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「スマホはNGだけどアイコスはセーフ」は大間違い!運転中の喫煙、“ながら運転”に該当しなくても違反行為になりうる理由とは

ながら運転、スマホ・カーナビ以外で該当するものはある?

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令和元年12月1日から、運転中に携帯電話で通話をしたり、画面を見たり操作したりする「ながらスマホ」に対する罰則が強化されました。
運転中のスマホ操作が危険という認識が広まったうえ、取り締まりが厳しくなったため、以前より気をつけているという人もいるでしょう。
しかし、スマホ以外でも「運転しながら」ついやってしまう行為はいくつかあります。
なかでも、愛煙家が気になるのは「運転中のタバコ」です。最近は紙タバコだけでなく、電子タバコを吸う人も増えてきました。
これらを運転中に楽しむことは「ながら運転」の取り締まりの対象になってしまうのでしょうか?
「ながら運転」に該当するのはスマホや携帯電話だけ?

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携帯電話やカーナビを使いながらの運転は道路交通法違反となります。ながらスマホなどに対する罰則は次のようなものが当てはまるのです。
携帯電話を保持して通話・画面注視した場合(保持)
罰則:6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
反則金:普通車の場合18,000円
違反点数:3点
携帯電話の使用により事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合(交通の危険)
罰則:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
反則金:非反則行為となり、罰金が適用されます
違反点数:6点(免許停止処分の対象)
しかし、現在の道路交通法では、運転中の飲食や喫煙までは、厳格に禁止された行為には当たりません。
そのため、運転中にご飯を食べる、タバコを吸うといった行為自体で罰則を受けるということはありません。
電子タバコに関しても紙タバコでの喫煙と同様の行為なので、運転中に禁止されている行為としてここでは明確に定められていませんが、他の条文を見てみましょう。
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紙タバコも加熱式タバコも「ながら運転」に該当しないとしても…

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前述の通り、ながら運転として明確に禁止されているのは携帯電話のみですが、飲食、喫煙(電子タバコ等を含む)行為が、運転行為の妨げになると判断された場合には、道路交通法第70条に規定されている「安全運転義務違反」に問われる可能性があります。
道路交通法第70条には、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とあります。
つまり片手に飲料やパンをもったまま、もしくはタバコを持った状態で運転をしていて、ハンドル操作が確実に行えないと判断されてしまえば安全運転義務違反に該当してしまうのです。
例えば、アイコスなどの加熱式タバコを使用する際に、本体を左手に持つ、タバコを右手で取り出し、本体に両手で差し込むという行為は、運転中には厳に慎むべき行為ということです。
紙タバコだから、加熱式タバコや電子タバコだからOK・NGという区分けはありませんが、運転中の喫煙はなるべく控える方が良いでしょう。
火を使わない、煙が出ない、灰も無いアイコスですが、紙タバコ同様に喫煙するなら、安全なところへ車を止めたうえで行うのがベストです。
“2秒間見つめる対象”がスマホならアウト、タバコならOKっておかしくない?

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厳密に言えば、現在ながら運転で禁止されているのは「画面の2秒以上の注視」です。
タバコを箱から出そうと見つめたり、おにぎりを袋から開けようとして手元を見つめたりすれば、2秒以上かかってしまうことは明白でしょう。
2秒間、時速60kmで走行したら車は34mも移動してしまいます。たった数秒ですが、直線道路であっても急な飛び出しや状況変化が発生する可能性はゼロではありません。
そう考えると、“2秒間見つめる対象”が「カーナビやスマホだからNG」「おにぎりやタバコならOK」というのは少々おかしな法律のように感じますね。
罰則の対象ではありませんが、飲食も喫煙も、運転中に行うべき行為ではないはずなのです。
運転中は運転という行為に集中することが、ドライバーの責務です。運転以外の行為をするのであれば、車を停車させて安全が確認できる場所で行うべきだと筆者は考えます。
一人一人のドライバーが、少しずつでもながら行為に対して、「今はやめよう」と思うことが、事故を減らすことにつながるのではないでしょうか。
ライター:Red29
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