知識
駐車違反場所でも「車に乗ってればセーフ」って本当?“緑のおじさん”がスルーしたからOK…にはならない理由を知ってる人はごく少数?
交通違反件数でトップ10に入る「駐停車禁止違反」
警察庁が発表した警察白書によると、令和4年に取り締まられた道路交通法違反の件数は500万件あまりで、そのうち「駐停車違反」は15万件以上にのぼります。
年々取締件数は減少しているとはいえ、1日あたり400件以上が取り締まられている計算となるため、その数は少ないわけではありません。
違法な駐停車は、交通の流れを阻害し渋滞の原因となるほか、路上の死角を増やすため周囲のドライバーの危険発見が遅れる、緊急車両の通行を妨げるなど、交通にさまざまな悪影響を及ぼします。
渋滞を増やしたい、事故を増やしたいがために違反をするドライバーはいないはずですが、故意ではなく、ルールの把握が不十分だったために違反してしまったというケースもあるため、ルールを把握しておくことが重要です。
実はよく知らない人も多い?「駐車」と「停車」の違い
赤い丸の中に斜線がひとつ入った標識は駐車を禁止する「駐車禁止」の標識、2本の斜線が交差した標識が駐車も停車も禁止する「駐停車禁止」の標識となりますが、「駐車」と「停車」について、その違いを正しく理解している人は意外にも多くはないようです。
道路交通法では「駐車」「停車」はそれぞれ定義されており、道路交通法第2条18項で定められている「駐車」の定義は以下のとおり。
「車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止(特定自動運行中の停止を除く。)をし、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。」
そして「停車」の定義は「車両等が停止することで駐車以外のものをいう。」となっています。
「駐車禁止」の場所では、このように定義された「駐車」が禁止されており、「駐停車禁止」の場所では、駐車も含めて車を停止させることが禁止です。
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「すぐに車を動かせる状態」でも駐車に該当する場合がある
前述のとおり、「駐車」は「客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他」や「当該車両等の運転をする者がその車両等を離れている」といった理由による停車と定義されていて、具体的な時間は指定されていません。
しかし、「2分以内なら駐車にならない」といった認識が一般に広まっているようで、「2分以上車を停めていないのに駐禁を切られた」と、取り締まりに納得できない人は少なくないようです。
車を停めた事情が「客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他」や「当該車両等の運転をする者がその車両等を離れている」といったものであれば駐車に該当。
現実的ではない極論ですが、2分どころか10秒でも駐車となります。
また、運転手が車から降りていなくとも人や荷物の“待ち”による停車であれば、そこが駐車禁止の場所であるかぎり、駐車違反となるため、「すぐに発進できる」状態にあったとしても停車していた事情によっては違反となってしまうため、注意が必要です。
駐車監視員の取り締まりを受けないのはなぜ?
駐車禁止場所に停められている車の“取り締まり”は、警察だけでなく、「緑のおじさん」と呼ばれることもある「駐車監視員」も実施することができます。
駐車している車の周囲で写真を撮ったり端末の操作をしている、緑の制服を着た二人組のおじさんは、ほとんどの場合でその「駐車監視員」です。
ところが、駐車禁止場所に車を停めているにも関わらず、中に人がいる場合は駐車監視員による“取り締まり”を受けない場合があります。
これは、ドライバーから暴力を振るわれるなどのトラブルを避けるためだと考える人もいるでしょう。
実は、駐車監視員は“駐車違反の取り締まり”はしていません。
駐車監視員は駐車違反場所に停められている車を見つけると、まずその車に人が乗っているかどうかを確認し、人が乗っていなければ、ドライバーが車から離れ直ちに運転することができない“放置された車”であると警察へ報告する、という業務を行っています。
そのため、車に人が乗っていれば放置車両ではないと判断されるため、この駐車監視員による“取り締まり”を受けないのです。
しかし、放置してないだけで駐車違反を犯していることには変わらないため、警察であれば取り締まりは可能。
「駐車監視員は取り締まらなかった!」と警察官に文句を言っても、なんの言い訳にもならないことを覚えておいてください。
ライター:MOBY編集部
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