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【経験談】DIYした中古ハイエースで車中泊する方がキャンピングカーより便利!?

DIYした中古ハイエースで車中泊する方がキャンピングカーより便利

キャブコン、ハスラーを経てハイエースで車中泊している理由は


車中泊を始めようと考えたとき、キャンピングカーにするか普通のSUVやバン・ワゴンを車中泊仕様にするか。

迷う人も多いのではないでしょうか。

私は最初キャブコンタイプのキャンピングカーを購入。

次にスズキの軽自動車SUVハスラーに乗り換えて、現在は中古のトヨタハイエースをDIYで車中泊仕様にして使っています。

この記事では、なぜこのように変遷してきたのかをくわしく解説。

私個人の一例ですが、車中泊するにはキャンピングカーがいいのか、普通のSUVやバンを選ぶべきか、考える上での参考になればと思います。

私の過去のキャンピングカー所有歴・ライトキャブコン


ライトキャブコンのキャンピングカー「アウトドアジュニア」の外装

実は以前、ライトキャブコンの「アウトドアジュニア」というキャンピングカーに乗っていました。

LEE EXPORT社というキャンピングビルダーが製作した、小柄なボディながら、ダイネットやバンクベッド、トイレ/シャワー、家庭用エアコンまだ付いているキャンピングカーでした。

長距離移動には便利だったのですが、しっかり使いこなすまでには至りませんでした。

その理由はいくつかありますが、ひとつは背の高いキャンピングカーだと不自由なことが多かったということ。

都心では駐車場に止めるのも大変で、普段の足としては使えず、旅行という特別な用途でしか活用できませんでした。

また、室内レイアウトが固定されているため、不満があっても自力で改造できず、都度、ビルダーさんに相談するしかありません

改善のたびにお金がかかってしまいます。

走行性能も高いとは言えず、高速道路を使うと乗り心地もあまりよくありませんでした。

結果として、あまり活用しなくなってしまったのです。

軽自動車で車中泊に挑戦


車中泊仕様にDIYしたスズキハスラーの外装

次に考えたのは、軽自動車で車中泊する方法でした。そのためにスズキのハスラーを購入。

ベッドキットやラゲッジボードなどを設置して、車中泊仕様にしました。

車中泊仕様にカスタムしたスズキハスラーの車内

実際に使ってみると、かなり快適でした。

ただこの車だと、車のなかで泊まることはできても「仕事」はできません。

その頃、ちょうどコロナ禍で自社がリモートワークになり、パソコンと通信環境があればどこでも仕事ができるようになりました。

だったら旅行しながら仕事をしたいと思い、仕事ができる環境を目指してハスラーの室内レイアウトを変えることにしました。

しかし、ハスラーの室内で仕事をするには箱が小さ過ぎました。

物理的に無理があり、仕事をするための空間を確保できなかったのです。

ついに中古のハイエースをDIYすることに


車中泊仕様にDIYカスタムしたハイエースが広い駐車場で停車している様子

そこで中古のハイエースを購入することにしました。

ハイエースは荷室が広く、仕事や車中泊環境を作りやすいという特徴があります。

中古なら価格も手頃なので、ハイエースをDIYしていくことにしました。

断熱対策で快適性向上


ハイエースの内張をはがして断熱材のシンサレートを詰めた図

まず手を入れたのが「断熱」です。

ハイエースは、外気の影響を受けやすいため、夏は暑く、冬は寒いのが難点。

快適に過ごせないので、外気温の影響を少しでも減らすための工夫をすることにしました。

側面の内張は、全部はがしてシンサレートを詰めています(↑の写真)。

シンサレートとは、布団素材でも知られている新素材で、断熱・吸音効果があります。

高級車のデッドニングなどでも実績があるので効果を期待しています。

内張をはがす作業は少し大変でしたが、クリップを外し、慎重に引き剥がしていくことで無事に完了しました。

シンサレートは適切なサイズにカットし、スプレー式の接着剤を使って壁面に貼り付けていきました。

車中泊仕様のハイエースの床面に貼るペフシートをカットしている様子

床面にはペフシートを貼り付けました。

ペフはカーポートの屋根によく使われていて、結露対策にもなるスポンジ状の断熱材。

遮熱効果があり、車内の温度を安定させるのに役立ちます。

車中泊仕様のハイエースの床面にペフシートを貼る様子

作業は簡単で、床面を清掃した後、ペフシートを適切なサイズにカットし、接着剤で貼り付けていきました。

車中泊仕様のハイエースの車内、新しい木目調のトリムボードが取り付けられている

また、もともと着いていたトリムボードは汚れていたので、木目調のものに変更しました。

これで見栄えも良くなりました。

新しいトリムボードは、ホームセンターで購入し、元のトリムボードと同じサイズにカットしました。

車中泊仕様にDIYカスタム途中のハイエースの車内

取り付けは元のクリップを使用し、慎重に押し込んでいきました。

これらの断熱作業により、車内の温度変化が緩やかになり、冷暖房の効きも良くなりました。

また、走行中の騒音も軽減された気がします。

結果として、より快適な空間になりました。

車中泊だけでなく仕事もできる環境の構築


ハイエースの車内でデスクワークする様子

次に取り組んだのが、車中泊と仕事の両方ができる環境の構築です。

最初に作ったのはデスク兼用ベッドでした。

二の字レイアウトのベンチを作り、廊下の部分に机を置きました。

二人で仕事をするときには対面で座れるようにしたのです。

しかし、しばらく使っていて、仕事をするには机のスペースが小さいことに気がつきました。

二の字レイアウトでは机の幅をあまり広くできません。

車中泊仕様にDIYしたハイエースの車内、ベンチシートに座り折りたたみてテーブルでパソコン作業する様子

そこでベンチを片側に集中させ、もう片側に机を作る一の字レイアウトに変更しました。

広い机もDIYで作りました。天板は強度がある合板を使用し、就寝時に邪魔にならないように折りたたみ式にしました。

この一の字レイアウトは仕事と車中泊という点では文句なしでしたが、車検のたびに机などを分解し、車検後に作り直すのが手間だと感じるようになりました。

私のハイエースは4ナンバー商用車登録。商用車の車検は一年毎です。車検の度にこの作業をするのは大変でした。

和室仕様の最終形へ


車中泊仕様にDIYしたハイエースの車内、畳を敷き詰めた車内で男性がくつろぐ様子

そしてたどり着いたのが、現在の「畳」のレイアウトです。

市販のベッドキットのフレームだけを購入し、畳部分は通販サイトで購入してカットした「い草カーペット」をベースになる板材にタッカー(コの字型のステープルを打ち込む工具)で留めて作りました。

こうして和室仕様のハイエースが完成しました。

和室は布団を敷けば寝室になるし、机を置けば食卓にもなります。

文机なら仕事もしやすく、用途に応じて変化できるのが魅力です。

ベッドキットのフレームは車検の時も下ろす必要がないため、手間も省けます。

畳の敷かれた車中泊仕様のハイエースの車内であぐらでパソコン作業をする男性

当初はちゃぶ台を乗せていましたが、現在は大きめのラゲッジボードをDIYし、大きな机として使っています。

150cm×70cmとサイズが大きく、外部ディスプレイも置けるようになりました。

このラゲッジボードには、見た目が美しく強度のあるパイン材を使用しました。

大きな作業スペースがあることで、複数のデバイスを並べて作業したり、書類を広げて資料作成したりできるようになったのです。

電源問題と今後の改善策


車中泊仕様にDIYしたハイエースの車内、シート下にポータブル電源が収納されている様子

使い勝手の良さを求めていろいろ変更したので、車内のレイアウトは現状のままで問題ありませんが、別の課題が出てきました。

電源問題です。

車中泊で使用しているハイエース車内に設置したポータブル電源と追加バッテリー

私のハイエースには1,000Whのポータブル電源と、拡張バッテリー込みで1,440Whのポータブル電源を車内の電灯や家電用として使っています。

さらに、仕事用に256Whと512Whのポータブル電源も積んでいます。

車中泊仕様のハイエースのルーフに取り付けられたソーラーパネル

現在、これらの充電が大きな課題となっています。

大容量のポータブル電源は、移動中はアクセサリーソケット経由で充電しています。

停車中は200Wのソーラーパネルからも充電しています。

ソーラーパネルは折りたたみ式のものを選び、使用時は車外に広げて設置しています。

これにより、晴れた日であれば、停車中でも充電できます。

走行充電に関しては、移動距離が長ければ十分充電できるのですが、それほど移動しない場合は2日〜3日ほどで充電は空になってしまいます。

そのため、今は充電のためにRVパークや快活CLUBを活用していますが、少し面倒でお金もかかります。

今後の改善案として、車のメインバッテリーに直接インバーターを接続し、ポータブル電源を充電することを考えています。

バッテリー上がりのリスクも増えますが、充電時間を短縮できるメリットは大きいでしょう。

また、ハイエースの天井にソーラーパネルを貼り付けることも検討しています。

これが実現すれば、晴れていれば常時充電でき、長期間の旅でも問題なく電源を確保できるはずです。

ハイエースとDIYにこだわる理由


このように、私のハイエースは常に進化し続けています。

DIYで改造を重ねることで、その時々の状況に合わせた最適な環境を作り出せることこそ、ハイエースを選び、DIYにこだわる最大の理由です。

振り返ってみると、キャブコンタイプのキャンピングカーからハスラー、そしてハイエースへと変遷してきた車選びには、一貫したテーマがありました。

それは「柔軟性」です。現在のハイエースは、広いスペースと改造の自由度によって、最高の柔軟性を実現しています。

この柔軟性こそが、私にとって理想的な車中泊と車内でのテレワークの環境を可能にしてくれています。

例えば、仕事の内容や季節によって、インテリアのレイアウトを変更できます。

また、長期の旅行時には収納スペースを増やし、日帰りの仕事では作業スペースを広く取るなど、その時々の用途に合わせて最適化できるのです。

DIYには時間と労力がかかりますが、自分のニーズに100%合った空間を作れることや、改造を通じて車への理解が深まることは、何物にも代えがたい価値だと感じています。

これからも、このハイエースと共に進化し、新しい可能性を探っていきます。

秋葉けんた

2007年、家族と愛犬との旅を楽しむためにキャンピングカーを購入。現在はハイエースを改造し、車中泊でのリモートワーク「バンワーク」を実践しながら、この新しいワーキングスタイルをテーマに執筆活動を行っている。さまざまな媒体で、DIYでの車両カスタマイズや快適な車中泊のコツなどバンワークの魅力を発信中。