車中泊仕様の車における冷蔵庫と灯りの話【快適車中泊テクニックVol.5】
前回の記事【快適車中泊テクニックVol.4】では「車室内の模様替えするとき気をつけておきたいこと」と題して、内装をいじる際の注意点に続いて、キャラバンの室内に棚を追加したところまで書いたので、今回はその続き。
冷蔵庫
キャンピングカーと言うと冷蔵庫が備わっているようなイメージがあり、実際8ナンバーのキャンピングカーには備わっていることが多い。電気やガスで冷却する冷蔵庫があると氷や保冷剤を使う必要がなくて便利ではあるし、横開きの冷蔵庫が設置されていたりすると見た目的にも一段とキャンピングカーらしさが増す。
他にバンコンなどでは上の画像のようなタイプも多い。このような上蓋式なら、決して広くはない室内でベッドを展開していても庫内の物を出し入れすることができて効率的だ。
しかし、電気やガスで冷却する冷蔵庫を使う場合は、スイッチを入れたらすぐに冷え冷えの状態になるわけでもなく(特に小型冷蔵庫に多いペルチェ式)、下準備のような時間が必要だ。
そして冷却の方法がコンプレッサー式の場合は基本的には外気温に関係なく一定温度に冷やすことができるけど機械が大掛かりになってしまい、比較的小型化できるペルチェ式の場合は外気温(冷蔵庫の外の温度)に左右されるため、暑い時にはそんなに冷たくならないなど、電気やガスで冷却するのも良いことばかりではない。
一方、一般的にクーラーボックスと呼ばれるようなものは、冷却するための氷や保冷剤などが必要で、冷やせる時間も氷や保冷剤の保つ範囲となってしまう。しかし、性能の良いクーラーボックスだったら結構氷が溶けずに長いこと保つし、氷はコンビニがあれば調達できるから、同じ場所から数日移動するつもりのないようなキャンプでもなければ特に困ることもない。
そして、私の場合は全く車を動かさずに連泊するシチュエーションはあまり考えられない。ということで、あったら便利かもしれないと思いつつ、私は今のところキャラバンに電気・ガス冷蔵庫は導入していない。
車内にいわゆる普通のクーラーボックスを置いておくだけでも十分ではあるけど、何か味気ない感じがするし、定位置のようなものを決めておきたい気もする。それで以前は上の画像のようにリンゴ箱にペンキを塗って、その中に容量20Lのクーラーボックスを入れ、定位置を決めて車内に置いていた。
20Lでは小さいのではと思われるかもしれないが、実際には案外クーラーボックスの稼働する機会ってのはそんなに多いわけでもない。必要以上に大きくても車内のスペースを無駄にしてしまうだけで勿体ないし、氷や保冷剤も容量に合わせた量を入れないと保冷能力が落ちてしまうので、大きければ良いってものではない。
たまたま持っていたいた物がリンゴ箱に良い感じに収まるサイズだったからこれを使ったのだけど、容量的にも20Lくらいが日常使いには丁度良いサイズだと思う。
また、大人数でキャンプする場合などは上のAやBのような大きめのやつも別に持って行くことになるし、少し足りないと感じる時はCを追加したり、DやEのような硬い箱ではないクーラーバッグを追加すれば良いのだ。DやEは使わない時は潰して小さくなるからスペースを無駄にしないのも大きな利点だ。だから狭いバモスにはEのクーラーバッグをたたんで積んでおいて、必要な時にだけ広げるようにしている。これを積んでおくと普段のお買い物にも便利。
暑い時にカヤックやSUPでキャンプツーリングに出る時にはDのクーラーバッグを持って行く。これは防水バッグに多いロールトップ式なので、中に水が入らないだけでなく、中から溶けた氷など液体がこぼれ出ないのも良い。
車旅には直接関係ない話でちょっと余談になってしまうが、このロールトップ式が現れる以前はジッパータイプのクーラバッグを使っていた。しかし海で使うと、洗ったり油を塗ったりしていても、いつしかジッパーが塩で固着して錆び付いてしまい、いくつも使用不能にしてしまった。このロールトップ式は保冷能力も非常に高いし、丈夫で本当に便利だ。
話を戻して、クーラーボックス in リンゴ箱。幅があってそれなりのスペースが必要なわりには高さは30cmちょっとしかないため、このままでは縦方向のスペースが無駄になってしまう。そこで蓋も作り、上に物を置けるようにしていた。
しかし、上に物が置いてあるとちょっとどければ良いだけの話なのに、何だか使うのが少し億劫になってしまう。そして結局リンゴ箱の中のクーラーボックスはあまり使わずに、Dのロールトップ式の出番が増えてしまった。それでは本末転倒。
と言うことで、クーラーボックス in リンゴ箱も良かったけど発想を変え、リンゴ箱に入れてあったのと同じクーラーボックスを縦にして、この観音開きのストレージの中に収めることにした。これなら上に置いたものを退ける必要がないだけでなく、縦の方が冷蔵庫っぽくて気分も上がる。もちろん天板はテーブルや作業台として使うこともできる。
このストレージは以前所有していた1964年式のVW TYPE Ⅱのキャンパーに載せてあった家具だ。本体は自分で作り直した物だが、天板部分は元々車内に設置してあった物なので、少なくと50年以上前の材料だ。キャンパーから下ろした後はしばらく家の中に置いて使っていたのだけど、違う車体で再デビューすることとなったわけだ。
ちなみにその64年式TYPE Ⅱには電気冷蔵庫ではなく、扉は電気冷蔵庫のように横開きだけど、大昔の冷蔵庫のように内部に氷を入れる棚が付いていて、その氷で冷やす仕組みの冷蔵庫が設置されていた。これが断熱がしっかりしているのか、非常に保冷能力が高かった。今回のクーラボックス縦置き作戦を思いついたのは、その冷蔵庫にインスパイアされたような感じだ。
扉を開けるとこんな感じ。奥行きはほぼぴったりだけど僅かに余裕があるため、奥にSUPボードが送られてくる際に緩衝材として入れられている薄い発泡スチロールの板を入れて調整。左横の隙間も同じく緩衝材を入れて調整。扉の内側にも発泡スチロールの板を貼り付けた。隙間調整だけでなく、これで保冷性能はさらにアップする。右横には2Lのペットボトルを2~3本を入れるのに丁度良いサイズの空間があり、水の在庫やガスボンベを収納するスペースとして活用。
クーラーボックスの庫内には何のためかわからないが、箱を縦にすれば棚受けのような状態になる筋が何本か入っていた。それを利用すれば庫内に簡単に棚を作れる。サイズに合わせて板を切っても良いが、合う物を探して100均・ホームセンターパトロールすると、なんと100均で発見した揚げ物などを置くステンレスバットがシンデレラフィット! それを使って氷や保冷剤を置く棚にした。
クーラーボックスを入れた部分の上には、元々棚を作ってあった。ここにイワタニのマーベラス(カセットコンロ)を入れるとこれまた高さが測って作ったようにピッタリだけど、奥行きは出てしまい、扉が閉まらなくなってしまう。
そこで扉の板を棚から下になるようにサイズをカットし、付け直す。これで扉がカセットコンロが飛び出さないための支えともなり、意図して作ったかのような状態になったので、これで全て円満解決。こうピッタリくると本当に気持ち良い。
室内キャリアバーの変更とLEDのライトの追加
キャラバンの室内にSUPのボードを固定するために、これまでは既製品のアルミ製パイプのバーを設置していた。しかし、特にその既製品のバーである必要もないので、それはバモスに移植することにし、キャラバンのは木の角材のバーに変更することにした。
バモスに移植した状態がこちら。バーの上にパドルや釣竿を置いたり、物を吊り下げることもできるが、2本のバーの間にネットとかを取り付ければ軽い服などを置く棚にもなる。やはりこれはバモスに付けた方が有効活用ができそうだ。
バーを角材に変更したキャラバンはこちら。これまでパイプ(円柱)だったけど、角材に変更したから平面があるため、そこに何か貼り付けたりすることもできる。それで、100均で入手した電源が単四電池3本のLEDライトを両面テープで貼り付けた。
室内灯は半分以上ボードに隠れてあまり役に立たなくなっていたので、室内灯代わりになって丁度良い。on/offはライト部分を押すだけで操作しやすく、これがまた結構明るい。そして、もし消し忘れたとしても通常の室内灯と違って乾電池が消耗するだけだから、車のバッテリー上がりの心配もなくて安心だ。
キャンピングカーショーやカートラでは、こんな感じのライトを室内に複数設置している車を幾つか見かけた。室内がかなり明るくなって実用的で良さそうだけど、ちょっと残念なことにこのライトは光が冷たい感じのする真っ白な色なのだ。これを複数付けて明るくするのも良いかと思ったけど、個人的には暖かい電球色の方が好みだから、その選択肢は多分ない。
ランタンの改造
和める室内にするためには、灯りにも実用性だけでなく味が必要だ。実用一点張りの白い光では面白くないと思っていた折、車内で使用するちょっと面白い物を作ったのでご紹介したいと思う。
前にも紹介したことがあった思うが、100均で電球型をしたLEDのライトが売られている。電源はUSBからの供給で結構明るい。光の色も上で室内灯代わりに付けたライトのような冷たい白だけでなく、暖かい電球色も選ぶことができる。昔LEDは高価だった。こんなものが税込110円で入手できてしまうとは10年前だったら考えられないことで、本当に感心してしまう製品だ。
吊り下げて使えるようにフックも付いていて、勿論そのまま使うこともできる。裸電球状態で使うのも面白いが、せっかく電球の形をしているのだから、シェードをつけるなど何か「電球みたいな使い方」を工夫してみたいと思っていた。
そんな時、家の片付けをしていたら見慣れぬランタンが出てきた。灯油を入れて実際に火を灯せる物ではあるが燃料タンクも小さく、実用品と言うより飾り物っぽいお土産品のような代物だ。自分で買った記憶もない。いや絶対に自分では買っていない。でも雰囲気は悪くない。それで閃いた。件の電球型LEDライトがこの中に収まるのではと。
ピッタリだった。裸電球状態より光の拡散具合も良いし、灯りの色も良い。USBのケーブルがもう少し長くても良さそうなのがちょっと残念だけど、100均だから仕方がない。しかし、使う時状況を考えると、MacBookから電源を取って脇に置いて使うことが多いだろうとか、スマホ用のモバイルバッテリーを近くに置いておけば済むと考えれば十分。またはもう一工夫して、燃料タンクの辺りに小さめのモバイルバッテリーを組み込んでしまうのもありかと思う。
それともう一つ残念なのは電源スイッチがなく、on/offはUSBコネクターの抜き差しだけな点だ。これも100円ではコスト的に厳しいと想像するが、100円ではない商品もあるダイソーだったら、200円のスイッチ付きバージョンを作るのもありだとも思う。
左後部ウィンドー周辺のその後
【快適車中泊テクニックVol.4】では、窓塞ぎに取り付けたパンチングボードの支えを追加し、新たに棚を設置した。しかし、吸盤が緩んでパンチングボード全体が外れ落ちてしまうことはなくなったが、吸盤が緩み、少し位置がズレてしまうことは依然解消されなかった。それでさらにパンチングボードのズレ留めを強化し、棚周りにも少し手を加えることにした。
下に追加したパンチングボードのズレ留めは座って寄り掛かった時に背当てにもなる。棚の裏にも支えを入れたので、一応吸盤も付けたままとなっているが、これでパンチングボードが外れてしまうこともズレてくることもなさそうだ(と思う)。
新たに設置した棚の上のスペースは特に置く物もなく空いていたので、そこにウォータージャグを常設することにした。固定の仕組みは簡単だ。パンチングボードの穴を利用してフックを掛け、バンジーコードでジャグを固定するだけ。
ウォータージャグは袋に入ったまま溶けてしまった氷を飲料水として使ったりする場合に便利で、常時車に積んでいたのだが、普段はしまっておいて使う時にだけ出せば良いと考えていた。しかし、クーラーボックス in リンゴ箱もそうだけど、直ぐに使える状態になっていないとつい面倒になって使わなくなっしまう。ジャグもしまってあると使わず、溶けた氷はそのまま持ち帰ってしまうことも多かった。
結局すぐに使える状態になっていなければものぐさ者は使うことがないのだ。きれいに道具を仕舞い込むのも良いかもしれない。マメで几帳面な人ならそれも良いのだろう。しかし、そう自覚していない者の場合は、道具をきれいに仕舞い込むことより、使いやすい状態にしておくこと、使いたいと思える状態にしておく工夫の方が重要なようだ。
そろそろ話が長くなってしまったので今回はここまで。また、模様替えをする際は紹介したいと思う。
DIYでの加工や改造は安全面に影響が出る可能性があります。また、アフターサポートなどを受けることができなくなる可能性もありますので、法令、基準などを遵守した上で自己責任で行ってください。不明な場合は販売店などに確認してから行うようにしましょう。