車内調理は『電気』が安心!ポータブル電源で調理家電は使えるか!?
車内に導入しやすく手軽に電源を確保できることから、車旅に『ポータブル電源』の購入を考えている方も多いではないだろうか?
前回の「車中泊に適したポータブル電源の選び方について」の記事でもお伝えした通り、ポータブル電源を導入するなら最低でも出力600W以上がおすすめだ。
また、決して安い買い物ではないポータブル電源。
せっかく買うなら有効活用したいものだが、実際にはスマホやパソコンの充電やLEDのランタンを灯す程度にしか使えなかったのではもったいない。
私は、車内の調理で使えてこそ、車旅にポータブル電源を導入する大きな意義があると思っている。
そこで当記事では、調理に電気を使うことのメリットや、調理家電の消費電力の目安、私が実際に車旅で愛用している家電調理器などについて紹介したいと思う。
「最低でも出力600W以上」の理由も明らかになるので、ぜひ最後まで読んで欲しい。
▼「車中泊に適したポータブル電源の選び方について」の記事はこちら
目次
車旅で調理に電気を使うメリット
安全性
車旅で家電調理器の利用する一番のメリットは、「危険を最小限に抑えて車内で調理ができる」ことだ。
換気扇などが完備されていて、防火対策も整ったキャンピングカーなら(全ての市販のキャンピングカーがどちらも完備されているわけではないが)、もちろん車内で火を使っても問題ない。
しかし、換気設備が整っていない普通のミニバンや自作の車中泊仕様車などの車内で火を使えば、酸欠になる恐れや不完全燃焼を起こして一酸化炭素中毒に陥る危険性がある。
また、据え置きではないコンロを不安定な状態で使えば火事を起こす危険度も高くなる。
実際にこういった事故例は少なからずあり、換気や防火設備の整っていない車内で火を使うことは非常に危険だ。
しかし、電気で調理するなら窓やドアを閉めた状態でも酸欠や一酸化炭素中毒に陥る危険性は基本的に解消される。ショートや発熱による発火の可能性もなくはないため、火事の心配もゼロとは言えないがほぼなくなる。
ドアや窓を締め切っていると結露してしまうので多少の換気は必要だが、電気を使えば普通のミニバンや自作の車中泊仕様車などの車内でも安全に調理ができるのだ。
燃料代と時間の節約
利点は安全性だけに限らない。
ソーラーパネルや走行充電を活用し、電気の使い方を上手く管理すれば、調理用の燃料代ゼロとまでは行かなくても、かなり燃料代の節約に貢献する。
そして燃料は危険物だ。それを大量を運ぶことのリスクも減らすことができる。
また、例えば火を使って米を炊く場合は、ほぼ付きっきりで見張っていなければならないが、周知の通り電気炊飯器を使えば放っておくことができる。
電気炊飯器や電気圧力鍋などを上手く活用すれば、調理は機械に任せておいて、その間に他のことに専念することができるのだ。
例えば、釣果がなかったら逆に虚しい思いをするかもしれないが、釣りをしている間に車内に置いた炊飯器がご飯を炊いておいてくれたら素晴らしい!
車で旅をしていると、このように車内で調理できたらありがたいと感じる場面には多々遭遇する。
車内で調理する必要はあるか?
そもそも「何故車内で調理をする必要性があるのか?」といった意見もあるだろう。
実際、キャンプ場のように堂々と屋外で火を使って調理ができる場所なら、車内で調理をする必要性が低いのは確かだ。では、なぜ車内で調理をする必要があるのか?
調理とまでは行かなくても、移動の途中でお茶やコーヒーを飲みたくて、或いはカップ麺を食べたくてちょっとお湯を沸かしたいなんてことは多い。
しかし、外で火を使おうと思っても、それができないシチュエーションは結構ある。
例えば高速や道の駅の駐車場などのように休憩に利用する機会が多いけど、外で火を使うことのできない場所や、特に禁止されてはいないとしてもモラル的にまずい場所も少なくない。
また、雨や風が強いなど外で火を使うのが難しい天候の日もあるし、寒い晩に暖かい車内で温かいものを食べられたら幸せだ。
家電調理器である理由
直流12Vの調理器具などもあるが、私は断然交流100Vの家電製品の利用をすすめる。
シガーソケットから電源のとれる直流12Vの湯沸かしポットも以前試してみたことがある。車のシガーソケットから電源をとるのなら、お湯が沸くまでエンジンをかけたままにしておかなければならない。
しかし、いつになったら沸騰するのやらといった感じで、長時間アイドリング状態で駐車していることに気が引けるし、たかだかコーヒー1杯のお湯を沸かすのにどれだけガソリンを使っているのかといった考えが頭をもたげてきた。
だからと言って走行中はお湯が溢れたら危険だ。結局すぐに使わなくなってしまった。
また、ポータブル電源を使って気ながーに待てばお茶などの飲み物には使えるとしても、お湯が沸騰していることが必須条件のカップ麺用には現実的でない。
寒いときなど、ヒーターの力より冷やす気温の力の方が勝ってしまいそうな頼りなさだからだ。
「お湯を沸かすなら、やはり交流100Vに変換した電源と家電の湯沸かしポットの組み合わせの方が遥かに実用的だ。」が私の導き出した結論だ。
他にも直流12Vの調理器はあるようで、変換ロスのことも考えると直流12Vのアウトプットから電気をとったほうが効率は良さそうにも思える。
しかし、ポータブル電源の12Vのシガーソケットアウトプットの電流がマックス10Aだったとしたら(詳しく調べてはいないがその程度が多いと思う)、あまり大きなパワーは得られない。
となると湯沸かしポット同様、直流12Vの調理器が交流100Vの家電製品の性能には到底敵わないことは想像に難くない。
そして当然ながら家電製品の方が選択肢が断然広く、生産数や需要の少ない直流12V用の機器の方が家電製品より価格が高くなってしまうことも容易に想像がつく。
出力600Wのポータブル電源をすすめる根拠
サブバッテリーのシステムではなく、ポータブル電源の使用をすすめる理由もあるのだが、その話はまたの機会とする。
家電調理器を使用する理由は既に述べたが、家電調理器がどの程度の電力を必要とするのか。主な家電調理器の消費電力をざっと挙げてみよう。
電気ケトル(湯沸かしポット)
400W~1300W程度。
あっという間の・・・で有名な電気ケトルや類似の製品は1300W前後のものが多く、最もシンプルな調理家電のようでありながら、実はポータブル電源にとってはハードルが高い。
白い方は普段家で使っている1250W、シルバーは車のサブバッテリーで使えるものとして以前探し当てた400Wの電気ケトルだ。
オーブントースター
500W程度のものもあるが、サイズやパワーに応じて消費電力も大きく異なる。1000Wを越すものも多い。
電子レンジ
一般家庭用で750W~1300W程度。
注意しなければならないのは、レンジの出力と消費電力は違うという点だ。
例えば出力が600Wの電子レンジなら、消費電力は概ね900W以上といったように、消費電力はレンジの出力の約1.5倍が目安。
小型炊飯器
1~2合炊き程度の小型の物なら200W程度からある。これなら使えるポータブル電源も多い。
ホットプレート
小型のもので500W位からあるが、オーブントースター同様サイズやパワーに応じて消費電力も大きく異なる。
電気圧力鍋
700W~1200W程度。電子レンジと同程度が目安か?
小型IHクッキングヒーター
1口の小型のものでも消費電力は1000W位からのようだ。
こうして見ると例外はあるが、定格出力600Wでも電子レンジやIHクッキングヒーターは既に無理、概ね600W以上ないと使える調理家電はかなり少ないことがわかる。
これが最低でも定格出力600W以上をすすめる根拠だ。
私の選んだポータブル電源
以前、このDRIMOの企画でEcoFlowのポータブル電源3種類をテストする機会を得た。それがきっかけでポータブル電源についてより詳しく調べたり考えるようになり、大変勉強になった。
そして、定格出力1600W(サージ3100W)を誇るEFDELTAや同等性能のある他社製品にも魅力を感じたのだが、当然パワーや容量が大きくなるほど躯体も大きく重くなり、価格も高くなる。
果たしてそんな大パワーは必要なのかと考えると費用対効果が怪しくなってくる。そして、私の使いたい家電製品は概ね600W以内に収まっている。
他にも魅力的なものは幾つかあったのだが、最終的に選んだのはテストもさせてもらったEcoFlow「RIVER Pro」だ。
RIVER Proは定格出力600W(サージ1200W)なのだが、実は特殊な技術によって定格1200Wまでの機器に電源を供給可能な、ちょっと変わった機能(機器の本来の能力を引き出せるわけではない。その辺りについての説明はメーカーのサイトをご覧いただきたい)を備えている。
電子レンジに備えて、より高価で大きくて重量もある製品(ポータブル電源)を選ぶより、電子レンジも一応使うことができて、より小さく軽くて手軽ということで出した結論だ。
そして容量は720Whで私の使い方には十分と思うが、オプションのエクストラバッテリーを追加すれば倍の容量に増やせるのも魅力の一つだ。
ソーラーチャージャーもシガーソケットからの充電機能も本体内に備えているので、その利便性も高い。
また、充電時間が非常に短いのも便利だ。充電時間を早めるとバッテリーの寿命を早めると言うか、充電できる回数が減ってしまう。それを気にかける人もいるが、バッテリー自体の寿命と照らし合わせてみても、十分だと私は判断した。
実際に私が車旅で使っている家電調理器と検討している機器など
これは普通に火を使うクッキングケトルだ。インスタントラーメン(袋麺)や玉うどんを調理するのにちょうど良い直径で、1人2人の料理には何をするのにも大変使い勝手が良いサイズ感だ。
注ぎ口があるから中身を器に移すときに溢れにくい。縦向きのグリップはヤカンとして使うときにも具合が良いが、鍋から直接食べてしまう時にも持ちやすい。
これがあまりに便利で家でも外でも多用しているため、同じような感じで使える調理家電があったら便利と思っていて出会ったのが下の画像の「電気クッキングケトル」だ。
これが最近私の中で大ヒットとなっている。名前の通り調理に使えて、ヤカン(ケトル)としても使える調理家電だ。消費電力は600Wだから、RIVER Proなら問題なく使うことができる。
元々付属していた蓋はガラス製だが、外で使う場合は割ってしまう危険性がある。家にちょうど合うサイズのアルミの蓋があったので、それを組み合わせて使っている。
電気ケトルはこれまで多用してきたが、これがあれば今後はこれで兼用できてしまうし、「出力600W以上をすすめる根拠」の項目でも電気ケトルは紹介しているので省く。
しかし、そこにも書いた通り、電気ケトルは消費電力が高いものが多いので、選ぶときに注意するのを忘れないでいただきたい。
電気クッキングケトルは多分これから最も使用頻度の高くなる機器だと思う。
これは2合炊きのミニ炊飯器だ。操作はもちろんスイッチを入れるだけ。
消費電力300Wとなっているが、RIVER Proの使用中の出力表示は302~303Wと出ていた。
ポータブル電源のパワーは、記載されている消費電力より少し余裕を持たせておく必要があるようだ。
▼参考商品はこちら(定格消費電力:200W、炊飯容量:1〜2合)
これは何と呼んだら良いのかわからないが、箱には「3WAY MORNING SET MENU」と書いてある。
食パン一枚サイズの小さなオーブントースターと、その上には目玉焼きなどが作れるミニ鉄板。それにコーヒーメーカーが組み合わせてある。朝食はこれ一台で済ませられます的な複合機だ。
「出力600W以上をすすめる根拠」の項目でコーヒーメーカーについて触れなかった理由は、機器のタイプによって消費電力の差が非常に大きく、指標にしにくいからだ。
これのトースターの消費電力は500W、コーヒーメーカーは650Wとなっている。RIVER Proの定格出力は600Wだが、前述の通り特殊な技術のおかげで、この程度なら何の問題もなく使用可能だ。
何だか若い独身の男のアパートとか、おままごとっぽい雰囲気が漂うが、案外しっかり役に立つ。
凍えるような寒い朝でも、これ一台あれば車の中で家にいる時と変わらない朝食がとれるのはありがたい。
私は火で使うものを持っているが、色々な調理に使えるので、電気のホットサンドメーカーも良さそうだ。
消費電力は機種によって異なるが、600W~1000W程度のようなので、これもRIVER Proなら問題ない。次期導入の有力候補に挙げられる。
電子レンジがあれば弁当などを温められて便利だと思う。しかし、揚げ物などの再加熱ならトースターの方が適している。そして電子レンジは小型のものでも結構場所をとる。まだどうしたものか思案中だ。
鉄板焼きは油が跳ねたり匂いも強くて車内でする気にはなれない。そして外でやるならガスを使えば良いので、消費電力の大きな電気のホットプレートを導入する意味はあまりないと思う。
IHクッキングヒーターと対応の鍋やフライパンがあれば一応一通りなんでもこなせることにはなるが、消費電力が大きく、特別な理由はないが何か抵抗感があるため、個人的には使いたいと思わないので却下。
家電ではないが検討中なのが小型冷蔵庫だ。旅の途中でもコンビニに行けば氷を買えるから、普通のアイスボックスでも問題ないと言えば問題ない。
しかし、消費電力の小さい小型の冷蔵庫は、冷却能力が外気温に左右されてしまうペルチェ式のものが多かったのだが、最近は外気温に左右されないコンプレッサー式でも消費電力が小さくてポータブル電源で稼働可能で、価格も高価でないものが見つかるようになってきたので気になってしまう。
最後に
10万円以内で購入できる出力600W~800Wクラスのポータブル電源と家電調理器。5年間目いっぱい使えば一月2,000円にも満たない出費と考えれば決して高くない。
皆様も導入を考えてみてはいかがだろうか?