車旅で使う鍋・釜・フライパン類について考える Vol.1

並べられた鍋 ギア・アイテム

なぜ「車旅で使う調理器具」とせず、鍋・釜・フライパンに絞ったニッチなタイトルになっているかと言えば、例えばナイフマニアは「車旅で使う調理器具」として、鍋・釜・フライパン類とナイフを一括りにして語られたくないであろうことが容易に想像できる。私にとっては鍋・釜・フライパンがそれと同じようなことなのだ。と言えば、少し理解していただけるだろうか?

私は異常に鍋・釜・フライパン類が好きなのだ。

仕事柄キャンプ用品のようなものはそれなりに沢山持ってはいるし、試しに使ってみなければならないようなこともあるから、道具はそれなりに色々と増えてしまう。

また、同じような道具を沢山集めることが趣味みたいな人もいて、それはそれで他人の趣味だからとやかく言うつもりもないのだが、本当は用途が被る道具をいくつも所有することをむしろ私は好まないタイプで、決して道具コレクターではない。

棚に並べられた鍋やフライパン

しかし、鍋・釜・フライパンに関しては例外的で、「鍋・釜・フライパンは実用品なんだし、いっそのこと開き直って鍋・釜・フライパンのコレクションを趣味にしてしまえー!」なんて思ったことも以前あった。とは言え、実行に移す前に配偶者に止めろと言われ、それは踏み止まった過去がある。

そんなわけで鍋・釜・フライパン類に関してもコレクターにはならないようにしてはいるのだが、ホームセンターなどに行くとほぼ毎回そういったコーナーに足が向き、面白い物はないかとチェックしてしまうし、気がつくと必要もないのにネットの中の南米の密林で星の数ほど見つかるキャンプ用の鍋・釜・フライパン類をチェックしてはあれやこれやと考えていることがある。

コレクターではないけど、鍋・釜・フライパンマニアであることは自覚している。

前置きが長くなったが、実際にどんな鍋・釜・フライパン類が車旅での使用に適しているかなどについてウンチクを語らせていただきたい。

キャンプ用品=車旅向きではない

現在一般的にキャンプと言えば、車で行くのが主流となってきている。

そして、何をするかと言え野外で食事をすることとほぼ同義語となっているような状態で、キャンプは手段ではなく、それ自体が目的となっている。先にお断りしておくが、「そんなの本当のキャンプじゃない。」なんてややこしいことを言うつもりなど毛頭ない。

しかし、元々のキャンプは宿泊施設のないようなところで宿泊する手段、またはその予算のない者が宿泊するための手段であったと思う。

少なくとも若い頃の私はそう認識していたし、「オートキャンプ」なんて言葉が出てきた時、それは普通のキャンプとはまた異質なものと認識していて、まだ車も持っていなかった頃は、その言葉の響きに憧れのようなものを感じたものだった。

コッヘル

人力で移動する途中の宿泊する手段としてのキャンプでは、荷物の重量を極力軽く抑えたいのは当然だ。

だから人力移動のための道具であれば、鍋・釜・フライパン類またはコッヘルと呼ばれるような物の類も当然軽く作る必要がある。

多少使いにくくても機能が損なわれても妥協して軽く作る必要があるから、決して調理器具として非常に高性能なわけではない。

何か勘違いしているような人もいるようだが、例えば飯盒なんてのはお米を最高に美味しく炊けるように作られたわけではなく、持ち運びに便利なことを最優先して作られた物だ。もっとお米を簡単に美味しく炊ける鍋はいくらでもある。

車で移動してキャンプするのであれば、車内で寝るのであってもテントを張るなど車外で寝るのであっても、人力で移動する際と同じレベルで重量や収納性に拘る必要などない。

なのに、こうした人力移動のキャンプの流れを引きずったままなのか、車でしか移動しない人用に作られたキャンプ用の鍋・釜・フライパン類もまだ家庭で使う物より薄く軽く作られていたり、人力移動用の物とごちゃ混ぜになって販売されていたりする。

初心者へのアドバイス

しかし、熟練しているキャンピングカーユーザーはキャンプ用品に拘る必要などないことを知っていて、鍋・釜・フライパン類も家庭用のものを使っている人が多い。その方が大抵使いやすいことが多いからだ。そして、丈夫で品質に比例せずにキャンプ用品より価格も安い場合が多い。

車旅で使う鍋・釜・フライパン類を選ぶ上で、初心者の人にまずアドバイスしたいことは、余計な情報や概念に惑わされず、「キャンプ用品に拘る必要など全くない。」ということだ。

そして本当の鍋・釜・フライパンマニアとしては、与えられた道具ではなく、自分で便利な道具を見つけたり工夫することが大きな楽しみと思っている。

手入れのしやすい物

車中泊=キャンプ場など水道の設備の整った場所でのキャンプとは限らない。

仮眠ということで道の駅やSAで車中泊する際に絶対にしてはいけないことの一つが屋外やトイレなどで調理したり洗い物をすることだ。お湯を沸かす程度でも、換気のためにドアか窓を開けておく必要はあるが、こうした場所での屋外煮炊きは絶対にNG。

しかし、洗い物をしにくい状況であれば、流水を使って洗い物をしなくて済む道具を選べば良いのだ。

テフロン加工のされた鍋、フライパン

現在家庭で使用されるフライパンはテフロンに代表される(一般名称的に使われているがテフロンは商品名)フッ化炭素樹脂加工されたアルミ合金製のものが圧倒的に主流となっている。

こうしたコーティングが施されていれば、余程酷いことになっていなければ、炒め物などをした後であっても流水を使わずにペーパータオルなどで拭き取るだけでかなりきれいになってしまうことが多い。

フッ素樹脂コーティングのされていない普通の鍋やコッヘルだったら、インスタントラーメン(袋麺)を作っただけでも水洗いしたくなるが、フッ素樹脂コーティングされていれば、こびり付きにくいだけでなく、ドロッとしたパスタのソースとかも水洗いしなくても大抵ペーパータオルとかで拭くだけで済んでしまう。仕上げに水性のウェットティッシュや赤ちゃんのお尻ふきなどで拭きとればほぼ完璧だ。

このように水洗いのできないところで使うことを考慮すると、フライパンだけでなく鍋もフッ素樹脂コーティングされた物を選んでおくと便利(キャンプに持って行く鍋全てをフッ素樹脂コーティングのものにと言う意味ではない)だ。

しかし、便利なフッ素樹脂コーティングにも弱点はある。一番の注意しなければならないのはコーティングを傷つけないこと。その次が空焚き状態にならないようにすること。コーティングにも色々種類があって、金属ヘラを使えることを謳うなど、かなり丈夫なものも多くなっており、応じて価格にも開きがある。

しかし、かなり丈夫とは言ってもあまりに無神経な使い方をしてはいけない。

以前、一緒にキャンプしていたメンバーの一人が、料理をしてくれるのは良いのだが、ふと見たら私の愛用のフライパンでベーコンかソーセージを焼きながら、そのままフライパンの上でナイフを使ってゴリゴリ切っているのを目にしたときは思わずオーマイガ!が口をついて出ていた。結構長いこと愛用していたフライパンだったけど、そのたった一回の無神経な行為で引退する羽目となってしまった。

本体の材質について

フッ素樹脂コーティングされた鍋やフライパン本体の素材はアルミ合金がほとんどだ。

アルミは熱伝導率が比較的高い方で、熱の回りが良いから料理もしやすい。軽く腐食しにくい(赤錆は発生しないが、厳密に言えばアルミが腐食しないのではなく、大抵のアルミ合金製品は耐食加工が施されているのが腐食しにくい理由ではある)のも利点だ。

ステンレスは丈夫で錆びにくく、輝きのあるうちは見た目も清潔感があって良いのだが、熱伝導率が低くこびり付きやすい(底の構造を工夫して焦げ付きこびり付きを防いでいるものも多いが)ため、案外用途が限られてしまう。

チタンは非常に軽くて金属臭がなく、熱伝導が低くて縁が熱くなりにくいので、カップとして使ったりお湯を沸かすだけなど限られた用途に使うのは良いが、ステンレス以上に熱伝導率が低く調理は非常にしにくい。

1gでも重量を抑えたいアルパインクライミング中や山岳レースのようなシチュエーションで使うのでもなければ、調理器具として使う利点はあまりない。カップなど食器としては良いけど、チタンの鍋やフライパンを車旅に使う意味はないと言って良いと思う。

鉄は重いけど、しっかりシーズニングされたダッチオーブンやスキレットなら、思いの外こびりつくこともなく、焚き火などでは安心して使えて良い。しかし腐食しやすいため、使用後のケアは欠かせない。

材質ではないけど、厚みも重要だ。

先程書いた通りで、キャンプ用の調理器具は重量を軽くすために家庭用より厚みが薄めの金属を使っていることが多い。しかし、厚みが薄いと全体に熱が回りにくく、焦げ付いたりこびり付きやすくなってしまうため、調理も難しくなってしまう。

てところで、このまま続けると長くなってくどくなりそうなので今回はこの辺で。

次回実際に私が車旅で愛用している鍋・釜・フライパン類を特徴の説明なども交えながらご紹介したい。

ダッチオーブンでピザを焼いているところ

車旅で使う鍋・釜・フライパン類について考える Vol.2

2020年5月9日