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【実体験】商用ハイエースの車中泊DIY!毎年車検をラクに乗り切る工夫を紹介

【実体験】商用ハイエースの車中泊DIY!毎年車検をラクに乗り切る工夫を紹介

ハイエースを中古で購入し、DIYで車中泊仕様にカスタマイズして3年間乗っています。

ハイエースには乗用車登録と商用車(貨物)登録のモデルがありますが、筆者のハイエースは4ナンバー商用車登録で毎年車検。

いろいろDIYしていますが、車中泊のための装備を載せたままでは車検に通らない可能性があります。

そこで今回は、商用車登録のハイエースを車中泊DIYする場合、車検時に困らないために何を注意しないといけないか、実体験をもとに解説。

車中泊仕様にDIYカスタムしたハイエースで車中泊しようと考えている人の参考になれば幸いです。

商用車ハイエース特有の車検時の注意点


車中泊仕様車のハイエース

私のように商用車のハイエースを自分で車中泊仕様にしている場合。

貨物車登録(4ナンバー・1ナンバー)=商用車のまま車中泊仕様にしたハイエースを車検に通すには、以下のような注意点があります。

荷室スペースの確保


まず、貨物車として車検を通すには、「荷室の広さ」が一定の基準を満たしている必要があります。

●荷室の長さが車両全体の半分以上であること。
●高さ80cm以上のスペースが必要(荷物を積める空間があること)。
●座席以外の部分に十分な荷物の収納スペースがあること。



固定装備の扱い


次に、DIYで車内にイスやベッド、テーブル、収納棚などをボルトなどで固定している場合、以下のような理由で車検に通らない恐れがあります。

●貨物スペースに座席を増やすと「乗用車扱い」になる可能性あり。
●テーブルや収納をボルトで固定すると「貨物車の用途に合わない」と判断されることがある。



車両重量の制限


さらに、貨物車は最大積載量が決まっているため、DIYで設置した装備によって重量が増えると積載量の見直しが必要になることもあります。

当初は車検に苦労


車中泊仕様車ハイエースの車内

私は今乗っているハイエースの室内をこれまでに3回ほど自分で車中泊仕様にリニューアルしています。

ハイエース購入当初は車中泊を快適にすることで頭がいっぱいで、前項で紹介したような車検の際の注意点を考慮せず、思いつくままベッドや机、簡易キッチンまで全てをDIYで製作しました。

木材を加工し、理想的な寸法で作り上げた設備の数々は、確かに使い勝手は良かったのです。

しかし、初めての車検で大きな課題に直面することになりました。

車検の時に下ろす荷物たち

たとえキャンピングビルダーが製作したキャンピングカーに負けないクオリティであっても、自作したベッドや机、ギャレーなどは貨物登録のハイエースの場合は「荷物扱い」。

車検時にはそれらをすべて降ろし、荷室を空にする必要があります。

自作の設備は重くて、分解が面倒。

ベッドを解体し、机を取り外し、キッチンを撤去する作業に丸一日かかることもあり、車検の度に大きな労力を要することになってしまったのです。

この経験から、車検時の手間を考慮したカスタマイズの必要性を痛感しました。

簡単に取り外しできるように室内を改良


畳

その後試行錯誤の末、車検時にできるだけラクに室内にDIYした車中泊設備を取り外したり積み降ろしたりできるようにしました。

着脱しやすい市販のベッドキット


ベッドキットのフレーム

ベッドはフレームだけの市販のキットを購入。

脚をボルトでボディ床面に固定するタイプですが、ハイエースの既存のネジ穴がそのまま使えるので、簡単に着脱できます。

ベッドキットの詳細はこちら▷hyog


載せているだけの「畳」


ベッドキットのフレームの上に「い草カーペット」を置く

市販のベッドキットのフレームの上に、自作した「畳」を載せています。

畳部分は本物ではなく、通販サイトで購入してカットした「い草カーペット」を板材にタッカー(コの字型のステープルを打ち込む工具)で留めて作成。

ベースになっている板は、軽量のポプラ材を薄くスライスして積層した合板であるフォルカタ材を採用。

分割式にしているので取り外しも簡単です。

収納はコンテナボックスのみ


収納のコンテナボックス

収納に関しては、以前は作り付けの棚を設置していましたが、現在は側面が開くコンテナボックスを活用しています。

サイズを統一することで積み重ねや移動が容易になり、見た目も整っています。

コンテナボックスは主にベッド下に置きますが、荷物の量に応じてボックスを増やしたり減らしたりすることも容易。

レイアウト変更もしやすいです。

車検時には、サッと降ろして一時的に自宅に保管もできます。

ただし、コンテナボックスは何も対処していなければ走行中にズリズリと動いてしまいます。

そこで、コンテナボックスの底面にホームセンターで購入した滑り止めシートを挟むことで、ズレを防止

さらにロープやベルトを使って固定すれば、急ブレーキや事故の際のリスクも大幅に減らせるでしょう。

電源はポータブル電源を選択


車に積んでいるポータブル電源

電気系統については、当初サブバッテリーやインバーターの設置を検討していましたが、ポータブル電源を採用しました。

これにより、複雑な配線工事が不要になり、車検時の対応も大幅に簡略化できました。

私のハイエースでは1,000Whのポータブル電源と拡張用バッテリーを合わせて1,440Whの電源を、車内の照明や家電用として使っています。

さらに、車内でのパソコン仕事用として、256Whと512Whのポータブル電源も積んでいます。

サブバッテリーやインバーターをDIYで設置する場合、配線の経年劣化や接続部分の緩みが心配。

ですがポータブル電源ではそうした不安がありません。

万が一、故障した場合の交換も簡単です。

照明器具も車検時を考えて選定


取り外しが簡単な照明

照明は、車内の両サイドに引っ掛ける金具を使いSPF材をサイドバーにしています。

そこに照明用ダクトレールをネジ止めすることで、車検時の取り外しが不要になり、なおかつ確実に固定できます。



LEDライトは、消費電力の少なさと明るさのバランスを重視して選びました。

照明用ダクトレールに対応しているLEDライトは種類が多いので、夜間の読書には照明の数を減らし、作業時にはたくさんの照明を付けるというように、用途に応じて明るさを変えられます。

参考商品

丸1日かかっていた車検準備が2時間に


車検時に下ろした荷物たち

以上のような室内の改良で、車検時の労力は大幅に軽減されました。

以前は丸一日かかっていた車検準備が、現在は2時間程度で完了します。

車中泊時の快適性だけを追求せずに、簡単に設備や装備の取り外しや積み降ろしができるようにしたことが時間短縮の要因です。

あとがき


特に私のハイエースのような商用車をDIYで車中泊仕様にする場合、毎年の車検に対応できる設計が必要不可欠。

市販されているハイエース専用設計のベッドフレームキットやポータブル電源の活用、軽量な木材の使用など、一つひとつの工夫が車検時の負担軽減につながっています。

これから車中泊仕様のDIYを考えている人は、ぜひ着脱のしやすさと素材選びを考慮してください。

※この記事は筆者の経験に基づいていますが、車検基準は地域や時期によって異なる場合があります。

改造を計画される際は、最新の基準を確認し、必要に応じて車検を依頼するディーラーなどの専門家に相談することをおすすめします。

秋葉けんた

2007年、家族と愛犬との旅を楽しむためにキャンピングカーを購入。現在はハイエースを改造し、車中泊でのリモートワーク「バンワーク」を実践しながら、この新しいワーキングスタイルをテーマに執筆活動を行っている。さまざまな媒体で、DIYでの車両カスタマイズや快適な車中泊のコツなどバンワークの魅力を発信中。