高齢者ドライバー

高齢ドライバーの「運転技能検査」5月13日から実施、不合格者は免許失効



高齢化社会が進むにつれて、大きな問題の1つとなっているのが高齢ドライバーによる事故。

2019年4月19日に発生した「池袋暴走事故」はまだ記憶に新しいでしょう。

高齢者の交通事故が問題視されるなか、道路交通法が改正され、2022年5月13日より「免許更新時の運転技能検査」が開始されます。

高齢者は該当者のみ運転技能検査を受ける必要がある

表

出典:警視庁

新たに導入される運転技能検査は、合否判定が下される”運転試験”です。

免許の更新期間満了日の6ヵ月前から受検可能で、不合格の場合は更新不可となります。

検査対象となるのは、「起点日(免許有効期間満了日の直前の誕生日から160日前)から、過去3年間に一定の違反歴がある75歳以上のドライバー」であり、年間約15万人が受検対象になると試算されています。

無事故・無違反のドライバーは、この検査を受ける義務はありません。

運転技能検査の内容

• 指示速度による走行
• 一時停止(2回)
• 右折・左折(2回)
• 信号通過(2回)
• 段差乗り上げ

この検査は100点満点からの減点方式を採用しています。

一種免許の場合は70点以上、二種免許の場合は80点以上が合格ラインとなりますが、信号無視や逆走をした場合は一発不合格です。

とはいっても、不合格の場合は何回でも受検可能

繰り返し受検し合格すれば認知機能検査へと進み、認知症ではないと判断されれば免許を更新することができます。

更新期間満了までに運転技能検査に合格できなかった場合、免許の更新はできません。

しかし、検査は普通免許に対するものであるため、原付免許や小型特殊免許に切り替える場合は更新が可能です。

なお、5月13日より認知機能検査も変更となります。

従来は「手がかり再生」「時間の見当識」「時計描画」の3種類でしたが、「時計描画」がなくなり2項目に。

また、医師の診断書を提出した場合、認知機能検査が免除となる場合があるようです。

運転技能検査の対象となる違反歴

1. 信号無視
2. 通行区分違反
3. 通行帯違反等
4. 速度超過
5. 横断等禁止違反
(法定横断等禁止違反、指定横断等禁止違反)
6. 踏切不停止等・遮断踏切立入り
7. 交差点右左折方法違反等
(交差点右左折方法違反、環状交差点左折等方法違反)
8. 交差点安全進行義務違反等
(交差点優先車妨害、優先道路通行車妨害等、交差点安全進行義務違反、環状交差点通行車妨害等、環状交差点安全進行義務違反)
9. 横断歩行者等妨害等
10. 安全運転義務違反
11. 携帯電話使用等

検査対象となる違反は上記表の11種類。これらの違反歴のある75歳以上のドライバーは、死亡・重傷事故の発生率が通常の約2倍になるそうです。

過去3年間に上記表のどれか1つでも違反している場合、運転技能検査の受講が義務となります。

高齢ドライバーの免許更新がより厳しくなったが…

高齢者

©︎Monet/stock.adobe.com

今回の制度は、対象が「違反歴のある高齢者」に限定されていることもあり、賛否両論分かれていることも事実です。

たしかに「違反歴がない=身体・判断能力が低下していない」ということは断定できないかもしれません。

一定の年齢に達した時点で運転技能検査などを受ける仕組みを設けたほうが、効果を見込める可能性もあります。

同時にサポートカー限定免許制度も開始されますが、運転技能検査において「高得点→免許更新」「低得点→サポカー限定免許」「不合格→免許更新不可」というような枠組みなども必要になってくるように思えます。

とはいえ、今回の制度は高齢ドライバーの危険運転を防止するための第一歩として、意義はあるでしょう。

現状では全ての高齢者が対象になっているわけではありませんが、今後の動向によっては、違反歴に関わらず一定の試験を課すこともあるかもしれません。

ライター:成田 佑真
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