外部と距離を置いた空間を作ろうとします(あくまで私の印象です)。
車内にベッド下の収納庫、作り付けの収納棚があり、いつでも車中泊を楽しむために出かけられるだけの道具・用具を常備できるようにしている方も多いです。
人それぞれ、自分の好みやアウトドアスタイルに合わせた改造やカスタムを施していますが、その「改造」や「カスタム」自体を楽しむ事ができるのもキャンピングカーの魅力の一つだと考えます。
筆者もご多分に漏れず、「キャンピングカーでどこ行こう」「もっと快適にするにはどうしたら?」「ソーラー充電は必要?」「次回のキャンプにはランタンを増やしたい」等と、常にキャンピングカーを使ったキャンプや、キャンピングカーの快適化について考えていて、それがまた楽しいのです。
しかし、当然ながらレンタルしたキャンピングカーに勝手にカーテンを取り付けたり、色を塗り替えたりする事はできません。
個人間カーシェアでもそれは同じで、オーナーに無断で好き勝手に改造することや、カスタムすることは許されることではありません。
その辺りのパーソナル性の高い満足度という点は、レンタルの弱点と言えそうです。
災害発生時などの緊急時の生活を維持するツールとしての期待
これはキャンピングカーを購入する方すべてが意識しているかどうか定かではありませんが、少なくとも、筆者は災害発生直後からの数日間を生き延びる術の重要なピースとして、キャンピングカーを位置づけています。
もし災害発生時に生存する事ができたなら、救助・救援の手が届くまでの数日間を自力で生き延びなければなりません。
その際に、キャンピングカーがあれば、少なくとも手足を伸ばして休めるベッドと、常備している食料と水を確保する事ができ、最初の数日間を何とか乗り切れる可能が高くなると考えています。
エコノミークラス症候群を考えれば、手足を伸ばして休める事は非常に重要ですし、搭載されたサブバッテリーで電力を供給でき、ストックのカップ麺やレトルト食品、飲料水などで飢えと渇きをいやす事ができるかもしれません。
もちろん、キャンピングカーがあれば必ず助かるというものではないですが、それでも、自分なりの備えとして筆者はキャンピングカーを評価しています。
withコロナの事も考えなければならない時代
今はキャンピングカーに限らず、「人のものを借りる」、「使わせてもらう」と言う事について、少し慎重にならざるを得ません。
ここ最近のコロナの感染者数の増加には恐怖を覚えますが、政府や自治体、メディアの言う事だけ聞いていれば大丈夫とは、最早ほとんどの人が考えていない状況。
そんな中、果たして、キャンピングカーを借りる事でのコロナ感染のリスクはどうなんだろう…と言う事が気がかりです。
レンタル事業者、個人間カーシェアのオーナーのコロナウイルスへの対応を充分確認の上、借り出す事が重要となります。
withコロナの時代は、物の貸し借りに少し神経質にならざるを得ない部分もあり、考え方によっては、「借りる」よりも「購入」に気持ちが振れるケースもあるかもしれません。
実際にキャンピングカーを購入する際のアドバイス
キャンピングカーは買ってみないと分からない事もあります。
良い面・悪い面に関わらず、購入前に想定していたことと実際には違うことが少なからずあります。
ここではそうした、実際に買ってみてわかった事をお伝えしようと思います。
キャンピングカーのスタイルは、自分のアウトドアスタイルによって違う
商用バンにベッドを取り付けただけの簡易的な車中泊仕様から、豪華な本格モーターホームまで、一口にキャンピングカーと言っても、そのカタチや内容は様々です。
もちろん、誰でも同じ価格なら装備がたくさんあって豪華な方が良い…なんて思いがちですが、キャンピングカーについてはそれは当たっていないと筆者は考えています。
簡単に言えば、使わない装備はいくら豪華なものが搭載されていても「無用の長物」に過ぎないと言う事です。
例えば私の話しをすれば、ベッド展開できるシート、1500Wサブバッテリー、換気扇、冷蔵庫しか装備はなく、作り付けの戸棚や収納庫、給排水やシンクやシャワーヘッド、コンロやIHヒーターなどの装備はありません。
本当にシンプルでチープに見えるため、プアマンズ・キャンピングカー的に見られがちですが、全然違います。
私のキャンプスタイルは「外遊び」「外めし」なので、道具はコンテナに用途別に分けて積んでキャンプ場に着いたら全ておろします。ですので、作り付けの戸棚に道具を収納していたら、取り出すのが余計な手間になるため戸棚は不要です。
同様に、食事も全て戸外で調理して食べるので、車内に給排水やシンク、ヒータなどのキッチンは必要ありません。
当然、そうした装備がないので価格は安くなりますが、それは安いからという選択ではなく、不要なものを付けて無駄なお金を使わないという選択なのです。似ていますが、ちょっと違うんですよね。
つまり、キャンピングカーは装備が多く、豪華で高価なほど、自分のアウトドアにプラスに働くとは限らないという事です。
自分のアウトドアのスタイル、どんなキャンプがしたいのかなどは重要で、値段や装備ではなく自分にあったキャンピングカーを選ぶべきかと思います。
新車には新車の良さ、中古車には中古車の良さがある
キャンピングカーを購入する際に、新車しか想定していませんか?
私は中古車を買いました。その理由は3つです。
1.同グレード・同装備であれば、価格が安い
価格が安いと言うのは、高価なキャンピングカーを購入する上で重要なファクターです。
ただし、欲しい装備が付いているか、追加装備が可能かどうかは運しだいの側面があります。
2.即納可能
この条件は、筆者が中古車にした大きな理由の1つです。
筆者の場合は、外部電源接続を追加オーダーしたので、その分の作業時間はかかりましたが、基本「即納」でした。
同じ仕様を新車購入すると、半年待ちと言われたので、即納の中古車は大きな魅力でした。
3.気兼ねなく使い倒せる
新車を最初に擦ったり、傷つけた時のショックは相当なものです(笑)かなり凹みますよね。
でも中古車なら、そもそも傷の1つや2つすでにありますので、小傷の1つなんて増えても気になりません(人によりますが)。筆者は、購入当初から個人間カーシェアで貸し出すつもりでしたので、中古車を選んだという側面もあります。
おおらかな気持ちで貸し出せるかなと思ったのです。
聞くところによれば、昨今のキャンプブーム、キャンピングカーブーム、車中泊ブームでそもそも受注が増えていた事に加え、コロナの影響による、人との接触を避けられるレジャーツールとしての需要増もあって、新車注文時の納期は1年以上が当たり前になっているとか。
今注文しても、年内の納品はあり得ず、2021年もGWには間に合わないとの予想も出ているようです。
程度の良い、納得できる状態であれば、中古車も検討範囲にいれてみては如何でしょうか。
個人間カーシェアは購入時の家計負担を助けられるか
前回ご紹介した個人間カーシェアサービスですが、自身がキャンピングカーオーナーになった場合には、借主としてではなく、貸主として利用する事が可能になります。
実際に一部のカーシェアサービスに登録している筆者の経験から言うと、個人間カーシェアは共同所有という形をとり、営利目的ではないというスタンスですので、思ったほど貸出料金は高くありません。
さらに、サービス提供者に手数料を支払いますので、実際に手元に入ってくる金額は思いのほか少額です。ですが、それでもローン支払額を少し軽減することができるのは大きなメリットです。
それで儲ける事は難しいですが、自分の休日が平日という方は、自ら使用しない毎週末に貸し出す事ができれば、ある程度の収益を見こむ事も可能かもしれません。
コスパで考えればレンタルだけど・・・
前編で見たように、金銭面の家計負担だけで判断するなら、キャンピングカーは余程の頻度で使用しない限り、レンタルや個人間カーシェアに軍配が上がります。購入する場合、コスト面で家族の賛同を得るのはなかなかに大変かもしれません。
しかし、キャンピングカーには金銭面では測れない魅力があり、それはわくわくドキドキするような高揚感に満ちたものです。
加えて、災害発生時やwithコロナの時代を考え合わせると、その良さを発揮できるのは「購入・所有」であるように感じます。