【体験談】レンタカーで車中泊はできるのか?必要な装備と注意点
目次
レンタカーで車中泊をするならどんな車種を選ぶ?
前の項目でも述べた通りの理由で、レンタカーで車中泊を楽しみたかったら、料金は高くともキャンピングカーをレンタルして、ちゃんとオートキャンプ場やRVパークを利用するのが良いと思う。
また、レンタルキャンピングカーは、キャンピングカーを入手する前の参考やシミュレーションにもなり、そういった活用の仕方もあるので、存在価値は高いと思う。
しかし、今回の記事の趣旨とはずれてしまうので、レンタルキャンピングカーについてはこの記事からは除外する。
ところで、私はほぼ毎年沖縄を訪れているのだが、2020年以降は例のウィルスのせいで外国人観光客が激減し、一時はレンタカー屋さんの店頭もガラガラになってしまい、人間のスタッフが余っているのにロボットから説明を受けるなどという本当に寂しい状況(人手が足りなくなるほど忙しいからロボットの意味があると思うのだが、手の空いているスタッフがいる横で、1対多でもなく1対1でロボットから説明を受けるのは本当に虚しかった)がここ数年は続いていた。
しかし、現在は観光客の数も回復し、宿代は確実に値上がりしているが、ネットで調べたところ、レンタカー代も値上がりしているように感じていた。
そんな中、今回私が利用したレンタカーは冒頭で書いた通り、価格の安い順のトップに出てきたニッサン クリッパー(スズキ エブリイ)だった。
この写真に若干違和感を感じた人もいるのではないかと思うが、このレンタカーには大きな広告ラッピングが貼ってある。
このレンタカーが格安だった理由はまさにこの広告のおかげだ。
ナンバープレートのひらがな部分を見なければ(ご存知の人は多いと思うが、レンタカーのナンバーのひらがな部分は“わ”または“れ”だ。そのため、沖縄の観光客の多い駐車場は定番の宇宙人ギャグ「ワレワレワ…」のような状態になる。)地元の業者の車にしか見えない。
実際、友人と待ち合わせをした際に、車種は白の軽ワンボックスと伝え、私が車内にいたのにも関わらず、前を素通りされてしまった。
しかし、私はそんな見た目のクルマでも構わないというより、いかにもレンタカーよりむしろその方が良いくらいなので、料金も安くて私にとっては全くの好都合でしかない。
因みに料金は1日当たりに換算すると、なんと2800円にも満たなかった。
これは那覇の安いドミトリーやシェアハウスのようなところの一泊の料金よりは高いけれど、小綺麗なカプセルホテル一泊分よりは安い金額だ。
そして、エブリイ(クリッパー)は言わずと知れた車中泊には最適なクルマで、無理なく2名寝られるスペースがある。
今回この中で寝たのは私ひとりだったが、2名で使ったらドミトリーやシェアハウスのようなところの宿泊料金より安くなってしまうことになる。
また、旅先では、有名な観光地から外れてディープなところへ入り込もうとするほど、とんでもなく狭い道に出くわしてしまうことも多くなる。
そんなときも車体が小さいと便利で安心だ。
しかし、軽ワンボックスは観光地のレンタカーとしては珍しい車種になるので、運よくこういったクルマを見つけられたら本当に便利で旅費もセーブできてラッキーだが、見つからない場合は他のタイプの車種となる。
ミニバンももちろん快適に寝られるクルマの候補に挙げられる。
そして、ミニバンの座席をフルフラットにした方がマットなしでも快適に寝られそうにも思えるが、今時のミニバンの座席はフルフラットといっても結構な凸凹ができてしまうのが普通だ。
以前、数人乗せる予定があったので車種はセレナかステップワゴンか忘れてしまったが、そのどちらかを借り、他の人が到着する前の晩にその中に1人で一泊したことがあった。
1人分だったから凸凹の解消もそれほど厄介ではなかったが、2名以上寝るなら、ミニバンの座席の凸凹を解消するより、硬いけど真っ平らな軽バンの荷室にテント泊などで使うスリーピングマットを敷く方がむしろ簡単で合理的な方法だと思う。
そして、当然軽ワンボックスよりそのサイズのミニバンのレンタル料金はずっと高額だ。
旅費をセーブするつもりでも、安い宿+安いレンタカーより高くなってしまう可能性は高い。
前席をフルリクライニングして後部座席や荷室の床と繋げなるなどしてフルフラット的にして使える軽自動車もあるが、ミニバン同様結構な凸凹ができてしまうので、やはりその凸凹を解消する工夫やマットなどが必要になる。
また、軽トールワゴンやスーパーハイトワゴンのレンタカーの場合、例えば「ハスラーなど」とか「スペーシアなど」となっていて、きっちり車種が特定されていないことも多い。
そうすると、現物を目にしたら車中泊向きのシートではない車種だったなどということもあり得るが、貸す方はそういった目的で貸し出しているわけではないので、借りる方も文句は言えるわけではない。
そういったことも注意が必要だ。
レンタカーで車中泊するのに必要な装備は?
キャンピングカーではない普通のレンタカーを利用するのであれば、自分のクルマで使用しているような車中泊用の装備を全て持って行くことは現実的ではないため、居心地は良くて動くカプセルホテル、基本的にはそれ以下の仮眠のためのスペースと割り切って考えた方が良いと思う。
寝具などについて
上の項目でも書いた通り、貨物車の荷室は平らで良いが、寝るにはスリーピングマットなどが必須だ。
テント泊の予定があるならスリーピングマットなどを持って行くのが普通なので、車内でもそれを使えば良い。
その予定がないのなら、たたんだ時になるべく軽く小さくなる空気封入式のスリーピングマットを持って行くのが良いと思う。
しかし、空気封入式は注意が必要だ。
以前、密林のタイムセールか何かで安くなっていた空気封入式のスリーピングマットはどうなのだろうかと取り寄せてみたことがある。
試しに家で使ってみたところ、寝心地は全く悪くなかった。
そこで、軽いし小さくなってこれは便利と川下りの際にこれを持って行き、途中河原にテントを張って寝ていたら、寝ている間に小さな穴が開いてしまったようで、朝起きた時にはほぼゴロゴロの石の上に直接寝ているような状態になっていた(このときは幸い一泊だけだったが、二泊以上だったら悲劇だったと思う)ことがあった。
やはり、安物はやめて、信頼のおけるものを選んだほうが良いと思う。
これは一般的ではないので直接参考にならないかもしれないが、私はサーフマットいう物をスリーピングマット代わりに使うことが多い。
上の写真のグレーのマットは、知らない人が見たら所謂ビーチマットにしか見えないのではと思うが、実はこれは立派な波乗り用の道具の一種で、当然ながらホームセンターなので売っているビーチマットなどとは耐久性も比較にならないほど高い。
SUPやカヤックのツーリンでは浮力補助ベストを当然着用するが、私はこの丈夫なサーフマットをもしもの時の救命ボードとして備え(口で空気を入れらる)ていて、キャンプツーリング中に波に出会えたら当然これでサーフィンを楽しむこともできるのだが、夜はこれをスリーピングマット代わりとしても使用している。
頭から尻までの長さがあるので、寝るのにも十分なサイズがあり、とても寝心地が良いというわけではないが、2・3泊程度なら全く問題のない寝心地だ。
少し特殊なものなので、これをそのまま誰にもお薦めするというわけではないのだが、自宅から何でも持って行くことのできる自分のクルマとは違い、持って行ける物に大幅に制約のある旅の場合は、このようにマルチパーパスに使える道具を選ぶと合理的という実例の一つとして挙げてみた。
ミニバンや軽トールワゴンなどの場合はフラットにした座席の凸凹を解消する必要があると書いたが、その方法としては、ビーズクッションなどの専用グッズがあるので、自分のクルマであればそういった物を利用するがベストだ。
しかし、レンタカーで車中泊するだけのために持って行くのは荷物になってしまい、合理的ではない。
着替えの服やタオルなどを利用して上手いこと段差を埋めるのが現実的だと思う。
次に必要なのは、上にかけるものだ。
車中泊の寝具で布団か寝袋のような議論もあるが、さすがに旅先で借りるレンタカーで布団はあり得ないと思う。
高山や余程寒い地域でなければ、夏なら寝袋がなくてもシーツのようなものなどだけでも十分だ。
今回行った沖縄は、2月とはいえ関東から行けばかなり暖かい。
本当に荷物をセーブしたければ、出発時に関東で着ていた服を着て寝るか布団代りに掛けるだけでも十分といえば十分だが、3シーズン用の小さくなる寝袋ならそんなに大荷物になるわけでもない。
暖かい沖縄とはいえ2月はそれなりに寒い日もあり、荷物にも余裕があったので、今回は一応3シーズン用の寝袋を持って行った。
因みに上の写真の細長いのが空気を抜いた先程のサーフマットを入れた袋で、青いバッグがスタッフバッグに詰め込んだ寝袋だが、寝袋の収納サイズは、長さが30cm未満(もっと圧縮もできる)、直径が15~17cm程度といったところだ。
案の定実際には十分暖かくて、サイドジッパーをフルオープンにして掛け布団のようにして使ったのだが、安い宿に泊まった際に、湿っぽかったり体が痒くなりそうな布団だったりした場合(今時そんな宿も珍しいとは思うが)は使い慣れた自分の寝袋の方が快適なので、多少荷物になっても寝袋持参は安全策になる。
上の写真は海で着替える際に使用するポンチョなのだが、吸水性が高く乾きも速いマイクロファイバーでできている。
普段海岸で着替える時にも使っているが、着ているだけで体が乾いてしまう便利なものだ。
そして、広げれば結構大きいが比較的生地が薄いので、たたんだサイズは普通のフルサイズのバスタオルよりむしろ小さいくらいだ。
基本的に私は濡れるスポーツをしに行くことが旅の主な目的でもあるが、これは防寒着や寝具代わりにもなって非常に合理的なので、真夏以外は大抵旅にもこれは持って行っている。
枕はスタッフサックに着替えの服やタオルなどを入れて代用しているが、私は服の整理などに風呂敷を使うことも多い。
風呂敷は大きさの変わるスタッフサックともなるが、これも寒い時には寝具の足しとして使うとか、スカーフのように首に巻くなど、マルチパーパスに使えて便利なので、旅に風呂敷はおすすめだ。
灯り
スマホにも懐中電灯機能はあるが、フラッシュライトとランタンの機能を備えた小さ目のサイズのライトか小さなサイズのヘッドライト(できればどちらも防水性の高いもの)などを持っておいた方が良いと思う。
上の写真のライトは磁石も付いているので、このように車内で使う際にも大変便利だ。
実は、これは一時転売ヤーによって価格が異常に高騰してしまったアレによく似ているが本物ではなく、フェイクのような製品だ。
フェイクといっても性能・機能などははっきり言って劣ることもない。
しかし、価格はずっと安い。
フェイク品を使うことには若干罪悪感のようなものを感じなくもないが、旅では物を紛失してしまうことも少なくないので、性能・機能に問題がないのなら、価格の安さをありがたく受け入れたい。
シガーライター→USB変換ソケット
今時、旅にモバイルバッテリー持参はもはや常識かと思うが、せっかくクルマがあるのだから、走行中はスマホやカメラのバッテリーの充電に車両の電源も利用したいものだ。
最近はUSBソケットの付いているクルマの方が多いくらいかもしれないが、ない場合に備えてシガーライターからUSBに変換するソケットも持っておくと安心だ。
今回借りたクリッパーはベイシックグレードの車種だったので、案の定USBソケットなどなかったため、持って行って正解だった。
また、これはスマホの音をFMラジオに飛ばすトランスミッターの機能もついたソケットなので、スマホに入っている音源をラジオを通して聴くこともできるし、ナビアプリの案内音声をラジオを通して大きな音で聞くこともできる(当然ナビも付いていなかった)ので、なかなかに重宝する代物だ。
レンタカーでの車中泊地は?
宿泊地や基本的な注意点に関しては、普通に車中泊をする際の常識と同じなので、ここで詳しい説明は省くことにする。
しかし、自分のクルマとは違って、レンタカーの場合は遮光カーテンやシェードのような窓を塞ぐものまで用意することはできない。
どこで宿泊するとしても、早寝早起きが鉄則と考えるのが妥当だ。
レンタカー車内での食事
先程も書いた通り、借りたクルマの車内では調理などせず、外食をするか調理済みの食材や弁当などを買ってきて済ませるのが良いと思う。
しかし、例えばある沖縄のキャンプ場(今回ここを利用したわけではない)は、海岸が目の前の素晴らしいロケーションにあり、クルマの脇にテントを張ることもできてとても良いところなのだが、本当に近くに宿どころか民家も店も何もないところなので、予め食料も飲み物も準備して行く必要がある。
「日本全国少し走ればコンビニがある」が通用しないところもまだまだあるのだ。
そういったところを訪れる際にはある程度の下調べは必要だ。
今回は、夕方に道の駅を訪れたら(その道の駅の駐車場で寝たわけではない)、美味しそうなものが色々半額になっていたので、大満足の夕食となった。
実物はこの写真で見るよりずっと豪華でボリュームもある。
こんな勘が当たるのも嬉しいが、ネット上の情報に頼るだけでなく、こういったコツを得るのも楽しいものだ。
できる範囲のことで十分楽しい時間を過ごすことはできる
レンタカーでの車中泊は、自分のクルマのようなわけにはいかないことは確かだ。
SNS上などでは、車中泊中のテレビや動画を観る機材がどうしたといったことを話題にしている人達がいるのを見かける。
夜の暇潰しをどうするなどと言っている人達もいる。
私も普段家では普通にテレビを観るが、旅に出ている最中は、観たい番組があっても帰ってからTVerなどで観れば十分ではないかと思っている。
ましてやポータブル電源なども持って行けないレンタカーを利用しているのなら、無駄に電気を消費するようなこともしない方が良い。
せっかく旅に出ているのだから、そこでしかできないことをすれば良いだけだ。
例えば、現地の美味しい物を頂いた後は、サイドドアを開けて外を向いて腰掛け、泡盛などをちびちびやっていると猫たちが寄ってくるので、暫し現地の猫たちの猫ミーティングに参加する。
猫ミーティングはただじっとしているだけだが、私には十分楽しい時間となり、暇だなどと感じることはない。
月や星を眺めるのも良い。
そして、猫たちがどこかへ帰って行った後や、月も星も見えない晩なら早めに床に着き、日の出とともに起床(西日本は日没は遅いが、日の出は遅いのでそんなに早起きにもならない)し、明るい時間を存分に楽しめば楽しい旅になる。
積極的にレンタカーでの車中泊をすすめするつもりはないが、案外少ない装備でもこうして手軽で快適に夜を明かすことができる。
宿の宿泊とは違った体験もできるので、上手く楽しめる人にとってはこれも良いものだ。