地震経験者が実践!災害に備えてキャンピングカーに常備している防災グッズと注意点

キャンピングカーの主な用途は、レジャーや旅行、キャンプなど、車中泊を楽しみながら移動する際の宿泊手段として利用されることです。
一方で、2024年の能登半島地震の復旧支援に60台のキャンピングカーが活躍するといった、災害対策としてのキャンピングカーの利用も注目されています。
この記事では、大型のキャブコンタイプのキャンピングカーを購入して3年目に突入した筆者が、大きな地震に4度遭遇した経験も踏まえ、キャンピングカーに常備している防災アイテムと気をつけていることについて紹介。
キャブコン以外のキャンピングカーに興味がある人にも役立つ情報だと思います。
レジャー以外のキャンピングカーの活用方法として、参考にしてもらえたらうれしいです。
大型キャブコンを購入して3年目
NUTS-RVというキャンピングビルダー(メーカー)の「クレア エボリューション 5.3W(以下、クレア)」というキャブコンに乗り始めて3年目に入りました。
筆者は、直近では北海道胆振東部地震によるブラックアウト(大規模停電)を経験。
過去にも1993年の釧路沖地震や1994年北海道東方沖地震、2003年十勝沖地震など震度6以上の大規模地震に遭っていることから、妻と2人で自主的に避難訓練を毎年実施するなど、以前から大規模災害への意識を強く持っていました。
キャンピングカーも、レジャー目的だけでなく災害対策ツールとしても活用したいと考えて購入を決めました。
キャンピングカーが防災に役立つ理由

キャンピングカーの中でくつろぐ様子
キャンピングカーはレジャー用途だけでなく「移動できる避難所」としての機能を持ち、自宅のライフラインが途絶えたときなどにも役立ちます。
特に以下の点が防災において有効だと考えます。
家族で安全な場所へ避難できる
地震や水害などで自宅が危険になった場合でも、キャンピングカーがあれば、家族全員で安全な場所へ移動し、そのまま車内で避難生活を送れます。
※ただし、道路の寸断や通行止めの可能性もあるため、徒歩避難など他の手段も併せて検討しておきましょう。
ライフラインが確保できる
キャンピングカーには電気・水・調理設備などが備わっており、停電や断水時にもしばらくは生活を維持できます。
プライバシーを守れる
避難所では他人との共同生活によりストレスが生じがちですが、キャンピングカーなら自分たちだけの空間を確保でき、心身ともに落ち着いた生活ができます。
ペットと一緒の避難にも適しています。
常備された生活用品が役立つ
キャンピングカーには、ある程度の調理器具や食器、寝具などの生活用品が車内に常備していることが多いです。
こういった車内の常備品は災害時においても役立ちます。
普段から車中泊で使い慣れたものなら、災害発生時においても慌てずに活用することができます。
避難用の食料やグッズも積んでおくと、さらに心強いですね。
災害時に備えて、キャンピングカーに常備しているアイテムとグッズ
キャンピングカーを災害時にスムーズに避難場所として活用するためには、必要となるアイテムをあらかじめキャンピングカー内に備えておくことが重要です。
「数日程度の短期間の避難を想定した備えをするか」また「長期間の避難を想定した備えをするか」という点を考慮して必要なアイテムを取捨選択しつつ、キャンピングカーの積載量なども考慮して検討する必要があります。
ここで紹介する防災アイテムは、長期短期問わず最低限必要と考えて、常にクレアに積んでいるアイテムをピックアップしました。
懐中電灯(LEDランタン)

アウトドア用の小型LEDライトは、光量が強く、電池の持ちが良いものが多いので、普段の車中泊旅でも利用している人が多いと思います。
筆者は、アウトドア用品として人気のLEDランタン「ゴールゼロ」を愛用。
手のひらサイズのLEDランタンですが、とても光量が強く、ストラップを付けて首から下げることで両手を自由に使うことができます。
ポータブルラジオ(情報収集用)

ラジオやポータブルTVなど、スマホに頼らずに情報収集ができるツールを持っておくと便利です。
ただし電池などの電源確保を忘れないようにしましょう。
筆者が使用しているのはソニーの「AM/FMポケッタブルラジオR433」。
電波の受信感度がよく、電池の消費が少ない定番の高機能小型ラジオです。
救急用品と衛生用品

・救急セット(包帯、絆創膏、消毒液、常備薬、普段飲んでいる薬など)
・衛生用品(トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウエットティッシュなど)
長期保存できる食料

長期保存可能な食品を積んでおくことで、ある程度長期間の避難生活に対応することが可能になります。
栄養のバランスを考慮しつつ、できるだけバラエティーに富んだ食品を備蓄することで、長期間の避難生活となった場合であっても体調管理やストレスを軽減することが可能となります。

ローリングストック食品
筆者の場合、水やお湯を入れるだけで食べられる食品や缶詰、長期備蓄米を中心に備蓄しています。
これらの長期保存食は、夫婦2人で7日分程度を用意。
クレアの後部にある2段ベッドを物置として使用しているのですが、長期保存食はこの2段ベッドのデッドスペースとなっている手が届きにくい奥の部分に収納しています。
ちなみに年に1度行う自主防災訓練の際に消費期限の点検を行うようにしています。
また、長期保存食よりも保存期間の短いレトルトのご飯やカレー、みそ汁、カップラーメンなども、3日分程度を常備。
すぐ手の届く場所に設置したボックスに収納して、普段の車中泊旅の際に食べて、旅先で補充しつつローリングストック※しています。
※「ローリングストック」とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が備蓄されている状態を保つ方法です。
最低3日分の飲料水

筆者の個人的な見解ですが、飲料水と調理用水は必ず必要になりますので、最優先で備蓄すべきものと考えています。
筆者の場合、クレアの後部荷室と物置として使用している後部2段ベッドに長期保存水やミネラルウオーターを備蓄しています。
これらも車中泊旅で使いながらローリングストックしており、2Lペットボトルを12本程度、500mlペットボトル24本程度を常に積載するようにしています。
1日1人当たり3リットルの水を使用すると考えると、夫婦2人でおおむね6日分となります。
防寒用ブランケットや毛布

キャンピングカーのバンクベッド
快適な睡眠こそが、心身ともに疲れを癒す最適な方法です。
幸いにもキャンピングカーは、よりよい睡眠環境を得やすいという特徴があります。
そしてよく眠るには、季節や気候に応じた寝具の選択が重要。
筆者は温度調節しやすい寝具をそろえるようにしています。
季節に応じた掛け布団2枚、毛布2枚、タオルケット2枚をバンクベッドに常設しており、予備の毛布2枚を普段使用していない後部2段ベッドに収納しています。
防寒用アルミシート
防災用アルミシートは、災害時の体温保持用に作られたもので、ポリエステルやビニール素材の表面にアルミニウムを貼り付けたものです。
とても小さく畳まれているのでかさばらないし、価格も1,000円~2,000円程度。
北海道に住む筆者は極寒時の災害に備えて、「SOL(ソル)アウトドア ヒートシート エマージェンシーブランケット 1人用」という製品を常備しています。
今のところ使用する機会はないですが、寒い地域に住んでいる人には特におすすめです。
重ね着しやすい着替え

冬のダウン、ニット帽、手袋
長期間の避難生活を想定する場合は、衣類選びも重要。
寒い季節から暑い季節まで全ての季節を網羅できる衣類を用意することは難しいので、筆者は、重ね着がしやすい服を組み合わせて温度調節ができるように工夫しています。
防寒着はユニクロのウルトラライトダウンなど、小さく折りたたんで収納できるものがかさばらなくておすすめ。
肌着は速乾性があると少ない枚数で済みます。
ガスや電気を使わない調理器具

避難生活が長期化することでガスや電気などのエネルギーが枯渇することが考えられます。
そういった場合にキャンプで使用する焚き火台やアルコールストーブ、固形燃料などの熱源や、これらに対応した調理器具(メスティン、スキレットなど)などがあれば、温かい食事を作ることが可能になります。

ただし、火おこしや火の管理など火気の取り扱いや、直火調理に慣れておく必要がありますので、普段からアウトドアレジャーに親しんでおくことをおすすめします。
浄水器
川の水や泥水、雨水を飲料水にすることができる浄水器が各種販売されています。
こういった浄水器を活用すれば、川の水や衛生面に不安のある水であっても濾過することにより飲料水にすることが可能になるので、避難生活が長期にわたると不足しがちな飲料水を確保できます。
筆者はまだ浄水器をクレアに積載していないのですが、Greeshowの携帯浄水器「GS-2809」の導入を検討しています。
この携帯浄水器は、厚生労働省の水質検査適合品であり、手動でも電動でも浄水可能な上に、ソーラー充電機能も装備されている優れものです。
その他

・軍手(がれきの撤去など野外作業などに必要)
・作業用手袋(耐油性と耐突刺性のあるもの)
・タオル(筆者の場合、10枚程度を積載しています)
・大きなゴミ袋(ゴミ処理以外にも何かと使いみちが多いです)
・布粘着テープと油性ペン(メモ用紙として使ったり、一時的な傷口の止血にも使えます)
・レインコートなどの雨具
・ペット用品(ペットフードやおむつなど、ペットがいる場合に必要です。)
雨や雪の日の作業や危険物などを取り扱う時にとても便利な作業用手袋です。
筆者は、エステーの「モデルローブ No.600 ニトリルモデル」を使用しています。
キャンピングカーを避難場所として活用するために普段から注意していること
レジャー用途の場合は、車中泊に出かけるたびにキャンピングカーに食料や水、燃料を積み込むこともあると思います。
しかし、キャンピングカーを避難場所として活用することを考えるのであれば、災害に遭ってから必要なものをそろえようとしても間に合わないかもしれません。
そこでいつ災害が発生しても対応できるように、筆者は普段から以下のようなことに気をつけています。
燃料の確保

燃料の確保は、普段から私が最も気を付けていることの一つです。
災害時にはガソリンスタンドが混雑するだけでなく、場合によっては燃料販売が停止することがあるので、キャンピングカーの燃料(ガソリン・軽油)は、普段から満タンにしておく習慣をつけています。
キャンピングカーに十分な燃料が確保できていれば、避難先への移動や必要物資の調達がスムーズに行えるようになるだけでなく、FFヒーターが搭載されたキャンピングカーであれば、効率よく車内を温めることができます。
また、エンジンを回すことでサブバッテリーへの充電が可能になるなど、電力確保にも大変重要です。
予備の燃料確保
避難の期間にかかわらず、常に燃料を満タンにしておくことが重要ですが、さらに専用の携行缶に予備の燃料を確保しておくのも有効です。
ただし、ガソリンや軽油は危険物ですので、保管方法や温度管理、静電気の防止など取り扱いには細心の注意が必要です。
生活用水の管理

水道が断水してしまった場合は、給水タンクに備えられた水を使うことで、生活用水を確保できます。
そのためには、事前にタンク内に水をストックしておくことが重要。
タンク内の水が古くなると衛生上の問題が生じるので、定期的にタンク内の清掃と除菌を行い、水を交換しています。
まとめ 普段から備えを万全に

普段から燃料の管理をして、防災アイテムを備えておけば、キャンピングカーは災害時に安全かつ快適な避難生活を送れる場所となります。
特に重要となる飲料水と燃料の確保は万全にしましょう。
旅先で被災した場合であっても、安心して避難することができます。
さらに、キャンピングカーの備えだけでなく、自宅の備蓄品や食品のローリングストック、寝室の枕元の避難アイテム(ホイッスル、靴、ヘッドランプなど)、緊急持ち出し袋、通勤時の携帯品なども見直し、災害に備えておくと安心です。