アルトピアーノ~普段使いもOK!2台持ち不要のライトキャンパー
キャンピングカーを購入する際には、様々な事で頭を悩ませます。
購入費や維持費等のコストの問題はもちろんのこと、駐車場の確保や任意保険のセカンドカー割引なども気になるところですが、筆者の場合、中でも最も頭を悩ませる事の1つは「2台持ち」についてでした。
購入を検討しているのはキャンピングカーですから、当然、キャンプや車中泊を伴う場合にはキャンピングカーを、それ以外は通常のクルマを使うイメージで、全てのクルマ使用のシーンをキャンピングカー1台で賄うのはちょっと厳しいのではないかと考えていたからでした。
目次
キャンピングカーとSUV、2台持ちのオーナーの本音
筆者は、1台目の自家用車としてSUV「CX-5」を所有しています。
元々アウトドアが好きだったので、荷物がしっかり詰めて、走りもしっかりしていてキャンプやBBQ、釣り等に使いやすいSUVをずっと乗り継いできました。
昨年中旬当たりから、昨今のアウトドアブームに乗って、10年以上も遠ざかっていたアウトドアやキャンプをしたいと思うようになり、キャンピングカーがあったら、暑さ寒さをしのぎ、固い寝床で身体が痛くなる事もなく車内で安楽に眠れるのかな…と考え、キャンピングカーを購入する事にしました。
しかし、広い車内に様々な装備を搭載してキャンピングカー車内で過ごすような「モーターホーム」と言われるようなタイプのキャンピングカーは望んでおらず、どちらかと言うと、サブバッテリー搭載の車中泊仕様といったシンプルでライトなキャンピングカーを求めていました。
突き詰めて検討してみると、筆者が望む装備・機能は以下の2つだけである事が次第に見えてきました。
- 大人2名の就寝が可能
- 1500W超のインバーター搭載のサブバッテリー+外部電源(充電)搭載
そこで、この条件に合うキャンピングカーを探した結果、選んだキャンピングカーは、トヨタカローラ横浜が製造・販売するライトキャンパー「アルトピアーノ」でした。
アルトピアーノはタウンエースベースのコンパクトなキャンピングカー
アルトピアーノは、トヨタの小型商用バンであるタウンエースをベース車にしたキャンピングカーで、対面シートを就寝ベッドに展開できるREVOシートを搭載する事で車内に大人2名分の就寝定員を確保し、サブバッテリー+1500Wインバーターに加え、外部電源接続・充電が可能な車中泊仕様のライト(簡易)キャンパーです。
車体のサイズは、一般的なハイエースをベースにしたバンコンよりコンパクトですが、軽自動車ベースの軽キャンよりは若干余裕のある車内は、夫婦2人で過ごすには充分な大きさです。
また、トヨタ・アクアや、MAZDA2よりも小さなボディは取り回しが楽で、市街地での使用でも大きさが邪魔になる事もなく、さらにウオークスルーの採用で左右どちらのドアからでも乗降がしやすい等、コンパクト故のメリットと言えます。
反面、1500ccのエンジンは非力ですし、4速ATは変速ショックも大きく、走行は決して快適ではありません。
キャンピングカー仕様とは言っても車格は決して高くないタウンエースベースですから、鉄板むき出しで実用一点張りの室内は質素で豪華さはまったくありません。
内装にウッドを配したようなキャンピングカーらしい「雰囲気」は持ち合わせていませんが、大人2名が余裕をもって就寝でき、家電を使用できるだけの電源の確保を購入条件としていた我が家には過不足のない仕様だと言えます。
キャンピングカー購入と「近距離の足」と「長距離の足」
キャンピングカーの購入を決めた当初の想定は以下の通りでした。
(1) キャンピングカーは、キャンプや車中泊を前提とした旅行やドライブの際に使用する
(2) 買物・送迎などを含め、上記以外の全ての利用シーンでCX-5を使用する
しかし、アルトピアーノが実際に納車されて以降、何度かのキャンプや普段使いのシーンを体験すると、筆者自身が想定していた「使い分け」が、あまり現実とそぐわない事が明らかになってきました。
(1)の旅行やドライブといった使途では、本来、長距離を快適に移動できるCX-5が得意とする分野です。
2200ccのクリーンディーゼルエンジンは、余裕のあるパワーとトルクでストレスフリーの走行性能を提供してくれますし、走行中の静粛性や快適性でも優秀です。また、17~20km/Lの実用燃費は軽油の燃料代の安さと相まって、長距離になればなるほど移動コストで圧倒的な高コスパを発揮します。
しかし、長距離を走る際にはキャンプや車中泊を伴う旅行やドライブである場合が多いため、アルトピアーノを選ぶケースがほとんどで、長距離走行時にCX-5の出番はあまりないという現実があります。
また、キャンプや車中泊を予定しない日帰りのドライブの場合には、快適な走りのCX-5を選ぶシーンもあるだろうと考えていましたが、アルトピアーノの対座シートでの休憩が心地良い事から、日帰りドライブでもアルトピアーノをチョイスするケースが次第に増えていったことも想定外でした。
筆者のアルトピアーノは、オプションの2トーンから塗装をキャンセルしている事もあって、外見では白い商用バンにしか見えませんが、この何の変哲もない外観は、例えば、行楽地の駐車場に止まっていても誰もキャンピングカーだとは思いません。
特別な興味を持って見られる事がないため、アルトピアーノの車内で休憩したり、飲食をする際に「人目から逃れる」という点で非常に大きなメリットとなることもドライブ時でもアルトピアーノを選ぶ大きな要因となっています。
(2)の「キャンプや車中泊を前提とした旅行やドライブ」以外の利用、つまり普段使いのシーンではCX-5を使うという想定も、実際に利用してみると想定通りではないケースが多々ありました。
その理由はクリーンディーゼルエンジンの「DPF再生」です。
クリーンディーゼルエンジンは、発生した「煤(すす)」を捕捉して定期的に燃焼させる必要がある事から、過度な短距離走行の繰り返しは苦手で、近所への買物や駅までの送迎等の際でもガソリンエンジンのアルトピアーノを選ぶ事が多くなっています。
CX-5だけを使っている時には、買い物や送迎といったシーンでも利用していたのですが、短距離でも悪影響の少ないガソリンエンジンのアルトピアーノが並んでいると、チョイ乗りでCX-5は選びにくいものがあります。
長距離走行では、キャンプ・車中泊の可能性が高いためアルトピアーノを選ぶであろう事は想定していましたが、キャンプや車中泊の予定のないドライブや、買物・送迎等の普段使いの足としての利用シーンでは、CX-5を選ぶはずが、現実は全く違ってきています。
簡単に言ってしまうと、日々のクルマ利用のシーンでCX-5の出番がほとんどないのです。
CX-5は良いクルマですし、今でも非常に気に入っていますが、使途目的によって2台のうち、どちらを選ぶか…という際に「ベターなチョイス」としてCX-5を選ぶ事は少なく、アルトピアーノばかりを選んでしまう現実に正直驚いています。
購入するキャンピングカーによって2台持ちが不要なケースも
筆者の場合は、もう1台がクリーンディーゼル車という特殊性があるので短距離で乗りにくいという状況がありますが、もし、CX-5がガソリンエンジン車だとしても、距離・短距離問わずアルトピアーノを選択する事には変わりないように思います。
筆者にとって、アルトピアーノに欠けているのは、「高級感」や「車格(の高いクルマ)」という部分と「燃費」だけで、そこを受け入れられるのであれば、アルトピアーノ1台所有で事足りるのかもしれませんし、もう1台所有するとしても、それは2200ccのクリーンディーゼル車ではなく、ガソリンエンジンの軽自動車やコンパクトカーではないか…そう思うようになってきました。
もちろん、筆者の事例が全ての方に当てはまる訳ではありませんし、キャブコンや大型のバンコンなど、購入するキャンピングカーによっては「普段の足」の必要度合いは違ってくるはずですが、1つの選択肢として、車種によっては1台持ちで済ませられる可能性も決して少なくないように思います。
こうした事は、実際にキャンピングカーを購入して使ってみないと分からない事です。
筆者が実際に体験した事が、これからキャンピングカー購入を検討されている方の何かの参考になればと思います。