「車の中なら雷は安全」って本当?実は…あなたの車は避難してはいけない車かも
夏から秋にかけて、夕立を伴った雷の発生確率が高まっていきます。
気象庁の雷監視システムによる、雷の検知データから、全国の放電数を集計し、月別に平均値を求めたものを見ると、放電数は8月が最も多く、12月~2月の約100倍です。
夏本番になると、雷と遭遇する確率も高まります。雷から身を守るための安全な避難場所として、車を挙げることがありますが、実際の安全性はどの程度なのでしょうか。
クルマが落雷時の避難場所として有効な場所なのか、考えていきます。
クルマの中は落雷時の避難場所として有効?
近くで雷が鳴っていて、落雷の危険性が高いとき、避難するべき場所は頑丈な建物の中です。
鉄筋コンクリート製などのビルや学校などが、避難場所として最適な場所になります。
しかし、突然の発雷時、近くに避難できる建物がないというケースも多いはずです。
こうしたときに、どのような行動がベストなのでしょうか。防災に深くかかわる消防署で話を聞いたところ、「落雷時にクルマへ避難するのは、正しい行動の一つ」と回答がありました。
雷の正体は、電気です。電気は金属などの導体(電気を通しやすいもの)を伝って流れていきます。
車のボディは、表面がほとんど金属で囲われており、さらに地面とタイヤが接しているため、落雷を受けても、ボディ表面を電気が流れていき、タイヤを伝って地面に電気を逃がしてくれるのです。
したがって、雷の衝撃でボディに傷がつくことはありますが、中に乗っている人が、雷で怪我をしたり、命を落としたりする危険性は極めて低く、車の中は安全と言えます。
ただし、一定条件下では、車の中でも乗員が雷の被害を受けるケースがあります。
車内にいても雷による危険が及ぶ場合も
安全と言われる車内でも、落雷の危険があるときに避けなければならない行動があります。
まずは、電気が流れている状態でボディに触れることです。落雷時にボディに触れると、感電してしまいます。
落雷の危険がある場合は運転をやめて、金属部に手を触れないようにしてください。
車内にはドアノブやシートベルトの金具など、金属製のものがいくつかありますので、金属部には触れず感電を避ける行動が重要です。
オープンカーなど、車の天井部分が金属以外でできている場合は、車が雷に対して安全な避難先にはなりません。
さらに、ソフトトップと呼ばれる布製のルーフは、雷の衝撃で破損することがあります。
乗員を守ることが難しいため、このような車に乗っているときには、車から離れ、安全な建物などへ避難しましょう。