星空

車中泊で楽しむ星空撮影!きれいに撮る方法やおすすめのレンズを紹介



フォトグラファーライターをしている齋藤千歳です。


今回は、車中泊やキャンピングカーでの旅行を楽しんでいるみなさんにぜひ挑戦してほしい星景写真、いわゆる「星空撮影」について紹介したいと思います。


星空を撮影するのに最適な時間帯を調べる方法や、最低限必要な撮影セット、おすすめのカメラレンズなどのほか、初心者の方には難しいカメラの設定方法についても詳しく解説していきます。


車中泊の夜のちょっとした楽しみとして、ぜひ星空撮影に挑戦してみてください。



星空を撮るのに最適な時間とは?


天体観測可能時間

私は仕事で撮影をしていますが、星空撮影のためだけに出掛けることはほとんどありません。

ナキウサギであったり、ジュエリーアイス(海岸に打ち上げられた氷の塊)であったり、サンゴ草であったり、何かほかに撮影するものがあり、そのついでに星空を撮影することがほとんどです。

しかし、撮影旅行のスケジュールが決まったら、私は必ず「天体観測可能時間」をチェックしています。

https://startide.jp/darksky/

上のサイトでは、天文薄明(日の出前と日の入り後の1時間半程度)終了から開始までの間で、月の出ていない時間(=天体観測可能時間)を計算してくれます。

天体観測可能時間に星空の撮影を行うと、いつもより美しい写真を撮影できます。明らかに普段とは違った星空を観察できますので、ぜひ試してみてください。

カメラとレンズと三脚があれば星は撮影できる


撮影セット

明るい超広角レンズに、丈夫な三脚、フィルターなどなど……。本格的に星空を撮影しようと思えば、さまざまな道具が必要になります。

しかし、レンズ交換式のデジタルミラーレス一眼や、デジタル一眼レフとそのレンズ、そして三脚さえあれば、思っているよりもずっと簡単に、そしてきれいに星空は撮影できます。

キットレンズ

カメラ本体とセットで販売されている「キットレンズ」は、少し暗いですが、これでも星空を十分に撮影できます。初心者の方でも挑戦しやすいと思いますので、車内で眠る前や夕食の後に、まずはお試し程度に撮影してみてください。

カメラの設定は明るい車内で済ませておく


カメラ 設定

デジタル一眼は持っていても、普段あまり撮影をしないという方が、いきなり真っ暗な撮影現場でカメラの設定を行うのはおすすめできません。車中泊用の明るい車内でほとんどの設定を済ませておきましょう。

おそらく一度も使ったことがないという人も多いしょうが、星空の撮影では「M(マニュアル露出)」モードを使います。

まずは、カメラの撮影モードをマニュアル露出にします。多くのカメラはでは「M」と書かれたところにモードダイヤルを合わせます。

次に、ズームレンズならもっとも広い範囲が写る広角端にします。そして、撮影時のレンズの明るさを決めるF値をもっとも明るい、もっとも小さな値に設定しましょう。シャッター速度は15秒とします。

F値とシャッター速度はカメラの機種にもよりますが、カメラのシャッターボタン付近などに配置されたダイヤルで調整できることが多いです。

さらに、ISO感度を4000程度に設定します。ISOと書いてあるボタンやメニューから設定できる機種が多いです。このISOの設定方法は覚えておいてください。撮影時にも操作します。

続いて、ピントを合わせるAF関連を設定しましょう。

まずはピント合わせの方法をMF(マニュアルフォーカス)にします。レンズにあるピントリングを自分で回してピントを合わせるモードです。

試しにピントリングを回してみて、ピントを無限遠側(∞や山のマークが描かれた方)に合わせて置くと、大きくピントが外れることはなくなります。

車内で最後に設定するのは、撮影時の色関係です。メーカーにより名称は異なりますが、色の設定ができるカメラでは、ビビッドやスタンダード、オートあたりを選択しましょう。

次にホワイトバランスですが、色温度が指定できる機種では3,800Kあたりが筆者は個人的に好みです。色温度指定ができないカメラなら、電球や白熱灯を選択するとよいでしょう。

設定方法のわかる方は、撮影時の背面モニターに水準器が表示されるようにしておくと便利です。

三脚を使うと星がきれいに撮れる


三脚

星を撮影するときの必須アイテムが三脚です。値段が高いものほど頑丈で使いやすいのですが、まずは安いもので十分なので1本用意してください。筆者は何本かの三脚をいつもクルマに積んでいます。

準備ができたらとうとう撮影開始です!できるだけ暗いところから撮影してほうが星空がきれいに写る気がしますが、天体観測可能時間であれば、夜空を眺めてきれいだと感じる場所で問題ありません。

三脚で固定したカメラを星空に向けます。背面モニターに水準器が表示できる機種であれば、水準器を使って左右の傾きがないように設置しましょう。

次にピントを合わせます。

画面内の明るい星などを拡大表示して、ピントリングを回します。星がもっとも小さく表示されるところがピント位置です。一度合わせてしまえば、基本的にその位置のまま撮影して問題ありません。

この時点で背面モニターには、ほとんど何も写っていないと思います。それでもいいので、まずはシャッターを切ってみてください。

ぶれないように優しく、丁寧にシャッターボタンを押します。もし、ドライブモードでセルフタイマーが設定できる場合は、2秒や5秒などとして、シャッターを切るとぶれにくいです。

星空

とりあえず撮影すると、明るいか暗いかのどちらかのはずなので、明るければISO感度を下げ、暗ければISO感度を上げます。背面モニターでみて、きれいだと感じる明るさよりも、少し明るいものも撮影しておくのがおすすめです。

思った以上にたくさんの星が写っているのではないでしょうか。デジタルカメラは星の撮影に非常に向いています。肉眼で見る以上に多くの星がとらえられていることが多いです。

あとは、明るさとフレーミング(構図)を調整しながら、ご自分の納得がいく写真を撮影してください。

初心者向けの明るい超広角レンズも存在する


SAMYANG MF 14mm F2.8 MK

星景撮影用の明るい広角レンズというと、何十万円もするレンズをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、初心者の方にもおすすめの安価なレンズも販売されているんですよ。

「SAMYANG MF 14mm F2.8 MK2」は最近発売された最新のレンズですが、実勢価格が5万円ほど。リーズナブルな価格と使いやすさ、安定した光学性能が魅力のレンズです。

前モデルの「SAMYANG 14mm F2.8 ED AS IF UMC」も、14mmの超広角で開放F値が2.8と明るく、星景写真のエントリーレンズとして定番でしたが、「SAMYANG MF 14mm F2.8 MK2」は、より星景写真の撮影に使いやすいようにリニューアルされています。

パーキングエリアから撮影した星空

上の写真は「SAMYANG MF 14mm F2.8 MK2」で撮影した星空です。

然別湖方面に撮影に行った際に通りかかったロードサイドのパーキングエリアから撮影したもので、夜が明けかかった時間帯かつ、画面の下部には町の灯りが入っているので、撮影条件はさほどよくないです。しかし、無数の星が美しく写っています。

最初は現在持っているカメラとキットレンズで撮影してみて、星空の撮影が楽しいと感じた方は、次のステップとして、このような超広角レンズも検討してみてください。

詳しい知識は後回しでいいので、まずは挑戦してほしい


キャンピングカー 朝日

もしレンズ交換式のデジタルカメラを持っていて、すでに車中泊旅行を楽しんでいるのなら、ぜひ一度、星空撮影をしてみることをおすすめします。クルマのなかで寝る前に、道の駅の駐車場からでもいいので、星空にカメラを向けてみてください。

ただし、道の駅の駐車場などから撮影する際には、ほかの方の迷惑にならないように十分に配慮してくださいね。また、クルマの通行の邪魔にならないようにして、事故などの原因にならないようにしましょう。

最近のカメラはレンズが多少暗くても、1万を超えるようなISO感度を使って、驚くほど多くの星を写し出してくれます。デジタルカメラで簡単に多くの星が写ることに驚く方も多いのではないでしょうか。

くわしい撮影知識は後回しでいいので、車中泊の夜のちょっとした楽しみとして、ぜひ星空撮影に挑戦してみてください。