今年の傾向は?!ジャパンキャンピングカーショー2022を振り返る!
気になるカムロードベースは?
トヨタ・カムロードのモデルチェンジはキャブの基本形状に変更がなかったため、各ビルダーとも、既存モデルを新型に対応させるにとどまった。
が、問題は価格である。
何しろベース車両の金額が上がったため、各社とも大幅な値上げはいたしかたない。
軒並み1000万円台の大台に乗ってしまった。
こうなると、居室の広さやスペック、走行性能を考え合わせると、今後の購入検討リストには輸入車も十分に入ってきそうな気配である。
道路事情に合った国産か、バラエティ豊かな輸入車か。
あるいは新型に合わせて新たなコンセプトを打ち出してくるビルダーがいるのか。
楽しい悩みは尽きないようだ。
バンコンは大勢に変更なし
一番変化が少なかったのがバンコンだろう。
メイン車種であるトヨタ・ハイエース200系は既に18年目に突入。
各ビルダーも「やり尽くした感」は否めない。
その上、あまりの人気ぶりで生産が追いつかない状況は相変わらず。
よって「開発する時間も取れない」(某ビルダー)といった声も少なくない。
トヨタ・ライトエースや日産・NV200をベースにしたコンパクトバンコンの人気も依然として高いまま。
なにより普段づかいと共有しやすいサイズ感の魅力は大きい。
老舗ビルダーのフィールドライフが新型モデルの『ROBBY』を、オートバックスが展開するゴードンミラーも新たに『GMLVAN C−01』を投入。
とはいえレイアウト面やスペック面で目立ったトピックスはなかった。
軽キャンピングカーに異変の予兆
ダイハツ・ハイゼット、同・アトレーがフルモデルチェンジした今季。
いくつかのビルダーから早速、アトレーをベースにした車両がデビューしていた。
その一例が岡モータースの『MC_アトレー』だ。
とはいえ、これまでエブリィで作ってきたものをアトレーにあてはめた形ではある。
そもそもボディをカットしない限り変わったことがしにくい、サイズが限られる、などの事情もある。
今後はこうしたアトレーやハイゼットベースが、従来のスズキ・エブリイの牙城にどこまで食い込めるかがポイントになるだろう。
とはいえ、エブリイのターボ車が生産中止となったため、ハイゼット、アトレーに乗り換えを計画しているビルダーは多そうだ。
今後、ベース車両の中心が移るのかどうか、趨勢を見守りたい。
軽ベースのバンコンについてはスズキ・エブリイの採用が相変わらず多いが、軽キャブコンはハイゼット・トラックが主流。
この傾向も変わらない。
そのハイゼット・トラックがマイナーチェンジして、ミッションがCVT(無段変速)に変更された。
限られたパワーを上手に使ってスムーズな走行につながる、この性能面での向上はありがたい限り。
走行性への不満が良く聞かれる軽キャブコンにとって、これは朗報だろう。
フィアット・デュカトが正式輸入開始!
大きなニュースといえば、欧州キャンピングカーのベース車両として圧倒的シェアを誇るフィアット・デュカトの国内正規輸入開始だろう。
バンコンでありながら、カムロードベースのキャブコンに匹敵する室内空間が得られるともなれば、注目度も高くなる。
ボディバリエーションも数種類あり、興味を示すビルダーも多かった。
その一方で「実車は見たが、実際仕上げるとなるとそれなりに手間がかかる。
価格の面で輸入車と大差なくなるかもしれない」といった声も聞かれる。
優れたベース車両が安定的に供給される道筋がついたことで、今後、日本のユーザーの期待を知り尽くしたビルダーがどんな車を仕上げてくるか、興味は尽きないところである。
展示は地味だったけどスゴイヤツ
今回のショーの中で、私が個人的に最も「スゴイ」と感じたトピックスをご紹介しよう。
北海道、帯広のドリームエーティ社の展示スペースにひっそりと(?)置かれていた一台のハイエース。
これがすごい技術のかたまりだったのだ。
トヨタのハイブリッド技術を生かし、停車中に電動コンプレッサーを駆動。
カーエアコンを運転するというシステムである。
ご存知の通り、通常のカーエアコンはエンジンの回転によってコンプレッサーが回り、涼しい風が出るしくみ。
エンジンが止まれば稼働できない。
今回のシステムでは電動コンプレッサーを追加して、エンジンが止まっている間は電動に切り替える。
そのコンプレッサーを稼働させるのは、ハイブリッドの技術を応用したサブバッテリーだ、ということである。
これが本格的に実用化されれば、停泊時のエアコンシステムの大きな切り札になりそうだ。
キャブコンのように家庭用エアコンを積み込むのが難しいバンコンや車中泊仕様の車、あるいは防災設備としても期待が持てる。
コロナ禍の影響で来場者数は控えめだったが、キャンピングカー人気は相変わらず。
各ビルダーとも生産設備はフル回転である。
そこへベース車のモデルチェンジが重なった今回、各社とも舞台裏は大わらわだったはず。
その意味では内容的に「現状維持」の印象は否めなかった。
が、今後に向けての材料は多い。
ますます先行きが楽しみである。