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【取材】国産の車中泊用クーラー。小型車にスッキリ収まる!デンソー製キャンクール紹介

【取材】国産の車中泊用クーラー。小型車にスッキリ収まる!デンソー製キャンクール紹介

まだまだ暑い日本の夏。

今年(2025年)は9月いっぱいまで猛暑、10月に入っても残暑がしばらく残るという予報もあるようです。

以前は夏の車中泊でも扇風機やサーキュレーターだけで過ごしていた人も、「車中泊用クーラーがないともう無理」と感じていることでしょう。

キャンピングカービルダーが製作する完成車には家庭用エアコンを搭載したモデルも続々登場しています。

ですがセパレートタイプの家庭用エアコンは、室内で場所を取るし、室外機をどこに付けるかという問題もあります。

大型のキャンピングカーなら設置場所にさほど困らないようですが、タウンエースやNV200バネットといった小型のバンや軽バンだと、エアコンやクーラーは車内で場所を取ってしまい邪魔になりかねません。

そこで注目したいのが、車中泊用の一体型クーラー・キャンクール。

小型軽量で車内の「クーラーどこに付いているの?」というくらい、キャビネット(家具)にスッポリ収まります。

どんな特徴か、キャンクールが付いているキャンピングカーにはどんなモデルがあるのか、後付けはできるのか。

キャンクールの販売元である大和電業株式会社Camcool担当の近藤陽一さん(以下、近藤さん)にくわしくお話を聞きました。

キャンクールはデンソー製の車中泊用コンパクトクーラー


車内にあるキャンクール

上の写真は、フロットモビールのシュピーレンに設置されたキャンクールの様子。

シュピーレンはトヨタ・タウンエースがベース車のバンコン。

車内にあるキャンクール

車両サイズは全長4,065×全幅1,665×全高1,930mm。

例えば、ホンダのフリードは、全長4,310×全幅1,695×全高1,755mm(フリードエアー、FFの場合)。

比べてわかるように、タウンエースはコンパクトサイズのバンですが、限られた車内スペースの後部キャビネットにスッキリ収まっています。

 

キャンクール本体

車内に設置する前のキャンクール本体



室内機と室外機一体型の車載用クーラーで「元々当社(大和=だいわ=電業株式会社)は産業用エアコンを各種取り扱っている会社で、自分でも車中泊をしていることもあって車中泊用クーラーを探していたところ、縁あってデンソーの製品を紹介してもらいました。それがこのキャンクールです」(近藤さん)

国内最大手・世界第2位の自動車部品メーカーであるデンソー製で、高品質であること。

12kgと軽量でコンパクトカーに設置しても、車の重量配分への影響が少ないこと。

排水パイプ

一体型なので室外機の設置場所が不要。

車外に出るのは排気管と排水パイプだけで、融雪剤などによって室外機が腐食する心配もないといった特徴に魅力を感じ、車中泊用に製品化を企画。

販売を手がけることにしたそう。

冷却能力は家庭用エアコンの約1/3


ポータブル電源で動くキャンクール

仕様やスペックを紹介キャンクールは24Vの直流クーラー。

AC/DCコンバータを介することでAC(交流)100Vの外部電源やポータブル電源、キャンピングカーのサブバッテリーで稼働できます(電源切り替えスイッチ付き)。

冷却能力は「700Wで家庭用の6畳間用のエアコンと比べると3分の1くらい。軽バンや軽ワゴン、タウンエースなどの小型車、ハイエースだといちばん小さな標準ボディまでが設置対象で、屋根やボディの断熱処理をしていることが望ましいです。あくまで車内で就寝するとき用のクーラーと考えています。決して夏の昼間にペットだけでお留守番しても大丈夫とは言えません」(近藤さん)

外部電源が引き込めるRVパークやオートキャンプ場の場合は、もちろん何時間でも稼働可能。

ポータブル電源ではどのくらいの時間運転できるのかというと、「キャンクールの消費電力は通常モードで300Wh、エコモードでその半分。例えばポータブル電源のエコフローリバープロ(↑写真左)だと容量720Whなので通常モードで約2時間、エコモードでは約4時間稼働できます。容量がもっと大きくて1500Whくらいのポータブル電源だと、外気温や運転開始時の車内温度などの条件によるので一概に言えませんが、エコモードなら一晩は使えるはずです」(近藤さん)とのこと。

キャンクールに限らず車中泊用クーラーに共通すると思いますが、効率よく冷やすには、昼間は木陰や屋根の下にクルマを置いたり、走行中はカーエアコンでできるだけ車内温度を下げたりする工夫もしたほうがいいそうです。

現在キャンクールを採用しているキャンピングカーは


タウンエースベースのシュピーレン

「キャンクールが採用された第一弾のキャンピングカーが、フロットモビールのシュピーレンでした」(近藤さん)

フロットモビールは長野県にあるキャンピングカービルダーで、シュピーレンはトヨタ・タウンエースがベース車となっている小型のバンコンタイプのキャンピングカー。

2011年発売の超ロングセラーモデルです。

その後現在までに、キャンパーアシストの軽キャンピングカー・ショウズ、バシャ、レクビィのコットCT(タウンエースベース)、MDFのD:POP(デリカD:5ベース)でオプション装備として選べるようになっています。

今車中泊している車に後付けしたい場合は?


車内にあるキャンクール

さて、このキャンクール、中には自分の車両持ち込みで後付けできればいいのにと思う人もいるのではないでしょうか。

すでにコンパクトサイズのバンコンや軽キャンピングカーに乗っているか、DIYで小型バンや軽バンを車中泊仕様にしていて、自分の車に付けられるか相談したい場合は、「キャンパーアシスト(奈良県)やロッキー2(神奈川県)、リアクトオン(山梨県)に問い合わせてみてください」(近藤さん)。

キャンクールが付けられるかどうか、設置費用はいくらになるのか、現車を見て相談に乗ってくれるそうです。

気になる価格は


最後にキャンクールの価格ですが、販売元である大和電業株式会社は基本的にキャンピングカービルダーや架装業者への卸売り(BtoB)なので、個人ユーザー向けの価格は設定していないとのことでした。

ちなみにフロットモビール・シュピーレンの場合の新車オプション価格は、「本体とAC/DCコンバータ、電源切り替えスイッチ、工賃などすべて込みで77万円(税込)となっています」(近藤さん)

詳細はこちら▷大和電業株式会社の公式ホームページ

取材を終えて


車中泊用クーラー標準装備のキャンピングカーが増えている昨今。

キャンクールの競合製品となるのは、直流12Vクーラーのキューブエアやクールスターだと考えられます。ただこの2つはセパレート型。

セパレートタイプにはセパレートタイプの良さがありますが、車内で場所を取らず、室外機を設置する必要もなく、そしてなんといってもデンソー製のキャンクールは、車中泊用クーラーの一つの選択肢になると感じました。

DRIMO編集部

DRIMO編集部です。 キャンピングカーや車中泊の情報を中心に、バンライフなど車旅に関する情報をお届けします。